『コブラ』 フレデリック・フォーサイス

サイコガンは心で撃つのよ(違


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ある少年の死をきっかけに、アメリカ大統領がコカイン撲滅を誓った。世界的なコカイン密売組織「兄弟団」を倒すため、“コブラ”の異名を取る元CIA工作員ポール・デヴローが召喚され、その彼は副官として、かつて自らの計画を潰した“アヴェンジャー”キャル・デクスターを呼ぶ。デヴローは「兄弟団」を犯罪組織ではなく、テロ組織として扱うことで、各国政府を巻き込んだ壮大な作戦を開始する

アメリカ大統領に頼まれた老工作員が、全世界に根を張るコカイン密売組織に戦いに挑む!
フォーサイスの作品のわりに、ラスト以外はストレートな筋の小説だった
コカインはその大半がコロンビアを原産地としていて、80年代には世界的カルテル「メデジン・カルテル」が流通量の8割を牛耳る帝国を築いていた。小説ではそれをモデルにしたような「兄弟団」(エルマンダード)が、全世界にコカインを供給していて、各国の犯罪組織と組んで膨大な利益を上げている
現代では大規模なカルテルは壊滅したものの、反政府ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)がコカイン産業を受け継いで、政府軍と張り合う実力を持つという
作中ではこうした麻薬戦争への緻密な考証から、コカイン密輸の手口、販売する犯罪組織との関係、税関とのいたちごっこ等、リアルな攻防が描かれると同時に、通好みの攻撃機・バッカニアを動員しての要撃作戦、海兵隊を動員した密輸船摘発など、豪快なアクションシーンも共存させている
主人公側は一方的に攻撃するだけなので、シミュレーションの割合が濃いが、最後の最後に小説としての醍醐味を味わえる

これは麻薬戦争に対する作家の提案なのだろうか
麻薬密売組織をテロ組織として扱って、どこまで追い詰められるかをシミュレートしたかのようだ
コカインの流通を止めるには、各国の犯罪組織を叩いても枝葉であり、原産地であるコロンビアを押さえなくてはならない。アメリカはパナマ侵攻など南米の内政に干渉し、コロンビア政府に協力し続けたが、密林地帯の栽培を撲滅するのは容易ではない
そこで小説では、コカインの流通経路である海上、空路を制圧し、直接の摘発で欧米への流入を抑える。そのために、麻薬密売人をテロリストのカテゴリーで扱い、人権を制限して有無を言わさない姿勢で臨むのだ
それでも限界はあるようで、ここから先はフィクションの度合いが強まっていく
コロンビアのカルテルと各国の犯罪組織との関係を絶っておいて、疑心暗鬼から犯罪組織同士の抗争に発展させるのだが、現実ならカルテルたちも政府の手の内を読んで対処することだろう
デヴロー自身が語るように、物理的に流通経路を封鎖し続けるには限界があるのだ
そして、政府側が麻薬戦争に耐えられない脆弱性をもち、ラストの展開のように取り締まる側にも人間性の不完全さがあって、単に取り締まるという発想だけでは根絶しえない
食い物にされる側、手慰みに違法ドラッグに手を出してしまう心の問題が残る


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