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『多重人格探偵サイコ』 第11巻・第12巻

マンガもけっこう積んでます


多重人格探偵サイコ (11) (角川コミックス・エース)
田島 昭宇 大塚 英志
角川書店
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多重人格探偵サイコ (12) (角川コミックス・エース 23-29)
田島 昭宇 大塚 英志
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 198,110



第11巻は、まだ刑事・小林洋介の彼女が生きている時代、第一巻の前日譚である
ガクソの実験が1970年代ルーシー・モノストーンとその信者の集団自殺としてスタートし、1990年代ルーシーをカバーする‟”というアイドルを利用して計画が再開された
同じ時期に小学校のウサギ殺し笹山小林が取り組み、木戸灰人という高校生が容疑者として浮かび上がる。その裏には表ざたにはなっていない人の体を真っ二つにする猟奇殺人が隠れていて、正体が気になる木戸はその犯人・鏡男(ミラーマン)小林洋介の別人格の探偵・西園伸二に探してもらうのだった

ガクソの手に及んだ人物には、必ず表と裏の人格があり、誰かのコピーだったりする。本巻では、10巻までに語られてきた設定が分かりやすく、整理されている
刑事・小林洋介は、裏の顔として多重人格探偵・西園伸二を持つが、さらにその裏には‟サイコ”雨宮一彦が隠れている
木戸灰人伊園摩知は単純に表裏の二種類だが、ガクソのコントロールを離れて自然発生したのが雨宮一彦の人格だったのだ
アイドル℃はプロデュースする大江公彦と一卵性双生児の兄妹で、ルーシー・モノストーンのクローン。一人に二つ・三つの人格がある者もいれば、二人に一つの人格が分かれていたりする。それがサイコの世界だ


第12巻。伊園摩知はガクソの研究者・若女(わかめ)に人格が切り替わった。それでも雨宮一彦に対する執着は消えず、その人格を有する西園弖虎を追い回す
11巻でも出てきた雨宮教授は、若女をガクソの中核である地下坑道を案内するが、若女はその一方で駐日アメリカ大使になった御恵てう=ミセス・ジョークマンと接触するのだった
今まで頼もしい女性だった伊園摩知が、若女となって雨宮一彦への愛情から敵に回るという展開が衝撃的である

今回は政治ネタが多い。日本の自主独立を目指す鬼干潟首相純粋な日本人‟天孫族”を再現しようとする民族主義のプロジェクトに対して、ジョークマンはアメリカの意志として日本人の攻撃精神を奪った歴史と再び好戦的にする必要性を語る
日本を反共の尖兵するのは、朝鮮戦争が始まって以来行われているアメリカの方針で、自民党が「社会主義化してしまう」と跳ね返していたのだが、イラク戦争後の日米関係から盛り込まれたのだろう
日本の天皇制にも手を付けるべきというジョークマン。次期首相候補にもと持ち上げられた伊園若女は、これをどう考えるか
笹山たちを右翼の大物・清水に合わせて、「人間の内にある心…感情それらだけは唯一無二!」「たとえそれがコンピューターでプログラムされたり人為的に作り出された物でも」という台詞は、狂った世界で一服の清涼剤のよう。これが原作者の本音なら、右翼的な心情重視の人にも思えるがどうだろう


前回 『多重人格探偵サイコ』 第9巻・第10巻
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『3月のライオン』 第13巻

二階堂の宿命


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白泉社 (2017-09-29)
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13巻では、順位戦の谷間に設けられた東陽オープンにおいて、宗谷名人との対局に燃える二階堂晴信に焦点が当たる
憧れの宗谷と対戦に興奮する二階堂に、嫉妬と羨望の眼で見守る零をはじめとする棋士たち。宗谷は二階堂得意の角替りに誘導し、相手の全力を受け止めようとする
二人の噛み合う将棋は入玉が絡む終盤にまで白熱するが、二階堂に勝機が訪れた矢先に動きを止めてしまう。「お前、今勝ってんだぞ!」と思わず零
異変に気付いた宗谷は二階堂をはたいてみせるが、そのまま倒れてしまうのであった
村山聖をモデルにしているとはいえ、どこまで合わせるかは気になるところだが、その後の滑川の述懐では、倒れる様と「死」を重ね合わせていて……

今回は零本人はさておいて、他の登場人物にそれぞれ章立てされている
あかりを巡る林田と島田の後日談、「死神」滑川七段と葬儀屋を継いだ弟との話、後藤九段との別れを感じる香子の述懐であり、どれも余韻を残す名編である
特に香子の話は、零への当てつけを反省するものであり、いわば彼女と零のエピソードに静かに終止符を打つような内容であった。香子は作品の中で数少ない‟劇薬であり、できれば本編で零と絡んでその境地に至って欲しかったし、一章で済ますのは勿体なかった。その分、二階堂など他の登場人物に紙数が割かれるのだろうけど
ともかくも、これで物語の方向が定まってきたと思う


前巻 『3月のライオン』 第12巻
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『ベルセルク』 第39巻 三浦建太郎

物語はやっと中盤?


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白泉社 (2017-06-23)
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ガッツたちは大航海ののちに妖精の島にたどりついた
妖精の島は同時に魔法使いの島でもあり、一行に案山子や野菜の化け物をけしかけたのは、余所者を警戒する魔法使いたちなのであった。そんな保守的な彼らのなかでも、禁忌の守護者を放ったお騒がせ魔女モルダは、今後のストーリーに絡んできそう。ガッツのパーティは何人まで増えるのであろう(苦笑)
シールケの師匠と大導師が知り合いだったことから、すんなり受け入れられキャスカの正気取り戻すために、妖精の女王‟花吹雪く王”との謁見に臨むのであった

大導師たちによって、転生したグリフィスが行ったことが説明される。本巻は半ば説明回である
彼らが大幽海嘯と呼ぶのは、天界と地上界と冥界をつなぐ「世界樹」が顕現し、幽界の力が猛威を振るうこと。グリフィスが世界樹を封印していた「霊樹の森」をつぶし続けることで、世界を変えてしまった
ガッツはグリフィスの目的を問われるが、「国盗り」であると同時に「それは手段であり、さらなる高みを目指すこと」と答える
大混乱の世界のなか、首都ファルコニアの周辺のみに秩序が残されていて、グリフィスは偽救世主として統治している。果たして、彼の目指すさらなる高みとは、なんなのだろう

後半はシールケとファルネーゼによるキャスカの夢探検。いまいち、活躍の場のないファルネーゼにお鉢が回ってきた。ナニのシーンでなぜにシールケの目を塞ぎ、自分は見たのであろう(笑)
ともかくも、シールケの登場以降の傾向なのだが、幅が広がった反面、作品に丸みが出てしまったのが寂しい。ガッツら三人で酒を飲む場面は、妙に主人公の人格が出来上がってしまって違和感を覚えてしまった
初出から30年近い時間は、作品に変化を与えずにいられないだろうが……


前巻 『ベルセルク』 第38巻
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『進撃の巨人』 第9巻・第10巻 諫山創

引っ越しのためにも、積読解消せねば


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第9巻。崩れた壁のなかに巨人が埋もれていたことで、調査兵団はウォール教の司祭ニックに説明を求めた。しかし、第二の壁である「ウォール・ローゼ」内に巨人が出現したことで、各兵団は騒然とする。メガネっ子分隊長ハンジ・ゾエの分析により、壁の材料と巨人の組織に共通点があることから、エレンの巨人化をもって穴を塞ぐこととなるが……

安全地帯のはずの壁の内側に巨人たちが出現したことで、各地で攻防戦が展開される
不気味なのが、人間くさい巨人たちが増加していくことだ
コニーが里帰りすると、彼の母親くさい巨人が壊れた小屋でひっくり返っていたし、雪男のように剛毛に覆われた巨人は、人間のように巨人たちを統率し、手練れの兵員を討ち取っていく


第10巻。「ウォール・ローゼ」内の混乱を垣間見た司祭ニックは、巨人と壁の秘密を明かせる血族の名を明かす。調査兵団は慌ててその血族を確保しようとするが、立てこもっている古城には、夜間にも関わらず巨人たちが殺到し、ピンチに陥ってしまう。そこで104期生のユミルが巨人と化して、我が身を顧みない獅子奮迅の戦いを見せるのだった

エレン、アニに続いて第三の元人間巨人が登場!
巻末でも、第一巻に登場した「鎧の巨人」や壁を壊した「超大型巨人」がカミングアウトするという衝撃の展開を遂げる。剛毛の巨人もその知者ぶりから元人間は確実であり、巨人対巨人が当たり前というデビルマンのような様相を呈してきた
「鎧の巨人」は進撃の巨人の代名詞的存在であり、そのあっさりとしたネタバレには茫然としてしまったが(苦笑)、特撮要素が濃くなったおかげで、作者が何をやりたいか、明確になったのは良かった


人間から変身する巨人が登場したことで、巨人の素性が見え始めた。なんであれ、人類は人類と戦っていたのである
人間社会に〝巨人”が潜入していわりに、「剛毛の巨人」が人間側の基本戦術を知らないなど、巨人側がどれほど連帯しているかは微妙なものの、これからは巨人対巨人、組織対組織の戦いが普通に展開されていきそうだ
どの〝巨人”もうなじに本体の人間がいるのが原則らしく、巨人の体が傷つくと人間も連動してダメージがいくとか、エヴァとか『獣神ライガー』を思い出させる(懐かしい)。そういうものとして、読めばいいのだ


前回 『進撃の巨人』 第7巻・第8巻

獣神ライガー  [マーケットプレイス コミックセット]
永井 豪
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『俺はまだ本気出してないだけ』 青野春秋

新訳Zの第1部のときに、カミーユ役の飛田さんが富野監督に「親が死んでも、腹が減るですね」といったそうで
まさに今の、私の心境


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42歳のサラリーマンが唐突に会社を辞め、漫画家を目指す!? そんなダメ親父の日常と思考を軌跡を描く
2013年に映画化もされ、ネットでもタイトルをスラングとして使われている話題作である
パッと読んだところ、素人目にも絵が上手いとは言いがたく、アシスタントがいないのか背景も白い部分が多い。話の筋もメリハリがあるわけでもなく、かろうじてオチがある感じだ
作者自身の境遇に近いのではないか、と思わせる私小説的な内容ながら、いまいち真に迫るわけでもなく、帯にあるような“コメディー”といえるほど昇華しえていない
しかし、管理人が主人公の年に近いせいだろうか、不思議と琴線に触れてしまう。なまじ経験だけはあるから、“普通に”悲惨な出来事にもその場はスルーできるものの、夜道にふと真理に築いて凹む。等身大のおっさん感覚がここにはあるのだ

冷静に読むと、主人公・大黒しずおそれほどのダメ人間でもない
40代まで会社に勤め高校生の娘がいる時点で、悪くない半生である。非正規人生と独身の長い管理人には勝ち組に等しい(苦笑)
失業後の自堕落も、絶望的な就活から陥る人も多い、一般的なレベルだ。現実でもフィクションでも、もっと深刻なケースはやまほどあることだろう
むしろ、いくらボツを出されても周囲に馬鹿にされても、漫画を書き続ける執念は称えられるべきものである
いわゆるダメ漫画にしては、ダメの度合いが足りないのだ

にも関わらず惹かれるのは、他の登場人物もまた、それぞれ欠点や人には見せられない過去を抱えているからだろう
バイト先で知り合った市野沢は、26歳にして暴力沙汰を起こして職を転々としてしまう。何の目的もない彼にとって、無理矢理であれ漫画家を目指すシズオは少しうらやましく見える
いつも罵るシズオの親父にも、会社が潰れて居酒屋を始めた苦しい過去があり、辞めた当初はシズオのように引きこもって酒をあおっていた
そのほか、付き合いの長い友人・宮田はバツイチに子供に会うのは大変とか、シズオそのものというより、周囲の登場人物との触れ合いにこの作品の魅力がある
みんな、どこかがダメであり、ダメのない人間などいない。生きるのはみんな大変なのである


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『多重人格探偵サイコ』 第9巻・第10巻

身内が入院したので、DVD週に一本計画は白紙


多重人格探偵サイコ (9) (角川コミックス・エース)
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角川書店
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第9巻。雨宮一彦を失った伊園摩知は、警察の笹山天馬うらんに、ルーシー・モノストーンの甥と称する小池とともに、死体に天使の羽根の絵を残す猟奇殺人に挑む……というのが前巻までのあらすじ
西園弖虎は矯正施設に放り込まれ、ガクソの“キャンディマン”法務大臣鬼干潟によってこき使われており、天使の羽根とは別の猟奇事件に組織の少年たちと関わる。そこへ雨宮一彦の記憶を持つ弖虎に対して、ルーシー・モノストーンの再生を目指す小池がその記憶を奪おうと挑むという、ややこしい筋書きだ
本巻から新しいキーワードとなるのが「スペア。ガクソ脅威の科学力によって、単に遺伝子が同じクローン人間であるのみならず、指紋や虹彩までが同じという人間が用意されている。目的は要人が病気になったときに臓器を取り替えるためだが、なぜそんな科学力がありながら臓器だけをを作らずに、人間として育て社会に解き放っていたのかは謎である(爆)
で、天使の羽根の件は、あの看護婦が犯人でいいのだろうか。なんともやっつけな死に方だった

第10巻。法務大臣鬼干潟はついに、内閣総理大臣へ。優生学に基づくエリートによる統治を目指す
小池を返り討ちにし、“キャンディマン”をも撃ちぬいた弖虎は、矯正施設から脱走したらしい(キャンディはもう要らないのか?)。しかし鬼干潟の影響を脱したわけではないようで、反鬼干潟の議員の「スペア」を殺しまくっている。殺人鬼の人格を移す精神転移を使いこなしていて、目標の少年をサイコ化して自殺させる完全犯罪である
本巻の山場は公安課の鬼頭が、自身が鬼干潟の「スペア」であることに気づき、それを殺そうとするところ。それに弖虎も手を貸すが、実は主体的に行動しているようで、そう仕組まれていたのではないか……という、いかにも本作らしい余韻を残す
もっとも臓器だけ作る研究をしていれば、こんなリスク犯さなくて済んだろうが(苦笑)
そして、最後には摩知までが……これは次巻も読まざる得ない

眼球にバーコードを施すことから始まって、本作で強調され続けるのが管理社会の恐怖である
エリートが国民を管理しやすいために国民総背番号制や街頭に監視カメラを仕掛けて顔面認証するなどの例が挙げられている。近年スノーデンファイル日本がアメリカから個人監視のシステムを提供されていたことが発覚したりと、対テロ対策を口実に国家が個人情報を集め過ぎるのではないか、という問題意識は持つべきだろう
ただ警察情報をネットカフェからハッキングするとか(そんな機密データがインターネットにつなげられるパソコンにあるわけない)、本作のIT知識はかなり怪しい
センター試験で国民の指紋を集めるなども、ありえない想像だけど、(スマフォのタッチIDやら)指紋認証が一般化していく今となっては、それが個人情報に結び付けて集積されるのも時間の問題である。本作の陰謀論がリアリティを持つとか、嫌な時代である


次巻 『多重人格探偵サイコ』 第11話・第12話
前巻 『多重人格探偵サイコ』 第7巻・第8巻
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『軍靴のバルツァー』 第8巻 中島三千恒

近場の本屋で姿を消したので、休載かと勘違いしていた……orz
単行本中心で読んでいる人間には、突然置かなくなると判断に困る。ネットでチェックする習慣をつければいいんだけどさ


軍靴のバルツァー 8 (BUNCH COMICS)
中島 三千恒
新潮社 (2015-12-09)
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バーゼルラントの第一王子フランツは、血統の秘密を暴こうとする第二王子ライナーへのクーデターを決行。ライナーは士官学校の生徒を動員して、からくも防いだのが前巻
第9巻では、フランツ側が南の大国エルツライヒの砲兵を使っての砲撃戦を開始する
主人公のバルツァーヴァイセン陸軍の参謀長によって足止めされていた。陸軍としてはバーゼルラントが内戦状態となって併合してしまったほうが、話が早いと考えているのだ
一方のヴァイセン国王軍が政治上の主導権すら握る状況を嫌い、外交的解決をバルツァーに言い渡す。国王と軍、士官学校の生徒やライナー王子への友情と自身の将来との板ばさみに苦しむ彼だったが、政治的将校としての才能を発揮して、針の穴にらくだを通す道を選ぶのであった
ラストでは、ライナーの国の将来に対する決意も明かされ、クライマックスに向けてどう決着がつくか興味深い。いや、終わりが近いか、遠いかはまったく分からないけれど

今回の主題は、要塞を巡る近代砲撃戦
大砲の精度が低い19世紀では、見えない距離を撃つのは様々な苦労があった。まず観測兵を送り込んで目標までの距離を測定し、測量のための砲撃を行う。その砲撃を測って砲を修正し、徐々に的中を目指していく
たとえ正しく測量できたとしても、砲弾の着弾にはバラツキがあるのが当たり前。大砲それぞれの癖まであるので、演習の段階から射表を作っておいて把握し、もっとも目標から外れた弾着の4分の1以内に半数が入っていれば「命中」と見なした。範囲攻撃」がこの時代の大砲なのだ
士官学校の大砲を押さえられなかったクーデター側は、エルツライヒから馬で引いて移動できる騎馬砲兵昔ながらの臼砲(曲射砲)と持ち出したりと、様々な大砲が紹介されている
また、大砲の運用には観測を砲兵に知らせる通信手段が重要。電信がすでにある時代といえど、作中では気球から鏡で日光を反射させる原始的ともいえる手法が切り札となっていた。ほんと、勉強になる漫画である


前巻 『軍靴のバルツァー』 第7巻
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『進撃の巨人』 第7巻・第8巻 諫山創

絵に迫力が出てきた


進撃の巨人(7) (週刊少年マガジンコミックス)
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進撃の巨人(8) (週刊少年マガジンコミックス)
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第7巻。エレンを囮にして、女巨人を捕獲する作戦はいったん成功したかに見えた。しかし、女巨人は仲間の巨人たちを呼び寄せ、自らを捕食させて脱出してしまう
それのみに留まらず、女巨人のうなじから脱出した本体(!)は、立体機動を利用して偵察兵団の混乱させてしまうのだった
女巨人は「鎧の巨人」と同様に、肉体の一部を一時的に硬化させる能力を持ち、巨人共通の弱点であるうなじをカバーさせてしまう。エレンとの巨人同士の戦いは絵的にも見もので、ようやく怪獣対決の醍醐味が出てきた気がする
エルヴィン団長が作戦を一部の人間に伝えなかったのには、それなりの事情はあり、それ込みで犠牲が出過ぎなのだが、ある程度の整合性は出てきた

第8巻。エレンは女巨人に敗北して連れ去られそうになったが、かろうじてリヴァイ隊長ミカサに助けられる
偵察兵団の威信を賭けた作戦の失敗で、エレンと団長たちが王都に召喚されてしまうが、アルミン憲兵隊のアニ・レオンハートにエレン奪還の手引きを手伝わせようとする。しかし、彼にはある狙いがあったのだった……
前巻で巨人から抜け出た人間が立体機動を使ったことで、女巨人=内部犯人説が浮上する。巨人化がエレンに限られないのなら、何が巨人化の引き金になるというのか。エレンの両親絡みというわけでもないようだ
それだけでは終わらず、女巨人が穴を開けた壁の中からは、大巨人が顔を見せるという驚愕の展開。人柱ならぬ巨人柱(!)とは、これいかに
壁を信奉する信仰者にも、根拠があったということになる

読者に伏せられた情報によって意表を突いてくるので、展開を楽しみつつもやや飛躍を感じるし、謎も残されたまま次へ進んでしまう。どこかで説明でなく、ドラマで昇華されないだろうか
なぜ、女巨人化したか、というところを明らかにならずに、冬眠されちゃうのだかんね


次巻 『進撃の巨人』 第9巻・第10巻
前巻 『進撃の巨人』 第5巻・第6巻
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『嘘つき中国共産党』 辣椒

中国でのペンネームは「変態辣椒」!
中国語の「変態」には、“特別”とか“スーパー”という意味があるらしい


マンガで読む嘘つき中国共産党
辣椒
新潮社
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習近平政権を批判して、亡命を余儀なくされた中国人漫画家が描く中国共産党の実態
本作は月刊誌『新潮45』に連載された作品をまとめたものだ
作者は自由選挙を呼びかけたり(実は中国の憲法に違反しない)、習近平で風刺したために当局から拘束、監視され、日本へ観光に出た際にスパイの嫌疑をかけられ帰国できなくなってしまった。もともと体制の崩壊まで望んでいなかったようだが、この仕打ちに表現の自由を認めない中国共産党を諸悪の根源として、徹底批判する立場に到ったようだ
そうした事情がありながら、批判の在り方はけっして度を越していない。あくまで事実を踏まえながら、是々非々で描いている
軍事技術などに関して、そのまま鵜呑みにできるかはなんともいえないものの、作者が直に触れた秘密警察による弾圧、一党独裁下での情報統制・印象操作は、中共の本質が全体主義国家であることを如実に示している

作者は習近平を全否定しているわけではない。肉マンの顔にしたのは、国家主席に就任したときに、有名店で庶民の食べ物である肉マンを注文するパフォーマンスをしたからだ
革命の元勲を父に持つ「太子党」であるものの、文革で父は失脚。そんな逆境から党内の激烈な競争を勝ち抜き、地方政府では抜きん出た業績を叩きだした実力を認めている
作者が警戒するのは、習政権で強化された情報統制と個人崇拝である
鄧小平は後継者の江沢民へ、その次の指導者に胡錦濤を指名しており、胡政権までは集団指導体制が取られていた。任期後にやりこめられてはたまらないから、その政治手法にも予定調和があった
しかし、習近平は大胆に汚職撲滅を打ち出して、報復を恐れずに大幹部の逮捕に踏み切っている。辞めたあとのことを気にしない手法から、作者は都合のいい後継者が見出せないなら、任期を延ばすあるいは終身制の「皇帝」になる気ではと読んでいる
そのひとつの根拠となるのが、中国版紅白歌合戦「春晩」での演出である。過去の指導者を映像で紹介する際に、習近平だけやけにカットが多かったという。「春晩」の構成には、国民的歌手で同番組の常連だった妻・彭麗媛の妹がプロデューサーとして関わっており、露骨に習近平を称える演出が増えて、中国の視聴者にも不評だったようだ
もっとも、「春晩」の視聴率は北部(黄河流域~旧満州)で70%越える一方、南部(長江以南)ではひと桁台と地域で大きく開いている。大陸を統合する役割を果たしているとはいえないようだが

人民解放軍への批判も鋭い。いわく、人民解放軍は党を防衛する存在であって、人民は防衛しない。その仮想敵は中国人民そのものだというのだ
北京で行われた軍事演習は、天安門広場の制圧訓練だったらしく、露骨も露骨である
それでも軍事費を拡大して空母を作ったりするのは、大国としての面子のため。しかし軍事力を誇示するわりに、あまり基地を公開しないのは、宣伝どおりの性能でないのがバレてしまうからだ
ステルス戦闘機を作ったといっても、エンジンの独自開発に失敗してロシアのお下がりだから、性能に限界あり。歩兵の装備はアメリカ製の台湾軍よりも、大きく劣るという
しかも人民解放軍そのものの腐敗が凄まじい。党の直属であるからこそ、政府の掣肘と監視を受けず、なんと階級の売官まで横行しているという
また、改革解放路線から予算を削られたことをきっかけに、従来の権益を生かした企業化に成功。民間を圧迫する財閥と化すまでに到っている
作者が強調するのは、人民解放軍が党の軍隊であり、中国人民の利益を第一に行動しないこと。党の利益を守るために、人民を犠牲にする選択をとるケースもありうるのだ
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『進撃の巨人』 第5巻・第6巻 諫山創

巨人は光合成で動くってよ


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第5巻。エレンは巨人化することで、トロント地区の奪還に貢献するが、改めて正式な審問を受ける。保守的な憲兵隊は検査後の処刑を主張し、偵察兵団のエルヴィンはエレンの巨人化能力を、ウォールマリア奪還の切り札に使おうとする
エレンは審問中に「おれに投資しろ!」と叫ぶが、偵察兵団のエース、リヴァイ隊長は縛られた彼をボコボコに。偵察兵団が武力でもってエレンを統制してみせるというポーズで、隊長の冷酷さをこの一場面で表している
リヴァイ隊長とエレンは見た目が似ていて、エレンが戦士として成長する延長に隊長がいる、そんな関係に思える。もっともエレンがその道を選択するかは分からないが
その後は、ミカサ、アルミン、ジャンといった新兵組の偵察兵団入り。そして、新兵の訓練とエレンの生家への偵察を兼ねた遠征が始まる

第6巻。偵察兵団の進軍中に謎の女巨人が現われ、経験豊富な部隊を混乱させていく
平原では立体機動の助けとなる足がかりなく、精鋭であっても苦戦はまぬがれない。まして女巨人は、愚鈍な他の巨人とは違って知恵があり、急所であるうなじへの奇襲も背後に目があるのかという超反応で返り討ちにしてしまう。巨人界にニュータイプ現るである
ここまで動けるやつがいるならば、人類が巨人に追い詰められるのも分からなくもない
アルミンは女巨人が顔を確認してきたことから、同じ知恵のある“巨人”エレンを探していると直感する。鋭過ぎる勘で、頭がキレるというキャラクターがようやく開眼だ
とはいえ、この事態をまるで想定していたみたいに、リヴァイ兵長は森に女巨人を誘いこみ、エルヴィン団長が待ち伏せる場所に連れて行くのは不可解。遠征には単にエレンの生家調査だけでなく、別の目的があったと考える他ない

巨人に対抗する兵士のなかでも精鋭中の精鋭である偵察兵団だが、その作戦行動には疑問が多い
エルヴィン団長は入団の際に、偵察兵団の死亡率は九割と大戦末期の日本軍みたいなことを言い出すが、もしそれが額面どおりなら部隊はとうてい維持できない。生き残った者が精鋭となって帳尻を合わせるといっても、九割死ぬ前に実技試験で振るい落とすべきだろう。ハッタリであっても、指揮官として無能と言っているようなものである
今回の作戦に関しても、エレンの生家に巨人の秘密があるという根拠薄弱な情報に基づいて、偵察兵団の大部隊を投入しており、多大な被害を出している。大規模な部隊を出したら動きが遅くなるのだから、リヴァイ兵長らの精鋭だけを出して偵察させればいい
もし正当化するならば、実は女巨人の存在を知っていて、巨人の秘密を知るために捕獲したかったと考えるしかないのだ


次回 『進撃の巨人』 第7巻・第8巻
前回 『進撃の巨人』 第3巻・第4巻
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