現代と宇宙世紀の架け橋 ガンダムOOのまとめ

セカンドシーズンへの溜めが多いが、とりあえずファーストシーズンのみの総括を


1.『沈黙の艦隊』ガンダム

圧倒的な性能を持つガンダムが世界の紛争に介入する。テレビ放映中に何話か観て大筋を知り、感じたのは『沈黙の艦隊』へのオマージュである
『沈黙の艦隊』(以下『沈黙』)は原潜一隻で独立国家を宣言し、米ソと渡り合いながら、国連を中心とした集団安全保障を現実化しようという作品である。アメリカと「世界の警察」を巡る争いになるものの、各国の原潜による国連軍が全ての国に核抑止力を提供する形で丸く収まる
本作のソレスタルビーイングはというと、戦争根絶を掲げつつも紛争の原因へ直接に武力を用いる。どちらかといえば、現実のアメリカのように「世界の警察」を代行するようなやり方だ
『沈黙』に比べ、やけにユニオンが大人しかったが、近未来のアメリカは中国などに押され、地域大国に留まると設定されたのだろう

ソレスタルビーイング(以下SB)の結末は、『沈黙』の海江田艦長たちとは大きく違う
SBは国連などの既存の組織と手を組まず、国際社会の敵として認識され、国連軍に掃討される。これが創設者イオリアの計画のようで、最終回のエンドロール中に地球連邦政府が宣言される。人類共通の敵となることで、その団結を促すのが目的だったのだ
冷厳の計画だが、『沈黙』の国連軍が各艦長の善意に委ねられたことに比べれば現実的である


2.グローバルかつ帝国主義

本作の世界は、軌道エレベーターの軸に三つの国家連合群に分かれる
アメリカを中心とするユニオン、ヨーロッパ共同体であるAEU、中国・インド・ロシアがまとまった人革連、で残りは太陽エネルギーの恩恵を受けられない途上国群だ
現実の世界のように先進国同士の戦争はなく、SBの介入も国家連合の軍事演習、途上国の紛争に向けられる
また、先進国以外に軍事産業も目標となり、AEU地域のモラリア共和国は、世界的な民間軍事会社PMCがあったために武力介入を受けた
実際、イラク戦争などには民間の軍事会社が軍隊の補完として傭兵を派遣していたし、欧米の軍需産業は紛争地に武器を供給して稼いでいる現実がある
製作者は国際社会の現状を理解し、ガンダムという媒体で表現しようという意欲が見て取れる

しかし、現実的にガンダムというハードで地域紛争を片付けるのは難しいだろう
ロボットアニメのご都合で相手が古いMSを持ち出してくれるが、実際の武装勢力なりテロリストは人民の群れの中に存在するので、ハードをぶつければ民間人の犠牲は免れない
失敗国家での軍事活動がいかに難しいかは、『ブラックホーク・ダウン』などを観れば良く分かるはずだ
もちろん、それは製作者も百も承知なのだ


3.ガンダムに没入する主人公

主人公の刹那中東出身の元少年兵で、洗脳された過去を持つ。戦いの果てにSBのガンダムに救われて一員となるが、彼は圧倒的な力を持つガンダムを崇拝し、一体化して戦っていく
いわばガンダムでしか自分のやりたいことを表現できない主人公であり、あえて過去のガンダムと比較するなら構想段階のカミーユに近いだろうか
彼はSBの目的を疑いもせずに突っ走り続け、その一途さはときに仲間を勇気づけるが、自分たちが計画に潰されようとしたときに迷いが生じる

このアイデンティティの危機は破滅につながる深刻なものだが、ラッセの一言であっけなく解消できた(苦笑)
平和主義のマリナ・イスマイールに泣きつくとか、いろいろな曲折が用意されてしかるべきだと思うが、彼もあくまで“主人公の一人”という位置づけで、彼だけに構っていられなかったのだろう
その割りに、アレルヤには尺が割かれたけどなあ~


ファーストシーズンを見終わったところ、かなり満足できる作品だった
現実の国際秩序をフューチャーしつつ、実は宇宙世紀の前史を擬似的に描いていたという野心を高く評価したい
富野ガンダムを引用するロボットアニメは枚挙の暇がないが、『沈黙の艦隊』をガンダムにぶちこんだのが新鮮だった。くしくも『沈黙の艦隊』は富野監督がアニメ化を依頼され、断ったという因縁の作品である
世界を説明するために解説的台詞が多く、上から目線で口だけの傍観キャラが増えたり、マイスターがガンダムの性能に頼りすぎて戦闘面で物足りない部分もあった(最後もトランザム頼り)。すべてが成功しているわけではない
しかし、沙慈とルイスなど庶民の視点を取り込むなど押さえるべきところは押さえた良作だったと思う

ただし、セカンドシーズンは『沈黙の艦隊』成分が抜け、地球連邦政府の内紛というZガンダムな展開が予想されるので、期待のハードルを下げざる得ないと考えている
とあるゲームで遊んでいたところ、ルイスが戦争に動員されることを知ってしまったのだ
2クールの話を作り、新キャラを押さえる都合上だろうが、正直ドン引きである(苦笑)
ファースト・シーズンのバランスは失われると思うので、生温かく目で追いかけたい


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