『第二次世界大戦 ヒトラーの戦い』 第3巻 児島襄

ついに西方電撃戦

第二次世界大戦 ヒトラーの戦い〈3〉 (文春文庫)第二次世界大戦 ヒトラーの戦い〈3〉 (文春文庫)
(1992/08)
児島 襄

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第3巻は“ファニーウォー”中の対英和平工作に、ノルウェー侵攻の“ヴェーゼル演習”を経て、マンシュタイン・プランによる西部電撃戦バトルオブブリテン、対ソ戦の前段となるユーゴ、ギリシャの作戦、日独伊三国同盟まで
国防軍は西部戦線に対して悲観的で、戦線が停滞すれば弾薬まで不足するとしていた。そこで反ヒトラー派の軍人たちは、再びクーデター計画を蒸し返す
英仏への攻勢を合図にした計画は皮肉にも、“ファニーウォー”が続きすぎたことから頓挫してしまう
ヒトラー自身も英仏の宣戦、特にイギリスの激しい抵抗は予想外だった。ファニーウォーの原因はドイツ側が和平の可能性を捨てていなかったためでもあった
戦前には対英融和のために海軍の拡大をしておらず、イギリス本土の上陸作戦を立案したものの、将来の対ソ戦を重視して本腰ではなかった
フランス制圧後もイギリスへの和平の期待は収まらず、副総裁ルドルフ・ヘスが単独渡英する事件を引き起こすのだった
戦艦グラフ・シュペーの最期ヴェーゼル演習におけるデンマークとノルウェーの対照的な対応、戦争で影響力が低下したムッソリーニの右往左往など、相変わらずマニアックな人間味のあるエピソードを取り上げられて、もう満腹です

西部戦線のフランスについての記述は、アンドレ・モーロワ『フランス、敗れたり』からの引用が多いようで、ポール・レノーエアドール・ダラディエの、愛人を交えた政争が面白くおかしく描かれている
驚くべきは、戦線の膠着を打開すべく、フランスによるソ連侵攻作戦が計画されていたことだ
目の前のドイツよりは、ソ連のほうが倒しやすいと、フランスの委任統治領のシリアから植民地軍を北上させ、ソ連の資源が集中するカフカスを突くという壮大な作戦である
さすがに却下されたものの、冬戦争のフィンランド支援を巡って政争が起き、ダラディエ政権は倒壊し、ポール・レノーが首班となる
しかし、レノー政権もダラディエが入閣しないと政権が持たない脆弱性を抱えており、挙国一致には程遠い体制だった
パリ占領後、レノーは徹底抗戦を唱えたが、軍部が秩序だった抵抗はできないとして反対し、副首相だったペタン元帥(84歳!)に政権が渡って、ヴィシー政権が成立する

ヒトラーはフランス制圧後、イタリアへの援軍にロンメル率いるアフリカ軍団を送りつつ、対ソ戦への準備を始めた
ソ連側も徐々に対独戦を想定し始めていたようで、スターリンの「積極攻勢発言」もあって1942年を目標に装備の刷新を目指していたらしい
ドイツ軍関係者にミグ戦闘機を見せたこともあり、赤軍の強大化を感じたヒトラーはより対ソ戦への決意を強めたようだ
そんな情勢のときに、のこのこ現れたのが、“東方の使者”日本外相・松岡洋右
松岡は日中戦争の打開のために援蒋ルートを遮断しようと、仏領インドシナへの進駐を希望していた。また、日独伊三国同盟をソ連を交えた四国同盟に発展させ、アメリカの介入を防ぐ構想を持っていた
ヒトラーの要求はずばり対英戦で、シンガポール攻撃を依頼した。松岡は南進論者であったものの、イギリスへの宣戦は自動的に対米戦を招くとして、意味不明の問答で回避する
アメリカの宣戦が第二次大戦の転機となったため、真珠湾攻撃時のドイツの対米宣戦布告が不可解とされるが、ドイツ側からすると「民主主義の武器庫」としてイギリスを支援した時点で敵国同然であり、将来の参戦は不可避と判断していたようだ
日本の参戦でイギリスとアメリカの国力が削がれることを期待されていて、対ソ戦中に真珠湾攻撃があったことはドイツ側からすると同盟の効果が生きたということになる
しかし日本側からすると、日独伊三国同盟で生まれた国益って……


前巻 『第二次世界大戦 ヒトラーの戦い』 第2巻
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