武道VSスポーツ 『軍鶏』 リーサルファイト編のまとめ

リーサルファイト編の決着がついたので、ひとまずの総括を

軍鶏 (13) (Action comics)軍鶏 (13) (Action comics)
(2001/09)
橋本 以蔵、たなか 亜希夫 他

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1.邪道の主人公

東大を目指す優等生だったのに両親を殺してしまった主人公・成嶋亮は、少年院の悪童たちに地獄の責め苦を受けながら、謎の空手家・黒川に会い、生き抜くための武道を学ぶ
そして、娑婆に出たときにスター扱いの空手家・菅原直人の姿を見て嫉妬し、周囲の様々な思惑を受けて檜舞台で決戦に挑む。それがリーサルファイト編のあらすじだ
少年院でストイックに空手の練習をしてきた姿から、有名人を恋人に持つ菅原に嫉妬するのが意外だった。サバイブを目的とするのなら、嫉妬する必要はないからだ。菅原への因縁を持たせるために、主人公が小物にしてしまった感はぬぐえない
ただし、小物に設定した以上、そのまま突っ走らせるのがこの漫画のエライところ
主人公は菅原との対戦に持ち込むため、その恋人をレイプさえし、自身もまた悪党に身を落としていく。そして試合でも勝つために手段を選ばず、ドーピングもすれば目潰し攻撃も行う
元優等生はどこにやら、まさかのジャギ(笑)。ここまで小悪党を地でいく主人公がいただろうか


2.スポーツVS武道

成嶋亮と菅原との対決は、黒川とリーサルファイトの創設者・望月とのイデオロギー闘争でもある
いわば殺しの技術としてあった武道を、スポーツあるいは見世物として商業化し本質を歪めたことへの怒り。喧嘩、潰し合いを謳いながら、実はスポイルされているというのが黒川の主張だ
望月からすると、資本主義の世の中で空手が生き残っていくために、黒川の空手は葬りさらねばならない。目潰し攻撃など大衆に見せられるものではない
しかし、たとえ見世物であっても武道である以上、暴力性はかならず伴う主人公のしたたかな戦いぶりは、スポーツマンシップにあるまじきものかもしれないが、格闘技に潜む凶暴さを示すものである
ドーピングの副作用などは、まさに業界の闇。格闘技ブームをきっかけに、ゲーム的、スポーツ的に広まってしまった格闘技へのイメージを警告した作品といえるだろう


3.リアリズムと画力

そういうメッセージがありながら、作中の格闘は見世物として魅力的である(笑)
成嶋亮は絶えず体格差で劣るというハンデを負いながら、技術と状況とひらめきで乗り越えていく。相手がタフで素人以外、楽に勝つことなどない
実質的に負けているケースも多く、いわゆる主人公補正を感じさせない経過が作品に緊迫感を生んでいる
なにしろ、描きこみとテンポがいいので、飛躍した体の動きがあってもまったく違和感を感じない。体格で勝る敵の迫力は凄く、主人公が逃げ足になる様もその恐怖を引き立てている
ひとりひとりの敵役が背景込みでしっかり描かれているも好感が持てて、その結末には哀愁が漂う。本作品の一番の見所ではないだろうか


さて、第14巻から舞台は上海に移る
菅原が生きているようで、どういう風に絡むか気になるが、しばらく追いかけようと思う
リーサルファイト編がピークな気もするけれど…


次巻 『軍鶏』 第14巻・第15巻・第16巻
前巻 『軍鶏』 第11巻・第12巻

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(2013/12/20)
たなか亜希夫

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