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『らせん』 鈴木光司

『らせん』の映画は小説に近かったかと


らせん (角川ホラー文庫)
鈴木 光司
角川書店
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幼い息子を亡くした監察医・安藤満男は、かつて大学で同窓だった高山竜司の遺体を検視解剖した。高山の遺体の内部からは謎の暗号が現われ、安藤はそれが「RING」であると解き明かす。一方、高山の恋人でその遺稿をまとめていた高野舞は、謎のビデオテープを見たあとに消息を絶ってしまう。舞の美貌に惹かれていた安藤は、彼女のマンションを探るうちに、ただならぬ気配を感じるのだった

いわずとしれた『リング』の続編
映画では『リング』と『らせん』が同時上映されていたが、小説は1995年の出版『リング』から4年の間隔が空いている
作者が4年かけた続編だけあって、前作の世界観を大きく膨らませる大作へ変貌していた。ロッグキャビンと一本のビデオテープから始まったホラーが、世界の存亡を賭けたSFになるなど、誰が想像するだろうか
『らせん』からがSFとしての本編であり、『リング』はいわばその前日譚……というか、読み終わった後にはその『リング』こそが、『らせん』作中に出てくる小説になってしまって、その結果……(以下略)。続編によって前作の立ち位置が変わるのは、アゴタ・クリストフの『悪童日記』の三部作を思い出す
本作の貞子は映画のようなモンスターではなく、科学現象で生まれた突然変異に過ぎず、憎むべき存在になりえないことも作品を薄気味悪いものにしている

しかし、ホラーでなくなったかというと、まったくそうではない
ありふれた都市の光景の中から、ふとしたことで感じてしまう違和感や見えないものへの怯えを拾い上げていて、それが読者の日常に重なっていくのだ
そして、それに人類社会そのものを揺さぶる“サイエンスホラー”が加わっていく
安藤の同僚である宮下がやけにオカルトへ傾倒するとか、前作にも見られたご都合はある(苦笑)。普通なら「ばかじゃねーの」とオカルト的発想を止めにかかる人が出てくるものだろう
が、読者の視点に近い生活感と、DNAと遺伝子の関係から生物誕生の謎にまで行きつく薀蓄の積み重ねが、香ばしくぶっとんだフィクションを厚く包みこんでいる。読者にやぼな突っ込みをさせない強固な作品世界を作り上げているのだ
ラストにとる主人公に迫られる選択とその決断も、“サイエンスホラー”に相応しい迫力と後味の悪さ


次作 『ループ』
前作 『リング』

関連記事 『悪童日記』

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『リング』 鈴木光司

オチはSFと聞いて


リング (角川ホラー文庫)
鈴木 光司
角川書店
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4人の少年少女が同日同時刻に変死した。雑誌記者・淺川和行は姪の早すぎる死に不審を持ち、オカルトに一家言持つ教授・高山竜司に連絡を取り、彼らが夏休みに出かけた南箱根のロッグキャビンへと行く。そこにはただ、一本のビデオテープがあったのみ。しかし、そこにモノクロで映されていたのは、火山の噴火、謎の老婆、肩をかまれた男、……そして井戸。呪いを回避する“おまじない”を探すため、山村貞子を探す旅が始まる

映画のイメージとは、かなり違った
映画の貞子はビデオテープを観た人間を殺し尽くしてしまうモンスターとして扱われていて、管理人も今まで観た映画のなかで一番ビビったものだ
小説にはそうした等身大の怖さがない。主人公の淺川が客観的にはキョーレツな妄想癖の持ち主としか思えず、読者は同調できるキャラクターではないからだ。4人の変死という事実があっても、半信半疑にならざる得ないのが普通の人間ではないだろうか
強気な高山とは本当にいいコンビであり、シリアスなホラーというよりはどこか香ばしい雰囲気があって、単純なホラーではなくビデオテープから山村貞子を追いかけるミステリーというに相応しい

単純に驚いたのは、もう25年も前の作品だということだ
VHSテープに、不幸の手紙ネタ、公衆電話と今では懐かしいものがゴロゴロとしていて、リゾート地のにぎわいはバブルの名残を思わせる
家族思いの淺川に、ノリの軽い割りに純情な高山と、男性像にも昭和の匂いが強い
小説では山村貞子の生い立ちが詳しく語られていて、彼女がなぜビデオテープを作り出したかも理詰めで説明してくれる。名状しがたい恐怖ではなく、分かった上でどうにもならない恐怖なのである
映画『らせん』を観たときには、映画『リング』との調子の違いにとまどったが、小説『リング』からならあの設定にも納得。このシリーズは『パラサイト・イヴ』と同様の、サイエンス・ホラーだったのだ


次作 『らせん』

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『キャリー』 スティーヴン・キング

ぱみゅぱみゅ


キャリー (新潮文庫)
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スティーヴン キング
新潮社
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謎めいた少女キャリーには、隠された能力があった。カルト的信仰の母親に苦しめられ、高校では執拗ないじめを受けながらも、自身の意のままに物体を動かす能力、テレキネシスに目覚めていく。いじめを反省したスーザン・スネルの好意によって、その彼氏のイケメン、トミー・ロスと舞踏会に出席することとなったキャリーだったが、いじめグループの魔の手が伸びようとしていた

ホラー小説の巨匠スティーヴン・キングの処女作
超能力少女を主人公とする創作の元祖ともいえ、『サイレントヒル』『F.E.A.R.』といったホラーゲームにもその影響は甚大だ
構成は登場人物の視点ともに、キャリーが引き起こした大事件のノンフィクション、生存者の暴露本が引用する形で語られ、手記で語るブラム・ストーカー以来の伝統を踏襲、洗練した手法が用いられている。最初はやや取っ付きにくいかもしれないが、原則は時系列で事件を追いそれぞれ違う角度からの語りがなされるので、徐々に明らかになる事件の全貌、真実にひきつけられざるえない
そして、なんといっても本作の魅力は、天国から地獄へと跳ね飛ぶ急転直下の展開である。普通ならもうしばらく様々な段階を踏んで紙数を重ねるところを一気に跳躍してしまう
このダイナミックさは、怖いものなしの処女作ならではといえよう

本作の舞台は、作者の故郷メイン州のチェンバレン
作中の年代は1979年とされるが、実際の創作は1972年前後だからか「ベトコンを殺せ」などベトナム戦争の影響がそこかしこに残っている
キャリーの母親マーガレットは地元の教会を抜け出して、独自の信仰を持つにいたるカルト教団ひとり性的なものを悪と憎むあまり、自らの娘すら悪魔の産物とみなし、その女性としての成長の過程を踏みにじってしまう
その思想は最終的にキャリーをも拘束して、悲劇的な母殺しの物語へ導いてしまうのだ
この狂える母親こそが、裏の主役といえ、アメリカの個人主義から抜け出たリアルさがあって恐ろしい
と母子対決に運命的なものがあったとしても、ここまでの大事件になる必然性があるわけではなく、ある人間の好意、悪意が微妙に交錯して起きてしまったところに運命の残酷さを感じてしまう


キャリー [Blu-ray]
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『呪われた町』 スティーヴン・キング

カバーの雰囲気も『屍鬼』みたい

呪われた町 (上) (集英社文庫)呪われた町 (上) (集英社文庫)
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スティーヴン キング

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呪われた町 (下) (集英社文庫)呪われた町 (下) (集英社文庫)
(2011/11/18)
スティーヴン キング

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小説家ベン・ミアーズは、幼い頃に過ごしたセイラムズ・ロットの町へやってきた。丘の上から町を見下ろしているマーステン館は、少年時代と同じように不気味な存在感を放っていた。吊るされた犬の死体、少年の失踪に端を発した怪事件は、さらなる行方不明者、死体紛失事件へと連鎖していく。ベンは、老教師のマット画家志望のスーザンらとともに、解明に乗り出すが……

『キャリー』に続く二作目の作品にして、小野不由美の『屍鬼』の下敷きとなったホラー小説である
筋は吸血鬼物の定番も定番で、いかにも怪しげな男がそのまま正体だったりと、あまりに捻りがなさすぎる
しかし、夜も明るい現代社会に吸血鬼の恐怖を再臨させようという作者の執念が凄い。自身がニューイングランド地方のメイン州生まれであることから、極めて緻密に架空の町セイラムズ・ロットとその住人を作り上げている。生活臭がぷんぷんする分、それを壊される恐怖感が半端ないのだ
これだけ使い古された設定と先の読める展開にも関わらず、怖いのである
佳境で吸血鬼の残す置手紙にはひっくり返り(苦笑)、主人公が神秘の力で勇者化する展開は安易に思えたが、巨匠の底力を感じる作品だった

解説にスティーヴン・キングの作品は作者の意図と関係なしに、アメリカ社会を描く結果になってしまうと書かれていたが、まさにそう
この小説の恐怖が成り立つ背景には、広いアメリカで一つの小さい町が消えることぐらい、“ありえる”という現実がある
経済的基盤がなくなれば、瞬く間に人がいなくなり、廃村へとまっしぐら。古くから車社会で人の移動が激しく、市場原理が強く働くお国柄では、昔、町だった場所が廃墟になってるケースがよくあるのだ
日本だと、『屍鬼』で村人が団結してゾンビ物となったように、むら社会の本能が目覚めてしまうが、アメリカだと個人主義が祟って……という展開に
真っ向からの社会批評というわけでもないが、現代ギリシャの詩人イオルゴス・セフェリスの詩が引用され、「唯一の皇帝はアイスクリームの皇帝だ」という文句が強調される
アイスクリームの皇帝」の意味は、人々はアイスクリームのような嗜好品に耽溺し、支配されているということだろう
そんな彼らが吸血鬼となって欲望のままに不死を楽しむ誘惑をどうして退けられるだろうか。そんなメッセージが上品に隠れている


関連記事 『屍鬼』 第1巻
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『屍鬼』 第5巻 小野不由美

金本に続き城島健司が引退した
この人が正捕手として定着できなかったのが、阪神にとっては大きな傷手、低迷の要因となった
残念

屍鬼〈5〉 (新潮文庫)屍鬼〈5〉 (新潮文庫)
(2002/02)
小野 不由美

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屍鬼の浸食に打つ手がないように思われた。静信は村の運命を悟り、沙子に身を委ね敏夫と袂を分かった。しかし、敏夫は起死回生の手を打ち、屍鬼の正体を衆人に晒すことに成功する。怒り狂った村人たちは手に手に凶器を持ち、白昼動けない屍鬼たちを逆に虐殺していく。村は血に染まり、灰燼に帰していく。この逆境に静信が取った行動は・・・

前巻まで人間側が押され続けていただけに、急転直下の逆襲となった
怪異に対するホラーから、かつて知った者同士が骨肉を争うシチュエーションへのホラーに転じていて、最後は「一番酷いのは人間だぜ」というゾンビ映画の王道にたどり着いている
人と鬼の戦いではなく、人と人、あるいは鬼と鬼の争いであり、屍鬼が人間に依存する食物連鎖の関係から、イデオロギーというより生存を賭けた凄惨な戦いに発展した
長丁場に適応した淡々とした描写ながらも、ここまでの修羅場に出会ったのは久しぶりだ。まさか木槌による原始的な肉弾戦が繰り広げられようとは・・・
小説は大火事から脱出する乗用車から始まったが、最終巻でそこに到るまでの出来事が奇麗に収束されている
登場人物のそれぞれが業を背負った物語だけに、色々と違和はあるものの、いいヤクザ映画を観たような読後感があった

シリーズを総括すると、『屍鬼』の物語から感じるのは、「村社会への怨念である
例えば、年ごろの少女である清水恵は都会に憧れを持ち、このままでは村に閉じこめられ続けるのでは、と悲観して屍鬼と接触を持ってしまった
屍鬼の現実にへこむものの、彼女は変貌することで村社会の因縁から離れることができた(この世から離れることにもなるが)
その彼女が惹かれた桐島家の人びとは、場違いな洋館に住み、東京を越えて海外のセレブ然とした存在だ。日本で妖怪というと土着で伝承の世界からやってくるが、屍鬼は外界から余所者としてやって来ている
作者の分身ともいえる、屍鬼の女王・沙子が行なおうとしたのは、「屍鬼の世界を築く=村社会を潰すこと」ではないだろうか。村落共同体の論理に潰されてきた乙女たちの復讐と考えるのは穿ちすぎだろうか(苦笑)
屍鬼は辰巳が告白するとおり、人間に依存した存在であり、数を増やすことはかえってリスクを高めてしまう。沙子の行動は理屈に合わず、別次元の衝動を背負っている
外場村の社会も形骸化している反面、屍鬼たちは飯のために人を襲うというシンプルな世界を生きている。人を襲えない屍鬼は侮蔑される、実力主義の世界であり、村社会に比べれば都会的でアメリカ的でさえある
宮部みゆきの解説には、この作品はスティーヴン・キングの『呪われた街』へのオマージュとあった
それが屍鬼のアメリカっぽさにつながっていて、日本的なうっとうしさをアメリカのシンプルさで打ち払う構図になっている

傑作というべき長編小説なのだが、やや難があるのは「屍鬼」そのものに魅力が乏しいこと
血液を主体にして人間の体を乗っ取るのに、「脈がない」「心臓の鼓動がない」。なぜか体は腐らないが、血液が流れないので色々困ったことが出てくる
ぶっちゃけ、性的能力はどうなるという問題(!)があるし、屍鬼の身体に性的魅力を感じるかということも大事な問題だ
吸血鬼というと、伝統的に異性を誘惑するものであり、官能美ゆえに怪物界のスターであるのだ
意識は生きているけど体は死んだも同然では、貧乏くじもいいところなのだ。「屍鬼」になったらなったで楽しいかもしれん、と思わせる描写が欲しい(笑)
これはストーリー上も大事な要素で、辰巳や静信が沙子を特別に考えるには「女の子として可愛い」と感じなければならず、そういう色恋の部分をはっきり書いてもらいたかった
屍鬼が倒した人間が必ずしも屍鬼とならず、ただの殺人に終わってしまうことも、屍鬼が人間にとって絶対悪であることを担保しているし、色んな意味でパンツを脱ぎきっていない
またソフトな仏教徒からすると、静信が屍鬼の実存を受容れるところがドライ過ぎて、一神教の神話を題材にした小説がああ短兵急に締められるのもハシゴを外された気がした。すこし元ネタに引きずられ過ぎではなかったか
とまあ、あれこれ突っ込んでしまうのも、あれだけの修羅場を見せてくれたからこそ。記憶に残る名作なのは間違いない


関連記事 『呪われた町』続きを読む
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『屍鬼』 第4巻 小野不由美

一気に残暑がなくなり、秋が来た。長袖を慌てて買わんといかん

屍鬼〈4〉 (新潮文庫)屍鬼〈4〉 (新潮文庫)
(2002/02)
小野 不由美

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同じ異変に気付きながら、静信と敏夫は袂を分かった。静信は屍鬼を殺すことを殺人ではないか、と思い悩み、敏夫は屍鬼をあくまで怪物として扱い、あらゆる手段を尽くして弱点を探そうとする。ついに二人の周囲でも、屍鬼の魔の手は及び絶望的な状況に陥っていく

妙な感じになってきた
屍鬼の正体を言ってしまうと、ドラキュラ以前の吸血鬼で、死体から蘇ったスラブ民話の吸血鬼に近い。この前読んだ『ドラキュラ誕生』と似たような説明が作中に出てくる
外場の村社会にとって全く外部の敵であって、それでも抵抗するものはお守りや破魔矢、抹香など身近な和風アイテムに頼らざる得ない
こういう全く違う文化の宗教シンボルであっても、屍鬼が嫌がるというのが不思議である
吸血鬼の特徴として、「他人の家に入るには招かれなければならない」という伝承が採用されていて、屍鬼側の視点に立つといかに人間を騙すか、誘い出すかに“狩り”の成功はかかっている
こうした和洋混合がホラーとしては妙なのだ

静信は旧約聖書のアベルとカインをモチーフにして、弟を殺した兄が蘇った弟につきまとわれる小説を書いている
最初の“殺人”の神話を題材に、人はなぜ人を殺すのかを問いかけた文芸作品であり、静信は屍鬼に対しても“殺人”の問題を絡めて苦悩し立ち尽くしてしまう
屍鬼は生前の記憶をもって生き返っている。これを殺すことは殺人ではないのか
それに関して逡巡のない敏夫を静信は責めるのだが、これだけ取り上げると静信は無茶な理想主義者に思えるだろう
しかし、静信は屍鬼と何度となく会話を繰り返してきていて、彼らの実に人間くさい内面を知ってしまっている
宗教家の立場から、屍鬼を殺すことを殺人、と考えるのはそれはそれで筋は通っているのだ
そうはいっても、人間は一人では生きられない。村が消えていくのは静信にとっても居場所がなくなるわけなので、本当にそれを諦観して見送ることができるのかどうか


前巻 『屍鬼』 第3巻
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『屍鬼』 第3巻 小野不由美

先週の更新が少なかったのは、ゲームをやりこんでいたというより、ゲームの記事を書いていたから
まあ、他人から見たら同じことか

屍鬼〈3〉 (新潮文庫)屍鬼〈3〉 (新潮文庫)
(2002/02)
小野 不由美

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相次ぐ村人の死に、敏夫と静信はある結論に到った。何者かが被害者を襲い、その屍体が「起き上がっている」のではないか。余りに幻想的で恐ろしい結論に認めがたい静信だったが、敏夫と一緒に埋葬した墓を暴くことに同意する。そして、結城夏野も同じ推論至り、田中かおり・昭姉弟とともに屍体の確認に乗り出すが・・・

とうとう怪死の原因が明らかになった
『屍鬼』というタイトル、「村は死に包囲されている」という一節、から予測しにくい結論で、あまりに怪しく登場した人たちが真犯人というのも、裏の裏を掻いている
結論を切り出したのが、医者として科学的に考えるはずの尾崎敏夫というのも意外で、幻想小説家の静信がその説を受け止められないのが面白い
この巻からは、“屍鬼”が思いきり露出し始めるばかりか、屍鬼視点の話がウェイトを占めるようになった
被害者視点のホラーから、人間・怪物の双方向から攻防を描くバトルファンタジーへ性質が変わってきた

ネタバレ上等のブログだが、この話の真相を触れるには気を遣う
この巻では、屍鬼の正体が大事なテーマとなっているのだ
次巻からは容赦なく触れることになるので、覚悟してくださいな


次巻 『屍鬼』 第4巻
前巻 『屍鬼』 第2巻
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『屍鬼』 第2巻 小野不由美

目に見えない恐怖

屍鬼〈2〉 (新潮文庫)屍鬼〈2〉 (新潮文庫)
(2002/01)
小野 不由美

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いくら何でもおかしい。相次ぐ住人の死に対し、僧侶・静信と町医者・尾崎敏夫は、その実態の調査を追う。村の死は止まらない。それどころか、一家ごと夜逃げする家族も出、ある運送会社が必ず関与していた。死ぬ直前に辞職届けを出す被害者たち、廃墟の聖堂に静信を訪ねる美少女、そして闇の向こうに感じる視線・・・いったい何が起きたというのか

静信と敏夫がタッグを組んで不審死の調査に乗り出すが、まったく持って成果が上がらない
被害者同士に何らかの接点があるように思われるが、確証はなく医学的には既存の伝染病ではありえない
そうこうする内に、老若男女問わず死人が続出し、引っ越す家族まで出始める。なぜか夜間の引っ越しで、しかも、その行く先は誰も知らない!
もはや何かの前兆というより、原因が分かる前に村が破滅していく様相
原因についても(『屍鬼』というタイトルが掲示されているわけだが)、2巻の時点では敏夫たちは伝染病と想定していて、パンデミック(世界流行)を防ぐパニック小説として成り立ちそうな構成だ
このままストレートに考えると、バイオハザードのようにゾンビの原因が病原菌になりそうだが、そんなオチにはならんわなあ(笑)

ゾンビの「ゾ」の字も出てこず、ここまで引っ張るかという第2巻だが、ここまで引っ張るにも作者の意図がある
村の住人を被害者という記号ではなく、一人の人間として取り上げたいというのもあるだろうし、消えていく山村と村落共同体の人間関係を描きたかったに違いない
ムラは内輪では団結するものの、外部の者に対しては警戒心が強い。前田元子に顕著なように害のあるモノは外から持ち込まれる発想がある
謎の夜逃げに使われる「高砂運送」の不気味さも、ムラ社会的な想像力の産物のように思えてくるのだ(作中ではフェイクではなく、重要な存在のようだが)
管理人も地方出身でムラ社会の空気をある程度知っているから、夜に不審な車両があるとビクッとする気持は良く分かる
その一方で、時代の波に押されムラが形骸化していく一面も捉えられていて、被害者たちは気付かれずに死ぬ「孤独死」のようであり、病院で息絶える者は少ない。この部分は、極めて現代的である

前巻で触れるのを忘れたが、この小説は1998年に出版されながら、舞台の村は1980年代風である
立ち消えしたリゾート開発はバブル期を想像させるし、パソコンは全く姿がなくワープロが文明の利器扱いで、携帯電話などはもちろん存在しない
もしネットが普及していれば、外場村の怪事件は瞬く間に日本中に広がるだろうし、小説として成立しないだろう
ムラ社会の崩壊をモチーフに折り込むなら1980年代が限界で、もし無理矢理やるならアニメの『サマー・ウォーズ』のようにギャグでやるしかないのだ


次巻 『屍鬼』 第3巻
前巻 『屍鬼』 第1巻
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『屍鬼』 第1巻 小野不由美

予定がズレて9月になったが、まだ暑いのでヨシ

屍鬼〈1〉 (新潮文庫)屍鬼〈1〉 (新潮文庫)
(2002/01)
小野 不由美

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山に囲まれた外場村は、外界との関わりが少ないために未だ古い習俗が保たれた山村だ。その外場に異変が生じつつあった。山深く住む三人の村人が謎の怪死を遂げ、その死体は獣に食いちぎられたように散乱していた。そして、なぜか一人だけは死亡推定時刻がずれている。空き家だった洋館に、夜逃げのように謎の家族が引っ越してきて・・・

『SIREN』のBGMを聞きながら、読んでいたが勇み足だった
まだ、1巻目では滅びの予兆しかないのだ(『SIREN』ではゲームの最初から村が終わっている)
しかし、その予兆の,気味が悪い
まず、主人公格の一人、僧侶・静信が書く怪奇小説の一節として、「村は死に包囲されている」などが太字で示され、その後の展開を匂わせている。その小説の内容と、表向き無関係に村の生活は粛々と営まれていくため、読者はその乖離がいつ埋まるのかハラハラさせられる
怪死事件の後にいつもの日常が始まると、空き家の洋館に謎の家族が移住し、今度は思いもかけない元気な人物が逝ってしまって連続の死が続く
どこまで続くのかと読み手は心配になるが、村は不安を内包しつつもまた粛々と動き始める・・・
ここまで起こって何故、見逃そうとするのか。これが一番薄気味悪い

小説は村人一人一人の群像劇として展開されていく
一つの事象にも、各個人にとって違う解釈がなされ、違う表情を見せる。その集合をもって、読み手に全体像を想像させようとする
こうした構造はまさにゲーム『SIREN』そのもので、この作品なしに『SIREN』は存在しえないのでは、とまで思ってしまう
村の住人の生活、行動について、それぞれ丁寧に膨大な文量で描かれていくので、展開は非常にゆっくりである
時間の少ない現代人の娯楽として許されるのか、とも思うスローさだが、小説ならばこそ、これが許される。こうもぜいたくに間を使えるのが、小説というジャンルの長所なのだ
映画やマンガ、ゲームの感覚に慣れると、「まだ何も起こらぬか」と前のめりになってしまうが、あえて作品のテンポに身を委ねてもいいじゃないか。そう思わされる作品だ
群像劇ながら、主人公的に見えるのは、副住職兼小説家の静信村唯一の病院の院長・尾崎敏夫一匹狼の高校生・結城夏野。これもつい、『SIREN』の登場人物に重ねて見てしまう

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次巻 『屍鬼』 第2巻

関連記事 『SIREN R オリジナルサウンドトラック』
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『黒の碑』 ロバート・E・ハワード

法事の待ち時間にクトゥルーを読む俺って・・・


黒の碑(いしぶみ)―クトゥルー神話譚 (創元推理文庫)黒の碑(いしぶみ)―クトゥルー神話譚 (創元推理文庫)
(1991/12)
ロバート・E. ハワード

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ファンタジー世界における代表的な戦士“コナン”を生み出したロバート・E・ハワードによるクトゥルー神話短編集
ヒロイックファンタジーの書き手ゆえか、人間側が反撃に成功するケースが多いが、それまでの過程では読者の心肝を寒からしめる“ホラーがちゃんと用意されている
主人公に英雄をさせながら、クトゥルー眷属の威厳(!)を保たせたバランスは、さすがは伝説のファンタジー作家だ
感想は追記に回ってしまったが、特に『大地の妖蛆』『鳩は地獄から来る』は傑作である

「序(はしがき)」
クトゥルー作家の一人、デイヴィッド・ドレイクによる短編集の序文
ハワードの作品世界の紹介にもなっていて、彼を理解する端緒には絶好だ
なかなかの名文なので、飛ばさず読むべし

「黒の碑」
旅先の怪異にびっくり驚くというクトゥルー神話の王道パターン
クトゥルー作品の処女作だけあって、習作の観あり
この設定が気に入ったのか、他の作品にも「黒の碑」が重要なアイテムとして登場する

「アッシュールバニパル王の火の石」
イギリス人とアラブ人のコンビが禁忌の秘宝を追う探検行
意気のあった二人の掛け合いが面白く、破滅的な探検の中にもユーモアが溢れている
死にそうで死なないのも、また良し

「屋上の怪物」
旅から帰った友人が巻き込まれるという王道パターン
ひねりはないが、怖さはある

「われ埋葬にあたわず」
友人とともにある老人の遺言を実行しようとするが・・・
奇怪な老人の経歴に相応しく、その死体の周りで人知れず不思議な“葬式”が始まっていく
気がつかないうちに型に嵌められて、抜けられなくなる主人公たちがカワイソス

「妖蛆の谷」
ノルマン人の英雄ニオルドが語る、ブリトン(?)の地における怪異譚
代々のアーリア人に転生するという価値観やブリトンの原住民ピクト人への優越に、偏狭な民族主義めいたものを感じるが、それをファンタジー世界で昇華させているのが作者の持ち味か
妖蛆といっても、でかすぎて蛆とは想像できない(笑)
原語では「worm」だったのだろうか

「獣の影」
恋人に迫りその弟に重傷を負わせた悪漢を追って、誰もが避ける古屋敷に入ったが・・・
正面からはまったく敵わないので、主人公がいつ死ぬかとハラハラする
クトゥルーだとやられるのがデフォだから尚のこと

「老ガーフィールドの心臓」
親友ととも不思議な老人の死に立ち会う
老人が死ぬまでに紆余曲折があって、不意を突かれた
死んだ後の描写とオチで一気に怖くなる続きを読む
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