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『進撃の巨人』 第7巻・第8巻 諫山創

絵に迫力が出てきた


進撃の巨人(7) (週刊少年マガジンコミックス)
講談社 (2012-12-03)
売り上げランキング: 436

進撃の巨人(8) (週刊少年マガジンコミックス)
講談社 (2013-03-22)
売り上げランキング: 449


第7巻。エレンを囮にして、女巨人を捕獲する作戦はいったん成功したかに見えた。しかし、女巨人は仲間の巨人たちを呼び寄せ、自らを捕食させて脱出してしまう
それのみに留まらず、女巨人のうなじから脱出した本体(!)は、立体機動を利用して偵察兵団の混乱させてしまうのだった
女巨人は「鎧の巨人」と同様に、肉体の一部を一時的に硬化させる能力を持ち、巨人共通の弱点であるうなじをカバーさせてしまう。エレンとの巨人同士の戦いは絵的にも見もので、ようやく怪獣対決の醍醐味が出てきた気がする
エルヴィン団長が作戦を一部の人間に伝えなかったのには、それなりの事情はあり、それ込みで犠牲が出過ぎなのだが、ある程度の整合性は出てきた

第8巻。エレンは女巨人に敗北して連れ去られそうになったが、かろうじてリヴァイ隊長ミカサに助けられる
偵察兵団の威信を賭けた作戦の失敗で、エレンと団長たちが王都に召喚されてしまうが、アルミン憲兵隊のアニ・レオンハートにエレン奪還の手引きを手伝わせようとする。しかし、彼にはある狙いがあったのだった……
前巻で巨人から抜け出た人間が立体機動を使ったことで、女巨人=内部犯人説が浮上する。巨人化がエレンに限られないのなら、何が巨人化の引き金になるというのか。エレンの両親絡みというわけでもないようだ
それだけでは終わらず、女巨人が穴を開けた壁の中からは、大巨人が顔を見せるという驚愕の展開。人柱ならぬ巨人柱(!)とは、これいかに
壁を信奉する信仰者にも、根拠があったということになる

読者に伏せられた情報によって意表を突いてくるので、展開を楽しみつつもやや飛躍を感じるし、謎も残されたまま次へ進んでしまう。どこかで説明でなく、ドラマで昇華されないだろうか
なぜ、女巨人化したか、というところを明らかにならずに、冬眠されちゃうのだかんね


前巻 『進撃の巨人』 第5巻・第6巻
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『嘘つき中国共産党』 辣椒

中国でのペンネームは「変態辣椒」!
中国語の「変態」には、“特別”とか“スーパー”という意味があるらしい


マンガで読む嘘つき中国共産党
辣椒
新潮社
売り上げランキング: 456


習近平政権を批判して、亡命を余儀なくされた中国人漫画家が描く中国共産党の実態
本作は月刊誌『新潮45』に連載された作品をまとめたものだ
作者は自由選挙を呼びかけたり(実は中国の憲法に違反しない)、習近平で風刺したために当局から拘束、監視され、日本へ観光に出た際にスパイの嫌疑をかけられ帰国できなくなってしまった。もともと体制の崩壊まで望んでいなかったようだが、この仕打ちに表現の自由を認めない中国共産党を諸悪の根源として、徹底批判する立場に到ったようだ
そうした事情がありながら、批判の在り方はけっして度を越していない。あくまで事実を踏まえながら、是々非々で描いている
軍事技術などに関して、そのまま鵜呑みにできるかはなんともいえないものの、作者が直に触れた秘密警察による弾圧、一党独裁下での情報統制・印象操作は、中共の本質が全体主義国家であることを如実に示している

作者は習近平を全否定しているわけではない。肉マンの顔にしたのは、国家主席に就任したときに、有名店で庶民の食べ物である肉マンを注文するパフォーマンスをしたからだ
革命の元勲を父に持つ「太子党」であるものの、文革で父は失脚。そんな逆境から党内の激烈な競争を勝ち抜き、地方政府では抜きん出た業績を叩きだした実力を認めている
作者が警戒するのは、習政権で強化された情報統制と個人崇拝である
鄧小平は後継者の江沢民へ、その次の指導者に胡錦濤を指名しており、胡政権までは集団指導体制が取られていた。任期後にやりこめられてはたまらないから、その政治手法にも予定調和があった
しかし、習近平は大胆に汚職撲滅を打ち出して、報復を恐れずに大幹部の逮捕に踏み切っている。辞めたあとのことを気にしない手法から、作者は都合のいい後継者が見出せないなら、任期を延ばすあるいは終身制の「皇帝」になる気ではと読んでいる
そのひとつの根拠となるのが、中国版紅白歌合戦「春晩」での演出である。過去の指導者を映像で紹介する際に、習近平だけやけにカットが多かったという。「春晩」の構成には、国民的歌手で同番組の常連だった妻・彭麗媛の妹がプロデューサーとして関わっており、露骨に習近平を称える演出が増えて、中国の視聴者にも不評だったようだ
もっとも、「春晩」の視聴率は北部(黄河流域~旧満州)で70%越える一方、南部(長江以南)ではひと桁台と地域で大きく開いている。大陸を統合する役割を果たしているとはいえないようだが

人民解放軍への批判も鋭い。いわく、人民解放軍は党を防衛する存在であって、人民は防衛しない。その仮想敵は中国人民そのものだというのだ
北京で行われた軍事演習は、天安門広場の制圧訓練だったらしく、露骨も露骨である
それでも軍事費を拡大して空母を作ったりするのは、大国としての面子のため。しかし軍事力を誇示するわりに、あまり基地を公開しないのは、宣伝どおりの性能でないのがバレてしまうからだ
ステルス戦闘機を作ったといっても、エンジンの独自開発に失敗してロシアのお下がりだから、性能に限界あり。歩兵の装備はアメリカ製の台湾軍よりも、大きく劣るという
しかも人民解放軍そのものの腐敗が凄まじい。党の直属であるからこそ、政府の掣肘と監視を受けず、なんと階級の売官まで横行しているという
また、改革解放路線から予算を削られたことをきっかけに、従来の権益を生かした企業化に成功。民間を圧迫する財閥と化すまでに到っている
作者が強調するのは、人民解放軍が党の軍隊であり、中国人民の利益を第一に行動しないこと。党の利益を守るために、人民を犠牲にする選択をとるケースもありうるのだ
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『進撃の巨人』 第5巻・第6巻 諫山創

巨人は光合成で動くってよ


進撃の巨人(5) (週刊少年マガジンコミックス)
講談社 (2012-09-28)
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進撃の巨人(6) (週刊少年マガジンコミックス)
講談社 (2012-09-28)
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第5巻。エレンは巨人化することで、トロント地区の奪還に貢献するが、改めて正式な審問を受ける。保守的な憲兵隊は検査後の処刑を主張し、偵察兵団のエルヴィンはエレンの巨人化能力を、ウォールマリア奪還の切り札に使おうとする
エレンは審問中に「おれに投資しろ!」と叫ぶが、偵察兵団のエース、リヴァイ隊長は縛られた彼をボコボコに。偵察兵団が武力でもってエレンを統制してみせるというポーズで、隊長の冷酷さをこの一場面で表している
リヴァイ隊長とエレンは見た目が似ていて、エレンが戦士として成長する延長に隊長がいる、そんな関係に思える。もっともエレンがその道を選択するかは分からないが
その後は、ミカサ、アルミン、ジャンといった新兵組の偵察兵団入り。そして、新兵の訓練とエレンの生家への偵察を兼ねた遠征が始まる

第6巻。偵察兵団の進軍中に謎の女巨人が現われ、経験豊富な部隊を混乱させていく
平原では立体機動の助けとなる足がかりなく、精鋭であっても苦戦はまぬがれない。まして女巨人は、愚鈍な他の巨人とは違って知恵があり、急所であるうなじへの奇襲も背後に目があるのかという超反応で返り討ちにしてしまう。巨人界にニュータイプ現るである
ここまで動けるやつがいるならば、人類が巨人に追い詰められるのも分からなくもない
アルミンは女巨人が顔を確認してきたことから、同じ知恵のある“巨人”エレンを探していると直感する。鋭過ぎる勘で、頭がキレるというキャラクターがようやく開眼だ
とはいえ、この事態をまるで想定していたみたいに、リヴァイ兵長は森に女巨人を誘いこみ、エルヴィン団長が待ち伏せる場所に連れて行くのは不可解。遠征には単にエレンの生家調査だけでなく、別の目的があったと考える他ない

巨人に対抗する兵士のなかでも精鋭中の精鋭である偵察兵団だが、その作戦行動には疑問が多い
エルヴィン団長は入団の際に、偵察兵団の死亡率は九割と大戦末期の日本軍みたいなことを言い出すが、もしそれが額面どおりなら部隊はとうてい維持できない。生き残った者が精鋭となって帳尻を合わせるといっても、九割死ぬ前に実技試験で振るい落とすべきだろう。ハッタリであっても、指揮官として無能と言っているようなものである
今回の作戦に関しても、エレンの生家に巨人の秘密があるという根拠薄弱な情報に基づいて、偵察兵団の大部隊を投入しており、多大な被害を出している。大規模な部隊を出したら動きが遅くなるのだから、リヴァイ兵長らの精鋭だけを出して偵察させればいい
もし正当化するならば、実は女巨人の存在を知っていて、巨人の秘密を知るために捕獲したかったと考えるしかないのだ


次回 『進撃の巨人』 第7巻・第8巻
前回 『進撃の巨人』 第3巻・第4巻
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『新黒沢 最強伝説』 第6巻・第7巻

力技のオヤジギャグは健在


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新黒沢 最強伝説 7 (ビッグコミックス)
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第6巻では、ネットカフェ難民の瀬戸くんがホームレスたちを頼ってくる。瀬戸くんが売りたいという「株と鞭」を、いかに売りさばこうかと悩む黒沢たちだったが、実はカブトムシ」の間違いだったという壮絶なオチが待っていた(笑)
営業力だけがない瀬戸くんに代わり、歌舞伎町の酔漢に売るとこれが大繁盛。数十万の売り上げとなり、その半分で黒沢たちはキャバクラへ乗り出す
歌舞伎町で勝手に商売して、その筋の人たちがとがめないのが不思議である

キャバクラでは異相を理由に黒沢とコジエモンが覆面(!)を余儀なくされるも、途中で素顔をさらしたから店から追い出される。しかし翌日、キャバ嬢が美大生黒沢とコジエモンの異相に前衛を感じて、絵のモデルを頼んでくる
そのご褒美に、プールへデートに出かける。正直、いくら女性の気がよくてもありえない展開である(苦笑)。おっさんの妄想に現実の鉄槌を浴びせるのが、クロサワの良さだったのだが


第7巻は、黒沢が熱中症にかかった修行僧を助け、ひょんなことからなりすましてしまう。ほぼ詐欺同然にお寺で飲み食いしてしまうのだが、その修行僧・天念がやろうとしていたのは、7日間を樽の中で生き埋めとなる「土健の行」。黒沢は土建業と間違えて、引き受けてしまったのであった(爆
この「土健の行」は誰かが引き受けないと若い僧に押し付けられる儀式であり、黒沢が大騒ぎしたことで、「こんなお行は止めよう」と丸く収まる

後半ではホームレスたちの河川で、大学生たちが謎の水修行を始める。聞けば水球部の学生で、顧問の先生がプロポーズするためにサプライズな方法を訓練していたのであった
このエピソードはすんなり終わるが、次には再び天念たちが黒沢の前に姿を現す
メリカの石油王ミスター・ガソ、シェールガスの開発王ミスター・ガスの接待をするために、いっしょに来て欲しいというのだ
このミスターたちはかなりステレオタイプな勘違い外国人として描かれ、河川敷で大バーベキュー大会を開くとか、カオスな設定となっている
この外国人観は圧倒的に昭和の年代物であり、ユーモアにしても笑えない。実際にトランプみたいな大統領が出てきてしまったけど、それはまた別の話なのだ
黒沢シリーズの伝統、人生のしみじみが薄れてきたのが気がかりである


前巻 『新黒沢 最強伝説』 第4巻・第5巻
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『進撃の巨人』 第3巻・第4巻 諫山創

リヴァイ隊長がちらりと登場


進撃の巨人(3) (講談社コミックス)
諫山 創
講談社 (2010-12-09)
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進撃の巨人(4) (講談社コミックス)
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第3巻では、エレンが巨人化したことで彼が「人間か巨人か」を問われることとなる
巨人を化け物とみなしていることから、軍法会議もないままに榴弾砲を向けられての尋問を受ける。ただ人間が巨人化するという異常事態に対して、現場指揮官の一存で処分を決めようとするのは、やや疑問だろう
自らを役立たずだと思っていたアルミンが、勇気を奮い立たせて指揮官を雄弁を振るい、知恵者としてのキャラ付けがなされた

アルミンの説得は、南部を仕切る司令ドット・ピクシスに認められ、エレンの巨人化を利用した作戦が立てられる。二番目の壁の南にある都市トロント地区を奪還すべく、巨人となったエレンに穴を塞がせようというのだ
が、エレンが巨人となった自分をコントロールできなくなったことで作戦は迷走してしまうのであった
エレンを巡る訓練兵たちの逡巡は、スポーツ物のような文脈で収拾してしまい、簡単に命を投げ出していく。いかにも日本人の発想だ


第4巻では、アルミンによる捨て身の救出劇で、エレンは自我を取り戻し。見事、巨岩を壁の穴に運んでみせた。人類による初めての巨人への「進撃」である
エレンと同じ大きさの巨人が逆側から押せば、簡単に岩が外れるわけであり、根本的な解決策でない気はする(苦笑)
何気に驚いたのが、榴弾砲の攻撃で壁に張り付く巨人たちを死滅できたことである
刀による首への斬撃というスペシャルな手段でなくても倒せるのであるならば、何も立体戦闘というリスクのある手法を用いなくても、違う手段があるのではないのか
たとえば、石弓などの飛び道具を用いれば、接近する危険を冒す必要はないのだ
二割の損害は現代戦では事実上の壊滅とされる数字であり、それで秩序が保たれてしまうのも、なんか旧日本軍なのだ

その後はいきなり、兵士としての訓練時代に遡る
1巻・2巻で他の訓練兵をうまく紹介できなかったからだろうか、群像劇にするための仕切り直しである(苦笑)
エレン、ミカサ、アルミンの他に、エレンのけんか相手でリーダー向きのライナー・ブラウン、謎の格闘術に長けるアニ・レオンハート、優等生のベルトルド・フーバー、芋女サシャ・ブラウスジャン・キルシュタン、コニー・スプリンガーが紹介された
この辺は覚えておこう


立体機動戦闘というかなり高度な技術を持つ若者たちが、次々に死んでいくのが納得いかなかった
やられる時には巨人にあっさり食べられているので、敗因が分かりにくい
そもそも巨人視点で考えると、小さい生き物を捕まえにくいものである。見た目のおっとりさに比べて、意外に俊敏な「動けるデブ」ということだろうが、それをコマのなかで表現してもらいたい
巨人という特殊な相手に対して、リアルを振りかざした突っ込みは無粋なものの、作品世界の中でバランスが取れていないのは、さすがに気になってしまう
と、ここまで突っ込んでおいて、なぜか次が読みたくなってしまう作品なのである。おいおい、設定も整理・考証がなされていくのかな


次巻 『進撃の巨人』 第5巻・第6巻
前巻 『進撃の巨人』 第1巻・第2巻
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『進撃の巨人』 第1巻・第2巻 諫山創

やっと読みますわ


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進撃の巨人(2) (週刊少年マガジンコミックス)
講談社 (2012-09-28)
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はやばや実写化もされてしまった、いわずとしれた人気漫画
だいぶ前の週刊文春の記事で推薦されていて、気にはなっていたのだけど、ようやく読むことになった。ようはあんまり漫画を読まない人間ということですわ
舞台は地上に謎の巨人が闊歩する超近未来(?)。人類は巨人たちに追い詰められ、巨大な壁を築いてどうにか平和を保っていたのだが……

第1巻では突如、50mの壁を超える大巨人が現われ、城壁を破砕されてしまう。主人公のエレンは母親を失い、巨人たちへの復讐を誓うのだ
時は流れて五年後、怪力の幼馴染ミカサともに、巨人を倒すべく兵士となる
巨人には5mクラスから15mと大きさに個体差があり、見かけはそのまま真っ裸の人間。ただ、頭部を破損しても数分で元に戻るなど、強靭な再生力を誇り、唯一の弱点である首のつけねを一気に断ち切って絶命させなければならない
兵士たちは仕事人の秀さんのような戦い方が求められるので、ガスでワイヤーを射出しての高機動立体戦闘を訓練している。巨人との戦闘では、中国の武侠映画のような文字どおりのワイヤーアクションが展開されるのだ
戦いは峻烈を極め、名前ありで登場したキャラクターが次々に戦死! そして、主人公と思われた彼までもが……
50m型の巨人は、ナウシカの巨神兵を連想させる迫力だ

第2巻では、ミカサの獅子奮迅の戦いともに、彼女とエレンの過去に触れられる
ミカサには両親を殺されて犯罪者に誘拐され、エレンによって助けられた過去があったのだ。そこでエレンは強烈な正義感から犯罪者を殺傷し、ミカサもまた殺人を経験し生きる厳しさを知る。ミカサの怪力の謎は解せないが(苦笑)、彼女がアジアに出自があり(名前からして日本か)、「東洋人」はほぼ絶命状態であることが触れられる
エレンを失ったことを知ったミカサは、寸前のところで立ち直り、生き残った新兵たちともに決死の戦いを挑む
新兵たちは名前ありで描き分けられているものの、数が多すぎて読者が把握しきれないのが惜しまれる。キャラ付けする前に戦闘の連続で、死んでいってしまうのだ
連載がマガジンだからそれほどグロくはないものの、暴力描写で押している感は否めなかった
ともあれ絶望的な状況に巨人を食らう巨人が出現! まるでデビルマンのように口を広げて共食いを始める。そして、その共食い巨人が倒れたところから……

最初から「人類」と呼ばれる言葉が使われ、作品世界は現在(あるいは過去のどこかから)と通じる超未来と想定されているようだ
50mの壁を築く技術水準がありながら、都市生活は19世紀のヨーロッパで大砲や銃器もノスタルジックと人類に遺された技術はデコボコしている
広大な長城を築いていながら、あえて突出した街を築いて巨人を惹きつけるなど矛盾を感じるところもある。真田丸のような出城のイメージなのだろうが、描かれた構図だと出城間の距離がありすぎて連携がとれそうにないのだ
もっとも対巨人で、人間相手の戦術からうんぬんするのが野暮なのかもしれない
だいぶ続いているシリーズだし、細かい部分はほどほどに整理されていくのだろう


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『天の血脈』 第5巻 安彦良和

戦前日本のターニングポイント。巻末に松本健一との対談後編がある


天の血脈(5) (アフタヌーンKC)
安彦 良和
講談社 (2015-02-23)
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海人族のイソラは、神功皇后の子を実子と信じて見守ろうと、紀州の陣にまで従軍していた。しかし武内宿禰の子・襲津彦は、皇子を父の子とすべく、イソラに斬殺しようとする。一方、安積亮は妻の森谷翠に不審な人物がつきまとうことから宿を共にするも、同衾している部屋に血まみれのイソラが顕現するのだった。日露戦争の勝利から、日本政府は朝鮮への圧力を強める一方、中国への革命運動に火消しにかかり、明治の明朗さが失われていく

戦争は終わったが、安積やイソラの主人公は修羅場の連続である
森谷翠につきまとっていた男は、社会主義者であり天皇制の欺瞞を明らかにして、その爆殺を考えるほどの過激派。安積も万世一系を前提とする皇国史観に疑問を持つも、この時代にそれを口にする自由はなく、男のやり方にも同調できない
その後に遭遇するのが、日本政府が中国人留学生を締め出す問題
元来、孫文などの革命家を支援していたのに、清朝との取引から日本を革命の根拠地に使わせまいと政策転換したのだ。知り合った留学生が抗議の自殺をするも事態は変わらず、宋教仁らは日本を離れることとなるのだ
そのときに、政府の犬となって留学生を不逞の輩としたのが当時の朝日新聞!

一方、朝鮮では日露戦争後に第二次日韓協約により、朝鮮統監府を設置おかれる。朝鮮国王を皇帝とする大韓帝国に鞍替えするも、初代統監の伊藤博文が内政・外交の権限を一手に握った
とはいえ、伊藤は日本の対外進出には慎重派であり、あからさまな植民地化が列強の反発をまねくことを恐れていた
それに対して、作中の内田良平は朝鮮併合を目指して新日朝鮮人を組織し、半島を足がかりにした満蒙進出を唱える。今の満蒙は清朝の領土だが、孫文らが革命を起こして転覆させれば、日本のものになりうると考える
その政策の裏づけを得るために、嬉田教授が研究した好太王の碑文が関わってくる。古代日本が三韓征伐で百済と新羅を従えたとすれば、併合に歴史的正統性が加わるからだ
アジアの独立という大義の裏に、帝国主義がしっかり張り付いていて、この流れは大東亜共栄圏に通じるものだ。他国に身銭を切り兵士を送ることには、必ず見返りが求められる。宮崎滔天のような篤事家がいたとしても、大勢はそのように動く
内田がかつての弟子、柳斗星に襲われたことは、近代化の矛先が外へ向かうと帝国主義となる事態を象徴している


前巻 『天の血脈』 第4巻
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『多重人格探偵サイコ』 第7巻・第8巻

大塚英志氏が「9・11でビルに飛行機を突っ込ませるのは、サブカルの想像力」と言うのは、原作の漫画でやっていたから


多重人格探偵サイコ(7)<多重人格探偵サイコ> (角川コミックス・エース)
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多重人格探偵サイコ(8)<多重人格探偵サイコ> (角川コミックス・エース)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-09-01)
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第7巻。伊園美和とその一味がハイジャックした旅客機に、西園信二が姿を現した。ハイジャックを鎮圧するためだと思いきや、むしろジャンボ機を御恵てうのいる実験船にぶつけようと使嗾する
てうの実験船には、“オリジナル”の雨宮一彦がいて、摩知たちに驚きの真相を明かす。雨宮一彦は西園信二の人格を安定させるための、プログラム人格だというのだ
ガクソは西園信二という殺人鬼の人格を作り出して転移する実験をしているのだが、当初の目的は1960から70年代にかけて伝説的なミュージシャンにしてカリスマ的殺人鬼であるルーシー・モノストーンを再生させるものだったという

第8巻。オリジナルの雨宮一彦は囚われの西園弖虎から、西園信二を引き抜こうとしてダミーの自己破壊プログラムを渡されて自滅する。人間の脳をコンピュータに見立ててウイルスを送るとか、サイバーパンクにしても飛躍している(苦笑)
西園信二は伊園美和を撃てず、美和は脱走した西園弖虎へ雨宮一彦の人格を引き渡す。これにより弖虎の精神は安定し、墜落した旅客機から降りた西園信二と対峙した。西園は警察の特殊部隊に射殺され、弖虎へ新たな雨宮一彦=西園信二が引き継がれることに。まさかの主役交代である!
これにて雨宮一彦の過去を巡る一件には、ピリオドが打たれたようで、後半からは笹山伊園摩知に、チビの捜査官天馬うらん、ルーシー・モノストーンの甥(!)なる人物を加えて、新たな猟奇殺人事件に挑むのであった

一区切りついたので、ここまでの総括をしておこう
一言でいうと、かなり行き当たりばったりである(苦笑)。過激な設定だけ決めておいて、その場その場で話を転がしていく都合で、キャラクターが消費されていく。普通の漫画では考えられないスピードで消費されるので驚かされるが、余り先のことを考えていないからこそ、できる芸当なのだろう
殺人鬼の人格を植えつけられただけなのに、なぜ殺しの腕まで上達するのか、などの身体論しかり、細かい考証には大穴が空いているのだが、天晴れなぐらいキャラクターが消されていくので、見世物として成立している
原作者が『物語消費論』を書いただけあって、「昨今のサブカルチャーはかくのごとし」とその傾向をあげつらうためにやっているのかもしれない
もっとも実際には、巻を追うごとに登場人物を増やして切りきれず、プールされて重荷になっている作品のほうが多い気もするが


前巻 『多重人格探偵サイコ』 第5巻・第6巻

定本 物語消費論 (角川文庫)
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角川書店
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『3月のライオン』 第12巻 羽海野チカ

アニメ化と実写映画が立て続け!


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羽海野チカ
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12巻では、川本家の長女あかりを巡る熱い争奪戦が!!
桐山零藤本雷堂のはからいで、棋竜戦の舞台、鹿児島・指宿へ招待される。しかし、棋竜の雷堂自身はカド番で地元の対局を迎え、ゾッコンのキャバ嬢のミカと妻子がニアミスするという窮地に追い込まれていたのであった(笑)
鹿児島では三姉妹がプールや砂風呂を楽しむ場面が描かれ、あかりさんがエロいこと、エロいこと。「砂が浴衣に入って……」とか、所作もたまらん
青年誌ヤングアニマルで連載していることを思い出させるサービスシーンだった。いいぞぉ~

零はあかりの恋人候補を、勝手に採点してノートに記録する。管理人の中学時代に男子を採点する女子がいたので、どちらかというと女性の発想な気がした
男は女の視点で男を評価しがたいのだ
候補に挙がっているのは、零の担任である林田先生、将棋科学部の野口英作、同じ研究会の島田開、はてには藤本雷堂まで(苦笑)
ラストの夏祭りから、林田先生と島田八段が有望そうだけど、国語教師の林田は文学好きだった誠二郎を思い出させてやや後退か?
川本家の家族構成が変わると作品が終わってしまうだろうから、長く楽しめそうな恋の鞘当てである


前巻 『3月のライオン』 第11巻
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『天の血脈』 第4巻 安彦良和

本当に久々
この時代に婚約者との混浴はありなんか


天の血脈(4) (アフタヌーンコミックス)
講談社 (2014-07-23)
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軍用車両に乗り込んでしまった安積亮は、内田良平から満州のハルが日露戦争で日本側のスパイとして活躍していると聞く。再び満州に行かないかと誘われるが、神戸を過ぎたところで列車から飛び降りて脱出した。そこは偶然にも五色塚古墳があり、突風ともに古代世界へと巻き込まれていく。仲哀天皇の皇子たちは、神功皇后が三韓征伐中に生んだ子供を天皇に立てることを恐れて、凱旋する艦隊を襲おうとしていたのだった

日露戦争は淡々と終結へ向かっていく
安積はあくまで歴史の真実を追究することにこだわり、内田良平の誘いを断る。彼との仮祝言を終えた森谷翠は、幸徳秋水の平民新聞に影響されて、天皇の万世一系を否定社会主義へのめり込んでいた
怒った安積は平民新聞に乗り込むが、逆に彼の師である嬉田が時勢の要求で史実を曲げる政府の犬であると論駁されてしまうのだった
その平民新聞で再会するのが、大杉栄。彼は最初、社会主義に傾倒するが、日露戦争の講和条約に怒った国民が暴動を起こす(日比谷焼打事件)に及んで、無名の大衆たちのパワーに感動して無政府主義(アナーキズム)へと転ずる
この暴力的な大衆に姿を、嬉田の「暗い時代が始まる」という予言に重ね合わせるラストには震えた。当局の弾圧を受ける社会主義や無政府主義に同情的な視線を向けず、軍国主義へと転がる過程として捉えるのだ

ネタバレになるが、嬉田は政府の犬にはならなかった
内田良平の要求に対して、神功皇后の三韓征伐はあくまで百済の救援が目的であって、高句麗や新羅を征服したわけではないと反発。高句麗の好太王とも戦っておらず、実際に軍事衝突があったのは息子である応神天皇のときであり、そのときも百済や新羅を服属させたわけではない
それが誇大に伝えられたのは、好太王が自らの武功を誇るために碑文に刻んだことが始まりであり、これを「真」とすると当時の倭国が朝鮮半島の政治情勢を左右するほどの軍事大国だったことになる
巻末の松本健一との対談で、嬉田のモデルが喜田貞吉と明かされる。喜田は水戸学に始まる南朝正統論に対して、小学生の教科書に南朝・北朝を併記したことから休職に追い込まれたという
この巻末の対談は、主人公が“安積”族=海人の一族の末裔であることの意味など、シリーズに隠された歴史背景を解き明かしてくれるので非常に勉強になる。必読である


次巻 『天の血脈』 第5巻
前巻 『天の血脈』 第3巻
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サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。