『ラブホテル進化論』 金益見

世界に冠たるラブホ


ラブホテル進化論 (文春新書)
文藝春秋 (2012-09-20)
売り上げランキング: 94,263


ラブホテルは世界に誇るべき文化である!! 日本独特の宿泊施設であるラブホの特徴と変遷をフィールドワークで追う
スマフォの記事に美人研究者がラブホを追究とあったので、つい買ってしまった(苦笑)
現役の女子大生の頃から研究を始めていて、本書が出版されたのは2008年。著者の実年齢が、実は管理人と同世代というオチ(?)はあったが、そんなことはどうでもいい
本書では戦後に始まるラブホテルの歴史を、その誕生からサービスと形態の多様化、世間や法律との軋轢、新しい時代への対応を、先人の研究を参照しつつも当事者の証言を丹念に拾い集めて活写しているのだ
著者はラブホの経営者に在日外国人が多いのではと想定していたそうだが、実際には他府県から都市部へ進出した実業家や地元の農家など、多種多様な履歴の持ち主が多く、意外と開かれた業界であることを明らかにしている
特異な進化をとげたラブホテルは世界から注目を集め、今や日本のおもてなし文化の一角なのである

ラブホテルは、戦後のいわゆる連れ込み宿として始まった
当時の家庭は平屋の大所帯であり、夫婦がエッチするにも屏風をひとつ隔てるしかなかった。焼け跡時代はカップルの〝青姦”も普通であり、「連れ込み宿」の需要は非常に高かった
高度成長期の70年代には自動車の普及とあいまって、郊外にアメリカ発のモーテルが雨後の筍のように出現する。広い大陸のアメリカではまさに旅の宿だが、日本のモーテルにはカップルが殺到した
やがてモーテルは宣伝のために派手に装飾したラブホテルへと〝発展”、互いの競争から室内の演出も進化を遂げて、浴室を覗く隠し鏡、回転や震動するベッドが登場した。ベッドのなかには、天井が開いてプラネタリウムとなるものや、10メートル前後しながら欧州の車窓が映しださえるオリエンタルエクスプレス・ベッドまで生み出された
いわゆる〝いやらしい”ラブホテルのイメージは、この頃に確立された

しかし郊外のラブホテルも、近くの住人には評判が悪かった
政府もラブホテルが違法な風俗営業に使われる怖れから、1985年2月13日に「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(新風営法)において、「店舗型性風俗」に位置付けられた。これによって、厚生省が管理していたラブホテルは警察の管理下に置かれることになる
風俗という枠組みに入ったことで、地域制限や広告規制の対象となり、立ち入り調査も拒めなくなった。そこでホテル側は煽情的なベッドや仕掛けを取り除くことで、規制を逃れる動きが生まれた。そもそもセックスを煽る演出は男側へのサービスであり、女性への配慮が欠けていて時代にそぐわなくなっていた
ラブホテルが多機能なレジャーホテルへと変貌する転機は、一般の情報誌に取り上げられることによって加速した。1994年「ぴあ関西版」において、夜遊びスポットとして取り上げられ、1995年に「行列のできる♡ホテル」というラブホ特集が組まれた
今では単なるセックススポットではなく、二人だけの空間を楽しむ最新のレジャー空間として進歩を続けている。現代のラブホはかつての‟いやらしい”だけのものではない
こうした多機能化の一方で、ホテトルなどの性風俗に特化するホテルも存在していて、ラブホ業界にも二極化が進んでいるそうだ
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