『論文のレトリック』 澤田昭夫

原理原則から見直そう

論文のレトリック (講談社学術文庫)論文のレトリック (講談社学術文庫)
(1983/06)
沢田 昭夫

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論文を書くにあたって、重要なのは戦略性である!
本書は1983年の初版以来、論文の教科書としてロングセラーを続けている名著で、枝葉の文章論ではなく、全体を俯瞰し構造を重視した論文の理想形を説く
どこから読んでもいいオムニバスとなっているので、第一章から第五章まではいかにダメな論文、試験問題が出回っているかという、論文の書き方を知りたい読者からは迂遠な問題が論じられているが(苦笑)、中盤以降はエンジン全開
軽視されがちな文段(パラグラフ)の意味、全体を整理するアウトラインの作り方、バランスのとれた構成(添削例もあり!)、論文を書くための本の読み方、研究カードの使用法など、基礎論から具体的な作法まで、実践的なノウハウが詰まっている
読み終わると、今まで書いてきた記事がいかに考えなしだったかを気づかされる、ブロガーも必読の一書である

著者によると、論文の基本は問答にある
「問いを疑問文の形で切り出すこと」が、論文を書く最初の段階で、全体を貫く主題を決めることが論文の首尾一貫、信頼を保証する大前提となる
その次に、「構成、材料の配置」。小説的な「起・承・転・結」ではなく、序・本・結」が大原則であることを肝に銘じなければならない。序の問いと結の答えを結びつけるのが、論文というものなのだ
そうした構成を整えるために必須なのが、アウトラインだ。とりあえず書き出す、頭のなかでなんとなく書き出すではダメで、どう書いていくかあらかじめ予定を立てておかねばならない
具体的に「アウトライン」とは何かというと、いわば“目次の卵のようなもので、主題とアイデアを書き連ねただけの“落書き型”から、配置する順番を決める“見出し型”など、論文の容量と段階から様々な種類がある
ブログの記事からすると“落書き”でいいから、書き出す内容と順番を一度書いて把握するべきなのだろう

当ブログにぴったりの章もあった。「第十八章 ブック・リポートと書評論文」
ブック・リポートとは、不特定多数を想定した紹介論文で、「本の種類」「主な問い(主題)」「意図」「構成」「主要概念」「引用した資料」「結論」などの問いに答える。いわば読書の結果をまとめたものだ
これに対し書評は、本(論文)に対する評価が問われる。単にその本だけでなく、それに関連したものなかの位置づけを書かねば成らない。歴史小説でいえば、その作家の主要な作品を読むのはもちろん、似た主題の作品、どういう時代・状況で書かれたかも押さえなければならない
また、書評は批評なのだから、単なる賞賛、批判を越えて、「公正(フェア)」であらねばならない。この場合の「公正」とは、「著者の意図しなかったことを期待しない」「著者が置かれた不可避の制約条件を考慮にいれる」「マイナス面だけでなくプラス面も勘考する」こと
当方のブログにできるのは、頑張って「ブック・リポート」なのだが、「公正」を旨にして書評に近づけたいと思う
本書は学生に対して書かれているので、例文がかなり専門的な内容だったりと、読みにくいところはある。しかし、そのキモの部分はどんな文章にも通用する原理原則なので、お薦めであります


論文の書き方 (講談社学術文庫)論文の書き方 (講談社学術文庫)
(1977/06/08)
澤田 昭夫

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