『呪われた町』 スティーヴン・キング

カバーの雰囲気も『屍鬼』みたい

呪われた町 (上) (集英社文庫)呪われた町 (上) (集英社文庫)
(2011/11/18)
スティーヴン キング

商品詳細を見る

呪われた町 (下) (集英社文庫)呪われた町 (下) (集英社文庫)
(2011/11/18)
スティーヴン キング

商品詳細を見る


小説家ベン・ミアーズは、幼い頃に過ごしたセイラムズ・ロットの町へやってきた。丘の上から町を見下ろしているマーステン館は、少年時代と同じように不気味な存在感を放っていた。吊るされた犬の死体、少年の失踪に端を発した怪事件は、さらなる行方不明者、死体紛失事件へと連鎖していく。ベンは、老教師のマット画家志望のスーザンらとともに、解明に乗り出すが……

『キャリー』に続く二作目の作品にして、小野不由美の『屍鬼』の下敷きとなったホラー小説である
筋は吸血鬼物の定番も定番で、いかにも怪しげな男がそのまま正体だったりと、あまりに捻りがなさすぎる
しかし、夜も明るい現代社会に吸血鬼の恐怖を再臨させようという作者の執念が凄い。自身がニューイングランド地方のメイン州生まれであることから、極めて緻密に架空の町セイラムズ・ロットとその住人を作り上げている。生活臭がぷんぷんする分、それを壊される恐怖感が半端ないのだ
これだけ使い古された設定と先の読める展開にも関わらず、怖いのである
佳境で吸血鬼の残す置手紙にはひっくり返り(苦笑)、主人公が神秘の力で勇者化する展開は安易に思えたが、巨匠の底力を感じる作品だった

解説にスティーヴン・キングの作品は作者の意図と関係なしに、アメリカ社会を描く結果になってしまうと書かれていたが、まさにそう
この小説の恐怖が成り立つ背景には、広いアメリカで一つの小さい町が消えることぐらい、“ありえる”という現実がある
経済的基盤がなくなれば、瞬く間に人がいなくなり、廃村へとまっしぐら。古くから車社会で人の移動が激しく、市場原理が強く働くお国柄では、昔、町だった場所が廃墟になってるケースがよくあるのだ
日本だと、『屍鬼』で村人が団結してゾンビ物となったように、むら社会の本能が目覚めてしまうが、アメリカだと個人主義が祟って……という展開に
真っ向からの社会批評というわけでもないが、現代ギリシャの詩人イオルゴス・セフェリスの詩が引用され、「唯一の皇帝はアイスクリームの皇帝だ」という文句が強調される
アイスクリームの皇帝」の意味は、人々はアイスクリームのような嗜好品に耽溺し、支配されているということだろう
そんな彼らが吸血鬼となって欲望のままに不死を楽しむ誘惑をどうして退けられるだろうか。そんなメッセージが上品に隠れている


関連記事 『屍鬼』 第1巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
カテゴリ
SF (22)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。