『作画汗まみれ 改訂最新版』 大塚康生

東映動画の歴史


作画汗まみれ 改訂最新版作画汗まみれ 改訂最新版
(2013/05/31)
大塚 康生

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『ルパン三世』『未来少年コナン』『じゃりん子チエ』など数多くの作品で作画監督を務めた大塚康生が語る自身のアニメーター人生と製作現場の舞台裏
大塚康生は厚生省麻薬取締官(!)から26歳で転身、東映動画時代に日本最初のカラー長編アニメ『白蛇伝』に参加して、キャリアでは高畑勲、宮崎駿の先輩格にあたる。ただし“アニメ作家”にはならず、あくまで演出を受けて絵を作る“作画職人に徹し続けた
本書では半生を振り返りつつ、当時の製作体制、原画・動画の考え方、アニメーターの修行法、そして各作品への思いなど、フルアニメーションへの愛とこだわりが語られる
いわゆる日本のアニメは、動きを簡略化しセル画の枚数を減らすリミテッド・アニメーションが特徴といわれるが、もう一つの系譜が、ジブリ作品へとつながる東映動画の系統だ。虫プロ出身、富野監督の『だから、僕は…』と合わせ読めば、日本アニメの黎明期を大まかに押さえられるだろう(適当?)

やはり、アニメーターとしての基礎を築き、高畑・宮崎コンビに出会った東映動画時代が中心だ
東映動画では1961年に労働組合が組織され、翌年、大塚は二代目の書記長に就任する。東映動画の労働組合は、単なる労働運動のみならず、細分化した現場の相互不信を解消するコミュニケーションの場として作用し、一つのチームとして作品作りにあたる意思統一に寄与した
組合で製作された作品への批評もさかんに行われ、例えば『安寿と厨子王』では権力者に媚びて出世する主人公が指弾されるなど、60年代の社会思潮「社会主義的リアリズム」に基づく手厳しい批評がなされていた
作り手の側が納得したものを世に出したいという動きは、太陽の王子 ホルスの大冒険を生み出し、会社を傾けつつも長編アニメの金字塔を打ち立てる
本書ではこうした組合民主主義による東映動画への愛が強く叫ばれつつ、一方では手塚治虫が虫プロを通した始めたリミテッドアニメーションへの嫌悪感を隠さない
「止めの美学」を能や歌舞伎などに根差した日本人に感覚に合うことは認める。しかし、テレビアニメの市場が拡大したことで、独立系スタジオが乱立し、基礎を知らない素人裸足のアニメーターが大量投入され、(大塚から見て)低廉な作品が供給される現状は容認できない
そうした情勢への反発が日米合作による『リトル・ニモ』への挑戦につながっていく

巻末の裏話が面白過ぎる
高畑勲のは先輩を立てたまっとうな解説だが、宮崎駿のそれは悪戯ごころ溢れる暴露話である
ルパン三世がなぜフィアット500が愛車かというと、「あまり成功しない泥棒が高級車は似合わない」としてイタリアの大衆車でかつ、大塚康生が愛用していたから。近くにモデルがあったほうが描きやすいという理由らしい
ある日、大塚はスタッフ同士で酒盛りをした後、愛車でスタッフを送り届けようとした(今なら重罪!)。酔っていたため同じところを堂々巡りして元の場所にスタッフを降ろした後、家の方向を間違えて泥道に突っ込み、一人で抜け出せなくなってしまったという
その後、そこからどうやって車が救出されたかは割愛するが、リアルでアニメに負けない活劇を繰り広げていたのだ
巻末には、60年代頃の東映動画が日本のアニメーションにもたらしたもの』という高畑勲のレポートが収められていて、作り手側の視点と断りつつも、自称評論家たちより鋭い分析がされている。これも必見!


リトル・ニモの野望リトル・ニモの野望
(2004/07/22)
大塚 康生

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