『大日本帝国の民主主義―嘘ばかり教えられてきた!』 坂野潤治 田原総一郎

戦後も戦前も変わらない!?

大日本帝国の民主主義―嘘ばかり教えられてきた!大日本帝国の民主主義―嘘ばかり教えられてきた!
(2006/04)
坂野 潤治、田原 総一朗 他

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明治憲法は盗作だった!?田原総一郎が近代史の泰斗から聞いた戦前日本の内幕
坂野潤冶教授田原総一郎氏が『日本の戦争』を書いたときに通いつめた研究者。本書では戦後教育で語られた暗黒の戦前が、実は大嘘だったことが暴露されていく
今では戦前に民主主義があったことが定着しつつあるが(坂野教授はだいぶ前から言い続けてきた)、本書の対談ではさらに踏み込んだ解釈が披露される
西郷の征韓論は対中国が本命、明治憲法は福沢グループからの盗作、天皇機関説は政府公認、北一輝は社会民主主義者だったとか、再読でもびっくりするような話ばかり
坂野教授が『日本の戦争』の結論、マスコミ戦犯論を「新聞にそんな力はない」と一蹴したと思ったら、田原氏も「日本人はなんで象徴天皇制にこだわるのか」と教授の研究の先を聞く鋭さで、従来の歴史観を切り裂くアブレッシヴな対談となっている

明治憲法が盗作とはどういうことだろうか
伊藤博文がオーストリアのシュタインについて立憲君主制の憲法を習ったというのが通説なのだが、実は大切な前段があるのだ
明治14年に大隈重信が議会開設の意見書を出したが、これは大隈と福沢諭吉のグループが組んだ一種のクーデターで、交詢社(慶応義塾のOBを母体にしたサロン)から私擬憲法が起草された。しかし政権交代の可能性を含む憲法を長州派が却下し、大隈は政権から追放されてしまう
坂野教授によると、太政官大書記官の井上毅が交詢社憲法案を明治憲法のたたき台にした形跡があり、体制派が受容しやすい憲法に作り変えたという
交詢社憲法は、天皇にあらゆる権限を集めつつ、神聖不可侵だから国務は政府の責任、内閣でやると規定し、政党内閣を志向していた。内閣と天皇の関係において、交詢社憲法は戦後憲法と同等のものだったのだ
どこが改変されたかというと、議会の多数派が内閣を構成するという条項で、これにおいて政党に所属しない超然内閣が可能となり、各大臣が総理大臣の下にいない分権的な体制が維持されることとなった
ではなぜ伊藤はわざわざシュタインの下へ行ったかというと、井上毅が書いた草案の良し悪しが分かるように勉強するため。精進の甲斐あって、解釈書『憲法義解』が書けるほど憲法に精通し、政治家として民主的な運用に努めて、美濃部達吉の天皇機関説へつながっていく

本書のテーマは、戦前の民主主義と戦後民主主義の接続といえる
伊藤博文が作った立憲政友会は、官僚と藩閥と旧自由党員が集まった政党で、ほぼ自民党と同じ性格を持つ。面白いのが、政党がそもそも政権を担うものと考えられていなかったことで、自由民権運動から発した野党は、ルソーの影響であくまで牽制する存在としていた
政権を目的とする与党と批判目的の野党という「1・5大政党制」は、そのまま戦後の55年体制にあてはまる
坂野教授によると、日本に二大政党制が定着しないのは、王制と社会主義の衝突が深刻でなかったからで、イギリスなどでは国王と議会との対立がそのまま二大政党に定着した。日本の場合、共産党以外は天皇制を前提にしていたから誰が政権をとっても構造が変わらない
20代で天皇制を否定していた北一輝が、あっさり天皇を利用した革命に転向し、日本に社会主義者を紹介した人間が「日本の社会主義は一君万民」としてしまうなど、天皇制は日本人の気質にはまりすぎているようだ


日本の戦争 (小学館文庫)日本の戦争 (小学館文庫)
(2004/12)
田原 総一朗

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