『避暑地の猫』 宮本輝

パソコンが壊れてブログをいじれなかったんだけど、ようやく買い替えられた( ^ω^ )
しばらくは法事がらみで忙しいので、徐行運転です


新装版 避暑地の猫 (講談社文庫)
宮本 輝
講談社
売り上げランキング: 295,433


軽井沢の別荘番の息子として育った久保修平は12歳のとき、二つ上の美しい姉・美保に恋をしてしまう。別荘の主・布施金次郎は修平の家族に親切だったが、夫人に辛く当たるのだった。ある年の夏、別荘の門柱に乗用車が衝突した際に、修平は事故を利用して思いがけない行動をとってしまう……昭和20年代の軽井沢で咲いて散る怪しい悪の華

とんでもない小説に出会ってしまった
戦前からの上流階級に加え、焼け跡から這い上がった成り金が流入する軽井沢を舞台に、大人になった修平の独白という形で、彼が体験した怪しい夏の日々とその結末が語られる
避暑地の洋館、意味ありげに隠された地下室、美し過ぎる少女、と古典ミステリーの要素がふんだんに盛り込まれて、それぞれの登場人物が独特の光彩を放つ。そうしていて、大人になってしまった修平の、人間の欲望に対する考察が鋭く、一流のミステリーでありながら高い文学性も兼ね備えているのだ
視点となる修平自身も含めて、重要人物はなにかしらの悪行に身を任せてしまうピカレスロマンで、誰かに感情移入できる小説ではない。人を選ぶのは間違いないが、それだけ人間の暗黒面を見せてくれる作品なのである

宮本輝の作品には社会的弱者は出ても、悪人が出てこないという定評があったそうだが本作はその例外で、解説いわく作風が変わるひとつの転機になったらしい
修平が独白とともに問いかけるのは、「悪」とは何かである。「悪」は“我欲”から生じるが、それは人間である以上避けられない。その“我欲”を肥大化させるともに、相手をそれに合わせた青写真を当てはめてしまうことが始まりとする
なぜ、そうなってしまうからというと、人間は自分自身を見つめることができないから。鏡を見ないと、眉毛すら把握できないのだ
本作にはそれぞれの人物が「悪」を抱える。修平は大事な女性を奪われたことへの復讐、そして裏切りへの怒りという、思春期の少年らしくストレートに突っ走った
美保の行動は、母の裏切りへの当てつけから始まり、貧乏人の子供が身一つで階級の壁を越える。もっとも華麗なる悪女であり、人の間をすり抜けていくまさに「避暑地の猫」だろう
それに比べて、母は修平から見た“聖女”を演じきるのに疲れて堕ちていった陳腐な悪女であり、父は息子の将来のために打算しつつも、悪人になりきれないからこそああいう結末を迎えた
読み始めたときは、独白する修平と少年時代の人格にギャップを感じたものの、壮絶な過程を踏まえればその変貌にも合点がいく。作中の時間は数年なのだが、まるでひと夏の悪夢のような幻想的な作品だった
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