![]() | 王国物語―悲劇の誕生 (集英社スーパーファンタジー文庫) (1991/03) 山崎 晴哉 商品詳細を見る |
山崎晴哉の『王国物語』という小説をご存知だろうか
今は亡き集英社スーパーファンタジー文庫というレーベルで、1991年3月から刊行され4巻で打ち切りとなったファンタジー大河小説だ
一つの大陸に七つの王国が存在する世界で、ストーリーは大陸統一を目論む“山の王国”のガド王がオーシャル率いる狩猟民を壊滅させるところから始まる
オーシャルの息子シャルはガド王に復讐を誓うが、同時にその娘リラ姫に心奪われる。心優しいリラ姫には満月の夜(??)に、残酷非道のガディス王子へ変身する呪いを持っており、ガド王はリラ姫の呪いを解くため、手段を選ばず大陸統一を目指していたのだった
リラ姫の秘密を知ったシャルは、復讐の矛を一端おさめ、姫の呪いを解くために王の大陸統一に協力し、リラ姫と呪いの秘密を守る親衛隊となる
僕の記憶が正しければ、こんな設定だったと思う。親と一族の仇よりネエちゃん優先という、今考えるとなんともノリのいい主人公だ(苦笑)
このどマイナー小説が記憶に残っているのは、要はエロですわ(笑)
リラ姫がガディス王子に変貌するときに夢遊病状態で半裸になるとか、シャルが娼婦と初体験したりとか、氷の国の王子が馬の面倒を見る少女を押し倒すとか、エロ中心の小説ではないものの、中学生の股間を存分に刺激する性描写があったのだ
まるでスポーツ新聞で連載する時代小説みたいなのである
一時期、ツイッターの片隅で昔のライトノベルのセックスコードが論争されていたが、打ち切りの原因のひとつは、性描写の生々しさにあったろうことは想像にかたくない
設定的にも行き詰まりつつあった
大陸統一とリラ姫の呪いの因果関係がはっきりせず、呪いが解ける期限が四年と短くて、第4巻においては平原の王国との戦いで歴史的雨季が遅い、呪いが解けないことが確定的になってしまった
また、シャルに片思いの幼馴染がガド王に片腕を斬られ、扱いにくい存在になっていた
主人公たちや各国のライバルのキャラは立っていたので、打ち切りは残念だったが、冷静に考えると話の転がしようがなくなってた気もする
著者の山崎晴哉は、アニメの脚本家として『巨人の星』『スペースコブラ』『キン肉マン』など様々な作品に関わっていた御仁らしい。当時のプロフィールには、アニメの履歴が書かれてなかったので、まるで知らなかった
90年代はゲームからファンタジー世界が知れ渡って、いろんな架空世界ものが刊行されていた。機会があったら、覚えている限り書いてみたいと思う
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