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【DVD】『LAコンフィデンシャル』

今週から、週に一本ペースでDVD・BDを観ていくことにした
やっぱ、休日にゲームばっかりでは単調になりますよ。生活が


L.A.コンフィデンシャル 製作10周年記念 [DVD]
東北新社 (2008-06-13)
売り上げランキング: 42,093


50年代のロス。暗黒街を仕切っていた大悪党ミッキー・コーエンが脱税で逮捕されると、その麻薬利権を巡って熾烈な後継者争いが生じていた。殉職した刑事を父に持つエド・エクスリー(=ガイ・ピアース)は、警官殺しの容疑者を暴行した「血のクリスマス」事件の密告して、刑事部の警部補に出世。同僚を解雇されたバド・ホワイト(=ラッセル・クロウ)に酷く恨まれていた。刑事部で孤立するエドは、カフェ「ナイトアウル」で起きた虐殺事件を上司のダドリー・スミス(=ジェームス・クロムウェル)の元で担当するが……

ジェイムズ・エルロイのLA暗黒街シリーズ3作目の映画化である
濃厚過ぎた原作小説を2時間の尺に落としこむために、大胆に設定が変更されていた。原作で殉職したのはエドの兄だったし、エドの性格も小さい賄賂も拒否するなど、最初から潔癖さも持ち合わせている
小説では最初に華々しく散るバズ・ミークスが重要な役割を果たすように(といっても、本人の出番はほとんどないが)、小説二作目『ビッグ・ノーウェア』の設定が一部流用されているかのようだ
最後の華々しい活劇も、『ビッグ・ノーウェア』の終盤でバズが見せた大暴れを思い出せば、シリーズから行き過ぎたものともいえまい。原作からして生々しい史実、リアリティとノワール的フィクションが混合しており、本作は優れた映画化作品なのだ

実は20年前に、映画館でも観たことがある
正直、初見では情報量が多くて、なかなか細部の話までは理解できなかった。改めて見直してみても、まだとまどうところもあった。かといって、小説を読むほうが覚悟がいるので、映画→小説で違いを楽しむが吉なよう
ただし、リン・ブラッケン(=キム・ベイシンガー)を巻き込むエドとバドのライバル関係は、しっかりと演出されていて、映画で見たときもそこだけが記憶に残っていた。バドに殴られて、互いに顔を腫らしたエドとリンが心配しあうシーンは、なんともいえない
悪代官ダドリー・スミスは小説の無頼漢イメージ(管理人の勝手?)ではなく、知略でコーエンの利権を乗っ取るスマートなイメージであり、ラストの所作も序盤の伏線がしっかり決まっている。台詞にないから、視聴者側が忘れちゃう恐れもあるけれど…


原作小説 『LAコンフィデンシャル』

関連小説 『ビッグ・ノーウェア』
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【DVD】『マスク』

なんという、ナメック星人


マスク [DVD]
マスク [DVD]
posted with amazlet at 17.01.28
ワーナー・ホーム・ビデオ (2011-12-21)
売り上げランキング: 1,723


スタンリー・イプキス(=ジム・キャリー)は、うだつの上がらない銀行員。どんくさい性格が祟って冴えない生活を送る毎日だったが、ある日、謎の緑のマスクを拾う。緑のマスクをつけるや、スタンリーは謎のマスクマンに変身! 超人的な力で銀行強盗を働いて念願の高級クラブへ潜入。憧れの美人歌手ティナ(=キャメロン・ディアス)のステージをジャックする。しかし、マスクの力は陽の上がらないしか続かないのだった

いわずとしれたジム・キャリーの出世作であり、キャメロン・ディアスのデビュー作
「真面目な男」というキャラ付けのスタンリーなのだが、いわゆる堅物ではない。美人が目の前を通ると、鼻の下を伸ばしてバタバタしてしまう
同僚のチャーリー(=リチャード・ジェニ)と同様の、ノリのいいだけの凡人であり、日本人の感覚からする「真面目」とは少々違うのだ
単純な喜劇に思えて、ストーリーはけっこう捻っている。お色気むんむんのティナとは対照的に、真面目そうな女記者ペギー(=エイミー・ヤスベック)が登場するものの、三四郎のようなオチにはならず、意外な展開が待ちうける。「普段のままのあなたでいい」というテーマに絡んだ決め台詞を言われたあとにまさか、ああなろうとは……
マスクマンとして暴れまわる前半と、マスクをかぶれなくなってしまう後半と違う味が楽しめる。物語が進むごとにマスクを被らないときでも、ちょっとずつスタンリーは変わっていく
ドタバタの末に美しい成長物語として成立していて、やっぱ何度観ても楽しめる名作である

マスクマンとしてのスタンリーの行動は、主人公とは思えない無軌道ぶりである(笑)
憧れの姉ちゃんと付き合いたいから、銀行強盗をしてクラブに殴りこむなど、のっけから犯罪者のゾーンなのだ!
マスクをつけなくなっても、看守から鍵のみならず、銃まで奪って脱獄するなどの傍若無人を誇る(苦笑)。アメリカ人にとってヒーローのイメージとは法の外=アウトローの存在なのだろうか。拳銃ひとつで敵の巣窟に突入するなど、ヤクザ映画でドスをさらしに巻いて決闘するのと同じノリなのだろう


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【BD】『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

70歳のジェットコースター その2。……その1はGレコ


マッドマックス 怒りのデス・ロード [Blu-ray]
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2016-04-20)
売り上げランキング: 189


放浪するマックス(=トム・ハーディ)は、車を崇める“シタデル”の男たちに捕まる。豊富な水がある同地には、イモータン・ジョー(=ヒュー・キース・バーン)と呼ばれるカリスマ的独裁者が君臨し、戦闘集団ウォーボーイズを組織して専制国家を為していた。マックスはウォーボーイズのための“輸血袋”にされてしまう。そんな中、女隊長フュリオサ(=シャーリーズ・セロン)はジョーの子産み女たちを連れて逃走し、マックスも輸血先のニュークス(=ニコラス・ボルト)ともに追跡する羽目になる

いや、とんでもない映画だった
2時間ずっとジェットコースターなのである。冒頭にマックスが荒野に佇む場面からジョーの手下たちに捕まる場面までの二十数分間を、怒濤のアクションが繰り広げられ、ようやくタイトルが表示される
そこで落ち着くかと思いきや、岩山に築かれた要塞“シタデル”の豪快な光景に、水を待つ貧民たちと色白のウォーボーイズ、奇怪な老人イモータン・ジョーと世界観を手早く見せつけて、フュリオサの逃走へ転じる。止らないのだ
おかげで中盤までマックスの存在感がなく、主人公というより闖入者の役回り
しかし、女たちで逃げるにも限界がある。消耗したところで、マックスともう一人の闖入者ニュークスが浮上して、またジェットコースターが最加速する!
CGのない時代にエグい撮影をしていた同シリーズに、CGが加わるとこうなるのかという途方もない映像が観せ続けられて、映画を見る物差しが変わってしまいそうな作品だ

ここまでジェットコースターが続けば、観ていて疲れそうなものだが、それは全くなかった。忙しくならない小気味のいい切り替えに、溜めるときは溜めて魅せるアクションシーンがあって、2時間疾走感を保っているのだ
説明的な台詞がないどころか、なるたけ余計な台詞をしゃべらせないのは、『マッドマックス2』にも共通する傾向だが、本作はそれに磨きがかかっている
それでもキャラクターの動かし方がしっかりしているので、自然と話の筋は理解できる
マックスは“輸血袋”の境遇から脱出するものの、フュリオサに味方する義理はない。まして、女性を助け切れなかったトラウマが彼を苦しめている
なので、ジョーから逃げる彼女たちのタンクローリーを奪って、一人で逃げようとする。まるで主人公らしからぬ、このモヒカン同然の行動が、作品世界の苛烈さを言わずと説明している
ヒーロー物のお決まりでなしに、マックスとニュークスと女たちが三すくみの状況から、チームを為す過程が最高に好きである
そして、悪のカリスマであるイモータル・ジョーが、我が子を可愛がって攻撃をためらうなど、敵味方を同じ人間として扱う視線も健在で、シリーズを蘇らせるに相応しい作品だった


前作 『マッドマックス3/サンダードーム』

メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド
Abbie Bernstein
玄光社
売り上げランキング: 19,813
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【DVD】『マグノリア』

蛙と犬が可哀想なラスト


マグノリア [DVD]
マグノリア [DVD]
posted with amazlet at 17.01.09
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2014-12-17)
売り上げランキング: 3,336


自己啓発セミナーの名物講師フランク・マッキー(=トム・クルーズ)クイズ番組のベテラン司会者ジミー・ゲイター(=フィリップ・ベイカー・ホール)とその娘でヤク中のクローディア(=メローラ・ウォルターズ)、その彼女と恋に落ちる警官ジム・カーリング(=ジョン・C・ライリー)、ジミーのクイズ番組で活躍する天才少年スタンリー(=ジェレミー・ブラックマン)とその父親リック(=マイケル・ボーウェン)、元天才クイズ少年で今は冴えない営業マンのドニー(=ウィリアム・H・メイシー)瀕死の大富豪アール・パートリッジ(=ジェイソン・ロバーズ)とそれを介護する妻リンダ(=ジュリアン・ロバーツ)看護士フィル(=フィリップ・シーモア・ホフマン)。サンフェルナンド・バレーで、無関係だった彼らが「ありうべき偶然」で交錯する

三連休でないと観れない映画であった。なにせ、三時間を超える大長編なのだ
どこかでダレるのでは思えたが、上手い具合に人物の視点が切り替わるので、まったく飽きない! ちょうど人間の目の高さにカメラを回しているから、視聴者の生理になじんで情報量や場面転換の多さが負担にならないのだ
10人前後の主要人物は、全てが直接関わるわけではない。危篤に等しい状態の大富豪アール周辺、そして余命2ヶ月を告げられた名司会ジミーと出演するクイズ番組が、ストーリーは大きな二つの塊に分かれて、そこから個々の人物につながっていく
思わぬところで出会うと思えば、背景はあるのに交わらないとか、冒頭に掲げられるようにありうべき偶然が人々をぶつからせる。中盤まではそれが自然で生々しく、グッとドラマへ没入させてしまう

中盤以降にそれぞれのドラマがヤマを迎えると、一気に芝居気が増していく。元天才少年がバーテンに愛の告白をし、警官がデートで有頂天後に拳銃を無くして、マッキーが実父との面会に逡巡するなど、畳み掛けられていくので見る側は「いったいどうなっていくのか」と圧倒されざる得ない
すべての物語が上手く転がるわけではない。むしろ、上手く転がらない話ばかりである
正直、「ここまで懺悔させておいて、なんでハッピーエンドにしないのか」と呻きたくなる結末もちらほら。「ありうべき偶然」の象徴として蛙の雨を降らせるぐらいなら、みんな丸くまとめても良かったのではないか
ラストこそ違和感を残したものの、そう上手くいかないのが人生というのも、またしかりか。「好きに生きた人生に悔いが残らないなんて、嘘だ」「悔いを土台にして、その次を生きるのだ」「人生はいまいましいほど長い」、意識が定かでないアールの口からこぼれる言葉は重く、さりげなく流れるエイミー・マンの歌はそれなりに生きてしまった人間を慰撫する力がある
コンセプトからしてエイミー・マンのPVになってしまうのはぬぐえないのだが、それでかつ名作である


マグノリア <OST1000>
マグノリア
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オリジナル・サウンドトラック
ワーナーミュージック・ジャパン (2014-07-09)
売り上げランキング: 15,800
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【BD】『ドラゴンボール EVOLUTION』

吹き替えが、せめてアニメ準拠なら


ドラゴンボール EVOLUTION [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2010-07-02)
売り上げランキング: 154,969


2000年の昔、ナメック星からやってきたピッコロ大魔王(=ジェームズ・マースターズ)と配下の大猿によって、地球は滅亡の危機に瀕したことがあった。祖父・悟飯(=ランダル・ダク・キム)から聞かされていた孫悟空(=ジャスティン・チャットウィン)だったが、暢気に高校生活を送っているうちにピッコロに自宅を襲われて、悟飯を殺されてしまう。そして、崩れた自宅には、ドラゴンボールを探し求めるブルマ(=エミー・ロッサム)が侵入! 利害が一致してともに亀仙人(=チョウ・ユンファ)のもとへ向かう

なんとなく目に入った勢いで借りた(笑)。勢いがないと借りれない作品である
噂には聞いていたが、確かに出来は良くなかった。最低でも作り手の原作への愛は見せて欲しかったけども、それすら怪しい
レジェンド級の駄作というわけでもなく、低く安定しきっているために、ネタとして喜べるところが少ないのだ
主役が白人は、スーパーサイヤ人=白人化と歓迎される土壌では素で受け入れられるだろうし、配役の在り方もそれほど間違っていない
むしろ許せないのは、ハリウッドらしからず、セットがちゃっちいこと。CGもそれほど使われない昔ながらの特撮風であり、予算の少なさがバレバレだ
どうせ外すなら、盛大に外してもらいたい(白目)

手抜きに思われるのが、敵の陣容である
ピッコロの配下に、なぜかピラフ一味のマイ(=田村英理子)だけがいるのだ。おっぱい要員といえばそうなのだが、なんで普通の人間そうな彼女がピッコロの配下たるのか、まったく作中で説明されない
ヤムチャの登場とブルマへの絡ませ方とか、まったくもってストーリーが雑過ぎる
取り柄はチョウ・ユンファがオモロいおっさんを演じていることと、チチ(=ジェイミー・チャン)“チチ”が凄いことになっとることぐらいだ。この映画、おっぱいへのこだわりだけは、いっちょ前である
ラストに続編を思わせる場面をねじこむならば、ちゃんと予算をとって中身も作ってもらいたいものだ
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【DVD】『ブラック・ダリア』

にんともかんとも


ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組 [DVD]
東宝 (2007-05-18)
売り上げランキング: 25,363


バッキー・ブライカート(=ジョシュ・ハートネット)はボクシングをきっかけに、特務課のリー・ブランチャード(=アーロン・エッカート)とパートナーを組む。リーはかつて凶悪犯に囲われていたケイ・レイク(=スカーレット・ヨハンソン)と同棲していて、バッキーと奇妙な三角関係に陥る。しかし、「ブラックダリア事件」をきっかけにその三角形は崩れ、バッキーは謎めいた美女マデリン(=ヒラリー・スワンク)に引き込まれていく

ブライアン・デ・パルマをして、失敗作であった
600ページ以上ある大長編を2時間でまとめようとしたために、前半は駆け足となり中盤以降も原作と展開を変えざるを得ず、悪い方向にまとまってしまった
1940年代のロスを再現した映像には目を見張ったし、バッキーとリーのボクシングは凝っていたけど、下手に原作前半を忠実に映像化し過ぎたために、後半は力尽きて竜頭蛇尾になっている
もともと原作が数年がかりの物語であり、ハリウッドに向かない複雑すぎる筋書きだっただけに、企画そのものに無理があったのだろう
キャスティング的には、スカーレット・ヨハンソンがエロ過ぎで(苦笑)、誘惑するマデリンがかすんで見えてしまった。映像に残るエリザベス・ショート(=ミア・カーシュナー)がほどよく可愛かっただけに、いろいろともったいない作品である

この映画のこと詳しく語ろうとすると、どうしても小説と映画双方のネタバレになってしまう。以下は覚悟して読んでください
一番大きな改変は、舞台がロサンゼルスに限られること。原作では国境を越えたメキシコ側の都市ティファナにまで、バッキーはリーの足跡を追跡するのだが、映画ではケイと関係したマフィアとのどさくさに殺される
小説ではそのショックで、ブラックダリア事件を離れてケイと普通の結婚生活を送るが、映画だと間をおかずにリーの過去が暴露され、怒濤のごとく真相へなだれ込む
真犯人の片方がすでに死んでいて、残されたほうも事件の全貌を語って、ご都合のような自害(苦笑)。最後でリーを殺した犯人まで、バッキーが手を下してしまう
この終盤の畳み方は完全に映画オリジナルであり、小説の風味をぶちこわしてしまった。どうにもならない苦味のなかで、再生するラストが良かったのに……。プロデューサーの介入でもあったのだろうか
小説が気に入った人は見ないがいいかもしれない


関連記事 『ブラック・ダリア』(原作小説)
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【DVD】『ロード・オブ・ウォー』

先日、家族で京都鉄道博物館へ
そのうち、記事にします


ロード・オブ・ウォー [DVD]
日活 (2006-06-09)
売り上げランキング: 17,130


ユーリ・オルロフ(=ニコラス・ケイジ)は、ロシアからの亡命者が集うリトル・オデッサで育ったウクライナ系移民の子。ロシア・マフィアの構想に衝撃を受けたユーリは、父がユダヤ教に改宗したことからイスラエル関係者に接し、その優秀なUZI機関銃の売買を始める。実弟のヴィクター(=ジュレッド・レト)を引き込んで武器商人としての階段を登り続けるが、インターポールのジャック・バレンタイン(=イーサン・ホーク)がその後を追っていた

ドキュメントのような淡々とした映画だった
全編に渡ってニコラス・ケイジの回想が入り、時系列的にユーリ・オルロフの半生を追うシンプルな構成。追われる武器商人の視点しかなく、敵役のインターポールは微妙な比重でしか描かれないし、対決する場面も山場にしても盛り上がらない
パートナーである弟も薬物中毒の治療で中盤をまるまる抜けてしまうので、信頼できる相棒というよりお荷物にしか思えない
ドラマとして全体を通した一貫性の無さやテンポの悪さもあいまって、映画そのものが面白くないのだ。たとえ、ほぼノンフィクションに近く、啓蒙目的の作品だとしても頂けない。興行的に苦戦するのも止むなしだろう

作中のユーリは、父親がユダヤ教に入信した関係から、イスラエル製の武器輸入を手がけるが、軌道に載ったのは冷戦終結後
冷戦時代には、シメオン・ワイズ(=イアン・ホルム)のような各国の高官と交際できる特権階級のものだった武器市場が、冷戦終結による秩序の崩壊でユーリのようなちゃちな密売人にも参入できてしまった
ユーリは叔父であるヴォルロフ少将を通じて、ウクライナに駐留する旧ソ連軍の武器を格安で購入して、高まる民族紛争の現場に流し続けた
その中には、リベリアの独裁者アンドレイ・バプティスト(=イーモン・ウォーカー)のような冷酷非道な暴君もいて、ユーリが迷走するように武器商人の性質も変わっていく
バプティスト大統領とユーリの間でかわされた「ロード・オブ・ウォー」という言葉は、文字通り「戦争の支配者」という意味であり、作品のオチでアメリカを始めとするイギリス、フランス、ロシア、中国の常任理事国が最大の武器輸出国で、紛争の黒幕であることが語られる
しっかり作って、みんなに観てもらいたかったテーマの作品である
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【DVD】『沈黙の要塞』

原題「On Deadly Ground」
字幕より吹き替えの方がうまく意訳しているのでお薦め。敵の美人秘書が榊原良子さんだ、わーい


沈黙の要塞 [DVD]
沈黙の要塞 [DVD]
posted with amazlet at 16.11.26
ワーナー・ホーム・ビデオ (2000-08-25)
売り上げランキング: 47,317


アラスカの油田“エイジス1”で、大規模火災が生じた。経営者のジェニングス(=マイケル・ケイン)ともにやってきたフォレスト・タフト(=スティーヴン・セガール)は、爆発処理で収拾するが、現場監督のヒュー・パーマー(=リチャード・ハミルトン)は噴出防止装置の不備を疑っていた。ヒューはフォレストに“エイジス1”の極秘情報を探るように頼むが、ヒューの動きを看破したジェニングスは彼にエージェントのグルーバー(=ジョン・C・マッギンリー)を送り込んだのだった

日本では沈黙シリーズ第二弾と喧伝されたが、世界観も主人公も共通しない別物
監督はなんと、スティーヴン・セガール自身!!
察しのとおり、大変香ばしい出来で、見事ゴールデンラズベリー賞を総なめにした(苦笑)
エスキモーの社会に白人の植民者が入ったきたアラスカを舞台に、大規模ロケを決行。雄大な自然をバックにした馬の追跡など、アクションの見せ場は多いのだが、なにしろストーリーに穴が多い
冒頭の爆発事故では石油の流出事故による環境汚染が心配されて、黒幕はその騒ぎによってエスキモーに採掘権が渡ることを恐れている。が、黒幕が主人公たちを陥れるために、避けるべく新たな爆発事故を起こしてしまう
そして、クライマックスには、主人公自身がエイジス1を爆発させてしまうのだ(爆)
そのうえで締めでは、本人が環境汚染の問題を訴えるという……ある意味、すごいネタ映画なのである

敵の罠にかかったフォレストは、現地のエスキモーたちに助けられる
そこでエスキモーの神話を聞かされ、酋長から「白人が大地を汚染する現実」を変えるように頼まれる。鷲の羽根で頭を突かれるユーモラスな場面から、謎のイニシエーションが始まって、神の戦士に生まれ変わる……はずだった
が、山から下りて友人と合流すると元のセガールフォレストに逆戻り「この事実をマスコミに知らせれば。無駄な血が流れてしまうわ」と正論を吐く酋長の娘に対して、「あんなおとぎ話を信じてどうする」とエスキモーの哲学を否定してしまう
それを守ったら見せ場の油田爆発がなくなってしまうからだろうが、ならばなんであんなファンタジーシーンに尺を割いたかが謎になる。なんら、影響を受けていないのだからスゴイ
ある程度、脚本家に筋を任せていて、途中で納得いかなくなったのだろう。白人がネイティヴの哲学に転向する映画はあれど、登場させといて退ける映画は珍しい

あと気になるのが、やたらと敵が主人公を褒め称えるところ。そこまで評価するのなら、戦うのをやめるか、もっとちゃんとした罠を張ったらどうかという
そして、序盤での酔漢との乱闘といい、最後の演説といい妙なタイミングで説教が入るのもセガール映画の特徴である。本人が監督をしているだけあって、いつもより自己顕示が強い!
『沈黙の戦艦』からして最後にラスボスに褒めてもらうシーンがあるなど、そうした傾向があった。どうも本人が脚本に介入しているとおぼしく、なんか敵に罵られるのが映画のなかでも嫌いなようだ
「敵にショットガンを胸に突きつけられながら、一瞬後に奪い取って相手をぶちぬく」(爆)という無刀流ならぬ無銃術を駆使するなど、アクションのキレだけは上等ないろいろ愉快な作品である


関連動画 『沈黙の戦艦』
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【BD】『フューリー』

武装SS絶対殺すマン


フューリー [SPE BEST] [Blu-ray]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2015-12-25)
売り上げランキング: 2,122


1945年4月。ドイツ本土に乗り込んだアメリカ軍は、総動員体制を引くナチスドイツの必死の抵抗を受けていた。副操縦士を失ったフューリー号のドン・コリアー軍曹(=ブラッド・ピット)のもとに、補充の新人ノーマン(=ローガン・ラーマン)がやってくる。戦場に慣れない彼に、ドンをはじめ先輩の戦車兵は荒々しく接する。激しい戦闘である街を陥落させたとき、ドンとノーマンは女性二人が潜む建物に潜入する。誤解が晴れた後、ノーマンと若いドイツ人の娘エマ(=アリシア・フォン・リットベルク)は仲良くなるが……

ナチスドイツの降伏間近での死闘を描いた戦争映画
戦車ゲーム『World of Tanks』とコラボして、パッケージの背表紙にティーガー戦車との対決が謳われていたことから、戦車戦が主体と思いきやそうでもなかった
ティーガー戦車との対決は中盤にあるものの、三台のシャーマン戦車でかかって一台のティーガーを仕留めるという、あまりにスペックに忠実な結末(苦笑)に終わる。それだけティーガーの脅威がアメリカ人の中で神話化しているのだろう
戦車同士の戦いはティーガー戦に限られていて、森に隠れる伏兵、敵がこもる市街戦、十字路での決死の攻防と、多彩な戦場が用意される一方、肉体が飛び散る戦争のえげつなさがしっかり描かれていて、『プライベート・ライアン』のドイツ本土バージョンともいえる作品なのである

戦場に慣れすぎた男たちと新人との葛藤という、戦争映画につきまとうテーマに本作は真っ向から取り組んでいる
対戦車兵器「パンツァーファウスト」を持つ女子供を容赦なく撃つことを要求されノーマンは必死に抵抗するが、ドンはチームや味方が生き残るためにノーマンを強引に引きこんで行く
転機になるのが、陥落した都市で知り合った娘エマと束の間に愛し合ったことで、占領した都市にドイツ軍が砲撃したことから、ノーマンは愛する者を奪った相手として武装SSを憎むようになる
その後は、完全にチームに溶け込んでドイツ兵に容赦なく応戦していくのだ
相手は武装SSだから遠慮する必要はない……そんな論理を見せつつも、ラストには軽いどんでん返しが待っている。戦車の下に逃れたノーマンは、相手の若い兵士に発見されるが、その慈悲によって見逃されるのだ
仇として殺しまくっていた相手によって、生を得てしまった。この矛盾を含めることで、戦争における正義の観念、戦車隊内の熱い友情と熱狂を相対化してしまう
ティーガー戦がリアルな反面、ラストの戦闘がヤクザ映画のような粘りを見せてしまうのがアレだったが、いろんな見所のある良作なのである


関連記事 【DVD】『ザ・フューリー 烈火の戦場』
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【DVD】『ストーカー』

中古で探し求めて、ようやく手に入れた。なんだか、CDぐらいの大きさのケースだった


ストーカー 【DVD】
ストーカー 【DVD】
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キングレコード (2015-06-10)
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隕石が落ちたことによってある村は消失し、調査に出た軍隊が全滅した地域があった。以来、そこは「ゾーン」と呼ばれて政府に封鎖されていた。しかし、そこには“隠された宝”、なんでも望みが叶う「部屋」があると言われ、そこへの道先案内人「ストーカー」という職業が生まれた。その一人である“ストーカー”(=アレクサンドル・カイダフスキー)は妻の反対を押し切りつつ、物理学を専攻する“教授”(=ニコライ・グリニコ)“作家”(=アナトリー・ソロニーツィン)を連れて、「ゾーン」への旅に出るが……

原作者が脚本に参加しているわりに、少し方向性の違った作品となっていた
SF要素はほとんどなく、「ゾーン」へも科学的考証はされていない。「ゾーン」に入るまでの第1部は、当局が厳重に警備する検問・巡回を突破する、ささやかなアクションシーンがあるものの、本編である第2部は「乾燥機」「肉挽き機」などの罠が登場しつつもその脅威が映像で見せられることはない。まさに「ゾーン」という魔境へのピクニックなのである
哲学談義がなければ、軍艦島などの廃坑・廃墟を巡るドキュメントのようだ
とはいえ、タルコフスキー独特の映像美が光り、現実社会がモノクロの灰色世界で、「ゾーン」に入るや美麗なカラー映像に切り換わるところなど、魔境で解放されるストーカーたちの心境が大胆に表現されている。あちらこちらに滴る水に、動かぬ戦車、沈む文明の遺品……と廃墟好きなら、三時間近い長尺でも退屈することはないだろう

ストーカー、“教授”、“作家”の「ゾーン」に対するスタンスの違いがポイントとなる
“教授”は科学の担い手だけあって、不可解そのものである「ゾーン」を分析して事実化しようとする。“作家”は分析しきれないはずの現実を分析しようとする不毛を笑いつつ、「ゾーン」に対する恐れを抱かず先頭を突っ走る
ときに、ストーカーは“作家”の暴走を怒るが、あえて先頭を切らせたりもする。新しい事態に対して、最初に反応するのは“作家”の感性だからだろうか
しかし、何でも望みが叶う「部屋」に対しては、“作家”は入室を拒む。ストーカー「ヤマアラシ」のエピソードから、「部屋」で叶う望みとはその人間の「無意識」に過ぎないと看破したからだ。絶えず自らの「無意識」と向き合ってきた“作家”からすれば、そんな望みほど無意味なものはない。「自分の腐肉など見たくもないし、人に見せたくもない」
“教授”は得体の知れない「部屋」を、世人が騒いではためにならないと爆弾で吹き飛ばそうとする。人間の理性では推し量れないものを無くしてしまおうという態度は、「ゾーン」に対する最終的な結論といっていいだろう

それに対して「ゾーン」を崇拝するストーカーは、力づくで阻止しようとする。ストーカーは実社会では無力な「ろくでなし」だが、「ゾーン」の世界では案内人としての腕を振るえる。「部屋」ではなく、「ゾーン」そのものがアイデンティティを与えてくれる無償の存在なのだ
ストーカーの想いに、“教授”も「分からなくなった」と爆弾を解体してしまう。そして、「部屋」の前にへたりこんだ三人に慰安とも思える時が流れる
「ゾーン」という大自然そのものが、退屈な近代社会から解放してくれる聖地なのである。どんな人間の行いも大地が飲み込んでしまう。三者の構図といい、なんだかロシア文学の伝統を感じるところだ
ラストにストーカーの帰還を受け入れた夫人の長い独白があって、監督が言いたかったことが正面から語られる。「苦しみなくして、幸せも希望もあるだろうか」
歩けない娘が不気味なサイコネキシスを発揮する締めは、希望とそれを上回る不安を感じさせて、原作の味も健在である


関連記事 『ストーカー』(原作小説)
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サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。