『嘘つき中国共産党』 辣椒

中国でのペンネームは「変態辣椒」!
中国語の「変態」には、“特別”とか“スーパー”という意味があるらしい


マンガで読む嘘つき中国共産党
辣椒
新潮社
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習近平政権を批判して、亡命を余儀なくされた中国人漫画家が描く中国共産党の実態
本作は月刊誌『新潮45』に連載された作品をまとめたものだ
作者は自由選挙を呼びかけたり(実は中国の憲法に違反しない)、習近平で風刺したために当局から拘束、監視され、日本へ観光に出た際にスパイの嫌疑をかけられ帰国できなくなってしまった。もともと体制の崩壊まで望んでいなかったようだが、この仕打ちに表現の自由を認めない中国共産党を諸悪の根源として、徹底批判する立場に到ったようだ
そうした事情がありながら、批判の在り方はけっして度を越していない。あくまで事実を踏まえながら、是々非々で描いている
軍事技術などに関して、そのまま鵜呑みにできるかはなんともいえないものの、作者が直に触れた秘密警察による弾圧、一党独裁下での情報統制・印象操作は、中共の本質が全体主義国家であることを如実に示している

作者は習近平を全否定しているわけではない。肉マンの顔にしたのは、国家主席に就任したときに、有名店で庶民の食べ物である肉マンを注文するパフォーマンスをしたからだ
革命の元勲を父に持つ「太子党」であるものの、文革で父は失脚。そんな逆境から党内の激烈な競争を勝ち抜き、地方政府では抜きん出た業績を叩きだした実力を認めている
作者が警戒するのは、習政権で強化された情報統制と個人崇拝である
鄧小平は後継者の江沢民へ、その次の指導者に胡錦濤を指名しており、胡政権までは集団指導体制が取られていた。任期後にやりこめられてはたまらないから、その政治手法にも予定調和があった
しかし、習近平は大胆に汚職撲滅を打ち出して、報復を恐れずに大幹部の逮捕に踏み切っている。辞めたあとのことを気にしない手法から、作者は都合のいい後継者が見出せないなら、任期を延ばすあるいは終身制の「皇帝」になる気ではと読んでいる
そのひとつの根拠となるのが、中国版紅白歌合戦「春晩」での演出である。過去の指導者を映像で紹介する際に、習近平だけやけにカットが多かったという。「春晩」の構成には、国民的歌手で同番組の常連だった妻・彭麗媛の妹がプロデューサーとして関わっており、露骨に習近平を称える演出が増えて、中国の視聴者にも不評だったようだ
もっとも、「春晩」の視聴率は北部(黄河流域~旧満州)で70%越える一方、南部(長江以南)ではひと桁台と地域で大きく開いている。大陸を統合する役割を果たしているとはいえないようだが

人民解放軍への批判も鋭い。いわく、人民解放軍は党を防衛する存在であって、人民は防衛しない。その仮想敵は中国人民そのものだというのだ
北京で行われた軍事演習は、天安門広場の制圧訓練だったらしく、露骨も露骨である
それでも軍事費を拡大して空母を作ったりするのは、大国としての面子のため。しかし軍事力を誇示するわりに、あまり基地を公開しないのは、宣伝どおりの性能でないのがバレてしまうからだ
ステルス戦闘機を作ったといっても、エンジンの独自開発に失敗してロシアのお下がりだから、性能に限界あり。歩兵の装備はアメリカ製の台湾軍よりも、大きく劣るという
しかも人民解放軍そのものの腐敗が凄まじい。党の直属であるからこそ、政府の掣肘と監視を受けず、なんと階級の売官まで横行しているという
また、改革解放路線から予算を削られたことをきっかけに、従来の権益を生かした企業化に成功。民間を圧迫する財閥と化すまでに到っている
作者が強調するのは、人民解放軍が党の軍隊であり、中国人民の利益を第一に行動しないこと。党の利益を守るために、人民を犠牲にする選択をとるケースもありうるのだ
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『武器製造業者』 A・E・ヴァン・ヴォークト

謎すぎる作者のバランス感覚


武器製造業者【新版】 (創元SF文庫)
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“不死人”ヘドロックは、太陽系を統べる「イシャー帝国」とそれに対抗する「武器製造者ギルド(武器店)」の間が深刻化するのを防ぐべく、一人の帝国軍人として潜入していた。双方から裏切りを疑われた彼は姿を消しつつも、恒星間移動できる宇宙船が製造されたことを察知。その宇宙船を乗っ取って、小型宇宙船で外宇宙へ追っ手を逃れたが……

『イシャーの武器店』の時系列的には作品的続編。ただし、製作時期はこちらのほうが早い
『イシャーの武器店』にもでてきた“不死人”ヘドロックが主人公であり、ヒロインは女帝イネルダ。二人との関わりから、イシャー朝と武器店の誕生の秘密が明かされる
展開はこれも前作同様、短編集をまとめた“fixed-up”という手法ではないかと思うほど、ごったがえしている。女帝に死刑を宣告されそうになった直後に、武器店にも同じように処分を受けて逃走。その途中でとある武器店支部に訪れたギル・ニーランに出会って、その弟の行方不明を知ったことから恒星間移動できる宇宙船にたどりつくという忙しさである
そうした活劇を可能にするために、主人公には長い歴史を生き抜いた“不死人”という設定があり、不死身ではないものの過去に開発した秘密兵器を駆使して、ピンチを潜り抜けていく
というふうに、いろいろとぶっとんだ設定と展開が繰り広げられつつ、なんだかんだロマンスに落ちてまとまってしまうという、力技の作品である

これ以上書くといつものようにネタバレになってしまうのだが、書いてしまおう(苦笑)
ヘドロックはとんでもない長命であり、彼はイシャー朝と武器店の創設そのものに関わっている
現存の支配体制を作った、まさにの存在であり、“不死人”であることを隠しながらも、各時代のイシャー朝の女帝たちと関係をもってその血統を維持してきた
彼のデザインした武器店の役割は、国民ひとりひとりが武装する銃社会と、法律を盾に不合理と戦う訴訟社会を目指すもので、そのままアメリカ社会の理想でもある
もっとも、作品内でも理想どおりには進まない。武器店はヘドロックの秘密を明かそうと帝国の支配体制を崩すところにまで突き進んでしまい、ヘドロックはその“神の手”ともいえる科学技術を駆使して、是正せざるを得ない。まさか、巨人を進撃させるとか、たまげたなあ(笑)
冷静に考えると、一人の隠れた神=独裁者によって成り立つ体制であり、エルガイムのアマンダラ・カマンダラを思い出してしまった
ヘドロックのやりたい放題に思えるが、さらに恐るべき能力を持った“蜘蛛族”が彼の首根っこを押さえつけていて、かろうじて作品の均衡が保たれている
“蜘蛛族”はまさに機械仕掛けの神=デウス・エクス・マキナ神の上にさらに神がいて、その神も思い通りにはならないという、外が見えない入れ子構造であり、ぶっとんだ設定をさらなるぶっとんだ設定で帳尻を合わせるという、ほんとうに妙な作品だった


前作 『イシャーの武器店』

関連記事 『重戦機エルガイム』 第1話~第3話
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『不屈の棋士』 大川慎太郎

インタビューした時期は2015~2016年、第1回電王戦が始まる前。もちろん、スマフォ遠隔問題は一切出てこない


不屈の棋士 (講談社現代新書)
大川 慎太郎
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人間を凌駕するソフトの登場にプロ棋士たちは、どう立ち向かうのか。11人の棋士たちへのインタビュー
登場する棋士は羽生善治、渡辺明、勝又清和、西尾明、千田翔太、山崎隆之、村山慈明、森内俊之、糸谷哲郎、佐藤康光、行方尚史、とそのまま棋界の代表者といっていい錚々たる顔ぶれ。タイトルホルダー、ソフトを前向きに活用する者、電王戦経験者、ソフトを敬遠する者、とそれぞれと違った立場で電王戦の衝撃、ソフトの評価、棋界の将来を語っている
将棋界のど真ん中にいる人たちながら、その語り口はざっくばらんである。羽生こそ第一人者という立場から慎重であるものの、個人の感覚、考えについては信じられないほど率直に明かされる。プロ棋士はひとりひとりが個人事業主であり、勝ち負けに関してはきわめて合理主義者なのだ
著者は古くから将棋村にいる人ではない分、よく悪くも容赦なく答えを引き出していて、オブラートの少ない濃厚なインタビュー集にしている

将棋棋士はソフトの強さをどう評価しているのか
羽生三冠と佐藤九段は立場上(あるいは信条)から人間のトッププロを越えたとは言わないものの、ほとんどの棋士は認めている
「教授」こと勝又清和六段は、第2回将棋電王戦の三浦弘行‐GPS戦をひとつの決着戦と見る。ただし、人間のなかで羽生だけはレーティングで抜けた存在であるとして、その優劣を留保している
電王戦におけるプロ棋士側の勝利に関しても、永瀬拓矢六段を除き事前の研究によるものが大きいとする。特に斎藤慎太郎七段(当時五段)は普通に戦っているようで、穴熊を目指すことでソフトの人間側への評価関数を上げて暴れさせる、水平線効果を狙っていた。しかも自ら長考することで、相手に深読みさせるという高度な戦略をとっていた
「教授」は(まだ第1回の候補者が決まっていない段階だが)準タイトル戦の電王戦が第一期で、終わってもおかしくないと言い切っていた。くしくも今年、天彦名人が人間側の代表として登場したことで、電王戦は幕を閉じることとなる

ソフト開発者が研究を続け、ハードの性能が上がっていく限り、ソフトの力が人間を上回るのは必然だった。ソフトがプロ棋士に追いつき、追い越したとき、棋士はその現実にどう向き合っていくべきか。それはAIの向上と普及で、大きな社会変化にさらされるだるう一般人にも、無視できないテーマである
千田翔太五段、西尾明六段は終盤のみならず、序中盤の研究にもソフトを使用する。西尾六段の話では、チェスの世界では、グランドマスターがハンデをもらってソフトに挑戦する段階に達しており、ソフトによる研究は当たり前。世界戦の前に最新ソフトのアップグレードを相手に妨害される事案も発生しているという
もっとも、ソフト相手だけと指して、登りつめる人間はまだ出てきていないらしい
そのほかの棋士は意外なほどソフトを研究や対戦相手には活用していなかった。序盤がカオスで、中盤の評価値は利用しづらく、間違い合う人間同士の勝負ではあてにしづらいのだ。ただ、すでに奨励会員にはソフトの使用者が多く、とあるソフトを入手したことで大きく飛躍した成功者もいるので、時間の問題かもしれない
各棋士が警戒するのは、ソフトで考えることを節約してしまって、棋士としての“脳力”を落とすこと。高度なAIは人類にとって、禁断の果実なのか
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『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』 島田裕巳

タイトルは多少、偽りあり


浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)
島田 裕巳
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普段は意識しないのに葬式になると、急に気になる自分の宗派。仏教の八大宗派が生まれた歴史を紹介する
著者はオウム事件のときに袋叩きにあった宗教学者である。そののオウム擁護はともかくも、本書では日本の仏教がどのように発展し、今ある宗派が生まれてきたかを分かりやすく解説している
新書一冊でそれぞれの教えの中身を語るには当然、限界があり、どちらかというと仏教の通史のような内容だ
聖徳太子から最澄・空海の時代まで、仏教は当時の中国王朝での流行に強い影響を受けていて、日本の仏教としての特徴が出るのは草木すら成仏するという「草木成仏を背景にもつ浄土教が広まってから。「草木成仏」の思想は、念仏や題目だけで救済されうるという浄土宗・浄土真宗、日蓮宗の在家重視の宗派が、中世の庶民へ広まっていった
また「草木成仏」の宗教観は、宗教の帰属意識を持たない無宗教につながっているとも

葬式のときに坊主を呼ぶ、「葬式仏教」という形式を作ったのは、どこの宗派か。それは意外にも、曹洞宗である。曹洞宗というと、臨済宗と並ぶ禅宗であり、鎌倉仏教のひとつと学校では習ったものだ
開祖とされる道元は、禅の修業にこだわって比叡山から迫害を受けたとされるが、中興の祖である瑩山紹瑾は、加持祈祷などの密教要素を取り入れ、現世利益への関心が高い武家を取り込んだ。さらに修行中になくなった雲水(修行僧)を弔う儀式を在家信者にもあてはめ、死後に出家させ戒名を授ける「葬式仏教を確立していく
仏教が日本人の死後の問題に関わるのは、浄土教信仰が広まってからだが、遺族による故人の供養へ乗り出したことにより、曹洞宗は全国的に広まっていく。いちはやく基盤を築いた曹洞宗は、全国のコンビニより多い寺院数を誇り、駒沢大学、東北福祉大学など数多くの大学や短大を開設しているのだ
こうした「葬式仏教」の形式は、ほかの宗派にも受け継がれ、教団を支える資金源となっていった

仏教系の学校に出ておきながら、本書からは今さら知る常識も多い
白河上皇の歌にも残る、比叡山延暦寺が権勢を誇ったのは有名だが、奈良時代からの歴史を誇る南都六宗もまた興福寺を中心に、大和国(現・奈良県)の荘園をほぼ所有していて、室町時代には守護も兼ねる宗教王国を為していたという
管理人が初詣に行く八坂神社=祇園社叡山の影響下であり、世界遺産の清水寺は興福寺の末寺と、「南都北嶺」と両者は並ぶ称される関係にあったのだ
織田信長が大仏を焼いた松永久秀を登用したのも、興福寺対策があったのかもしれない

新興宗教に関しては、創価学会と日蓮宗の関係が取り上げられている
本来、日蓮は法華経を重んじるという天台宗の方針をラディカルに守ることからスタートしていて、他の宗派に激しく論争をしかける「折伏」のイメージで知られるものの、徐々に密教的要素を取り込んで庶民へと浸透していく
近代になると田中智学皇国史観と日蓮信仰を合体させた「日蓮運動」を起こし、満州事変を起こす石原莞爾作家・宮沢賢治など多くの信奉者を生む。大東亜共栄圏のスローガンとなった八紘一宇も田中智学が提唱した
田中は天皇が法華信仰を持つことで「国立戒壇」が建立され、「広宣流布」が実現するとし、この発想は戦後の創価学会にも影響を与えたとする
創価学会は昭和30年に北海道・小樽で日蓮宗の僧と論戦し、当時の参謀室長・池田大作が日蓮宗が負けたというイメージを形成させた。このことから、日蓮宗と学会の関係は悪化する
それでも日蓮宗の一宗派・日蓮正宗とは、牧口常三郎が正宗の信仰を持つにいたった縁から、学会の会員がそのまま檀家になるという友好関係だった。しかし、莫大な資金が学会から正宗に流れ込む仕組みに学会側に不満が高まり、平成二年に独立し正宗側から破門されることとなる
著者は日蓮宗の在家に支えられた伝統から来るものとしつつも、新興宗教といえどまったく新しい信仰を説くわけにもいかず、既存の信仰世界を基盤せずにいられないことを示しているとする
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『進撃の巨人』 第5巻・第6巻 諫山創

巨人は光合成で動くってよ


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第5巻。エレンは巨人化することで、トロント地区の奪還に貢献するが、改めて正式な審問を受ける。保守的な憲兵隊は検査後の処刑を主張し、偵察兵団のエルヴィンはエレンの巨人化能力を、ウォールマリア奪還の切り札に使おうとする
エレンは審問中に「おれに投資しろ!」と叫ぶが、偵察兵団のエース、リヴァイ隊長は縛られた彼をボコボコに。偵察兵団が武力でもってエレンを統制してみせるというポーズで、隊長の冷酷さをこの一場面で表している
リヴァイ隊長とエレンは見た目が似ていて、エレンが戦士として成長する延長に隊長がいる、そんな関係に思える。もっともエレンがその道を選択するかは分からないが
その後は、ミカサ、アルミン、ジャンといった新兵組の偵察兵団入り。そして、新兵の訓練とエレンの生家への偵察を兼ねた遠征が始まる

第6巻。偵察兵団の進軍中に謎の女巨人が現われ、経験豊富な部隊を混乱させていく
平原では立体機動の助けとなる足がかりなく、精鋭であっても苦戦はまぬがれない。まして女巨人は、愚鈍な他の巨人とは違って知恵があり、急所であるうなじへの奇襲も背後に目があるのかという超反応で返り討ちにしてしまう。巨人界にニュータイプ現るである
ここまで動けるやつがいるならば、人類が巨人に追い詰められるのも分からなくもない
アルミンは女巨人が顔を確認してきたことから、同じ知恵のある“巨人”エレンを探していると直感する。鋭過ぎる勘で、頭がキレるというキャラクターがようやく開眼だ
とはいえ、この事態をまるで想定していたみたいに、リヴァイ兵長は森に女巨人を誘いこみ、エルヴィン団長が待ち伏せる場所に連れて行くのは不可解。遠征には単にエレンの生家調査だけでなく、別の目的があったと考える他ない

巨人に対抗する兵士のなかでも精鋭中の精鋭である偵察兵団だが、その作戦行動には疑問が多い
エルヴィン団長は入団の際に、偵察兵団の死亡率は九割と大戦末期の日本軍みたいなことを言い出すが、もしそれが額面どおりなら部隊はとうてい維持できない。生き残った者が精鋭となって帳尻を合わせるといっても、九割死ぬ前に実技試験で振るい落とすべきだろう。ハッタリであっても、指揮官として無能と言っているようなものである
今回の作戦に関しても、エレンの生家に巨人の秘密があるという根拠薄弱な情報に基づいて、偵察兵団の大部隊を投入しており、多大な被害を出している。大規模な部隊を出したら動きが遅くなるのだから、リヴァイ兵長らの精鋭だけを出して偵察させればいい
もし正当化するならば、実は女巨人の存在を知っていて、巨人の秘密を知るために捕獲したかったと考えるしかないのだ


前回 『進撃の巨人』 第3巻・第4巻
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『アルスラーン戦記14 天鳴雷動』 田中芳樹

相変わらずの文章力


天鳴地動(てんめいちどう) アルスラーン戦記14 (カッパノベルス)
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デヴァマント山から来る魔軍の一団に対して、ナルサスの献策によりアルスラーンはペシャワール城を放棄した。その好餌へラジェンドラ王の率いるシンドゥラの軍勢に、チュルク軍まで侵入、魔軍の介入よりチュルク軍は全滅。復活した魔人イルテリッシュは、魔軍の力に手ごたえを掴み、空からチュルクの首都を強襲するのだった。その一方、ミスル王国を掌握したヒルメスは、ナバタイ王国を迎え撃つべく大河を遡るが、思わぬ伏兵を受ける

漫画化、アニメ化の影響か、前巻より間もなく出版されていた
前巻から引き続き、アルスラーンの主従以外の場所が面白い。イルテリッシュ『魔界転生』の宮本武蔵よろしく、完全に自立化してチュルク王国の征服をはかる。魔人の君主に人間社会が統治可能かと疑うものの、あんがい生前(?)より頭が回るようになっているので、上手く行きそうな勢いである
作者の筆が乗っているのは、ミスルにおけるヒルメスだろうか
4年の時の流れを感じさせないアルスラーン主従に比べ、しっかりと年輪を刻み人間の幅が広がっているし、パルスの他に人はなしという世界観の中で、無警戒の凡夫が実は一世の梟雄だったという意外性もジュブナイル小説からはみ出している
なんとなく積読の山に入っていたが、読んでみるとあっという間に読破できた。余計な描写がなく、簡明で軽快な文章で頭のなかへするすると入ってしまうのである

魔軍はイルテリッシュのおかげか強化された
空飛ぶ猿たちも、空からの攻撃を徹底するようになった。今まで死んだ死人の数だけいるような大軍であり、前巻まで普通のおっさんに応戦できたものが、普通の兵士では苦戦するのだ
幹部クラス(?)の妖怪として人に化ける“鳥面人妖”も加わり、パルス側を大混乱に陥れる。まあ、追い詰められてもいないのに、自ら正体を現すのは謎すぎるが(苦笑)
これまでパルスに人材が集中し過ぎて、人間界に相手となる存在がいなかったところ、蛇王から発せられる超自然の力、妖怪、天変地異によって、調整されたかのようである
ともあれ、作者が予告していたように十六将がまた一人と死んでいく場面は唖然とするほかない。なんでそんなに簡単に殺せるのだろうか
こんな死に方をしては十六将のうちに入らないではないか、と危惧するような有様で、予想どおり地味な人からお亡くなりになっているのだ(苦笑)
人材が集まって死んでいく展開は、当初から『水滸伝』を意識しているだろうけど、それを貫徹する必要はあるのだろうか
最初から予定を決めてしまって、書いていくうちに立ち上がるキャラクターたちを転がしていかない手法は、長編ファンタジーと相性が悪く遅筆を招いている気がする


前巻 『アルスラーン戦記13 蛇神再臨』

関連記事 『魔界転生』
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