『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 1』 オリバー・ストーン&ピーター・カズニック

米帝さまの始まり


オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1: 2つの世界大戦と原爆投下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
オリバー・ ストーン ピーター・ カズニック
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アメリカはいつ、共和国から帝国の道を歩んだのか。『プラトーン』のオリバー・ストーン監督が語るアメリカの黒歴史
2012年にアメリカで放映された同名のドキュメンタリー番組と関連していて、50分番組では語りきれなかった多くのエピソードが盛り込まれているようだ
第1巻は、米西戦争から始まるアメリカ帝国主義の黎明期から、第一次世界大戦への参戦、ニューディール、第二次世界大戦と原爆投下まで
19世紀から振り返るので、独立戦争から西部へ拡張、ネイティブアメリカンとの闘争、南北戦争については触れられていないが、「自明の運命」(マニフェスト・ディステニー)の名のもとに膨張主義が肯定されたことを批判されている
第一次大戦ではJ・P・モルガンが戦時国債を取り立てるためにドイツへの賠償金を盛ったことや、戦間期にはアメリカ企業がこぞってナチス・ドイツに関連会社を作って利益を上げていたことが指摘され、第二次世界大戦はアメリカの自演で起こったかのごとし
こうしたエピソードは、今年に流れているNHK『新・映像の世紀』にもそのまま取り上げられていたので、直接影響を受けているのかもしれない(本書のドキュメンタリー番組も、2013年にBSで流されている)
誤解のないように書いておくと、本書はあくまでアメリカの「歴史の闇」に絞って記されたもの。監督いわく、栄光や善行を称えるものは巷に溢れているので、そうした部分は丁寧に省いただけで、アンバランスを意図したものと心得るべきだ

驚愕の新事実が並ぶというより、知る人ぞ知るネタがまとめられている印象だ
モンロー主義を標榜した時代から、合衆国は同じアメリカ大陸へは容赦ない介入を繰り返している。コロンビアパナマを譲らないから独立運動を焚き付けるのはその典型で、独立後にその国益のために大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河を築いている
独立性の高い政権が生まれると、軍艦を派遣して転覆させ親米政権を打ち立てる。『トロピコ』というSLGゲームでは、アメリカに逆らうと海兵隊が送られてゲームオーバーとなるが、リアルでそういった歴史が繰り広げられていたのだ
キューバのカストロがソ連に転んだのは、ゲーム的に正しい決断だったといえる(苦笑)
フィリピンにおいては民族主義のアギナルド政権が粉砕されていて、独立は太平洋戦争終結を待たねばならなかった

管理人として目新しかったのは、ニューディールと共産主義の関係
ルーズベルト自身は主義者ではなく、使えるものは何でも使う実践家であり、ニューディールはいろんな政策がごちゃまぜになったものだった
雇用安定のために大胆な公共事業、農作物の価格安定のための作物制限など、アメリカ伝統の自由主義に反する政策が取られていて、行き過ぎた資本主義を非難する立場からオリバー・ストーンもニューディールを評価している
ニューディールの後押しとなったのは、ソ連の計画経済が大恐慌の影響を受けずに成功しているとされたことで、危険視されていた社会主義の運動は全国で過熱し、アメリカ共産党も二大政党の間で票を伸ばしていた
スターリン体制下での粛清が明らかにされたこと、第二次大戦の直前で独ソ不可侵条約が結ばれたことで、この空気は一変するものの、独ソ戦が始まると再び親ソ感情が醸成されることとなる

ルーズベルト政権下では、第一次世界大戦に始まる軍産複合体を指弾する動きもあった
ジェラルド・ナイ上院議員らは1934年から、戦争の口実に莫大な利益を上げる企業グループが存在し、そうした企業活動が次の戦争を呼ぶと公聴会で非難した
こうした「死の商人」を撲滅するために軍事産業の国有化と戦時所得税の大幅引き上げを叫んだが、屑鉄や綿すら軍事物資になる現実から線引きが難しいと政府はぼかしてしまう
「死の商人」を規制する法律は作られた反面、その良識的な行動がナチス・ドイツが暴れる非常時には裏目となり、厭戦気分を強めて参戦を遅らせることにもなったから皮肉だ
そのためにルーズベルト政権は、旧式の駆逐艦をイギリスへ譲渡することさえ、議会で非難されてしまうのだった
ともあれ、こうしたチェック機能が働くのがアメリカの民主主義の伝統といえよう

日本人にとって重要なのは、原爆投下の顛末だろう
結論を言うと、日本を降伏させるには必要なかった。現場の司令官も政治家も1945年時点でアメリカに抵抗する力を失っていることは明白だった
日本の降伏要件でネックとなっていたのは、「無条件降伏」という文言で、日本側にとっては天皇制の廃止を意味していた。当時の日本人にとって受け入れられる内容ではなく、アメリカ政府もそれを理解していた
結局、日本の天皇制を存続させたのに、なぜポツダム宣言に盛り込まれなかったのか
本書ではまさに原爆を落とすためであるという。ヤルタ会談(1945年2月)においてドイツ降伏後の三ヶ月後にソ連の対日参戦が約束されたが、1945年7月にアラモゴードで原子爆弾の実験が成功する
ソ連の参戦が前倒しで8月にあるとされ、米軍の本土侵攻作戦は11月を予定されていた
このままではアジアがソ連の勢力圏となると考えたトルーマン政権は、ソ連への牽制をかけて原爆の使用を決行したのだ
マッカーサーやアイゼンハワーはじめとする軍人たちは軍事的に必要と認めず、戦後の調査でも日本が降伏を決断した要因にはソ連参戦が強かった
降伏要件で国体護持を不明瞭したのは、降伏されてしまうと原爆が落とせないという打算からなのだ
アメリカ人にこうもはっきり語られたのは、薄々分かっていたことでもショックである


次巻 『オリバー・ストーンの語るもうひとつのアメリカ史 2』

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『軍鶏』 第24巻・第25巻 たなか亜希夫

グランドクロス開幕


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第24巻。グランドクロスの記者会見が開かれ、世紀の対決が迫る
黒道着衆の大東烈心に煽られた成嶋亮は、「最強の武術」を求めて初老の女性を訪ねた。亮はおばちゃんの生ける華道の壷を粉砕し、最強の武道家との対決を迫る
最強の武道家とは、そのおばちゃん!!
抜き身の薙刀はあらゆる距離で隙がなく、伝統武術の凄まじさを見せ付けたのであった。試合前に脚をえぐられて大丈夫なのだろうか
後半には、早くも黒道着衆の壱號ブラジリアン柔術の使い手ファビオ・マルコス・サンシリオとの戦い始まる。痛覚を感じない壱號は、ファビオの打撃をもろともせず……

第25巻。この巻で早くも第四試合まで続く
壱號は腕を折られながらも、ファビオをぼこぼこするが、骨が折れた時点でTKO負けとなった。試合上の敗北にも、列心は「最後に立っていたものが勝者だ」と平然とする
弐號と伝説的な合気道の達人・上杉静との対決は、非常にダーティなものとなった。圧倒的に投げまくる上杉に対し、弐號はわずかな隙をついて毒針を仕込む!
黒道着衆は、はなからスポーツでの勝利など狙っていないのだ。あるのは、戦場での勝利あるのみ
参號“サンボマスター”イリューヒン・ヴァレリとの戦いは、一番まとも。野獣のような猛攻を続けるイリューヒンに対し、参號は狙い済ました正拳突きを決め倒してしまう
心配停止状態のイリューヒンに対し、望月会長は「番竜会空手が殺人空手と言われてしまう」と呻くが、列心は「そのための空手だろうが」と意にも介さない。幸いにも、イリューヒンは電気ショックで意識を取り戻す
で、第四戦で2メートルを越える四號柔道界の至宝・吉岡大悟
グランドクロス編は面白い。総合格闘技のリング上でも、洗練されたスポーツ格闘技と実戦としての格闘技の対決が繰り広げられた。この方向性の違う者同士の戦い、異種格闘技ぶりが軍鶏にふさわしい
成嶋亮と高原東馬との対決が迫る中、亮の控え室で船戸萌美が姿を現して……


次巻 『軍鶏』 第26巻・第27巻・第28巻
前巻 『軍鶏』 第22巻・第23巻
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【映画】『スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒』

二条城のあとに、二条駅のイオンシネマへ
ひさしぶりに映画館へと行くと、飲食類の高さと幕間の長さに驚く
以下、ネタバレを多く含むので、これから観るつもりの人は注意して下さい




エンドアの戦いから30年後。銀河帝国の残党“ファースト・オーダー”の登場で、ふたたび宇宙は暗黒時代を迎えようとしていた。将軍からルーク・スカイウォーカーの居場所を記した地図を託されたポー・ダメロン(=オスカー・アイザック)は戦闘のさなか、愛用のドロイドBB-8にメモリを隠した。ジャンク拾いで生計を立てるレイ(=デイジー・リドリー)は、BB-8を拾ったことで帝国の残党にマークされることとなる

新作というより、リメイク色が強かった
ルーカスが直接関わっていないからか、あまり新味がない。“ファースト・オーダー”の兵士たちは帝国軍のトルーパーほぼそのままで、30年経っても兵器のデザインは何ら更新されない。これはSFとして崩壊しているのではないだろうか
斬新なデザインで驚かせるのがスターウォーズの伝統であり、この点では非常にがっかりだった
これなら続編というより、同時代の外伝、スピンオフにしてくれたほうがいい
登場人物は主人公が女性のジェダイ、相棒が洗脳の解けた元トルーパーと少し捻ってはいるものの、中盤以降にハン・ソロ(=ハリソン・フォード)が登場すると一気にお株をとられてしまう。もう、未来版インディ・ジョーンズである
人殺しが嫌になった元トルーパーが洗脳された元同僚たちを倒すのに、何の良心の呵責がないとか、突っ込みどころも多い
本作はハリソン・フォードがばりばり暴れてくれるので映画として及第点以上にはなっているが、次回作は不在確定のよう。中村主水のいない必殺仕事人のようにならないだろうか
ルーク3PO,R2D2の復活など旧作の色彩も濃く、サプライズよりノスタルジアに訴えるシリーズとなるようだ

スターウォーズのテーマというと、親子の絆である
以下は壮大なネタバレになるので、注意して頂きたい。ハン・ソロレイア姫=オーガナ将軍(キャリー・フィッシャー)の間には一人息子が生まれていた。その名はカイロ・レン(=アダム・ドライバー)
彼は祖父にあたるダースヴェイダーに興味を持ったらしく、危険に感じた二人はルーク・スカイウォーカー(=マーク・ハミル)にジェダイとしての修行を依頼した。しかし、カイロ・レンはかえって暗黒面に近づくことになり、“ファースト・オーダー”の最高指導者スノークに引き抜かれてしまう。傷心のルークはR2D2を残して姿を消す……というのが、映画が始まる前までの状況である
ハン・ソロと放蕩息子が和解が大きなポイントとなるが、和解してはシリーズが終わってしまうためか(!)、最悪の結末を迎えてしまう。ハリソン・フォードを失って何に期待して次を見ろというのか
アナキンの物語が9.11後のアメリカ、共和国から帝国への変貌を描いたとすると、本作のカイロ・レンはイスラム国に参加する若者とだぶらせて観てしまうので、これは困った展開である
さらに暗黒面を強めたはずの息子は、フォースに目覚めたばかりのネエちゃんにぼこられるという有様で、「カイロ・レンなど暗黒騎士のなかで最弱」ということにしてくれないとバトル物としても変調を来たしそうだ


ハリソン・フォードはいちおう次回作にもクレジットされているらしい。カイロ・レンの回想での登場か、ほんとうに生きているのか
 ライトセーバーに貫かれると、オビ・ワンが消滅したように致命傷となる気もするが、ハリウッド映画だと頭が吹き飛ぶまでは、死亡確認とはいえないか(笑)


*ネットを散策していると、いろんなことを考える人がいて面白い
 カイロ・レンが弱かったのは、ライト・セーバーの形状が十字だからという説。剣の鍔の部分が燃えているから、扱いを間違うと自分の顔が焦げる(笑)
 チューバッカの射撃を腹にくらったという事情はあったものの、負けて強しの演出が欲しかった。このヘタレも計算のうちかもしれないが、クライマックスの一騎打ちだかんね
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ぶらりと二条城へ

思いのほか、仕事納めが早かったので、歳末の一日を観光と映画にあてることにした
二条城なら職場に近いので、交通費ゼロで行ける!


南東の城郭

二条城というと、織田信長が上洛した際に足利義昭を保護するために築いた城が有名だけど、これは現存する二条城とは違うらしい
現在の二条城は、関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康がその宿所のために築かせたのが最初で、征夷大将軍の宣旨をうけに伏見→二条→御所へと向かい、二条城で公卿たちと宴を催したという
大阪の陣の直前には、豊臣秀頼との会見が行われたのも二条城。その後も、江戸幕府が安泰となるまでは、様々な政治の舞台となった
幕末に一橋慶喜が征夷大将軍の宣旨を受け、江戸に帰らず二条城を居城とする。1867年に大政奉還が決定され、将軍職の返上と辞官納地がここで伝達された。徳川の時代が始まり、終焉した場所なのである
ちなみに2015年3月14日には、将棋棋士とソフトが対決する電王戦FINAL第一戦の舞台となっている

入り口の東大手門は、無念の工事中入場料は普段は600円だが、今は庭のみの拝観ということで400円となっていた

唐門
二の丸への入り口にある唐門。徳川の権力を誇示するような、豪華な紋様があしらわれている

唐門の紋様
鶴は御家の長寿を表しているのか。それぞれになんらかの意味があるのだろう。とにかく豪奢で綺麗である

二の丸御殿
二の丸御殿。大政奉還のときには、ここに諸大名の当主と側近が詰めたのだろう
庭園は地味だが、そこに広がる空間は広大である

本丸庭園
本丸庭園2
本丸庭園は、見惚れるような美しく整地された空間が。人間の手が入るけど、緑と見事に調和し幻想的ですらある

ソテツの越冬
ソテツが冬の装い。鹿児島あたりが北限なので、こも巻きにして越冬する。なんか、ペットのわんこにマフラーを巻くみたい

庭園を抜けると、本丸の南東に天守閣跡がある

天守閣跡からの景色
天守閣跡からの景色2
天守閣跡から観た堀と本丸御殿。二条城の天守閣は、1750年に落雷で消失して以来、再建されなかった。泰平の時代に威圧的なシンボルは必要なかったのだろう
天守閣跡の土台も写真に収めたかったけど、冬なので北から撮ると当然暗い。南から撮ろうとすると、木々が邪魔
ネットに綺麗に撮られた写真があるけど、これはおそらく立ち入り禁止のところから撮ったのだろう。許されるなら入りたい場所はたくさんありますわ

米倉
天守閣跡から堀越しの西にある米倉。東大手門の反対側に配置されているが、戦時には米俵を本丸へ移すつもりだったかも

城は遠慮なく、写真が撮れるのでよろしい。多数の人間が活動していた場所だから、建造物のスケールもでかいし歩いているだけで気持ちいい
冬場は草木が淋しいけど、暖かくなるごとにいろんな花が咲くようだし、季節を変えていきたくなる場所だった


関連記事 【京都人による京都観光】二条城ライトアップ
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『軍鶏』 第22巻・第23巻 たなか亜希夫

ようやく黒道着衆が現れる


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第22巻。成嶋亮はワンデートーナメント決勝で反則負けしたものの、リング上での復帰を遂果たす。番竜会二代目会長の望月は、亮を正式に呼び出し番竜会の存亡を賭けた総合格闘技対抗戦「グランドクロスへの参戦を認めさせた
ただし総合格闘技の難しさを知った成嶋亮は、決勝で対戦した“引きこもり”久能真からその師匠、グランドの達人・天源寺吾作を知りトレーナーとして雇うのだった
中国で何でもありの戦いをしていた亮が、大会に勝ち妹を守るためにスポーツとしての総合格闘技を一から勉強しなおすことになるのだ
天源寺によれば、総合格闘技は特殊な状況の限定競技であり、路上で戦えば素人のナイフに負ける。あくまでレギュレーションのなかの最強を目指さなければならない
100回も気絶すれば亮の脳に障害が出るのでは突っ込みを入れたくなるが、それは野暮というものか(苦笑)

第23巻。亮は持ち前の才能で、短期間のうちに天源寺を五分以上の実力を身につけた。天源寺は亮の戦いぶりに恐れをなし女の家に逃げ出すが、亮は拳で説得しグランドクロスのセコンドをさせる
この巻で焦点があたるのは、番竜会側で参戦する黒道着衆を率いる大東烈心番竜会初代総帥・大東鉄心の実弟で、彼は番竜会を守るために対ヤクザの汚れ仕事を引き受けていた。両目は義眼で、そうなった悲しい事情が明かされる。なんか、武論尊というか、北斗の拳のノリである
烈心の黒道着衆は、番竜会の危機に現れる伝説的存在と言われ、なんともアブノーマルな雰囲気をかもしだす。亮よりこいつらが反則負けしないか、心配だ(苦笑)


次巻 『軍鶏』 第24巻・第25巻
前巻 『軍鶏』 第20巻・第21巻
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『さらばカタロニア戦線』 スティーヴン・ハンター

主人公も読者も騙される


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元植民地警察官のロバート・フローリーは、出版社を窓口にイギリス諜報部から“要請”を受けた。イートン校時代の旧友、ジュリアン・レインズをソ連のスパイであるとして、阻止して欲しいというのだ。ジュリアンのいるスペインへ向かう船で左翼かぶれの美女シルヴィア、奇妙な老水夫と出会うが、イタリアの潜水艦に沈められてしまう。上陸したカタロニアは、ファシストとアナーキストとスターリニストが角突き合う地獄が待っていた

原題は、「Tapestory of Spies」スペイン内戦を舞台にしたスパイ小説である
この手の小説の主人公は出来過ぎが常道だが(出なきゃ生き残れない!)、本作のフローリーくんは元警官ながらスパイの世界ではど素人。ある殺人事件での偽証からMI6に型にはめられ、スパイの嫌疑のかかる人物が旧友というだけで鉄砲玉に仕立て上げたにすぎない
詩人・作家願望もあって、読者からすると等身大で入りやすい人物なのだ。植民地官僚らしいオリエンタリズムの持ち主なのが珠に瑕で、あまりに時代に忠実過ぎる気もするが(苦笑)
彼を振り回すのが、MI6のこわもて少佐、ソ連の伝説的スパイ“悪魔御自身”、左翼かぶれの美女、バルセロナを牛耳るソ連保安部、そして主人公と隔絶した才能を持つ親友と、それぞれの意図をもって主人公を利用し、地獄の戦場で暗躍する
いったい誰が信じられるのか。熾烈な騙しあいを繰り広げながら、底流には男の友情とその復活がテーマという、単なるスパイ小説を超えた傑作である

スペイン内戦は、1930年代に成立したスペイン共和制に対して、1936年に軍隊が蜂起したことで始まる。共和派がソ連や各国の義勇兵を集めた国際旅団の支援を受け、フランコを首班としたファシスト党はドイツ、イタリアの強力な支援を受けて、泥沼の内戦が展開された
小説の舞台となる、共和派の牙城だったカタロニアとその中心都市バルセロナでは、イベリア・アナーキスト連合(CNT・FAI)、反スターリン親トロツキーのマルクス主義統一労働党(POUM)、ソ連に牛耳られたスペイン社会労働党(PSOE)がいて、反ファシズムの人民戦線が組まれていた
共和派を支援する国が実質的にソ連しかいないことから、ソ連の影響力が時を経るごとに増して行き、バルセロナの警察にはソ連から送り込まれた軍事調査局(SIM)により、本国ばりの恐怖政治が始まっていた
1937年の5月には、バルセロナの主導権を巡ってアナーキスト派とソ連派が衝突し数百人の犠牲者を出す「バルセロナ5月事件」が起きる。作中でも人民戦線内の内ゲバが要所で描かれ、自壊していく共和派の実態が痛々しいほどよく分かる

小説の争奪されるのは、いわゆるモスクワの金スペイン共和政府が外貨準備金として用意していた金塊や外貨が、内戦のどさくさにソ連に強奪されたという話で、ヒトラーがソ連や人民戦線を非難するときに格好のネタにされた
実際にファシスト陣営に取られるよりは、なんぼか引き渡されていたらしく、共和政府はこの不手際からソ連や国際社会に対する交渉能力を失ったようだ
ドイツから派遣された将校によって統率されたファシスト派は、その母体が軍隊であることからして実戦能力は高く、共和派は国際旅団などの素人の集まりでありかつ、残存した軍人への不信からまともな作戦を立てられなかった
前門にファシスト、後門にスターリニストという壮絶で救いのない政治状況が、本作では残酷なほど再現されている。まるで、今のシリア……
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『信長の大戦略 桶狭間の戦いと想定外の創出』 小林正信

目から鱗というレベルじゃない


信長の大戦略―桶狭間の戦いと想定外の創出(ディスロケーション)
小林 正信
里文出版
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桶狭間の戦いの裏には何があったのか。室町時代の政治環境から、戦いの真の意味を探り、誤解される信長の実像を明らかにする
著者は『明智光秀の乱』の人であり、本書も日本近世史を根底から問い直すものである
まず、桶狭間の戦いの通説、雷雨による小勢での奇襲に疑問を呈する。奇襲説の根拠は信頼度が高い太田牛一の『信長公記』に依存していて、著者は今川義元が討ち取られる場面だけが記されただけではないのかと推論するのだ
信長が“奇襲”に使ったとされる二千の手勢と家臣たちは馬廻り衆に過ぎず、仮にも尾張一国を制した大名として他にも軍勢がいたはず。むしろ堂々たる軍勢を用意して今川家を慌てさせ、長篠の戦いばりの総崩れから総大将を討ち取る完勝に到ったとする
著者は大学院出の研究者ではなく、金融関係を務めた市井の人であり、単に当時の資料を探るだけでなく、孫子からクラウゼヴィッツ、リデル・ハートまで古今に通じる「大戦略の原理原則を引いて、信長が世界的名将であることを実証していく
日本史に親しんだ人間にこそ、本書は「想定外の創出」(ディスロケーション)となる

桶狭間の戦いでの隠れたキーマンは、室町幕府第13代将軍・足利義輝である
室町時代は西国を京都御所の征夷大将軍が、関東を始めとする東国を同じ足利の一族の鎌倉公方が治める東西複合国家体制だった
本来なら源頼朝の前例から、鎌倉公方が征夷大将軍に座り、西の将軍は天皇の近衛兵を率いる「右近衛大将」とする予定だった。しかし、室町幕府は後醍醐帝による南朝という強敵を抱えていて、京都に重点を置いて征夷大将軍を置かざる得なかった
不満を抱える鎌倉公方に対して、お目付け役として関東管領が置かれたが、それでもなお鎌倉は反抗を繰り返し、室町幕府の弱みとなっていた
稀代の独裁者、6代将軍足利義教の時代には、足利直系の堀越公方が送り込まれたが、伊勢新九郎=北条早雲によって滅亡。勢力を伸ばす北条家は、鎌倉公方の直系である古河公方を担いで、関東支配の正統性を確保していた
足利義輝の代には、古河公方を盟主とする北条・今川・武田の三国同盟が成立し、“東の将軍”の勢力が関東甲信を席巻することとなった
後背の危険がゼロになった今川義元は、三国の軍勢を総動員できるようになり、足利の一族として“西の将軍”の地位を継承すべく上洛作戦を決行したのだ。上洛説にはその道程から疑問の声もあるが、義元の輿が将軍を意識したものであることから、著者は上洛を視野に入れたものとする

今川義元の挑戦に対して将軍・義輝は、まず上杉政虎(謙信)に上洛を促す。義輝の綸旨のより武田晴信との和平がなると、政虎は1559年に五千の兵で上洛し管領なみの待遇を受けた
これにより今川義元は上洛の延期を余儀なくされ、和睦した武田晴信を利敵行為として北条家とともに非難。晴信が剃髪して信玄となったのは、このときの侘びだという
著者によるとこの一年の時間稼ぎが大きかった
足利将軍が後ろ盾になることで、信長は美濃の斎藤義竜との和議、北近江の浅井家や六角家など周辺諸国との関係を改善、諸勢力からの後詰(援軍)を得て、尾張で迎撃できる態勢が整った
桶狭間の戦いは単なる戦国大名の勢力争いではなく、室町幕府の存亡をかけた歴史的決戦となったのだ
今川の軍勢は最低で二万五千以上の大軍だが、尾張一国でも一万以上は集まったろうし、津島に代表される経済力からさらなる募兵も可能だっただろう
信長は義元にとって「想定外」を積み重ね、勝算をもって戦いに臨んだ

今川家の泣き所は、大軍を養う補給、特に皮革関係だという。具足の間に挟む皮は消耗品であり、良質であれば機敏な動きがとれる
皮革の市場は仏教でのタブーに関わる動物の殺生が絡むことから、農民から差別される特殊な階層の民に委ねられ、一般の人間が踏み込めないアジール(聖域)を為していた
著者は若き信長が妙な風体で歩き回っていたのは、こうした界隈に踏み込んだからと想像し、そうした場所で築いた人脈として木下藤吉郎、後の豊臣秀吉を上げる
同じ木下の姓から実はれっきとした尾張の豪農だった説もあるが、ならばあえて羽柴姓を作るのは不自然。むしろ本来は侍になれない生まれだったからこそ、萩の中納言など珍妙な生まれを装う必要があったと考える
特にこれに突っ込みが入らなかったのは、天下人がそんな生まれではまずいし、ありえないという先入観が招いたと指摘する
秀吉が皮革を商って今川領内をスパイしていたとか、小説的想像力を感じるものの、たしかに六本指など秀吉には、農民出にしては不思議なエピソードが多い
信長が、秀吉ら皮革関係の「非人」たちから貴重な情報を得たことに対し、今川義元は足利義輝と織田信長の連携を舐めていた

桶狭間の戦いでは多くの家臣が討たれていて、義元本陣だけが奇襲されたのは説明がつかない
義元は出陣前に家督を氏真に譲っており、お家騒動こそ起きなかったものの、譜代の将の多くが討たれたことは戦国大名にとって致命的だった。家臣それぞれの家で代替わりが余儀なくされ、指導者として経験の薄い人間が繰り上がれば、軍勢を率いることなどできない
氏真は物理的に父親の仇討ちはできなかったし、名分的にも将軍家に真っ向から歯向かうことはできない。それどころか、氏真は翌年には室町幕府の相伴衆に列することとなり、屈服を余儀なくされたのだった
幕府転覆の陰謀に怒る義輝は上杉政虎に関東遠征を命じて、古河公方を摂関家の近衛前久に継せようとまでした。しかし上杉独自の公方候補がおり、氏康の粘り強い抵抗でこの構想は頓挫する
そうする内に、今川家の脅威に沈静化していた三好家との対立が激しくなり、幕府側は長慶に対する三度の暗殺未遂を起こして、三好一族・関係者に次々と変死者が出る異常事態に。信長の上洛が計画されると、松永久秀と三好三人衆が義輝方のテロ攻撃に対して強硬手段に出た。永禄8年(1565年)二条御所を強襲し、義輝やその母、主従全員が討ち死させたのだ。いわゆる永禄の変である
信長が義輝の遺志を継いで上洛するのは、この三年後のことである
『信長公記』から漏れていること、作戦の機密性が高いことなどから、本書でも桶狭間の戦いの全てが描ききれているわけではないが、そのフレームは斬新でかつ納得できるものだ


関連記事 『明智光秀の乱 天正十年六月政変 織田政権の成立と崩壊』

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デジカメを買ってみた

いつか、俺もデジカメを買うんだと思ってから十云年。ようやく今日、手にしたのでありました
というのも、ようは安いのを見つけたというわけでして



ジョーシンでも一万以下で入手できた
今まで写真を上げたときは、ガラケー2万画素の世界だったが、今日から1610万画素の世界になる
ちょっと比較してみると

自宅・携帯
ガラケー

自宅・デジカメ2
デジカメ

部屋で撮ると一番違いが分かりやすかった。フラッシュの量が違うのだ
ガラケーで暗いところを撮るともやがかってしまうのだが、デジカメならこの通りにくっきりと視覚に近い映像を残すことができる
分室のほうで、ゲーム画像を直撮りしていてもやを取るのに苦労していたけども、これからは鮮やかな画像を上げられそうだ

猫たち・携帯
ガラケー

猫たち・デジカメ2
デジカメ

買い物帰りの猫。曇り空の下で、鮮明さに大きな違いが出る

宇治川・携帯
ガラケー

宇治川・デジカメ2
デジカメ

宇治川沿いの光景。デジカメのおかげで、出かける機会も増えそうだ

鳥のアップ

ただ安いカメラゆえの限界は感じた。鳥のアップを撮りたかったけど、ここまでしか寄れないのだ
こだわる人は、カメラにお金を注ぎ込むわけでありますな
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『橋下徹現象と部落差別』 宮崎学 小林健治

宮崎学は、きつめ目サイバー軍団によりネットの部落差別を監視しているらしい


橋下徹現象と部落差別 (モナド新書 6)
宮崎 学 小林 健治
にんげん出版
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『週刊朝日』2012年10月26日号にて、佐野眞一+『週刊朝日』取材班の名で「ハシシタ 奴の本性」という新連載が組まれた。なぜ橋下バッシングに部落差別がもちこまれたのか。キツメ目の男、宮崎学部落解放同盟の小林健治が問題の本質に切り込む
事の発端は2011年の大阪府知事・市長ダブル選挙の際に、『新潮45』『週刊文春』『週刊新潮』橋下氏の父がヤクザで部落出身者であるとして、その政治手法と結びつけたことにある
橋下氏は「公人である以上、両親や先祖を報じられるのは仕方ない」としつつも、出自や血統、出身地をもって自分の人格を否定することに対しては断固、戦うと応じ、選挙では対立候補の平松氏を圧倒して当選した
著者両氏は橋下氏の政策に反対しつつも、この問題への覚悟に対してはもろ手をあげて賛同する。その上で、なぜさらに『週刊朝日』と佐野眞一があのような記事を書いてしまったのか、部落開放同盟はこの問題にどう対応したのか、を問うていく

社会的差別に対する戦いとは、「差別か、差別でないか」を裁判官に判断してもらう問題でも、コンプライアンスに委ねるという一般的な問題ではない。言われた側、言った側の当事者性、具体的な関係で処理するべきという

宮崎 差別事象は、いったんおこなわれたら、それによって受けた損害回復することが法律にはできない。法的には、ただ物質的なかたちでの損害賠償しかできない。差別によって損なわれた人格的なもの、個人の尊厳は、社会的にしか回復できない。だから、法に訴えるだけではなく、自力救済によって解決することが求められるわけだ。それが「糾弾」ということなんだ。
小林 だから、これまでに、とりわけ戦前には文字通り命がけで糾弾闘争が行われてきて、それらを通じて、自力救済としての「糾弾権」が、権利として事実上認められるようになってきたんです。「差別糾弾は手段、方法が相当な程度を超えない限り、社会的に承認されて然るべき行動であり、……」(矢田教育差別事件・大阪地裁判決1975年6月3日)「秩序に照らし、相当と認められ、程度を超えない手段、方法による限り、かなりの厳しさを有することも是認される」(同事件・大阪高裁判決1981年3月10日)という判決が出ています。(p54-55)


とはいうものの、ほんとうの個人だけでは糾弾しきれないので、支援組織として部落開放同盟がある
ただし部落解放同盟も水平社以来の「相互扶助と差別糾弾」という具体的な目的から、「人権と民主主義」という一般的・抽象的概念に解消してしまっていると、本書では指摘される。『週刊朝日』の問題に対して、解放同盟が平松候補を応援した関係で、部落問題として強く糾弾することはなく、橋下氏が個人の力で自力救済した
部落解放運動自体が戦後は自民系、社会系、共産系と大きく三つに分派していて、部外者からすると部落解放同盟はひとつの政治勢力にしか見えない

なぜリベラルを標榜する『週刊朝日』と、一流のノンフィクション作家とされる佐野眞一が下劣な記事を作ってしまったか
宮崎学は、被差別部落に対する差別意識が封建制の残滓ではなく、近代の産物だからと指摘する。近代的な価値を疑わない知識人・文化人こそ、日本的近代と結びついた差別意識をもったままで、そうした価値から自由だった世間人が差別に怒れた
知識的・文化的に差別意識が残り、民衆的・文化的部分に反差別意識が拡がるという逆転現象が起きているというのだ
そうした反転現象は、自由と平等の概念が行き渡ったからこそ、「個人の尊厳」を守る意味が、人並みの生活をして同質性を目指すことに置き換わっていて、本来の「個人の尊厳」が守られなくなっている。自由と平等が自明の世界で抽象的・一般的に追及すると、めくりかえって不自由になるので、橋下氏がとった自力救済のように当事者による具体的行動以外は価値を持たないとも
解放同盟と筒井康隆のやり取りを見ると、自力救済はお互いしんどいと思ってしまうのだが、それが対話というものかもしれない
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『小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯』

淀川中ノ島で南に分かれた河川を土佐堀川と呼び、加島屋は肥後橋前にあった
地名はたしか、土佐藩の蔵屋敷があったからだっけ


文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 (潮文庫)
古川智映子
潮出版社
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豪商三井家から17歳で大阪の両替商に嫁いだ浅子は、維新による大変動の中で商才が覚醒する。大名家の貸付が焦げ付くなか、いち早く炭鉱業に目をつけ苦境を脱する。五代友厚渋沢栄一の知遇を得、近代的な銀行業にも乗り出し大経営者へ成長していく。暴漢に襲われ生死を彷徨ってからは、保険会社を合併させ大同生命を誕生させ、女子教育に力をいれ日本女子大学の創立にも関わった。駆け抜けた女の一代記

朝ドラ『あさが来た』の原案本である
小説は加島屋に嫁いだところから始まり、その晩年まで事跡を追いかけていく。文章が軽快で読みやすく、するすると数日で読み終わることができた
その読みやすさは、作者があまり価値判断を挟まずに、立志伝的にまとめたところがあり、文学的には鉱脈となるエピソードもあまり掘り込まれていない
朝ドラとの大きな違いは、経営で忙しいために旦那の信五郎にお付きの小藤を側妾としてつけ、後継者の男子を産ませたところだ。とうぜん、朝ドラではその存在が割愛されている。解説の宮本輝が暗に突っ込むように、本来なら女性にとってかなり複雑な行動のはずである
広岡浅子が推し進める女性教育の活動と相反するものであり、そのあたりの葛藤はひとつの焦点となるはずなのだ
とはいえ、広岡浅子の一生そのものがぶっとんでいるので、それを描き切っただけでも十分面白いのだが

広岡浅子の実家は、三井家のなかでも京都の油小路出水の三井家
三井高利の代に急拡大した三井家は、高利が11人の子に店を継がせた上に、本家と分家の区別なく兄弟の家が助け合う遺訓を残していた。その“三井グループ”を統括する「三井大元方が設立され、そこから各三井家の生活費が支給され、事業と家政が分離が進められていた
幕末に「三井大元方」を務めた三井高喜は、多くの両替商が手控えるなか、官軍にいち早く資金提供して新政府に食い込み、三井銀行設立につなげている
浅子はこうした三井家の伝統のもとで育てられ、危機に際しては実家の協力をぞんぶんに得ている
といっても、浅子が見せる行動力は尋常ではない。肺結核に倒れるまで貿易商・毛利友信の家に通い、炭鉱へはピストル一丁差して鉱夫たちを仕切ってみせる。かつての同業者に刺されて腸の大半を切除しながら大同生命の構想を練り、乳がんの手術を乗り越えて女性教育への情熱を絶やさない
文字通りの「九転十起」なのである
村岡花子市川房枝が浅子と出会うのは、晩年に御殿場の別荘で開いた合同勉強会であり、浅子は共同生活のなかでもっとも力の要る水汲みを担当したという
豪快な別荘を建てる自己顕示欲に苦笑してしまうものの、考えてみると女性がこの時代に自力で豪邸を立てること自体が壮挙なんだな


広岡浅子徹底ガイド おてんば娘の「九転び十起き」の生涯
主婦と生活社 (2015-09-25)
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