『夢のまた夢』 第4巻 津本陽

大河の秀吉も黒くなってまいりました

夢のまた夢〈第4巻〉 (文春文庫)夢のまた夢〈第4巻〉 (文春文庫)
(1996/02)
津本 陽

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第4巻は利休切腹、奥州仕置後の葛西大崎一揆、そして、いよいよ「唐入り」、文禄の役に入る
朝鮮出兵は、大河ドラマなどでも直接取り上げられない事案であり、歴史小説でも珍しい。その経緯、実状が描かれるだけでもたいへん貴重だ
利休が切腹にいたる理由には、天下統一が果たされて利休がバックにする堺の商人たちの必要性が落ちたこと、石田三成ら奉行衆ら、豊臣家中心の中央集権体制を築こうとする一派が、諸大名の連合を良しとする徳川家康らと対立し、その政争に巻き込まれたことが挙げられる
まず俎上に上がっていたのは、葛西大崎一揆をそそかしたと思しき伊達政宗で、秀吉が正宗にほれ込んでしまったため、目障りな利休へ矛先が向いたとしている
ただし、秀吉自身は利休を葬り去る気はなく、死後は利休の茶を偲んでいたという
初期の江戸幕府も親藩を含む大大名にいちゃもんをつけて改易に追い込んだりしていたから、三成らの活動は理解できなくもないが、本来は結束すべき加藤清正らと対立したのが致命的だったのだろう

文禄の役は、秀吉が李氏朝鮮に唐入りの道案内を頼み、断られたことから始まる
対馬の宗義智から朝鮮が日本の属国と知らされたからだが、小説では秀吉はそれが嘘だと知っていて、仕掛けたとしている
上陸後の日本軍は連戦連勝だった。朝鮮の精鋭が満州対策で、北方に編重し、火砲がまったく足りておらず、常備軍が少なく、非常時には素人を徴兵する体制だったことなどから、首都・漢陽(ソウル)、平壌まで簡単に進撃できた。加藤清正は日本海側からオランカイ、満州の地まで侵入した
しかし、海では李舜臣の艦隊が猛威を振るい、日本軍の兵站を脅かし始める。日本軍の船は、巨船であっても竜骨がなく、李舜臣は針鼠のような装甲船、亀甲船で突貫させて粉砕した
明軍の増援でこう着状態に陥ると、民衆が義兵として決起し、官兵よりたくましい戦い方を見せ、伸びた補給線に痛撃を浴びせた
事前の予定では日本での経験から、民衆は誰が統治者でも平穏になれば畑を耕し、そこから兵糧を得られると考えていたが、実際には逃げ散ったまま帰って来なかった
戦争の長期化で朝鮮全土は飢餓状態に陥り、西国勢中心の日本軍は慣れない厳冬を迎えて消耗していったのだった

大河つながりで、黒田家の活躍を追ってみよう
九州・豊前12万石領する黒田家は文禄の役に従軍し、黒田長政を中心に活躍を続ける
親父の官兵衛は、戦線がこう着状態に陥ったのを受けて、加藤清正と小西行長などの対立を収めるために大将となりうる人物が指揮をとるべしして、「前田殿か徳川殿、でなければ、この官兵衛がいかずば収まらない」と大言していた
明軍の到来を受けて、現地の小早川隆景を中心にまとまることになったが、実際に官兵衛は渡朝して、兵力が分散しているので、漢陽(ソウル)に集中して対抗するよう献策したようだ
それに不服の小西行長は平壌に立て篭もって、明軍に苦戦。退却する小西軍を漢陽近くで迎えたのが黒田勢で、長政が先陣に立つと大いに日本軍の士気が上がったらしい
あくまで小説だから、引用された史料にどこまで信憑性があるかは不明だが、ドラマ的にこんないいネタが転がっているのである
大河はどこまで汲んでくれるか。NHKに期待してはダメかねえ


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