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『伝説巨神イデオン Ⅲ 発動編』 富野由悠季

ソノラマ文庫版は湖川絵




地球圏から追い出したソロシップ地球連合軍は脅威と見なし、マーシャル・フランクリンの艦隊を出撃。バッフクランのハンニバル・ゲンと手を組んで、共同作戦さえ行ってきた。ソロシップはそれをイデオンガンで退けるが、生まれ故郷からすら敵とみなされた絶望感が残る。その一方で、ソロ星以来の敵だったギジェがクル―に加わり、カララの妊娠が受け入れられるなど、新たな希望も目覚める

いよいよ発動にきてしまった
物語の大筋はアニメと同様で、地球連合軍のマーシャルとバッフクランのハンニバルは共同戦線を張り、イデオンの攻撃で一気に殲滅されてしまう
その最中にギジェが加入するが、小説だとコスモがキッチンを殺すはめになっただけに、殴るぐらいしか感情のやり場がない
コスモもイデに試されているという意識もあるだけに、辛いのだ
そして、ハルルの艦隊と亜空間でニアミスした際に、ソロシップが直接攻撃を受け、フォルモッサ・リンが死亡する(アニメでは、アジアン星で人質にとられ射殺)。シェリルはさらに酒量が増えるが、そんな彼女にギジェは言葉を投げかけるにとどまる
アニメでは相思相愛なので、寸止め(!)は意外。酒の勢いで口説いてはいけないとか、カララの妊娠に嫌悪を感じたり、なかなか人間の性根は治らない
カララの妊娠は希望として受け入れられるものの、小説では心の裏側まで語れてしまうせいで、ムードとしては終末へのニヒリズムが漂う

前巻でイデとは何者かという種は明らかになった。しかし、それをどう受け止めるかは人によって違う
シェリルやギジェといった研究者、インテリは、ある種の機関として捉える。第六文明人の精神集合体であるという原理を理解しているからこそ、イデを善き意志によって制御することに絶望を感じてしまう
コスモやカーシャのような戦闘員にとって、イデは身を守るための兵器。戦闘が大規模化すると、イデオンガンならバッフクランの大艦隊も母星も葬り去れると鼻息が荒い。元来は純粋な少年少女が小説では戦争の論理に染まっていってしまうのだ
小説におけるカーシャの消化の仕方は強烈である。「イデオンが人間の意志を食べ物のように吸いとって存在しているのなら、流星や戦争の被害で飽食するのじゃないのか」
そして、ソロシップに乗っていられたこと自体を選ばれた人間だとして、選民思想すら語って見せる
「独善は時に人を自失させないための道具である」(p169)

その一方で、カーシャはギジェの加入を認めるにあたって、クルーたちはイデのゲージを見て判断したとも。そうなると、ある意味、神様である
人間同士でなく、それ以上の上位者を規定して「何が善か」か問うのでは、一種の宗教
そして、彼女が指摘するように、イデのゲージを見ることができない地球連合軍とバッフクランは分かり合えなかった。上位者の視線がなければ、人は争いを止められないのか
作中のイデは宇宙の生命体を作った、両人類から見て神といえる存在であるが、同時に第六文明人の精神集合体に過ぎない。そんな神の実体を知って、「親離れ」できるか否かが問われているともいえる
ちなみにアニメでは、イデを爆破放棄する「親殺し」を果たそうとしたが、イデが強硬にも拒否。イデも第六文明人のエゴの塊なので存在はしていたいわけで、簡単な解決方法はないのだ
制御しきれず、かといって簡単に排除できない「力」とどう向き合っていくのか、原発事故を体験したばかりの日本人には特に刺さる問いかけである


だいたい書きたいことは書いてしまったけれど、いちおう小説を完走した感想。ページをめくってまず眼をみはったのが、小林誠デザインによるイデオン
まるでナウシカの巨神兵を思わせる有機的なフォルム
角川版の初出が1987年アニメ版の放送が1980年で、ソノラマ版の小説が1982年に出ている
その間にナウシカの放映が1984年、富野アニメでは昆虫を意識したデザインのダンバインが1983年に放送されていて、そうした流れもあるのだろう。しかし、この禍々しさは、映画の『エイリアン』(1979年)だろうか
キャラクターデザインに『赤い光弾ジリオン』の後藤隆幸、とアニメとは少し変わった雰囲気を味わえるのが角川版の良さである

前巻 『伝説巨神イデオン Ⅱ 胎動編』

『伝説巨神イデオン Ⅱ 胎動編』 富野由悠季

社会的都合により、暇になった\(^o^)/
しばらく毎日が日曜日なので、記事の更新も増えていくと思います




ブラジラーの戦いでハルルの艦隊は事実上壊滅した。ソロシップは人類の地球を目指すつもりが、イデの導きか亜空間でハルルのドロワ・ザンに遭遇。そのまま艦隊戦に突入してドロワ・ザンを撃沈した。しかし、脱出したハルルを元恋人のダラム・ズバが救出し、今度はダラムがソロシップ追跡に撃って出るのだった。戦場は植民星アジアン、地球圏へと移っていく

いよいよイデの発現が高まって、バッフクランとの戦いも一段と激しく
カララはハルルの旗艦を沈めることでバッフクランと決別し、ソロシップは植民星アジアンへ向かう。そこでコスモが出会うのが、アニメではキャラル星にいたキッチ・キッチン。小説でキャラルの名は出てくるものの、アジアンのエピソードへ滑り込まれているのだ
しかし、その顛末は大きく異なる。コスモはイデオンに潜入したギジェと激しく争っていたが、不意に現れた人影へ発砲。それがキッチ・キッチンだったのだ!
実際の戦場では誤射は起こりうることだが、なんという結末だろうか
コスモはこのショックと負傷で三日三晩眠り、夢の中でベスがアニメで触れたようなイデの意志と対話する。イデは肉体を嫌う意志のみの存在で、肉体あらばこそというコスモとは噛み合わない
RHマイナスのO型という珍しい血液型だったのでカララが輸血に応じた。バッフクランの血が地球人にも通用するという事実は、ソロシップのクル―を驚かせるのだ
こうした映像作品とは違う展開、可能性未来を見られるのが、ノベライズの醍醐味。アニメでは姿を見せなかったズオウ大帝がハルルに話しかけるとか、バッフクラン側の視点が充実していて、ファンは冥利に尽きる

シェリル地球人とバッフクランが同じ血液型、細胞を持つことから、根が一緒であると推定する。両者がソロ星の遺跡へ吸い寄せられたことから、イデこそが両人類を発生させたというのだ
テレビアニメではここまで踏み込んだ話は出てこなかったはずだ
そして、イデの無限力の源は、感情・知性・五感といった人そのものを形成するものと仮定する
シェリルの台詞を借りて、イデと名付けた所以をギリシア哲学のイデアを引用して説明していく。プラトン→デカルト→カント→ヘーゲルという西洋哲学の系譜に触れつつ、イデア(イデー)という言葉には、世界を大きな統合で捉えようとする執着があるとする。作品の設定にここまで突き詰めてそこにたどり着くのだから、監督の洞察力には恐れ入る
さらに進めたシェリルの推論では、イデのシステムは人間の意志をエネルギーに転化するものであり、イデオンとソロシップはその外観から兵器と考えられる。試作した兵器を作動させると、イデが想像以上のエネルギーを放出したことで第六文明人が滅亡したと考える

「意志の総和がイデという別の意志を作っていくプロセスで、第六文明人そのものの意志をすべて吸いとるだけの吸引力を示して、第六文明人そのものは肉の瓦礫に化して亡びたともいえるわけね」(p257-258)


なぜ、コスモたちはイデオンやソロシップを動かしても自滅しないのか?
パイパー・ルウという赤ん坊による、「純粋防衛本能」という生命の一番基本的な自衛意志が持ち込まれたからで、それがイデを自制させているようなのだ
しかし、人間に邪心、欲望はつきものだし、パイパー・ルウだってやがて大人になっていくわけで……


次巻 『伝説巨神イデオン Ⅲ 発動編』
前巻 『伝説巨神イデオン Ⅰ 覚醒編』

『伝説巨神イデオン Ⅰ 覚醒編』 富野由悠季

カバーのあらすじ、巻頭の資料には「第3文明人」とありますが、「第6文明人」が正解




過去か未来か、今からはるかに離れた時代。宇宙に進出した人類は、新しい植民星「ソロ星」へ植民し、そこでは「第6文明人」の遺跡が発見されていた。流星の被害に悩まされるバッフクランは、その源とみられるソロ星へ調査団を派遣。遺跡を自らの文明を救うイデの無限力に関係すると見ていた。人類とバッフクランはほとんど変わらぬ容姿、精神文化でありながら、その接触は最悪の軍事衝突で始まってしまうのだった

『伝説巨神イデオン』のノベライズ小説。もちろん、作者は富野監督
アニメとは冒頭の入り方が違う。バッフクランの調査隊の視点で始まり、彼らの抱えている事情、社会に触れられているのだ
バッフクランの母星には、トダイ、キョウ・ダイという大学があり、コダン・シャア、イワン・ナミという出版社が存在し、イデの伝説のひとつは『コ・ジッキ』という文献に載っている(爆)。監督なりのサービス精神にしても、バッフクランのモデルは戦前の日本を戯画化しているのは間違いない
アニメの設定とどこまで同じかは分からないが、ギジェはカララの許嫁。イデの調査隊を成功させて、下級武士出身では不可能な、将官への身分上昇をかけていた。それもカララの単独行動から、全てが崩されてしまう
原作で二枚目軍人だったベスは、イデオンに軍を進駐させる際に、シェリルへ「意外とおっぱいが大きい」とかセクハラ攻撃を仕掛ける。清濁併せ持つともいえるが、正直がっかりなハンサムである(笑)
この時点で、バッフクランは流星で数千万人の被害を出していた。ズオウ大帝の築いた階級社会への逼塞感もあって、無限力を欲しがる背景が伝わってくる
本作はアニメで語り切れなかった世界観もフォローされていて、正しくノベライズ小説なのだ

途中で打ち切りとはいえ、39話を3巻にまとめようとするのだから、かなりのハイペースで異なる展開も見られる
ギジェの同僚&ライバルとして登場したダミドは、最初に巨神へ仕掛けた時に戦死!
ソロシップがデスドライブしてソロ星を離れる際には、惑星の数分の1が破壊されて球形を維持できなくなっている。アニメではとんでもない被害が出たのは分かるけれど、生態系壊滅、居住不能と文字で示されると衝撃は大きい
逃げるためとはいえ、イデオンとソロシップがしでかしたことは序盤からすさまじかったのである
デスドライブしたソロシップは、早くも前線基地ブラジラーに到着。アニメでコスモに母性を見せたカミューラ・ランバンは、特にそうした素振りも見せず、ベスの教官という設定もオミットされている
ブラジラーにはハルルの艦隊が押し掛けて、大きな被害を出すがカミューラの生存は不明だ
特筆すべきはイデオンの戦い方。重機動メカを含むハルルの部隊を一瞬のうちに壊滅させてしまう。ミサイル一斉発射でもなく、イデオンソードに近い光線が全方位に放射されたようなのだ
これを見たハルルは即座に撤退を決定、本国への報告を行う。小説のハルルは冷徹ながら優れた指揮である
そして、戦闘を終えたソロシップで起こるのが、パンダ・ロッタによるカララ狙撃事件。ここはアニメ同様の展開を遂げて、バッフクランに爆撃された地球人の感情がある程度、清算される
こうした愛憎入り乱れる修羅場を文章でとらえ直せるのも、ノベライズの醍醐味


次巻 『伝説巨神イデオン Ⅱ 胎動編』

テレビアニメ 【配信】『伝説巨神イデオン』 第1話・第2話

『アベニールをさがして』 第3巻 富野由悠季

自民党の憲法改正に大規模災害時の緊急事態要項あり。まさかのサージェイ誕生あるか


アベニールをさがして〈3〉 (ソノラマ文庫)
富野 由悠季
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プロト・フロンティアに迫るショウカクに、迎撃に来るコンラッド部隊。意識不明の笛吹彗に代わり、ヒューガ・オノレはアラフマーンに乗るが、脱出したゲイズ・カレッカも同タイプのリック・メッケードに乗って立ちはだかる。なんとか退けたオノレたちは、プロト・フロンティアに到着。巨大コロニーに圧倒されるながら、新興宗教の巫女と対照的なストリップ・ダンサーのアベニールにも遭遇するのだった

早くも最終巻である
三巻構成は予定されていたのだろうけど、前巻・前々巻のペースに比べると疾風怒濤で、展開が早い!
スターバスタープロジェクトは、ネオ・フリーメーソンが宇宙に新天地を建てるべくでっち上げたものであり、世界から集めた資金と月から採取した資材で巨大コロニー「プロト・フロンティア」が作られ、そこは次世代を支えるインスパイアー・エンジンの開発と実験場となっていた
ネオ・フリーメーソンがコンラッド・ヘイヤーガンの行動を認めたのは、外敵があったほうがなにかと口実ができるからで、彼らにインティパ・タイプの機体を与えて実験台にも仕立てていたのだった
その事実に怒ったヘイヤーガンは蜂起し、ショウカクを包囲していたネフポと戦闘を起こして、三つ巴の戦いが始まる

本作は、ガンダムの宇宙世紀を一度解体して組み直したかのような世界観である。音楽でいうセルフカバー、セルフ換骨奪胎とでもいうべきだろうか
意志疎通、体験を共有する現象に対して、ニュータイプの代わりに、究極の粒子“インティパ”の作用という科学考証を施して、すべての人が体感できるものとしている
人類そのものが宇宙で進化するのではなく、インスパイアーエンジンに触発される形で、元来持っている能力が発現するイメージ
本作の最後ではガンダム・サーガのように死んだ人間との交感まで描かれ、クライマックスは仏教でいう仏とその弟子たちが迎えに来る“來迎図のよう。アベニールは人が無意識のなかにもっているイメージ(ユング心理学でいう集団的無意識)の中にあり、肉体は欲望を呼び起こす檻、鎧であり、インティパはそこから解き放つ鍵となる
この精神優位の思想には、ニューエイジの匂いがぷんぷんする。そもそも“アウトサイダー”のフール・ケアの在り様は、70年代のヒッピーそのものである。とするとインティパは一種のドラッグとも……
それはさておいて、肉体が過ちを生むのなら、なんで肉体を持って人は生まれてくるのか。“真のアベニール”はそれを修行という形で表現し、世界を豊かにするものとした
このまとめ方は「バイストンウェル」とのつながりを想像させられた

理知的なコスモ・クルスのアベニールに対置させる形で、肉体で思い向くまま表現するダンサーのアベニールが登場する
彼女はコスモ・クルスやネオ・フリーメーソンのインテリぶりをあざ笑い、フール・ケアのマインドコントロールに全身のピアスの理由を言い当てる。『閃光のハサウェイ』のギギ・アルダルシアのような、野生のニュータイプを思わせるが、彼女もまた肉体に縛られた限界があるとする
インスパイアー・エンジンのような人を滅ぼす力を持つ科学技術に対して、ヘイヤーガンのようなマッチョな野望、ネオ・フリーメーソンの欺瞞的な知性でもない、生命に宿る健全な精神を得なければ、人類の未来は危うい。そんな危機感がスピチュアルなものを待望させたのか
とはいえ、100%そんなベクトルに傾かないのが富野作品
新世代であるオノレはプロト・フロンティアやインスパイアー・エンジンの可能性を信じる一方、旧世代の笛吹は「今の人間の手に余る」と往生しながら怒り狂うのであった
結局、一体どっちなんだ……(苦笑)。自ら精神優位の路線を敷いておいて、大いなる違和感を感じたのかもしれない。この揺らぎ、試行錯誤の道程こそ、本作の醍醐味といえるだろう


前巻 『アベニールをさがして』 第2巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻

『アベニールをさがして』 第2巻 富野由悠季

ロボットもの文学


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アラフマーンで宇宙へ飛び立った笛吹たちは、スターバスタープロジェクトシャトル“キャロル”に救助された。テンダーギアの襲撃者には、プロジェクトの一部局である“ネフポ”の元隊員たちが参加しており、その異様さを感じたキャロルのスタッフともに策源地とされる月の裏側にあるプロト・フロンティアへ向かう。しかし、彼らを迎え撃つコンラッド・ヘイヤーガン大佐はアラフマーンの同型機を持ち出すのだった

普通のテンダーギアに対するアラフマーンの実力は絶大である
捕虜にしたゲイズ・カレッカとアラフマーンの奪還にきたテンダーギア12機を、一瞬に葬ってしまう。ただし、インティパの作用により、キャロルの各クルーに敵パイロットの感覚が飛び込んできて、それぞれの飛散する意志を感じさせる
ニュータイプは個人の資質で意志疎通ができるものだったのを、アラフマーンのインティパ効果は強制的に現象として体験させてしまう。自意識を強制的に解放してしまうのは、大麻パーティというか、ニューエイジ的なものを連想させてしまうが、各人の個性は残るし意識を統合させようというわけでもないようだ
このアラフマーンと対峙できるのは、やはり同じアラフマーン・タイプのみということで、プロト・フロンティアに迫る笛吹たちに対して、宇宙帝国建設を狙う首魁コンラッド・ヘイヤーガン大佐メッサードという先行機を駆る
アラフマーンとメッサードの関係はどこか、ターンエーとターンエックスを思わせるのは偶然だろうか

アラフマーンが普通のテンダーギアに対して一方的に狙撃してしまうので、戦闘の描写はあっさりである
本巻のだいご味は、捕虜にしたゲイズ・カレッカまでも交えたサロンのような会話ベストン・クーリガが感じたアベニールとは何なのか? スターバスタープロジェクトとインスパイアーエンジンを生み出したという秘密結社ネオ・フリーメーソンの関係とは? コンラッド・ヘイヤーガン大佐の目指すものとは?
まるで『魔の山』などの西洋文学を目指しているかのように、それぞれの立場で変わりゆく情勢のなか、想像を巡らしていく。さらには科学技術の発達、政治の民主化が人間に何をもたらせたのか、と文明論も問いかけられる
前巻の最後ではコンラッド・ヘイヤーガン大佐の思想現状の人類にインスパイア・エンジンの獲得させると、今まで以上に地球で腐敗した社会を作るから、新しい時代に見合った政治組織によって統制せねばならない……に対して、笛吹は「それはサージェイの日本と同じではないか」人間の集団である以上、組織が腐敗することを計算に入れていないと吐露した
ならば、それ以外にどんな選択肢がありうるのか、問われることになる
小型のスペース・コロニー、フロント1にはアベニールを名乗る教主の新興宗教コスモ・クルスがあって、宇宙において地上のコピーのような環境をこしらえていた。宇宙で地上と同じことをするのなら、なぜ地球に住める努力をしないのか、『ガイア・ギア』と同じ視線を感じた


次巻 『アベニールをさがして』 第3巻
前巻 『アベニールをさがして』 第1巻

関連記事 『ガイア・ギア』 第1巻

『アベニールをさがして』 第1巻 富野由悠季

オノレがバルザックからだったなんて


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軍国主義に陥った近未来の日本に、謎の人型マシーン「アラフマーン」が舞い降りた。そのパイロット、ベストン・クーリガアベニールのメッセージとして“日本への懸念”を伝えたのち、アウトサイダーのフール・ケアに撃ち殺された。事態の収拾に動いた“サージェイ”の笛吹少年・日向オノレは、その死に際に妖精が羽ばたくの見た。その直後にアフラマーンを追撃してきた部隊の攻撃を受けて……

ミノフスキー粒子があるのにモビルスーツはない! 宇宙世紀とはまた別の未来を描いた富野小説である
宇宙に進出した人類は、太陽系が流星群に襲われることを感知し、地球に落下する隕石を核で粉砕するスターバスタープロジェクトを立ち上げていた。そのプロジェクトに使われる人型マシーンが「テンダーギアであり、兵器としても使用される
日本では旧来の民主主義だと天変地異などの非常事態に対応できないとして、自衛隊が改称した“サージェイ”中心の独裁政権が成立しており、他国から軍国主義の再来として批判されているという作品世界だ
初出の1995年には阪神淡路大震災が起きており、村山政権の対応が批判されていて、そこから日本の近未来を思考実験してみたのだろう
主人公はサージェイの軍人笛吹彗と、テンダーギアを動かせてしまった少年オノレの二人なのだが、第一巻ではオノレが一般的な日本人の視点を提供する役割を担っており、笛吹が主役機アラフマーンを動かすエースパイロットと、綺麗に分担されている
と、視点においては気を利かせているものの、展開がぶっ飛んでいる。驚異的なマシーンが登場するのはロボットアニメのお決まりながら、そのパイロットが自殺同然の死に方をし、そこから主要人物が一気に宇宙にまで上がってしまうとか、疾風怒濤というほかない

アラフマーンガンダム世界で考えても驚異的なマシーンである
単に大気圏突入してくるだけであれば、初代のガンダムでもできる。しかし逆に地球の重力を振り切って、宇宙に上がるモビルスーツなど聞いたことがない。シャトルやロケットに乗るか、ブースターをつけなければ無理だろう
それを可能しているのが、究極の粒子インティパを利用したインスパイアー・エンジン! なんとこれをもって、ほぼ無限の航続距離と驚異的なパワーを有しているのだ
それだけでなく、レーダーを殺すミノフスキー粒子の散布下でも敵を感知し、相手からほぼ見えないパルスレーザーで一方的に射撃できる。それどころか、笛吹が行った宇宙戦闘では相手の攻撃をパイロットが反応できる以前に回避して見せた
まるで自分の意志を持っているかのようで、笛吹は自分がマシンに操られているのではと戦慄する
また、この機体は戦闘で絶対的なだけでなく、ベストン・クーリガの死に際に妖精が見えたように、周囲の人間の精神面にも働きかける。人々に共通体験をもたらすある意味、ニュータイプにしてしまうのだ
それが「アベニール」なのか、なんなのか、オノレたちはああでもない、こうでもないと模索し、世界の問題の原点に近づいていくのである


次巻 『アベニールをさがして』 第2巻


宇宙エネルギーの超革命―地球を救う新発見 (広済堂ブックス)
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巻末に掲げられた参考図書。探してみるか

『ガイア・ギア』 第5巻 富野由悠季

ふと買ったプレイボーイの記事に、富野インタビューが!
Gレコ劇場版も、あと一週間


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ホンコン・マハの登場に状況は絶望的に思われたが、アフランシはビジャン・ダーゴルの行動を分析し、合理的に見えるマハがロマン主義に傾倒していると見抜いた。メタトロン側にも新型量産機の増援が到着し、メッサーがウルのブロン・テクスターを捕獲するなど、決戦の機は熟した。しかしその裏でメタトロンの老人たちは地球連邦政府と取引、援軍のパイロットにアフランシ抹殺を命じていたのだった

いよいよ最終巻
メタトロンの苦境を救ったのは、意外にもガイア・ギアに乗ったメッサー・メット!
仲間と改装されたウル・ウリアンのブロン・テクスターを鹵獲し、自らの搭乗機にしてしまったのだ。これに第三波の援軍にガイア・ギアをもとにした量産機ガイアスが加わることで、劣勢は変わらないものの戦場の流れは変わる
アフランシはウル・ウリアンを尋問したことで、理知的な管理社会を唱えるマハが、実は地球への感傷的なロマンチシズムを持ち込んでいると見抜く。安定したスペースコロニーの人口環境が、地球の自然に対して幻想的な憧れを生んでしまうのだ
そこに地球の厳しい自然、汚染された環境へのリアリズムはない
ビジャン・ダーゴルのガイア・エンペラーはそれを選民主義で突破しようとするものであり、いわば最悪の“レコンギスタ”だった

唐突に姿を現したのは、アフランシの本妻エヴァリー・キー!
クリシュナを救った彼女は、ゾーリン・ソールで抜け出したジョー・スレンと合流する。しかしジョーがウル・ウリアンに撃破されたことで、クリシュナは動揺しエヴァリーをウルへ売ってしまう
前回、フォローする記事を書いてしまったのでアレなのだが、彼女は女なのにクリシュナという最高位の男性神の名をつけられ、コンプレックスを抱いていた。そこに愛してくれる男性を殺された上、憧れのアフランシの妻が現れたことで、自分とのギャップに嫉妬してしまったのだ。戦場にこういう女と女の機微を持ち込むのは、富野監督ならではだろう
アフランシの敵役であるウル・ウリアンは、あくまで戦闘という狭い世界に生きる男である
ビジャンへのあてつけで、お気に入りのノイシュバンシュタイン城へ、エヴァリー・キーを置き去りにし、宿敵との対決に執念を燃やした
一見、柔弱で女性をコマしてみせるが、アフランシには妙な男の義理を果たす
荒廃したままの城の玉座にエヴァリーが座る光景は、映画のラストシーンのように神々しいのであった

どこでの発言か定かでないので恐縮だが、「吹っ切れたシャアはアムロより強い」という言葉を聞いたことがある(シャアのWIKIに似たような記述があった→シャア・アズナブル-WIKI
アフランシ・シャアは南の島で“健全”に育ち、シャア・アズナブルの不幸な出自を背負っていない。ではニュータイプとして最強かというと、まったくそういうことはない
要所でシャアのメモリーチップが鳴り、それらしく行動できるものの、指導者としてのカリスマ性は持ち合わせず、いろんな場所でドジも踏む
本人もお仕着せの指導者“シャア”ではなく、あくまでいち青年“アフランシ”にこだわり、地球の最前線を居場所に求めた
この“アフランシ”にとどまったことで、最愛の人“エヴァリー”との再会を果たし結ばれ、子供すら得られようとするわけで、その意味で本家のシャアもアムロも超えたといえよう
シャアがララァに癒しと甘えを求め、戦場にまで送り出してしまったのと対照的な在り方である(シャアにはシャアの事情があるけれど)
いわば、本当のニュータイプとは、地球を汚染せず他人に迷惑をかけず暮らしていける人々であり、エヴァリーのような女性を得て家庭を築けるるように研鑽を積まねばならぬのだよということなのである。作品世界でそういう精神性を持たずに地球に帰還するのは論外というわけだが、では今の地球に住む我々はどうなのか、地球に住むにふさわしい人間なのかが問われている

語り切れないことばかりである。文体でいえば、『閃ハサ』ほど風景の描写が薄く、接続詞「しかし」が多用される点などが気になったが、終盤にキャラクターたちが熱くなっていくと、擬音や短文での改行が増えて、読者を詩的な陶酔に引き込んでしまう
こういう畳みかける技法は、絵師にある程度イメージを委ねるラノベに、大きな影響を与えているのではないだろうか
後、最後のアフランシの台詞、「……ミランダ、勘弁してくれっ!」は、メタ台詞ぽい(苦笑)。アフランシはミランダがやつれていくのを見て、「彼女も普通の人なんだ」と自立していくのだが、彼女との惜別の場面はない。ねじ込めず申し訳ないということかな


前巻 『ガイア・ギア』 第4巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻

『ガイア・ギア』 第4巻 富野由悠季

チョロインといってしまえば、それまでだが


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マハは地球で選民主義の帝国を築くべく、動き出した。その首魁ビジャン・ダーゴルの戦艦マハ・ゲイジズを追って、メタトロンも組織を上げての地球降下作戦をとった。マハの圧倒的な戦力に苦戦が続くなか、クリシュナは再びウル・ウリアンの手に。彼女は成り行きながら、ウルに篭絡されその戦力に使われてしまう。アフランシは味方の被害に自らの無力を嘆きながらも、峻烈な作戦に出るのだった

想像以上に濃い巻だった。アフランシ以外のキャラクターがそれぞれ存在感を出していくのだ
地球降下のどさくさにメタトロンを抜け出したメッサー一党は、捕虜の中からかつてのボス、トット・ゲーリングを見つけて帰参する。名前はゲーリングだが、ナチスリスペクトのマハには酷い目にあわされた(苦笑)
メッサーたちは主義主張で動かない。いわば不良同士の義理人情であり、アフランシには兄弟がやられたのなら親分として仇を取れと、顔をぶん殴ってくる者たちだ
宇宙で時を待っていた老人たち、正規クルーのような主義者たちに対して、自然の感情むき出しで動く彼らを混ぜることで、硬直した組織に血が通い始める
といっても戦いは過酷であり、先行したマドラス隊は壊滅の憂き目を見る。アフランシは、マハの“ガイア・エンペラー”の帝都候補であるヌーボ・パリへのミサイル爆撃を迫られる。地球の環境破壊を批判する側が、生態系を破壊する行為を行ってしまう。まさに“シャア”の因縁といえよう

さて、クリシュナ・パンデントである
インド系ということでララァ枠かと思われたが、アフランシにはエヴァリーという地球妻の影があり、頼れる年上のミランダ・ハウへ気持ちが向かっている(「おっぱいは他で吸ってくださいな」と拒否されたが)
ジョー・スレンという隠れファンはいたものの、第二巻でモーションをかけられたせいで、彼女は吸い込まれるようにウル・ウリアンのもとへ
ウルからは、「地球での帝国建設に使役された労働者はガス室送り」と言われ、マハの現実に絶望するものの、メタトロンの主義に妥協したアフランシのミサイル攻撃にも動揺。そうなれば主義者になりきれない彼女は、自分を大事に思ってくれそうな側へいたくもなる
敵方へ転向する女性は他の富野作品にも出てくるが、この娘のケースは年齢的な甘さと不慮の事故。何気にアフランシは「もっといい男でいれば」と気にしていて、シャアの名に似合わぬ性格は、たしかに指導者には向いていない
しかしそれこそが、頭に埋め込まれたシャアの“呪い”を乗り越える素養なのだろう

マハとの戦いが消耗戦になってきた中、今度はホンコンのマハが敵の援軍として登場した
そのマン・マシーン、ギッズ・ギースは今まで登場してきた機体を凌駕する性能を誇る。しかも、量産機である!!!
最終巻のなか、事態は絶望的に見えるのだが……どう巻き返すんだ、これ


次巻 『ガイア・ギア』 第5巻
前巻 『ガイア・ギア』 第2巻・第3巻

『ガイア・ギア』 第2巻・第3巻 富野由悠季

メカニック面の解説がやけに熱い件


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ズィー・ジオンに誘われて宇宙に上がったアフランシ・シャア。サイド2ではマハの追跡を受けて、街中で空爆を受ける。一度は囚われて自白剤まで飲まされるものの、なんとか振り切って仲間の元へ。しかし、半ば囮を買って出たクリシュナ・パンデントがウル・ウリアンの手に捕まったのであった。アフランシの決断は……!?

宇宙においても、マンハンターことマハ(MHA, Man Hunting Agency)は牙をむきだした
本来は地球上の不法移民を宇宙へ送り出す部局のはずが、コロニーの反地球連邦運動の摘発にも乗り出し、アフランシとその関係者をあぶりだすために市街地の空爆までしてみせる
そこに採用されたウル・ウリアンは、ビジャン・ダーゴル大佐ともに内部から地球連邦政府を変革するという。面白いのは、宇宙の過酷な環境に鍛えられた人類がニュータイプになるという構図が否定されているところだろう
宇宙が過酷でも、スペースコロニー自体は人工物で天候などもコントロールされていて、そこの住人はしょせん温室育ち。むしろ生き物として退化、腐敗していく
逆に地球という重力下、予想できない自然環境のなかでこそ、人は鍛えられる『Vガンダム』でフォンセ・カガチが唱えた「地球でこそ、ニュータイプが生まれる説」の始まりだろう
それはさておいて、第二巻で目を見張るのは、下剤を飲んだアフランシに対する描写である(笑)。発信機を吐き出すためなのだが、最初はおならしか出ない。二度目にだいぶ出ただろうと思いきや、捕まったクリシュナを追っているうちに第二波が(爆)。さらに敵のMSをかっぱらってから大噴射とやけに丹念である
こんなシャアは嫌だ、と思わなくもないが、上記の身体性の重視、自然回帰の一環と捉えられなくはない


第3巻において、アフランシは長く雌伏を続けていたズィー・ジオンを、メタトロンを命名。囚われたクリシュナ・パンデントを救うために、ガイア・ギアともに戦艦「三十一の二乗」(後にマザー・メタトロン)も発進させる
一人のクルーのために全精力を上げるという行動は無謀に見えて、眠って沈滞していた組織に喝を入れる。誰が危機に陥っても見捨てず、「メタトロン」は助けてくれるという前例を作れた
この戦いではほかの政治犯を釈放されて、コロニーでアフランシに因縁をつけてきたメッサー・メットの一党もメタトロンに採用される
そして、戦いは地球上にもおよび、ついにマハのビジャン・ダーゴルの構想が明らかになる
宇宙から地球への移民を掲げて、地球連邦の高官から末端までの支持を集めるとともに、いわばその居住権を振りかざすことによって、地球連邦政府全体の支配を確立する
まずはヨーロッパに白人中心の移民を認めて、そこにマハによる共和国を樹立。各コロニーでは地球への移民を匂わせて徴兵制を導入しており、大半は使い捨てるが生き残る資格があると見なした者をピックアップして、マハの一員とする
こうして選ばれた人間の帝国を作るのがダーゴルの狙いで、宇宙移民の歴史を反転させた構想なのだ。まるでナチスの再来であり、地球圏の人口調整を唱えたギレン・ザビを受け継ぐという意味ではティターンズのジャミトフに近いだろうか。身体性、自然回帰をテーマにしつつも、それに潜む危険性も視野に入れているのだから恐れいる
戦闘ではガンダムおなじみの大気圏突入を巡る熱い攻防が! 闖入者であるチンピラ出身のメッサーたちもいい味を出している


次巻 『ガイア・ギア』 第4巻
前巻 『ガイア・ギア』 第1巻

『ガイア・ギア』 第1巻 富野由悠季

既読ですが、だいぶ記憶から抜け落ちています


ガイア・ギア〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
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宇宙世紀203年。南の島で育った青年アフランシ・シャアは、嵐の夜に長老ガバ・スーの遺言を受け取った。「おまえは宇宙へに出よ…」。その瞬間に、アフランシの頭の中に音が鳴り始め、流れ着いたモビルスーツマン・マシーンは彼に新たな記憶を呼び起こし始めた。最愛の恋人エヴァリー・キーを振り切って、ホンコンを目指すが、そこにはジオンの志を受け継ぐ秘密結社が動いていたのだった

富野小説の中でも、独自の宇宙世紀の歴史を経たシリーズ
逆シャアからは100年以上、Vガンダムからも50年過ぎており、ノベルズ作品では宇宙世紀で一番先の時代のはずだ
『ベルトーチカ・チルドレン』『閃光のハサウェイ』と世界観が同じかというと、そうは言いきれない。月刊ニュータイプに連載されていた時期が1987年から1992年にかけてであり、上記ふたつの作品に先行しているのだ
読者としては、逆シャア後の「新しいシャアの物語」ぐらいに受け取っておけばいいのだろう。なにせ、諸般の事情により、モビルスーツという言葉が使えないぐらいで、バンナムの宇宙世紀と完全に別系統の未来なのである
あまりに先の未来だからなのか、上記二つの作品に比べると描写が薄く、オリジナルの宇宙世紀なのにアニメのノベライズのよう。手探りで世界を作り上げているかのようだ
その分、登場人物同士の問答に監督の考えが濃縮されていて、なんだかんだ吸い込まれてしまうのだが

アフランシ・シャアは単身、島を飛び出すのだが、いろんな人物が絡んでくる
最初に着いた島では、謎の活動家トルース・シュトロンガーから「アフランシ」の意味を教えられる。「ア・フランシ」とは、自由にされたフランク人、つまり白人の総称であり、アフランシは“白人の使命”を背負わされて、南の島へ修行に出されたのではと解釈する
トルースが白人至上主義とまではいかないまでも、一種の選民主義者には違いなくアフランシは反発する
そこからホンコンへ向かう船では、トルースの差し金とおぼしきテロリストに襲われる
そして、ホンコンで拾われたリムジンで、ジオンの秘密結社のバアム・ゼーゲンと出会う。彼はトルースと知り合いであり、アフランシはある計画に基づいて伝統的な人間の営みを保存する実験区で監視されていたらしい
ジオン・ダイクンの思想には、宇宙移民の解放・独立ともに、スペースノイドの選民主義も含まれている。産まれ直したシャアであるアフランシが、過去の呪縛からどこまで自由になれるのかがテーマとなりそうだ

さて、宇宙に登るためにはシャトルに乗らねばならないが、それは本来、特権階級でなければできない。そこでバアムはマン・マシーン“ゾーリン・ソール”を渡し、アフランシは導かれるように発進してシャトルをジャックしてしまうのであった
アフランシの頭のなかには謎のメモリーが詰まっており、それが時限爆弾のように彼を動かしてしまう
登場人物では、島では“正妻”のエヴァリー・キーに、大人のキャリア・ウーマンであるミランダ・ハウ、インド系の美少女でララァ枠(?)クリシュナ・パンデントと、いろんなタイプのヒロインが目白押し。味方では女性の存在感が際立っている
ラストにはふらりと闇落ちしたハサウェイ(!)のようなウル・ウリアンが参上。まるで威圧感がないのに、アフランシにプレッシャーを与える知性派の好敵手だ


次巻 『ガイア・ギア』 第2巻・第3巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻
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