『風雲児』 上巻 白石一郎

超ひさしぶりの白石一郎

風雲児〈上〉 (文春文庫)風雲児〈上〉 (文春文庫)
(1998/01)
白石 一郎

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後の山田長政である仁左衛門は、伊勢山田の神主の手代、大久保忠佐のもとで駕籠かきと諸国を遍歴した末、幼馴染の長九郎ともに貿易商として長崎へ行く。異国情緒あふれる長崎を楽しんでいた仁左衛門だが、朱印船に乗って交易をしたいという長九郎の野心に乗り、共に高山国(台湾)へ行く。高山国では、海賊、オランダ人、高砂族と様々な出会いが待っていた

山田長政は17世紀初頭、シャム(タイ)に渡来し、王国の有力者あるいは王にすらなったといわれる、教科書にも載る有名人だ
戦国の世が終わろうとしている年代であり、成りあがりの夢を海外で追いかけた人物と思っていたが、小説の長政=仁左衛門はそうでもない
特に野心家でもなく、その場その場に上手く対応するタイプで、海外へも長九郎に引きずられていく。そんな英雄らしからぬ受動的な性格だが、困った人間を助けずにおけない侠気と曲がったことが許せない正義感から、行く先々で信頼を得ていく
まるでファンタジー小説の王道を行く勇者様(!)であり、高砂族(台湾原住民)のタカラン、シャム王国の要人の娘、通訳の明国人など行く先々で仲間が増える
山田長政は史料が少なく様々な小説で扱われているようだが、ここまで巻き込まれ型の造形は珍しいのでは

上巻では、遍歴時代、長崎、高山国、そしてシャムと、テンポよく舞台が移り、各地の様子が描かれる
一番比重が大きいのは、高山国(台湾)
高山国の特産品は鹿で、作中で当時は世界一の生息地だったと紹介される。高砂族の男子は狩猟を本分とし、捕まえた鹿の肉と皮を各国の商人に売る
高山国には“国”といえるまとまりはなく、数十の部族がそれぞれの縄張りで鹿を狩っていた。もめごとがあった時は、儀礼的な戦闘があり、相手を征服しようとせず棲み分けを続けていた
しかし、日本人、明国人、そしてオランダ人が、鹿皮の交易に参加し過熱すると、高砂族の中にも競争が生じた。生存の必要以上に鹿を狩り始め、自らの縄張りを越えて狩猟が行われ、敵対する部族をだまし討ちにするような凄惨な状況が生まれてしまった
商品経済への免疫がない地域に、商魂たくましい連中が乱入したゆえの悲劇である
後にオランダの東インド会社は明国と砲火を交えた末に高山国を占領し、鄭成功の攻撃を受けるまで植民地として統治する


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