『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』 水野和夫

設備投資依存の景気回復はすぐ行き詰るって……


人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか (日経ビジネス人文庫)人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか (日経ビジネス人文庫)
(2013/07/02)
水野 和夫

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グローバル化は世界をどう変えたのか。気鋭のアナリストが変わった世界の原則を明らかにする
著者は民主党政権のブレーンとも言われた、水野和夫。冷戦以後、急速に進展したグローバル経済の本質を解き、なぜ、従来の経済政策が功を奏さないのかを、丁寧に分析していく
アメリカの「金融帝国」の解説は、時事的に懐かしいものとなっているが(それでも読む意味はある)、金融経済が実物経済より優位に立つ理由、アメリカ、中国、ロシアらの「帝国化」の動き、ネット時代の景気変動、そして、景気回復しても懐が暖まらない訳を明確にしてくれる
初出が2007年であるが、現在の安倍政権も自民党の伝統的政策、輸出増による経済成長を目指してしまっているので、本書の指摘は十二分に通用してしまうだろう

金融経済が実物経済を振り回せる理由は、ひとつにグリーンスパンも指摘していたように冷戦終結で途上国の富裕層、特にオイルマネーが先進国の証券市場へなだれこんだこと、そして、IT技術の進化によりいつどこでも証券市場が開いている限り、参加できるようになったこと
アメリカでは経済成長が実物で見込めなくなったため、「強いドル政策」によって自国の資産価値を高め、外国からの投資を呼び込む「金融帝国」となることで成長を達成した
リーマンショックの失敗で徐々に実物経済への揺れ戻しはあったものの、先進国では株価の変動が景気とリンクしていて、富裕層が株で儲けると個人消費が増える実態があり、金融経済の優勢は変わらない
比較的高い経済成長を遂げても、一部の人間以外賃金が上がらないのはアメリカでも同じで、貯金せず投資に熱くなる人が多いのも他に収入を上げる手段がなかったからだろう

グローバル経済における先進国は、二つの経済圏に分かれる。新興国の成長とリンクできるグローバル経済圏と、国内でしか循環できないドメスティック経済圏
BRIC.sに代表される新興国は、従来の「近代」成長モデルが通用するから、それと付き合える業界、企業は、「近代」モデルの生活でさらなる成長が目指せる。しかし、国内向けの市場しか持てない業界では、努力しても成長は見込めず、従来の政策、あるいはグローバル化の政策が裏目に出てしまう
バスやタクシー業界、外食産業といった国内市場のみをターゲットとする業界に、自由競争、規制緩和を極めた結果、労基法を守らないブラック企業を生み、過労による人身事故を起こしたことは記憶に新しい
こうした成長できる業界とできない業界がくっきり分かれることがグローバル時代の特徴で、成長できない「経済圏」を著者は「新中世と呼ぶ
日本人の約七割以上の人がこのドメスティック経済圏=「新中世」に属し、その中では賃金が極端に抑えられるので、経済格差が大きくなる。経済の格差は子供の学力に直結し、階層の固定化につながる。「新中世」を本当の中世にしないためにも、教育の機会均等など成長が低くても安定した施策が求められるのだ


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