『シリコン・ヴァレー物語―受けつがれる起業家精神』 枝川広一

HP、インテル、マイクロソフト、アップル、オラクル、SUN……


シリコン・ヴァレー物語―受けつがれる起業家精神 (中公新書)シリコン・ヴァレー物語―受けつがれる起業家精神 (中公新書)
(1999/12)
枝川 公一

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世界を代表するIT大手がいかに生まれたか。シリコン・バレーの誕生から起業家たちの興亡を辿る
シリコン・バレーは教科書で習ったけど、実態を知ろうとちょいと
本書はゴールドラッシュの終わりから、シリコン・バレーが作られた経緯、パソコンの理想とそれを可能にしたテクノロジーの発展、バレーに集う起業家たちの戦略と生き様を描き、そこに新しい時代を作る革命精神を見る
年端のいかない青年たちが、アイデアだけを元手に徒手空拳で大企業に挑む様は、まさにベンチャー(冒険)で小説のようなシュチュエーションである
陰には多くの失敗者がいるが、彼らも成功者の存在によって自らのチャレンジの正しさが証明されたと考える。安牌好みの日本人には、取りづらい生き方だろうか

シリコン・バレーの礎となったのは、スタンフォード大学
1885年に創立された同校は、田舎のぽつんと建てられた地方大学だったが、1925年に地元出身のフレデリック・ターマンが教鞭をとることで一変する
ターマンはマサチューセッツ工科大学で博士号をとり、工学部長だったヴァニーヴァ・ブッシュの愛弟子といえる逸材。ブッシュは「微分解析機」と呼ばれる大型計算機を作り、原爆製造に関わった大物で、地球上の全て情報が詰まった「メメックス」、いわゆるパソコンを予見していた
ターマンにより大学は、応用研究を重視して社会に役立つ人間を育成する方向へ梶を切ったが、いくら育てても大企業が集中する東部へ人材が流れるばかり。そこで郷土を発展させるため、優秀な学生に地元で起業させるように仕向ける
そうした第一号が、後にコンピュータ製造大手となるHP(ヒューレット・パッカード)の創業者となるウィリアム・ヒューレットデビッド・パッカード。HPはスタンフォード大学工学部の学生に製品開発や製造をさせ、優れた技術者を大学院へ送ることさえした
戦略的な「産学協同こそ、シリコン・バレーの基礎となったのだ

パソコンの思想には、70年代のカウンターカルチャー、ヒッピー文化の強い影響があった
IBMに代表される法人向けに巨大ハードを提供する「体制」に対して、個人が自由に使うコンピュータを「自家醸造」する若者が次々と現れる
ビル・ゲイツもその一人で、ソフトが主役になると予見していた彼は、パソコンとBASICソフトを抱き合わせる商法を早くから考案した。しかし初期においては、同世代のハッカーたちに権威主義と嫌われ、コピーが無断で配布されてしまう
全ての権利を自社に集中する「マイクロソフト文化」不特定多数が協力して創り上げる「オープンソース」の思想ははなから対立していたのだ
もう一方の雄であり、スティーヴ・ジョブズは、ウォズらと協力して、パソコン製造に乗り出し、1984年には満を持してマッキントッシュを発表した。しかしリドリー・スコットによるCMなど莫大な宣伝費を投じたにも関わらず、長期的には性能が劣るはずのIBM製に負けてしまう
ジョブズはこのときに、ブランドの大切さを学んだらしく、十数年後にiMACで逆襲することとなる

ベンチャーといえど、市場を奪い合う段階になれば、勝てば官軍だ。市場のシェアを占める事実が自然と権威となり、さらにシェアを伸ばすサイクルに入る
そのために手段は選ばず、相手の優れた技術は手早く奪い取る必要がある。例えばOSにアイコンとマウス操作をもたらしたアイデアは、ゼロックス社のアラン・ケイが自作コンピュータ「アルト」で実現したもので、拝見したジョブズは即決で自社商品化を決めた
技術者同士が共同体意識を持つシリコン・バレーにおいて、こうした行為はそれほどおかしくないようで、著者もピカソの名言「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗むを引用している
優れた技術、製品が世に出ず腐ってしまうよりは良い、ということなのだろう
経営者を語る本は、書き手の立場で毀誉褒貶が激しくなるものだ。本書はシリコン・バレーの歴史として取り上げているので客観性が担保され、生々しいパクリ合いも容赦なく取り上げる
カリスマ起業家たちの神秘性を打ち破り、その実の魅力が伝わってくる
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