『波乱の時代 わが半生とFRB』  下巻 アラン・グリーンスパン

アメリカガイチバンデス

波乱の時代(下)波乱の時代(下)
(2007/11/13)
アラン グリーンスパン

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グリーンスパン回顧録の下巻は、アメリカ、世界経済の分析と未来予想
前半はロシア、中国、中南米など成長地域の性質を分析し、後半はアメリカなどの先進国が立ち会う高齢化社会、環境・資源問題などへの対応策をざっくばらんに解いていく
グリーンスパンの経済に対する考え方は明快である。アメリカ経済こそが、もっともグローバル化に対応していて良質であり、アメリカ経済に近い地域ほど発展が期待できる
資本主義を回すための根幹は法治主義財産権の保護に尽き、人類の知恵である市場原理をフル回転させることが経済成長と技術革新を生む。必要条件とはいわないが、民主制であることも長期的には望ましい
なぜにそこまで市場と資本主義を信じられるかというと、第二次大戦はブロック経済化によって生まれたという反省と、ソ連崩壊に代表される計画経済の破綻という歴史的事実から。訳者があとがきに書いているように、グリーンスパンにとって資本主義は“主義なのである

アメリカ経済最強を謳いつつも、あえて市場原理を弱める立場も認めている
フランス、ドイツ、日本などは様々な規制を残していて経済的には損だが、いわばその国独特の文化として捉えている
ロシアに関しては、額面は資本主義でも、法律が執行者によって恣意的に運用されている実態を指摘。財産権が保護されていないことが発展の懸念材料となる
経済が資源の輸出に依存しつつあるのも問題で、輸出超過が為替変動を呼び、他の産業が他国に輸出できないレートとなる“オランダ病に陥っている。資源の輸出に特化してしまえば途上国を脱することはできない
中国については、安価な製品を大量生産して稼いでいるが、人件費が上がり付加価値の高い製品を作る段階で頭打ちになる可能性を指摘する
ネックになるのは非効率な国営企業の存在に、農民の都市への流入を制限していることなどで“赤い資本主義”にも多くの規制が存在する。経済成長で生じる格差の不満を解消させる民主的な制度がないことも不安要因になる
インドが中国に及ばない理由は、意外なことにフェビアン流の社民主義が原因とする。市場の競争を阻害する規制が多く、民主制だが官僚が幅を利かせすぎている
ただそれだと戦後の日本はどうなるのという話で、違うレベルの問題が足を引っ張っているような
中南米地域の発展の鍵となるのは、経済ポピュリズムを脱するかどうか
過去のハイパーインフレはバラマキ財政から返済に金を刷るという単純な理由であり、反省してアメリカをリスペクトしたブラジルなどは、有望な成長地域になってきたとのことだ

グリーンスパンは総合的に見て、人類の生活を豊かしたとしてグローバリゼーションを肯定する
ただアメリカなどの先進国には、その副作用が襲っていることも自覚している
端的に末端の労働者の賃金が抑えられ、一部のスペシャリストが高報酬をもらい格差が広がっていること
労働者の賃金が伸びない理由は、冷戦の終結によってそれまで自由主義経済に参加していなかった人間が大挙流入したこと。ベルリンの壁が崩れてから2005年までで、その数、なんと五億人!
安価な労働者の流入はとうぜん賃金の抑制につながり、果ては世界的なディスインフレ現象(デフレではなくインフレ抑制)を引き起こしたという。そりゃ、管理人の収入も伸びないわけである(苦笑)
資本主義の網が広がったことで、途上国のお金持ちが金融経済に参加したことも大きい。かつてない富がアメリカの金融市場になだれこみ、金融商品の発達と相俟ってさまざまバブルを生み出した
世界の富が一国に突っ込んできたときに、一国の金融当局に何ができるのか
サブプライム問題は書かれた時期から触れられていないが、グリーンスパンは日本のようなデフレ経済を恐れ、金利を上げられなかったという
世界市場に対応する世界政府がないというところに、グローバリゼーションの不安定要因があるようだ


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