『ラプラスの魔』 山本弘

昔のラノベの広告を見て、思うこと
20年前から、おっぱい押しだった。ただし、幼女はいない


ラプラスの魔 (角川文庫―スニーカー文庫)
山本 弘
角川書店
売り上げランキング: 339,704


1924年のアメリカ、マサチューセッツ州。ボストンの南にあるうらぶれた港町ニューカムには、誰も寄り付かぬウェザートップ家の幽霊屋敷があった。そこへ謎の東洋人の訪問、子供たちが惨殺された食屍鬼事件をきっかけに、事件を追う女記者と探偵、骨董品収集家、実験に訪れた発明家、恋人を探す霊能者が集結する。ウェザートップ家の当主ベネディクトはどこへ行ったのか、もう一つの世界を作る「ラプラスの魔」とは何者なのか

往年のRPGファンには懐かしい、ゴーストハンターシリーズの小説である
1987年発売のPCゲーム『ラプラスの魔』のノベライズであり、機種はPC-8801mk2SRフロッピーディスクが5インチの時代。今の若い人はそんなディスクの存在すら知るまい(苦笑)
それはさておき、本作はアメリカ東海岸の怪しい屋敷という、古典ホラーの王道を踏まえつつ、後半は実在の数学者ラプラスによる宿命論に貫かれたもうひとつの世界へ、文字通り飛躍する
そんな突飛な展開も、1920年代のアメリカを網羅するかのように当時の車や銃器が並べられ、ナポレオンとラプラスの関わりなど語られる世界史の蘊蓄が重厚な世界観を築いていて、虚実二つの世界をつなげている
惜しむらくは、レーベルの関係か枚数が少ない! この容量では作品世界の壮大さを表現しきれまい

登場人物が多い割に紙数が少ないせいか、段落ごとに視点が変わるなど文体に慌ただしい部分はある。それでも多少、類型的とはいえ、それぞれのキャラクターがしっかり存在感を出している
ゲームでは登場人物ごとにクエストがあって、詳しい事情はプレイヤーの想像に任せる部分が多かったが、うまい具合に作品の中で位置づけられているのだ
作者に愛されているのは、男なら草壁健一郎女ならモーガンだろうか
特にモーガンはサキュバスに男どもがやられるなか、素手で轟沈するなど活躍の場面が多く、アレックスとチョメチョメを匂わしつつ実は〇女らしいとか、作者の趣味を感じるところである
もっとも、アメリカの女性が性的に解放されるのは戦後のウーマンリブから急激に進んでからなので、まんざら出来過ぎなわけでもない
ラノベに過ぎたる知識量かつ、細部も行き届いた作品なのである


ラプラスの魔 【PCエンジン】
(1995-10-13)
売り上げランキング: 40,963


PCエンジンでも出てたようで
草薙健一郎の声が故・塩沢兼人さん! うぉ、やりてえ
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『ニューロマンサー』 ウィリアム・ギブスン

頭に電極以外の部分は、かなり実現しているかも


ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

早川書房
売り上げランキング: 14,483


ケイスは、電脳世界にジャックインする元‟カウボーイ”。闇の技術と混沌が支配する千葉シティーで身をやつしていた彼だったが、殺し屋の女モリイに誘われ、謎めいた依頼人アーミテイジと出会う。カウボーイとしての能力を復活させることと引き換えに、大企業の電脳世界へ突入し、そのAIと接触するが……

頭部に専用の電極を差し込むことで、現実とコンピュータの電脳世界を行き来するサイバーパンクの金字塔である
初出が1984年と、個人が使用するコンピュータ〝パソコン”が大衆へ普及し始めた時代であり、肉体に情報端末を埋め込むプログラマーがフリーの傭兵として活躍する
その〝カウボーイ”の戦場は単なる三次元のプログラム世界ではない。地球全体、というか宇宙植民地含めた人類社会全体が、コンピュータによって視覚化されたデータに描かれる「電脳世界」に覆われており、現実世界と並列し密接に関連している。例えば、主人公ケイスは電脳世界へジャックインすることで、ヒロイン格のモリイの視覚に張り付いて、情報と知覚を共有できたりする
世界が情報ネットワークの中に取り込まれ、身体のサイボーグ化など肉体が技術に圧迫された環境こそが、サイバーパンクの特徴を為すものなのだ
複雑な世界観ながらその文体は説明が最低限で、視点となるケイスの心境に殉じてときに無骨、ときに詩的と独特のリズムを刻む。淡々とした描写に油断していると、パラグラフの末尾にドロンと情感があふれ出す。SF要素を散りばめた、立派なハードボイルドなのである

作者は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作をしたはずの映画『ブレードランナー』を観て、映画館を飛び出したという。映画の未来都市があまりに、自分の作品のイメージに近かったからだ(映画の製作より、ギヴスンの作品が先)
進みすぎた技術に倫理が追い付かず、欲望のままサイボーグ化した人間が溢れる未来都市像は、同時代以降の作品にあまりに大きな影響を与えた。千葉シティは妻が教える日本人を見て想像をたくましくしたそうだが、タルコフスキーの『惑星ソラリス』にもあったように、日本の東京都心は80年代まで近未来のイメージを発散していたものだ
管理人の世代でサイバーパンクというと、攻殻機動隊あたりになるのだが、技術に対するスタンスがかなり違う。攻殻だと頭部に情報端末を埋め込む自体に「そうやる前にもっと考えるべきだった」と、無秩序に導入される技術への警句がちりばめられている
しかし本作には全体化したネットワーク社会に対する反骨心はあるものの、人間のサイボーグ化には違和を表明しない。身体への浸食にきわめて楽観的なのだ
技術の進歩に対する説教がないところが、良くも悪くもイケイケの80年代を感じたる次第である


次作 『カウント・ゼロ』

関連記事 【DVD】『惑星ソラリス』


シャドウラン 4th Edition 上級ルールブック ランナーズ・コンパニオン (Role&Roll RPG)
アーロン パヴァオ
新紀元社
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RPGでサイバーパンクというと、コレ
元ネタのはずの『ニューロマンサー』からして、TRPGのような役割分担があったりもして
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『ラブホテル進化論』 金益見

世界に冠たるラブホ


ラブホテル進化論 (文春新書)
文藝春秋 (2012-09-20)
売り上げランキング: 94,263


ラブホテルは世界に誇るべき文化である!! 日本独特の宿泊施設であるラブホの特徴と変遷をフィールドワークで追う
スマフォの記事に美人研究者がラブホを追究とあったので、つい買ってしまった(苦笑)
現役の女子大生の頃から研究を始めていて、本書が出版されたのは2008年。著者の実年齢が、実は管理人と同世代というオチ(?)はあったが、そんなことはどうでもいい
本書では戦後に始まるラブホテルの歴史を、その誕生からサービスと形態の多様化、世間や法律との軋轢、新しい時代への対応を、先人の研究を参照しつつも当事者の証言を丹念に拾い集めて活写しているのだ
著者はラブホの経営者に在日外国人が多いのではと想定していたそうだが、実際には他府県から都市部へ進出した実業家や地元の農家など、多種多様な履歴の持ち主が多く、意外と開かれた業界であることを明らかにしている
特異な進化をとげたラブホテルは世界から注目を集め、今や日本のおもてなし文化の一角なのである

ラブホテルは、戦後のいわゆる連れ込み宿として始まった
当時の家庭は平屋の大所帯であり、夫婦がエッチするにも屏風をひとつ隔てるしかなかった。焼け跡時代はカップルの〝青姦”も普通であり、「連れ込み宿」の需要は非常に高かった
高度成長期の70年代には自動車の普及とあいまって、郊外にアメリカ発のモーテルが雨後の筍のように出現する。広い大陸のアメリカではまさに旅の宿だが、日本のモーテルにはカップルが殺到した
やがてモーテルは宣伝のために派手に装飾したラブホテルへと〝発展”、互いの競争から室内の演出も進化を遂げて、浴室を覗く隠し鏡、回転や震動するベッドが登場した。ベッドのなかには、天井が開いてプラネタリウムとなるものや、10メートル前後しながら欧州の車窓が映しださえるオリエンタルエクスプレス・ベッドまで生み出された
いわゆる〝いやらしい”ラブホテルのイメージは、この頃に確立された

しかし郊外のラブホテルも、近くの住人には評判が悪かった
政府もラブホテルが違法な風俗営業に使われる怖れから、1985年2月13日に「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(新風営法)において、「店舗型性風俗」に位置付けられた。これによって、厚生省が管理していたラブホテルは警察の管理下に置かれることになる
風俗という枠組みに入ったことで、地域制限や広告規制の対象となり、立ち入り調査も拒めなくなった。そこでホテル側は煽情的なベッドや仕掛けを取り除くことで、規制を逃れる動きが生まれた。そもそもセックスを煽る演出は男側へのサービスであり、女性への配慮が欠けていて時代にそぐわなくなっていた
ラブホテルが多機能なレジャーホテルへと変貌する転機は、一般の情報誌に取り上げられることによって加速した。1994年「ぴあ関西版」において、夜遊びスポットとして取り上げられ、1995年に「行列のできる♡ホテル」というラブホ特集が組まれた
今では単なるセックススポットではなく、二人だけの空間を楽しむ最新のレジャー空間として進歩を続けている。現代のラブホはかつての‟いやらしい”だけのものではない
こうした多機能化の一方で、ホテトルなどの性風俗に特化するホテルも存在していて、ラブホ業界にも二極化が進んでいるそうだ
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『避暑地の猫』 宮本輝

パソコンが壊れてブログをいじれなかったんだけど、ようやく買い替えられた( ^ω^ )
しばらくは法事がらみで忙しいので、徐行運転です


新装版 避暑地の猫 (講談社文庫)
宮本 輝
講談社
売り上げランキング: 295,433


軽井沢の別荘番の息子として育った久保修平は12歳のとき、二つ上の美しい姉・美保に恋をしてしまう。別荘の主・布施金次郎は修平の家族に親切だったが、夫人に辛く当たるのだった。ある年の夏、別荘の門柱に乗用車が衝突した際に、修平は事故を利用して思いがけない行動をとってしまう……昭和20年代の軽井沢で咲いて散る怪しい悪の華

とんでもない小説に出会ってしまった
戦前からの上流階級に加え、焼け跡から這い上がった成り金が流入する軽井沢を舞台に、大人になった修平の独白という形で、彼が体験した怪しい夏の日々とその結末が語られる
避暑地の洋館、意味ありげに隠された地下室、美し過ぎる少女、と古典ミステリーの要素がふんだんに盛り込まれて、それぞれの登場人物が独特の光彩を放つ。そうしていて、大人になってしまった修平の、人間の欲望に対する考察が鋭く、一流のミステリーでありながら高い文学性も兼ね備えているのだ
視点となる修平自身も含めて、重要人物はなにかしらの悪行に身を任せてしまうピカレスロマンで、誰かに感情移入できる小説ではない。人を選ぶのは間違いないが、それだけ人間の暗黒面を見せてくれる作品なのである

宮本輝の作品には社会的弱者は出ても、悪人が出てこないという定評があったそうだが本作はその例外で、解説いわく作風が変わるひとつの転機になったらしい
修平が独白とともに問いかけるのは、「悪」とは何かである。「悪」は“我欲”から生じるが、それは人間である以上避けられない。その“我欲”を肥大化させるともに、相手をそれに合わせた青写真を当てはめてしまうことが始まりとする
なぜ、そうなってしまうからというと、人間は自分自身を見つめることができないから。鏡を見ないと、眉毛すら把握できないのだ
本作にはそれぞれの人物が「悪」を抱える。修平は大事な女性を奪われたことへの復讐、そして裏切りへの怒りという、思春期の少年らしくストレートに突っ走った
美保の行動は、母の裏切りへの当てつけから始まり、貧乏人の子供が身一つで階級の壁を越える。もっとも華麗なる悪女であり、人の間をすり抜けていくまさに「避暑地の猫」だろう
それに比べて、母は修平から見た“聖女”を演じきるのに疲れて堕ちていった陳腐な悪女であり、父は息子の将来のために打算しつつも、悪人になりきれないからこそああいう結末を迎えた
読み始めたときは、独白する修平と少年時代の人格にギャップを感じたものの、壮絶な過程を踏まえればその変貌にも合点がいく。作中の時間は数年なのだが、まるでひと夏の悪夢のような幻想的な作品だった
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