【配信】『Gのレコンギスタ』 第9話 「メガ・ファウナ、南へ」

人を見ちゃったら、撃てないでしょ!


<第9話 メガファウナ、南へ>

母ウィルミットと再会したベルリはクルガン長官に対し、「宇宙の脅威があるなら共同で事に当たればいい」と提案する。ウィルミットはそれを受けて、旗下のキャピタル・ガードに連絡して、メガ・ファウナをタワーへ誘う準備をする。しかし、その途上に復仇に燃えるマスク大尉の強襲を受けてしまう

今回は白富野らしい、生活感あふれる回だった
現在の南米にあたるイザネル大陸に入れば、低い屋根の住宅に、羊の群れを誘導する羊飼いと、牧歌的な光景が広がる。ウィルミットが民家に電話を借りに行くところでは、皆がピクニック気分で魚と鶏を大人買いと、戦闘が続いた前回、前々回とは対照的にほっこりとした場面が多い
その中で、ノレドが「ベルリは貰い子らしい」と衝撃発言! また謎が増えてもうたがな

前話の生地で世界観の説明が欲しいと書いたら、さっそく入っていた(苦笑)
謎を置いてきぼりにして新しい謎が出てくると、視聴者が世界を把握する地盤が築けず困惑してしまう。情報量の臨界点に達しつつある、このタイミングでの捕捉は絶妙
前半にベルリが理想主義的な提案するのは、実は視聴者の疑問に沿っていて、後半にはスコード教のゲル法皇、アメリアのクルガン総官、ウィルミット運行長官の三者が揃って会談を持つ
法皇は「フォトン・バッテリーが宇宙で自然に湧いてくるものではない」と宇宙の勢力を示唆し、スコード教に基づく資源管理が悲劇の再発を防ぐという立場だ。対するクルガン総官は、それがキャピタルによる資源の独占を生むと批判する
近代の論理だとクルガン側に理があるのだが、それが宇宙世紀の悲劇を招いたというのがスコード教の言い分。両者の立場がこれで鮮明になった
そこへ、調査部のクンパ大佐が合流し、図ったようなタイミングでベルリたちが離脱!
そして、肝心の宇宙からの脅威が明かされずにお開き!? 謎で引っ張るラストとは、富野作品に珍しい


次回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第10話 「テリトリィ脱出」
前回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第8話 「父と母とマスクと」

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『作画汗まみれ 改訂最新版』 大塚康生

東映動画の歴史


作画汗まみれ 改訂最新版作画汗まみれ 改訂最新版
(2013/05/31)
大塚 康生

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『ルパン三世』『未来少年コナン』『じゃりん子チエ』など数多くの作品で作画監督を務めた大塚康生が語る自身のアニメーター人生と製作現場の舞台裏
大塚康生は厚生省麻薬取締官(!)から26歳で転身、東映動画時代に日本最初のカラー長編アニメ『白蛇伝』に参加して、キャリアでは高畑勲、宮崎駿の先輩格にあたる。ただし“アニメ作家”にはならず、あくまで演出を受けて絵を作る“作画職人に徹し続けた
本書では半生を振り返りつつ、当時の製作体制、原画・動画の考え方、アニメーターの修行法、そして各作品への思いなど、フルアニメーションへの愛とこだわりが語られる
いわゆる日本のアニメは、動きを簡略化しセル画の枚数を減らすリミテッド・アニメーションが特徴といわれるが、もう一つの系譜が、ジブリ作品へとつながる東映動画の系統だ。虫プロ出身、富野監督の『だから、僕は…』と合わせ読めば、日本アニメの黎明期を大まかに押さえられるだろう(適当?)

やはり、アニメーターとしての基礎を築き、高畑・宮崎コンビに出会った東映動画時代が中心だ
東映動画では1961年に労働組合が組織され、翌年、大塚は二代目の書記長に就任する。東映動画の労働組合は、単なる労働運動のみならず、細分化した現場の相互不信を解消するコミュニケーションの場として作用し、一つのチームとして作品作りにあたる意思統一に寄与した
組合で製作された作品への批評もさかんに行われ、例えば『安寿と厨子王』では権力者に媚びて出世する主人公が指弾されるなど、60年代の社会思潮「社会主義的リアリズム」に基づく手厳しい批評がなされていた
作り手の側が納得したものを世に出したいという動きは、太陽の王子 ホルスの大冒険を生み出し、会社を傾けつつも長編アニメの金字塔を打ち立てる
本書ではこうした組合民主主義による東映動画への愛が強く叫ばれつつ、一方では手塚治虫が虫プロを通した始めたリミテッドアニメーションへの嫌悪感を隠さない
「止めの美学」を能や歌舞伎などに根差した日本人に感覚に合うことは認める。しかし、テレビアニメの市場が拡大したことで、独立系スタジオが乱立し、基礎を知らない素人裸足のアニメーターが大量投入され、(大塚から見て)低廉な作品が供給される現状は容認できない
そうした情勢への反発が日米合作による『リトル・ニモ』への挑戦につながっていく

巻末の裏話が面白過ぎる
高畑勲のは先輩を立てたまっとうな解説だが、宮崎駿のそれは悪戯ごころ溢れる暴露話である
ルパン三世がなぜフィアット500が愛車かというと、「あまり成功しない泥棒が高級車は似合わない」としてイタリアの大衆車でかつ、大塚康生が愛用していたから。近くにモデルがあったほうが描きやすいという理由らしい
ある日、大塚はスタッフ同士で酒盛りをした後、愛車でスタッフを送り届けようとした(今なら重罪!)。酔っていたため同じところを堂々巡りして元の場所にスタッフを降ろした後、家の方向を間違えて泥道に突っ込み、一人で抜け出せなくなってしまったという
その後、そこからどうやって車が救出されたかは割愛するが、リアルでアニメに負けない活劇を繰り広げていたのだ
巻末には、60年代頃の東映動画が日本のアニメーションにもたらしたもの』という高畑勲のレポートが収められていて、作り手側の視点と断りつつも、自称評論家たちより鋭い分析がされている。これも必見!


リトル・ニモの野望リトル・ニモの野望
(2004/07/22)
大塚 康生

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『オリエント急行の時代―ヨーロッパの夢の軌跡』 平井正

やっぱ、ポワロでしょう


オリエント急行の時代―ヨーロッパの夢の軌跡 (中公新書)オリエント急行の時代―ヨーロッパの夢の軌跡 (中公新書)
(2007/01)
平井 正

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なぜか野球選手の代名詞にもなってしまったオリエント急行。時代の著名人たちに愛され続けた「列車の王者」の歴史を綴る
「オリエント急行」とは、フランスのパリからイスタンブールを横断する鉄道で、1883年に開通した寝台車、食堂車を兼ね備えた空前の豪華列車だった
鉄道先進国アメリカにカルチャーショックを受けたベルギー人ナゲルマケールスが、ヨーロッパに「寝台車」を普及すべく1872年に「ワゴン・リー社」を設立し、ベルギー王室の後ろ盾を得て関係各国と交渉し、ヨーロッパ大陸を横断する鉄道を実現した
本書では、実現の過程とその路線を通る国々の歴史、鉄道事情に触れ、鉄道に象徴される「近代化」の進出と“東方(オリエント)”での軋轢をテーマとする
「オリエント急行」は、豊かな西欧が貧しい東欧、中東を観光する「オリエンタリズム」そのものといえ、東欧の王侯がブランドとして珍重する一方、路線には近代化に取り残される寒村が広がっていた
ハプスブルグ朝(オーストリア)とオスマン・トルコの間で揺れ動くハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなど、あまり取り上げられない年代、地域を詳しく取り上げていて、世界大戦と冷戦で沈滞し続けた理由も良く分かる

やはり建国したばかりの東欧諸国が興味深い
ルーマニアワラキア公国モルダヴィア公国に分かれ、オスマン帝国の忠実な属国としてギリシャ人官僚の支配が続いていたが、民族主義の影響を受けて合同しルーマニアとなる
しかし、近代化に着手した君主クザ公の前には、大地主と小作人の農村社会、識字率の低さが立ちはだかった
ブルガリアではこちらはオスマン帝国の直轄地であったためブルガリア人としてのアイデンティティを国民に確立するのが困難であり、ロシアの介入によってかろうじて自立の道を歩む

彼らの宗主国であるオスマン帝国も、西欧化の波に大きく揺さぶられた
マフムート2世(位1808~1839年)は、圧力団体と化したかつての精鋭イェニチェリ軍団を廃止し、洋式軍隊を創設した。その後、ガス灯、電信、そして鉄道と最新の技術が導入されていったものの、科学や国民国家といった新しいコンセプトを支える意識を定着できなかった
そのため、こうした“オリエント”の国々は、技術導入のために西欧列強の支援を仰がざるえず、特にオスマン帝国は新しい軍隊、産業を支えるための出費が増大し国家財政が破綻。ついには外債が払えなくなり、列強による債務管理局を設置して内政を管理される事態に陥った
まさに“瀕死の病人”である
列強は直接に植民地を増やすだけでなく、近代化の風を送ることによって間接支配による帝国主義を進めたのだ
オリエント急行はその象徴であり、それに刺激されたドイツ3B政策(ベルリン-ビザンチン-バグダッド)を掲げ、第一次世界大戦への遠因を作ってしまう
日本も日露戦争で勝ち取った満州鉄道を使って権益を拡大したように、鉄道そのものが近代化の名のもとに帝国主義の手段となる
本書はそんなシリアスな話だけではなく、急行が生んだ鉄道小説日本人による珍道中、冷戦後に勝手に生まれた“偽オリエント急行”など、暢気なエピソードも盛り込んでいて、急行の華やかな歴史の裏側を知ることができる


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ぶらりと、淀城跡公園

日曜に友人と競馬場へ行く約束をし、集合時間は7Rのパドックが始まる午後一時
少し早くついてしまったが、6Rから買うのも入れ込み過ぎというもの。ここは気分を落ち着けて馬券作戦を練ろうと、大スポと普段買わない競馬ブックを握り締め、淀城跡公園へ向かった
淀駅と京都競馬場が直通する大リニューアルを受け、付近の町並みもずいぶん変わっている。駅から競馬場までの道に、昭和風情溢れる飲食店、コーチ屋のおっさん、占い師等々がにぎわっていたもんだが、よく悪くもカジュアルになってしまった
それはさておいて、淀城跡公園

與杼神社

公園の前にあるのが、與杼神社「與杼」と書いて、「よど」と読む
秀吉が建てたわけではなくて、10世紀に桂川運送の守護神として建立された。というわけで、もともとは北のほうにあって、明治になって移されたようだ


淀城跡の石碑

さて淀城跡だが、どこの部分か分からないが石垣と堀の一角が遺されていて、それに囲まれた場所がそのまま公園になっている。どこの部分か明示してもらえると、雰囲気が出るのだけど…

唐人雁木跡

入り口には、唐人雁木跡」(?)の立て札が
唐人とは、中国人ではなく、李氏朝鮮から徳川将軍家へ送られた通信使のことで、淀川を遡った通信使一行がここで上陸したらしい
淀川は京都-大坂をつなぐ物流の大動脈であり、淀城はその要衝だったのである

大きなお堀

正直、公園内には見栄えのするものはなかったが、遺されたこの水掘は凄い。昔の伏見は各地の川が錯綜する湖沼地帯であり、淀城はそれを利用した中州の城だったのだ
淀城はもともと秀吉が淀君の産所として築城したもので、秀次の謀反で淀城主・木村重茲が連坐していったん廃城となるが、関ヶ原後に伏見城が廃されたことで再建され、松平定綱が淀藩六万石として移封された。その後、しばらく譜代の鉢植え大名が転々として、1723年に稲葉氏が入り、幕末まで城主を務める
要衝ながら戦火に巻き込まれなかった淀城だが、幕末において突如、存在感を示す。鳥羽・伏見の戦いで錦の御旗が掲げられたことをきっかけに、淀藩が劣勢になった幕府軍の入城を認めなかったのだ
この突然の裏切りは、幕府側の敗北を決定づけ、将軍・慶喜は江戸へ逃げて帰ってしまう
堅城のわりに籠城を経験したことはなかったが、歴史を動かしてしまった城なのである


でっ、冒頭に触れた淀遠征の結果はというと……察してくだされ(苦笑)
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【配信】『Gのレコンギスタ』 第8話 「父と母とマスクと」

マスクはルイン・リー……(今さら)


<第8話 父と母とマスクと>

マスク部隊との戦いは続く。新型のバックパック装着のため、島に降りたベルリは、アイーダの父グシオン・スルガンと出会った。マスクと互角以上に交戦するベルリに刺激され、未確認機に“突貫”したアイーダだったが、アルケインの性能に振り回された挙げ句、非武装のグライダーを撃ちそうになる始末。そして、そのグライダーの中には、ベルリの母が乗っていたのだった

みんな、やろうとすることが上手く行かないという、クネクネした回だった
アイーダのみなず、ベルリもダサい新型バックパック(大気圏用のバリアシステム?)の性能にバランスが取れず、相手のマスクも「格闘戦に持ち込むには高度を取らないと…」とマニュアル的に連呼し、ダミーの戦艦にパニック(笑)を起こしてしまう
マスクはこの作戦でクンタラ部隊の半数を失ってしまったようだ
キャピタル・アーミーの戦艦には、恋人マニィが補充兵として乗り込んできて、マスクの正体を見抜く。彼女はマスクとして復仇を果たしたいというルインを応援するつもりのようだが、どういう立場になるのだろう。ベタにいけば親友のノレドと敵味方である

少し飛躍した展開だったが、アメリア軍総官のグシオンと、タワーの運行長官ウィルミットが顔を合わせ、背景が鮮明になってきた
海賊の持つ戦艦メガ・ファウナは、スコード教に違反して取り壊されたはずの宇宙戦艦ニック・ベースを転用したもので、アメリア軍はタブー破りを隠すために海賊部隊を創設したのだ
アメリア側の言い分としては、月でフォトン・バッテリーを運ぶ“カシイバ・ミコシ”(?)以外に謎の勢力が動き出していて、その脅威に備える必要があったとする
そして、キャピタル・アーミーの戦艦もまた、アメリアの敵国ゴンドワンから手に入れたものといい、タブー破りは世界でとっくに顕在化しているという事実が突きつけられた
ウィルミットはこの事態に嘆くのだが、このあたりはスコード教にどれぐらい強制力があるのかが分からないので、観ている側に実感が湧かない
スコード教については、早めに説明が欲しいかな


次回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第9話 「メガ・ファウナ、南へ」
前回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第7話 「マスク部隊の強襲」

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『All You Need Is Kill』 桜坂洋

SFで繰り返しというと、『リプレイ』すかねえ

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2004/12/18)
桜坂 洋

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宇宙から飛来した謎の生命体ギタイによって、人類は滅亡の危機に瀕していた。ジャパンへもギタイの大群が迫り、トーキョーと周辺の工業地帯を守るべく、統合防疫軍USが展開し、JPの軍と合流する。JP所属のケイジは、初めての出撃の日、“戦場の牝犬”と仇名される女兵士リタと出会い、そして死ぬ。しかし、ケイジは目覚めた。そのときから死んでは出撃の前日に戻る、無限のループに巻き込まれたのだ

ハリウッドで映画化されたらしいので、ミーハーに
いわゆる“ゲーム・リアリティ”にどっぷり浸かった作品だった
主人公のケイジは最初は新兵だが、出撃しては死ぬことを繰り返すことで戦闘技術を高めていく失敗して元にもどって仕切り直す“繰り返し”は、アクションゲームでプレイヤーが上達していく過程と酷似する
また舞い戻った出撃前日に、違う振る舞いを試していくことで、様々な体験を経て情報を集め、さらにはヒロインと交流するのは、アドベンチャーゲームの如し
主人公自身が“フラグ”という言葉を使ってしまうほど、メタ的に“ゲーム性”が告白されている
小説の途中まで、現実か虚構か、あるいは擬似現実か、判然とせず、読者を揺さぶってくる

書き過ぎると激しくネタバレになってしまうのだが、小説は「現実」のものとして収束していく。ここにやや違和感が残った
「ゲーム・リアリティ」に順応した主人公には、試しに命を捨ててみるような「ゲーマーの軽さ」があって、決死の戦いに臨む兵士でもあることにズレが生じるのだ
作品世界にしても、本土決戦前にしては、前線基地の生活はあまりに暢気であり、これが「現実」だとすると着地するに心もとない
ストーリー展開が、ゲームに喩えると“ステージ2”で終わってしまうのも、少しもったいなかった(一面で死にすぎww)
ループする理由にタイムトラベル特有の問題がつきまとい(並行世界はほとんどギタイ勝利なのだろうか)、最後の結末も読者の意表はつくが、話を畳む都合を感じてしまう
ただしここらへんは、レーベル側との問題もあり、一巻200項台での完結を要求された故でもあろう
海外のSF小説を意識したような乾いた文体はラノベに親しみのない人間にも読みやすいし、出撃前日を繰り返す設定を上手く使った伏線にはニヤリとさせられる
ドワンゴ川上会長の「現実はクソゲー」という名言(迷言?)があるように、ゲーム体験から現実把握する人は増えている。浅くともゲーム体験のある人なら、軽く楽しめる一冊だ


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『51番目の州』 ピーター・プレストン

著者はブレア政権の仕掛け人


51番目の州 (創元推理文庫)51番目の州 (創元推理文庫)
(2009/08/20)
ピーター・プレストン

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ブレア政権から30年後のイギリス保守党の院内総務ルパートは、父の死に際の言葉に衝撃を受けて、EU離脱の運動を展開する。どうせ否定されると思っていた国民投票が、低投票率の末に離脱を選択。ルパートは急遽、保守党内閣の首相となり、経済はまっさかさま。今さら、EUにも戻れないイギリスに海の向こうから助けの手が差し伸べられる。イギリス経済を救う秘策、それがアメリカとの合邦だった

日本でも一時期、アメリカへの“ポチぶり”を揶揄し、「どうせなら51番目の州にしてもらったらどうだ」という言論が吹き出したものだ
中国が台頭したせいか、小泉内閣あたりから聞こえなくなったが、イギリスでもそういう冗談があったようで、それを小説にしてしまったのがこの作品
イギリスはEUに加盟しつつも、ユーロ導入の際には有力な構成国にも関わらず、自国通貨ポンドを固守した。そしてアメリカの対テロ戦争、イラク戦争には肩並べて加わり、今なおEUとアメリカを渡り歩き続けている
そんなグローバル時代のイギリスのアイデンティティとはなんだろう、というのが本作のテーマなのだ
小難しい専門用語が飛び交うものの、小説で直接描かれるのは、海を越えた政治家同士の暗闘、男女の愛憎であり、全国家、全人物に注がれるお洒落なボロクソは、よくここまで思いつくなと感心する
雲の上の政治家同士だけで動いていくので、国民の視点が欠けているのは否めないが、まさかのオチ含めて娯楽小説としての完成度は高く、グローバリゼーション下の国家とは何か考えさせてくれる作品である

悲痛な父の遺言のような言葉を受けて、ルパートはイギリスの“独立”を決意する
しかし、いったんEUに取り込まれていたイギリスに、かつての栄光は残されていなかった
自国通貨を堅持しつつも、金融面では実質的にドイツ連邦銀行に依存していたため、離脱直後にポンドは暴落。海外企業は大陸側に移転し、市場から見放されてしまう
その果てに決意するのが、かつての植民地だったアメリカ合衆国との合併で、グレートブリテンはイングランド、ウェールズ、スコットランド、アルスター、アイルランドの五つの州となってしまう(いつのまにか、アイルランドもお付き合いしていた。なんでだろう?)
大英帝国の栄光を取り戻すどころか、旧植民地の一部になってしまったのだ
訳者のあとがきによると、イギリス人には「ヨーロッパとは大陸のこと」であり、その一員であるという自覚が薄いという
島国が独自のアイデンティティにこだわり過ぎると、いかなる末路を辿るのか。皮肉すぎるラストは笑うしかない

*2016年6月24日、イギリスがEUの離脱を決めた。まさか、小説が本当になってしまうとは……
 本作のシミュレーション通り、アメリカの経済圏に入るのであろうか
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【配信】『Gのレコンギスタ』 第7話 「マスク部隊の強襲」

エリートが海賊を気取ったってなあ!!


<第7話 マスク部隊の強襲>

デレンセン大尉の死を受けて、“マスク”は海賊迎撃のMS部隊隊長となった。クンタラ出身者を集め、いずれはタワーの支配者となるさえ誓う。一方、そのタワーの運行長官であるベルリの母、ウィルミットは、タワーがキャピタル・アーミーに蹂躙されることに憤慨、ベルリ救出の作戦が途絶えたことで自らメガファウナへの突入を決意するのだった

ウィルミットが母に目覚める回と言っていいだろう
ベルリが“誘拐”された件をクンパ大佐らに任せ、傍目には冷静に運行長官の立場を守ってきた彼女だったが、アーミーが事件を勢力伸張に利用していることに怒り、本話ですべてを自ら解決すべく大気圏突入する
富野作品では、主人公の母親は母でることよりも女性であること、あるいは職務や社会的地位にこだわり疎遠になるケースが多いので、異例の展開
旧時代のグライダーで宇宙服もなしに突入と、悲劇的な展開も想定されるところ、次回予告を見て安心。一見、早熟で自立しているように見えるベルリは、母にどう反応するだろうか

冒頭に先輩仮面がクンタラ出身者を集めて、主義を鮮明にする
彼の仮面はクンタラ出身であることを隠すためだが、上流社会に入りたいわけではない。クンタラへの階級差別を無くし、いずれはタワーの実権を握って頂点に立つ下克上が目的なのだ
20世紀的な革命の志であり、日本史でいえば昭和維新の青年将校たちが思い浮かんだ
となると、本作の全体主義の話は、従来の歴史的経過を追いかけることになるようで、そこに富野流の歴史観がどう表明されるかが楽しみ


次回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第8話 「父と母とマスクと」
前回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第6話 「強敵、デレンセン!」

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(2015/01/28)
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『陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争』 クリス・マッケイ グレッグ・ミラー

柘植久慶の本に、えぐいやり方が載ってましたね…

陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争
(2005/12)
クリス マッケイ、グレッグ ミラー 他

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アメリカの対テロ戦争において、アメリカ軍は捕虜にいかなる尋問を行っていたのか。実地で捕虜を尋問した軍人従軍記者の手を借りて告白する
本書はアブグレイブ刑務所の捕虜虐待事件を受けて、軍全体がそのような行為に手を染めてないことを訴えるため、アフガニスタンに赴任していた元尋問官が実体験を語るもの
ところが必ずしも、軍を美化する内容でもない
建て前として、アメリカ軍は“不正規兵”、制服を着ないゲリラも、ジュネーブ条約に準じて扱うこととしている。しかし現場にいる尋問官は、条約の条文に抜け道を見出し、捕虜に圧力をかけていく
著者の尋問官は陸軍の教習で、拷問では捕虜から正しい情報を得られないと教えられたが、実地では厳しい追及、精神的圧迫が効果を生むことが多く、戦地に長くいるうちに条約ギリギリのラインにまで踏み込めるようになってしまった
平然と語られる捕虜の処遇や収容所の環境も想像以上に劣悪であり、捕虜が戦争から解放された存在でないことを教えてくれる

実際に行われている捕虜への尋問は、拷問スレスレである
直接的な虐待はなくても、長時間の尋問で疲れさせ、就寝時の前にはコーラなどのカフェイン入りの飲料を与えて、絶えず睡眠不足に追い込む
捕虜に拷問しないと見切られると、代わりに母国への送還、条約を守らない中東諸国への引渡しをほのめかす。凝ったやり方だと、尋問官の一人がアラブ諸国の軍人に扮して、某を連れ帰ると指名する
拷問を直接ほのめかさないが、拷問する場所への移送で脅迫するのはありなのだ
人によっては、軍隊生活で体験する罰則、無理な姿勢を長時間とらせることなどは“拷問”のうちに入らないと解釈して、捕虜に強制する
尋問官側からすると、捕虜から情報を引き出せるかどうかで、友軍兵士の生命、ひいては自国民、関係各国の民間人の生命に関わるという焦りがあり、尋問もまた戦争のように手段を選ばなくなっていく

ブッシュ政権は対テロ戦争の捕虜を、ジュネーブ条約を適応する対象とはみなしていなかった
アブグレイブ刑務所で行われたことは、末端の兵士の独走ではない。その「尋問規則」には、軍用犬で脅すこと、三日三晩寝かさないこと、フードをかぶせ続けて知覚を奪うこと、1時間近く無理な姿勢を続けることを認めている
「尋問規則」があるということは、現地司令官の承認があり、半ば合法化されていたことを表すという
著者もぶっちゃけ“拷問”の効用を否定しない。しかし、“拷問”は尋問する側の人間性を剥奪し、大義を損ない、引いて味方失ってしまう
ジュネーブ条約では民族解放闘争を受けて、1977年に制服を着ない不正規兵にも、捕虜の資格が認められたが、アメリカ軍が正式に“拷問”をやめたのは1985年。それ以前にはベトナム戦争、フィリピンのゲリラなどに、電気ショック、水責めなどの古典的ともいえる虐待が行われていたのだ
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【配信】『Gのレコンギスタ』 第6話 「強敵、デレンセン!」

私に、無駄死にというチョイスはない!


<第6話 強敵、デレンセン!>

海賊部隊の母艦メガファウナは、キャピタル・アーミーの追撃を振り切るべく、宇宙へと逃れる。アーミーもそれを追撃するため、デレンセン大尉もタワーで宇宙に上がった。ベルリたちはG-セルフの出撃に応じて、脱出の機会を探る。しかし、その彼を救出するつもりのデレンセンと交戦して……

観なくていいとは、このことだったのか!!!
カーヒル大尉のあっけない死といい、存在感のある人ほど先に散っていく
デレンセン大尉は現役の軍人であり、どの戦闘でも機体性能で上回る相手を蹴散らしていた
今回もG-セルフに何度もビームを当てていて、新兵器リフレクターパックがなければ……といったところ
ファーストのランバ・ラルのように、主人公を一人前に育てる父性的な役割を背負うというほど交わっていないので、関係が生まれる前に消失した虚無感が残る
戦争は一瞬で人の可能性を奪う。これが戦争なのだ

あまり世界設定に対する説明もなく、大気圏上空の戦いとシンプルな構成だったので油断してしまった
最後の結末を覗くと、珍しくディテールを味わう回だったと思う
前話でも映った、戦艦メガファウナのミノフスキー・クラフト(?)が魚のひれのようなユーモラスな形で、ラライアの金魚と重ねて見えた。カリブ海に研究所を持つように、地上の海に基盤があって、大航海時代のイメージが開放感をもたらす
G-セルフのリフレクターパックは唐突な新兵器で、ビームを弾いてエネルギーに変えてしまう。エルフ・ブルにもビームを弾く防御手段があるようで、MS戦の決着は白兵戦という流れが自然に作られていきそうだ
あと注目したいのは、ベルリたちが宇宙で髪を束ねたシーン。無重力で髪が散らさないためで、そのままだと第1話のアイーダみたいになってしまう。すぐに地球に戻ってしまうものの、各所で宇宙の無重力が表現された回でもあった


次回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第7話「マスク部隊の強襲」
前回 【配信】『Gのレコンギスタ』 第5話「敵はキャピタル・アーミー」

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サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。