『中国共産党 支配者たちの秘密の世界』 リチャード・マクレガー

生き延びる全体主義国家

中国共産党 支配者たちの秘密の世界中国共産党 支配者たちの秘密の世界
(2011/05/25)
リチャード・マクレガー

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なぜ中国で民主化が起こらないのか? 今なお秘密のベールに覆われた中国共産党に迫り、その本質と適応力を暴く
著者は『ファイナンシャル・タイムズ』の元北京支局長で、20年に渡って中国で取材活動を続けていた人物で、党組織、国有企業、情報管理、人民解放軍、歴史認識……と様々な角度から党と人民の関係を追求している。社会のほとんどの領域に党が関わるので、党を論じることは中国を論じることに等しいだろう
本書が書きあげられたのは2009年であり(日本語訳の出版は2011年)、当時の中国はヨーロッパが金融危機に揺れるのを見て、「もう欧米から学ぶものは何もない」「中国の体制で金融危機は起こらない」と現体制に自信を深めていた
著者もそうした情勢に煽られたのか、中国の一党独裁は経済成長や時代の変化に軋みつつも強かに歩んでいくと予測していた
今ならそこまで楽観的にはなれないだろうが、開放路線の中国で中産階級の台頭→政治の民主化という構図が通用しなかった理由を明白にしてくれる

高い経済成長と広がる経済格差から、「赤い資本主義」と揶揄される中国だが、その根っこには、党が選良として人民を指導するレーニン主義の組織が確固として存在している
経済が自由化されたといっても、天安門事件(1989年)を境に大きな変化があった。天安門事件以前は、農村の余剰物売買に始まって、人民による私企業がもてはやされたが、事件後は保守派が盛り返し、国有企業を通した官民一体の体制が構築されたのだ
党に選ばれた国有企業は、海外で上場するためにほぼ民間企業の体裁を整えつつも、経営者の横には党の要人に通じる「赤い電話」が置かれる。企業内には秘密裏に党委員会が作られて、経営者は党の意向に拘束される代わりに、競争に勝ち抜くために国中の力を借りることもできる
このため、経営者も特権階級を意味する「赤い電話」=党員としての地位を欲しがり、党は民主化をもたらすはずの新興階級をつなぎとめることに成功しているのだ
こうした関係は海外から問題視されるものの、中国企業がもたらす莫大な取引額を無視できないの現状のようだ
不思議なのは、ムダの多い国有企業をグローバル市場で活躍する俊敏な存在に変貌できたことだが、党と政府の関係にヒントがある
政府の役人も党から見れば地位が低く切り捨てやすい存在で、国有企業の労働者もそれ以下の身分。党の指導でいくらでも余剰人員を整理し、トップダウンの体制に組みなおせるのだ
一党独裁だからこそ、できる強権である

党が超越した存在として国を束ねる様は、全体主義国家といわざる得ない
なにせ党の権力はあらゆる政府機関、法律に勝るのだ
たとえば汚職があって摘発される場合は、党の認可が前提であるし、たまに高官が捕まるのは権力闘争による粛清などのイレギュラーだ。司法においても、判決を決定しているのは党で裁判官を完全に掌握し、法律団体と免許の認可を通して弁護士をも間接的に支配している
そうした体制だと汚職が蔓延し、ソ連のように硬直して倒れそうなものだが、なぜかそうならない
中国独特の中央と地方の関係にその鍵がある。原理的には中央の党本部がすべてを仕切るのだが、広大な地域と膨大な人口を中央ではとうてい管理しきれない
そこで地方の政府と党支部に裁量を委ねるのだが、この地方同士で猛烈な経済競争を行われているのだ。地域ごとの経済成長は、党員の出世と栄華と面子をかけたもので、汚職と環境問題の原因になる反面、国全体の繁栄に、中国共産党の求心力に貢献している
ただし官民一体企業による様々な問題が残る。超然とした党が介入するため、汚職が蔓延しつづけ、中央の統制が及ばないため環境問題の改善も進まず元国有企業から党が利益を吸上げるために、中国人民そのものに富が再分配されない
グローバル化して経済成長のわりに貧富の格差が縮まらない問題は、世界全体に見られるものの、高度成長の中国でその問題が先鋭化しているのだ
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