『関ヶ原』 上巻 司馬遼太郎

かつて新年の七時間スペシャルに 島左近は三船敏郎!

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)
(1974/06/24)
司馬 遼太郎

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太閤秀吉が病床に伏す中、早くも次の天下を巡る争いが始まろうとしていた。秀吉から前田利家ともに後事を託された徳川家康は、舌の根も乾かぬうちに他家の婚姻を勧め、五奉行の石田三成と衝突する。家康はいったん誤まりを認めるものの、利家の死後、加藤清正らをけしかけて追わせ、自らの屋敷に来た三成を生かすことで彼を政権から追放することに成功する。しかし三成の配下には当代の兵法家・島左近がいた

『夢のまた夢』の続編、『乾坤の夢』を読む気だったが、先に司馬遼太郎を読むことにした
いや、面白い。完全に西軍側に立って書いているのだ
豊臣政権を立てる石田三成、直江兼続が大正義で、豊臣の天下を掠め取ろうという徳川家康、本田正信は見事な悪役なのである。ここまで徹底すれば見事なものだ
もっとも、政治の世界の“正義”など司馬が信じているはずもなく、頭が回り過ぎる石田三成には島左近に辛らつな言葉を吐かせている
豊臣に恩顧を感じる者などおらず、それぞれは利で動くのみ。一般の民衆も昨日の蝉と今日の蝉が変わっていても気づかないと、三成の奔走をあざ笑うかのような文章が多い
そう分かっていて、なぜ三成を主役としたか。それは徳川家康と江戸幕府が嫌いだからだろう。暗殺、密偵を好む本多正信の手法を、江戸幕府の悪風とまでこきおろす
そして、なぜそこまで江戸幕府を嫌うのかというと、江戸に天下を奪われた大阪人だから……なの?

石田三成や直江兼続の大正義ぶりを見て感づいたのは、KOEIの人気シリーズ『戦国無双』への既視感である。特に『戦国無双2』からは関ヶ原の戦いが大きな位置を占めている
島左近はかつて武田に仕え、三方ヶ原の戦いで家康を追い詰めたとされていて(真偽は明らかでない)、無双でも武田信玄の家臣としてスタートしている
馬上で太刀を振るうが得意という設定も、ゲームでは得物が巨大な野太刀という形で表現されている
一見、婦女子向けに見える無双シリーズも、モブでかなりマイナーな武将が拾われたり、マイナーな戦いが取り上げられたりと、歴史好きをくすぐる要素を盛り込んでいるが、この小説の図式を堂々と借りていたとは思わなかった
小説の左近は、正義マニアの三成を冷やかす“できた人間”で、その純粋さに惚れつつ、作者が肩入れした真の主人公ともいうべき存在。上巻では、家康に五奉行の職を追われ、前田家まで取り込まれと防戦一方だが、左近たちがいかに反撃していくか注目だ


次巻 『関ヶ原』 中巻

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森繁久弥、三國連太郎 他

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