カテゴリ0の固定表示スペース

カテゴリ0の固定表示スペースの本文サンプルです。
テンプレート使用時に削除してください

カテゴリ1の固定表示スペース

カテゴリ1の固定表示スペースの本文サンプルです。
テンプレート使用時に削除してください

カテゴリ2の固定表示スペース

カテゴリ2の固定表示スペースの本文サンプルです。
テンプレート使用時に削除してください


『不屈の棋士』 大川慎太郎

インタビューした時期は2015~2016年、第1回電王戦が始まる前。もちろん、スマフォ遠隔問題は一切出てこない


不屈の棋士 (講談社現代新書)
大川 慎太郎
講談社
売り上げランキング: 60,511


人間を凌駕するソフトの登場にプロ棋士たちは、どう立ち向かうのか。11人の棋士たちへのインタビュー
登場する棋士は羽生善治、渡辺明、勝又清和、西尾明、千田翔太、山崎隆之、村山慈明、森内俊之、糸谷哲郎、佐藤康光、行方尚史、とそのまま棋界の代表者といっていい錚々たる顔ぶれ。タイトルホルダー、ソフトを前向きに活用する者、電王戦経験者、ソフトを敬遠する者、とそれぞれと違った立場で電王戦の衝撃、ソフトの評価、棋界の将来を語っている
将棋界のど真ん中にいる人たちながら、その語り口はざっくばらんである。羽生こそ第一人者という立場から慎重であるものの、個人の感覚、考えについては信じられないほど率直に明かされる。プロ棋士はひとりひとりが個人事業主であり、勝ち負けに関してはきわめて合理主義者なのだ
著者は古くから将棋村にいる人ではない分、よく悪くも容赦なく答えを引き出していて、オブラートの少ない濃厚なインタビュー集にしている

将棋棋士はソフトの強さをどう評価しているのか
羽生三冠と佐藤九段は立場上(あるいは信条)から人間のトッププロを越えたとは言わないものの、ほとんどの棋士は認めている
「教授」こと勝又清和六段は、第2回将棋電王戦の三浦弘行‐GPS戦をひとつの決着戦と見る。ただし、人間のなかで羽生だけはレーティングで抜けた存在であるとして、その優劣を留保している
電王戦におけるプロ棋士側の勝利に関しても、永瀬拓矢六段を除き事前の研究によるものが大きいとする。特に斎藤慎太郎七段(当時五段)は普通に戦っているようで、穴熊を目指すことでソフトの人間側への評価関数を上げて暴れさせる、水平線効果を狙っていた。しかも自ら長考することで、相手に深読みさせるという高度な戦略をとっていた
「教授」は(まだ第1回の候補者が決まっていない段階だが)準タイトル戦の電王戦が第一期で、終わってもおかしくないと言い切っていた。くしくも今年、天彦名人が人間側の代表として登場したことで、電王戦は幕を閉じることとなる

ソフト開発者が研究を続け、ハードの性能が上がっていく限り、ソフトの力が人間を上回るのは必然だった。ソフトがプロ棋士に追いつき、追い越したとき、棋士はその現実にどう向き合っていくべきか。それはAIの向上と普及で、大きな社会変化にさらされるだるう一般人にも、無視できないテーマである
千田翔太五段、西尾明六段は終盤のみならず、序中盤の研究にもソフトを使用する。西尾六段の話では、チェスの世界では、グランドマスターがハンデをもらってソフトに挑戦する段階に達しており、ソフトによる研究は当たり前。世界戦の前に最新ソフトのアップグレードを相手に妨害される事案も発生しているという
もっとも、ソフト相手だけと指して、登りつめる人間はまだ出てきていないらしい
そのほかの棋士は意外なほどソフトを研究や対戦相手には活用していなかった。序盤がカオスで、中盤の評価値は利用しづらく、間違い合う人間同士の勝負ではあてにしづらいのだ。ただ、すでに奨励会員にはソフトの使用者が多く、とあるソフトを入手したことで大きく飛躍した成功者もいるので、時間の問題かもしれない
各棋士が警戒するのは、ソフトで考えることを節約してしまって、棋士としての“脳力”を落とすこと。高度なAIは人類にとって、禁断の果実なのか
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実』 松本博文

羽生さんが叡王になるとして、二番勝負で納得できるかというと


ルポ 電王戦―人間 vs. コンピュータの真実 (NHK出版新書 436)
松本 博文
NHK出版
売り上げランキング: 232,901


人とコンピュータ将棋の戦いはいかなる過程を経てきたのか。コンピュータ将棋の黎明期から電王戦にいたるまで、ソフト開発者と将棋棋士の関わりを振り返る
初出が2014年6月で、第3回電王戦後。当然、最後の五対五の対抗戦である第4回電王戦、山崎叡王とPonanzaの二番勝負となった“第1期電王戦”はフォローされていない
それでも1960年代に始まったコンピュータ将棋と、それに対する将棋棋士の反応が辿られているのは貴重。1967年に11手詰みの詰め将棋を7、8秒で解くに到っており、当時の加藤一二三“八段”が早くも「アマ初段の腕前」と評価していた
1990年第1回コンピュータ将棋選手権が開かれる。「森田将棋」「柿木将棋」「永世名人」といまや懐かしい将棋ソフトに、第2回大会には電王戦にも出場したYSS(「AI将棋」)が登場している。市販にまで辿りつけば印税は入るものの、ほとんどの開発者はあくまで本業をこなした上で、余暇を割いて取り組んでいる。名利ではなく「楽しさ」「挑戦欲」が彼らを支えているのだ

本書は特に将棋界、開発者ともに敬意を払いつつも、著者が東大将棋部OBであることからか、Ponanzaの開発者・山本一成に紙数が割かれている
一軍半の将棋部員だった山本と嫁の詳細過ぎる馴れ初め(笑)、コンピュータ将棋大会での涙の敗北、勝ったら100万円の企画に結婚資金を割く、などの変人ぶりが書き綴られている
第2回電王戦のPVでは、子供に将棋を教える佐藤慎一四段に対して、ソフトの貸し出しを「やーです」と断る台詞を抜き取られ、ボンクラーズの伊藤氏ともにヒールの役割を背負わされたとチクリ。「勝ちたいです。もの凄く勝ちたいです」という台詞も、電王戦ではなくコンピュータ選手権に向けての発言だった
あの挑発的なPVは、かなり面白おかしく偏向させたものと見なすべきだろう

他にもいろんな、エピソードが拾われている第1回電王戦の時点で、電王戦は五年間に一局ずつ行うと決まっていて、次に登場するのは加古川青流戦を優勝した船江恒平四段(当時)と内定していたという
しかし、第1回電王戦が終わった後の打ち合わせの間に、一年に5局の団体戦になった
このサプライズは短い打ち合わせの間に出たものというより、ドワンゴの川上会長が電王戦の反響を見ての腹案だったのだろう
数少ない叡王戦に不参戦の棋士、橋本崇戴八段は、第2回電王戦に500万円の対局料で依頼されていた。A級棋士として出るなら、進退をかける戦いになり500万円では割りに合わないと拒否したという
第3回電王戦に関しては、「悲壮感がありませんでした」との感想を漏らしている
いまや、電王戦は叡王戦のための口実になっていて、人間が負けても本人以外衝撃を受けていない。タイトル戦ばりの7番勝負にするとか、決着戦はしっかりやってもらいたいものだ
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史』 パトリック・マシアス

おたくって、もう死語かな?


オタク・イン・USA:愛と誤解のAnime輸入史 (ちくま文庫)
パトリック・マシアス
筑摩書房
売り上げランキング: 135,345


日本のマンガやアニメはアメリカでいかに受容されているのか? アメリカの“オタク”である著者が日本のサブカルチャーの展開とそこから生まれた“オタク”たちを追う
本書は『フィギュア王』と『映画秘宝』で連載されたコラムを集めたもので、映画評論家の町山智浩がそれぞれ翻訳と編集を担当していた。あとがきから想像される力関係と内容から、町山氏がかなり踏み込んだ意訳をして読める文章にしたようだ
アメリカにおいて“オタク”(otaku)とは、日本のマンガやアニメに耽溺する人のこと。日本語のオタクにあたる言葉は、ネガティヴな言い方で「need」熱狂的なマニアな意味で「geek」という
著者によると、アメリカで“オタク”という言葉が広まったのは、ガイナックスのOVA『おたくのビデオ』がきっかけらしい

アメリカへは60年代末から、ゴジラをはじめ様々な作品が持ち込まれた。が、その性表現、暴力性(!)、政治的事情、そしてジャンルそのものへの侮りから、まともな形で放送されたものは少ない
ゴジラサパスタインというプロデューサーを得て、東宝と提携しアメリカ版ゴジラが何本も製作された。サパスタインはスターウォーズが大成功を収める前に、版権ビジネスとグッズ商品が一大産業を生むと読んだ先駆者で、ゴジラの名前がアメリカで定着したのは彼のおかげと言っていい
ただし、アメリカ版ゴジラは核爆弾への怒りという要素は排除され、単なる怪獣のプロレスになった(日本のも後半はそうだけど)
成功したゴジラに対して、ウルトラマンは初代こそヒットしたものの、ウルトラセブンはシリアスなところでギャグ台詞に吹き替えられたせいで大沈没。暴力規制からアイスラッシャーはカットされた
アニメは名前が変えられることが多く、『宇宙戦艦ヤマト』は『スター・ブレイザーズ』となり船の名前は“アルゴ”に。『ガッチャマン』は『バトル・オブ・プラネッツ』として放映され、様々な改悪が施されたものの、白鳥のジュンのパンチラ・キックだけは何故か健在で(笑)、子供たちの股間を刺激したという

さて、それではガンダム・シリーズはというと、良く知られているように『ガンダムW』しか成功していない
そもそも初めてテレビで流されたのが、2000年の『ガンダムW』であり、最近のことなのだ。マニアにはZやZZで入って、ファースト・ガンダムを経て宇宙世紀の信者と化す王道ルートが確立されているものの、一般層には年代の落差が厳しいらしい
『ガンダムW』の人気を支えているのは日本同様に女性たちであり、その影響力は大きい。『セーラームーン』がジェンダー問題で打ち切りの危機に立った際には、女性ファンの抗議が殺到して復活させたという
男性中心のアメコミに対して、日本のマンガには少女マンガの歴史が長く、日本のサブカルチャーは女性に開かれていたのだ
日本のクールジャパン戦略にもこうした視点が必要だろう。まあ、クールジャパンそのものがいるかという話もあるが

と、本書が初出の2006年までは日本のサブカルチャーがアメリカで興隆を極めていたが、その後は逆風が吹いていた。文庫版あとがきによると、輸入マンガは粗製乱造が目立って部数は全盛期の三分の一に激減し、有名な全国チェーンの書店が潰れたことで扱う店そのものが減ってしまった。ネット社会が進んで流通形態そのものが変わってしまったのだ
これに続いて衰退しそうなのがDVD市場であり、ネット配信への移行が求められる。お金のないティーンズの読者は、ネットでの違法ダウンロードに頼らざる得ないのが現状のようだ
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『テレビアニメ魂』 山崎敬之

懐かしいアニメ特集って、テレビでやんなくなったねえ


テレビアニメ魂
テレビアニメ魂
posted with amazlet at 15.05.19
山崎 敬之
講談社
売り上げランキング: 818,141


著者の山崎敬之は、アニメ制作会社「東京ムービー」プロデューサーシナリオライターを務め、テレビアニメの黎明期を支えた生粋のアニメ人。本書では「東京ムービー」での経験を中心に、当時の製作現場プロデューサーとしてスポンサーを説得する苦心などが語られる
リミテッドアニメなど業界知識に軽く触れつつも、オバQの毛が三本である理由著者が酩酊状態で口ずさんだ詩が『アタックNo.1』の主題歌となったこと、富山敬の代打の声優に愛川欽也が起用されていたことなど、意外なエピソードが盛りだくさん
富野監督の名前は出てこないものの(コンテ千本切り時代!)、その大先輩ともいえる長浜忠夫監督を中心に、東映動画から参入した高畑勲宮崎駿と、70年代のアニメ現場を偲ばせる

東京ムービーは、虫プロの『アトム』に刺激される形で生まれた。フジテレビで放送された同作品が視聴率40%を超える事態に、TBSは人形劇を製作していた藤岡豊にアニメ製作を強引に依頼し、旗揚げすることになった
初めての作品は手塚原作の『ビッグX』だったが、視聴率は取るものの制作費の管理が杜撰で大赤字に。「新東宝」を立て直した阿部鹿三を新社長にし、藤岡豊は製作に専念する体制とし、『お化けのQ太郎』で挽回に成功する
このお化けのQ太郎は、「お化け=可愛い」というイメージを定着させた画期的な作品で、視聴率も30%越えのまさに“お化け視聴率”を記録したものの、グッズ販売がピークを過ぎたことから二年で打ち切りとなってしまう。後番組の『パーマン』『怪物くん』も好調にも関わらず、一年での打ち切りが予定されていた。スポンサーがグッズの販促を基準を考えるので、こういう事態が常識化していたようだ
「東京ムービー」は漫画原作が中心だったものの、六法全書の入門書を元にした『六法やぶれくん』、著者がダサい少女の絵を一枚渡されたことから製作した『とんでモン・ペ』などオリジナル作品もいくつか製作されている

漫画原作のアニメに、なぜシナリオライターがいるのか。連載漫画は雑誌の方針で展開に融通が利くものの、アニメの場合は30分間(実質22分ぐらい)の中でストーリーに起伏をもたせなければならない
そのため、アニメオリジナルの場面やドラマを作ったり、原作の展開を先食いする形で圧縮する必要がある。最低2クールで終わると想定して、原作のネタを使い潰し、原作の展開を追い抜くケースもよくあったそうだ。『巨人の星』でも苦肉の策として、著者は一話で星飛雄馬が一球しかない回を提案しており、ドラゴンボールのナメック星もこうした事情から生まれたのだ
「私の上を通り過ぎたファンタジーたち」で取り上げた山崎晴哉は、この『巨人の星』のメインライター。大学でロシア文学を専攻し、虫プロからフリーの脚本家となった。原作を追い越した『巨人の星』の最終回では、なんと飛雄馬が死ぬラストのシナリオを書いていたそうだ。これは原作者の許可を得られたものの、テレビ会社側で却下され力尽きて引退するラストになったという。アニメ終了後に漫画の連載も終了となったが、果たして梶原一騎の予定はどちらだったのだろう?

「東京ムービー」と長浜監督の関係は深く、関係者にラッシュテープを披露する際に独演会のようにキャラクターの台詞を叫んだりと、スポンサーの抗議を気迫で退ける存在として重宝されたそうだ。著者は長浜監督の特徴を、オーバーアクションと説明台詞から「新劇かぶれ」と評している。『ベルサイユのバラ』ではその演出を巡って声優と揉めたことから監督を降板し、虫プロ出身の出崎統にバトンタッチする。70年代から80年代へ、時代の移り変わりを感じるエピソードである
そのほか、「東京ムービー」が海外と提携した際に、日本人スタッフのクレジットが削除されたことなど、今となっては考えられない差別待遇も明らかに。先人たちがこうした屈辱を跳ね返して、今の世界的評価につながったと思えば胸熱だ


関連記事 私の上を通り過ぎたファンタジーたち~『王国物語』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『作画汗まみれ 改訂最新版』 大塚康生

東映動画の歴史


作画汗まみれ 改訂最新版作画汗まみれ 改訂最新版
(2013/05/31)
大塚 康生

商品詳細を見る


『ルパン三世』『未来少年コナン』『じゃりん子チエ』など数多くの作品で作画監督を務めた大塚康生が語る自身のアニメーター人生と製作現場の舞台裏
大塚康生は厚生省麻薬取締官(!)から26歳で転身、東映動画時代に日本最初のカラー長編アニメ『白蛇伝』に参加して、キャリアでは高畑勲、宮崎駿の先輩格にあたる。ただし“アニメ作家”にはならず、あくまで演出を受けて絵を作る“作画職人に徹し続けた
本書では半生を振り返りつつ、当時の製作体制、原画・動画の考え方、アニメーターの修行法、そして各作品への思いなど、フルアニメーションへの愛とこだわりが語られる
いわゆる日本のアニメは、動きを簡略化しセル画の枚数を減らすリミテッド・アニメーションが特徴といわれるが、もう一つの系譜が、ジブリ作品へとつながる東映動画の系統だ。虫プロ出身、富野監督の『だから、僕は…』と合わせ読めば、日本アニメの黎明期を大まかに押さえられるだろう(適当?)

やはり、アニメーターとしての基礎を築き、高畑・宮崎コンビに出会った東映動画時代が中心だ
東映動画では1961年に労働組合が組織され、翌年、大塚は二代目の書記長に就任する。東映動画の労働組合は、単なる労働運動のみならず、細分化した現場の相互不信を解消するコミュニケーションの場として作用し、一つのチームとして作品作りにあたる意思統一に寄与した
組合で製作された作品への批評もさかんに行われ、例えば『安寿と厨子王』では権力者に媚びて出世する主人公が指弾されるなど、60年代の社会思潮「社会主義的リアリズム」に基づく手厳しい批評がなされていた
作り手の側が納得したものを世に出したいという動きは、太陽の王子 ホルスの大冒険を生み出し、会社を傾けつつも長編アニメの金字塔を打ち立てる
本書ではこうした組合民主主義による東映動画への愛が強く叫ばれつつ、一方では手塚治虫が虫プロを通した始めたリミテッドアニメーションへの嫌悪感を隠さない
「止めの美学」を能や歌舞伎などに根差した日本人に感覚に合うことは認める。しかし、テレビアニメの市場が拡大したことで、独立系スタジオが乱立し、基礎を知らない素人裸足のアニメーターが大量投入され、(大塚から見て)低廉な作品が供給される現状は容認できない
そうした情勢への反発が日米合作による『リトル・ニモ』への挑戦につながっていく

巻末の裏話が面白過ぎる
高畑勲のは先輩を立てたまっとうな解説だが、宮崎駿のそれは悪戯ごころ溢れる暴露話である
ルパン三世がなぜフィアット500が愛車かというと、「あまり成功しない泥棒が高級車は似合わない」としてイタリアの大衆車でかつ、大塚康生が愛用していたから。近くにモデルがあったほうが描きやすいという理由らしい
ある日、大塚はスタッフ同士で酒盛りをした後、愛車でスタッフを送り届けようとした(今なら重罪!)。酔っていたため同じところを堂々巡りして元の場所にスタッフを降ろした後、家の方向を間違えて泥道に突っ込み、一人で抜け出せなくなってしまったという
その後、そこからどうやって車が救出されたかは割愛するが、リアルでアニメに負けない活劇を繰り広げていたのだ
巻末には、60年代頃の東映動画が日本のアニメーションにもたらしたもの』という高畑勲のレポートが収められていて、作り手側の視点と断りつつも、自称評論家たちより鋭い分析がされている。これも必見!


リトル・ニモの野望リトル・ニモの野望
(2004/07/22)
大塚 康生

商品詳細を見る
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『宝塚というユートピア』 川崎賢子

来年で100年!?

宝塚というユートピア (岩波新書)宝塚というユートピア (岩波新書)
(2005/03/18)
川崎 賢子

商品詳細を見る


創立90年を超えてなお年間260万人の観客動員を誇る宝塚歌劇団の魅力とは。創設者・小林一三の構想から、戦前、戦中、占領期を経た作風の変遷、思想的背景、伝統を生み出す強さを探る
本書は歌劇団そのものというより、それが生み出された背景や文化的状況に力点が置かれていて、現代の宝塚については冒頭と終章に限られる
その代わり、女性が舞台に立つ、男性を演じるということが、各時代においていかなることであったかがジェンダー論を踏まえて読み解かれ、宝塚が容認されたその時代の世間や風潮まで押さえられていて、大正から占領期までの社会文化史としても読み応えがあった
手塚からAKBまで多大な影響を与えてきたこと考えれば、宝塚を抜きに日本の文化は語れない

阪急・東宝グループの総帥・小林一三は、都会で働くサラリーマンが郊外に住居を構えることを予見し、鉄道の敷設→住宅開発→観光・ホテル→駅ビル・デパート→学校誘致と事業を展開した。何もないところに乗客を誘導し、顧客を創造したのだ
そして、そうした消費者が集う大衆娯楽として、映画・劇場といった興行にも進出し、宝塚も乗客誘致の手段として始まった
当時の“女優”は未だ、花柳界的な芸事と歓楽が混合した“遊女と見なされていた。芸術に専属する近代的な“女優”の存在は試みは続いても、大衆のゴシップからは逃れられなかった
宝塚では劇団を“学校”、女優を“生徒”を置き換えることで、未婚の女性が演じる“清く、正しく、美しく”をモットーに、女優に対するイメージを一新した
当初は現代のように女性ファン中心ではなく男性が多かったが、戦前の女性が異性愛をテーマとする演劇を堂々と見られる場所として人気を博すことになる
それには同性によって異性愛が語られることで芸術性が増したのと、女性の同性愛を少女にありがちなものとする世間の偏見から見逃された部分もあった

宝塚は演劇を近代化するモダニズムの志向と、都会で働く賃金労働者とその家族に慰安を与えるノスタルジアの二面性をその出発から持っていた
都会の現実を癒すために、演劇の空間では日常から離れたユートピアが演じられ、そこの中では近代化に批判的な文脈も盛り込まれることになった。著者はこのアンヴァレンツこそ、90年持続した源であるとする
本書では宝塚の周辺にも多くの数が割かれていて、創設当初には各地に少女歌劇団が生まれ熾烈な競争が続いていたことは興味深い
各地の百貨店が少年、少女の音楽隊を結成することに始まって、大阪松竹歌劇団(OSK)、松竹歌劇団(SKD)など多くの少女歌劇団が立ち上がっていた
こうした文化的状況は、現代のAKBとその姉妹グループや、地元密着型のアイドルグループ、ミスコンと地続きだろうし、少女歌劇団そのものが日本に独特の舞台芸能であることも、アイドル文化を語る上で大事な視点となるだろう
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『第2回電王戦のすべて』 

NHK杯を横目しながら

第2回電王戦のすべて第2回電王戦のすべて
(2013/07/25)
不明

商品詳細を見る


コンピュータ将棋側の3勝1敗1分に終わった第2回電王戦
その出場棋士全員の自戦記に、ソフト開発者への質問強豪コンピュータによる勝負所の解析など、さまざまな角度から電王戦を振り返る
観戦記については、ニコニコ動が掲載されたのと同じものであるが、全体的にはタイトルに偽りなしの内容であると言っていいだろう
日本将棋連盟発行ながら出場したプロ棋士とともに、ソフト開発者の熱意を称えるスタンスは、コンピュータと人間の共存共栄という電王戦のテーマにかなったものだと思う

本書の目玉は、ときに赤裸々に語られる棋士の自戦記
特に『将棋世界』でも詳しく触れられていなかった、第4局の塚田泰明九段、第5局の三浦弘行九段の自戦記は、電王戦参戦が決まる経緯やその直前の状況まで語られていた
塚田九段は軽い気持ちで立候補したものの、おそらく若手棋士が中心になると想定していたそうで、研究会でソフトの進化を知って愕然としたという
兄弟子でコンピュータ将棋の研究者である飯田弘之教授に聞いたところ、「斬り合っては駄目。まったりと押さえ込んでチャンスがあれば入玉を狙え」と言われ、攻め100%の棋士人生を送ってきた自分には無理だ、と辞退も考えたそうだ
三浦九段の場合は立候補していないにも関わらず、A級棋士でも出さないと興行が盛り上がらないと要請を受けていた
しかも、自身が名人戦に出場する場合は電王戦の参戦が延期されることになっていて、念願の名人戦出場がなくなった時点で電王戦の最終戦が決まるという、モチベーション的に最悪の状態に臨むことになった
もちろんそれは世間への言い訳になりえないが、コンピュータ将棋へのリテラシー、出場棋士への人選など、連盟側の課題を浮き彫りにしたといえる

本書を読んでいる間に、ニコニコ動画では電王戦で対戦した同士がコンビを組む電王戦タッグトーナメントが開催された
優勝したのは、現役プロ棋士で初の敗戦を味わった佐藤慎一四段とPonanza組で、佐藤四段が要所でPonanzaの提案を蹴って逆転勝ちするという面目躍如だった
そうしたこともあって読後感としては、人とコンピュータの決着はまだまだこれからという気になった。GPS将棋と三浦九段の将棋も、GPS側は仕掛けた後に考えを改めて違う手を見つけたらしく、たまたま成立した仕掛けだったという
第3回電王戦は、コンピュータのクラスタは禁止され、プロ棋士は最新ソフトと研究する機会を得ることになった(ソース→http://nikkan-spa.jp/496100
ある意味コンピュータ側が人間に譲歩した内容で、世間的にはまさに背水の陣だ。負けられないというプレッシャーから解放されたプロの逆襲に期待したい
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか』 保木邦仁 渡辺明

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)
(2007/08)
保木 邦仁、渡辺 明 他

商品詳細を見る


2007年3月21日、ネット将棋・最強戦の創設を記念して竜王とコンピュータソフト「Bonanza」との記念対局が行なわれた。プロと開発者は何を思い、いかに戦ったか
本書は「Bonanza」の開発者・保木邦仁と渡辺明竜王との共著で、対戦についてはもとより、ソフトを開発する経緯対戦前のコンピュータ将棋への印象が語られ、その両者が対談するという劇的な構成になっている
保木邦仁はソフト開発が専門ではなく、もともとは物理化学で分子レベルの研究をしていた方で、研究をコンピュータで化学反応をシミュレーションしていたことから、趣味として将棋ソフトの開発を始めた
将棋の素人だからこそ既存の枠に捕らわれず、チェスソフトの手法である「全幅検索」をストレートに用いて最強の将棋ソフトを作り上げた(2006年世界コンピュータ将棋選手権優勝)

「Bonanza」については、前に取り上げた『コンピュータVSプロ棋士』と内容が重なる
本書で光るのは、コンピュータ将棋についての竜王の見解が率直に綴られているところだろう
2005年7月に月刊誌「将棋世界」の企画で、将棋ソフト「激指」がプロとの角落ち戦が組まれ、そのときに竜王は対戦して勝利していたが、もう一人のプロ、木村一基八段が負け、9月にはハッシーこと橋本崇載五段(当時)が「TACOS」と平手で対戦し終盤まで劣勢で辛勝していた
このことを受けて、将棋連盟は同年10月6日付けで「連盟に断りなしに、公の場でコンピュータ将棋との対局を禁じる」と全棋士に通達されたという
竜王はこのことを、連盟がコンピュータ将棋の強さを認めて「お金がとれるエンターテイメント」になると確信したと解釈している
ただ、2006年時点でのボナンザに対する評価は高くなく、世界コンピュータ将棋選手権で優勝したときも奨励会三級レベルで、「ポカさえなければ勝てる」と考えていた
しかし、2007年で対戦した際には奨励会三段レベル、プロに際どい水準に近づいていた。選手権ではノートパソコンであったことから、ハードの性能がBonanzaの力を底上げしたと竜王は読む
Bonanzaはコンピュータ将棋同士では抜けていなくても、人間相手に強いのが特徴で、開発者がアマ級位レベルであることから、偶然の産物であるとしている

竜王はファンが考える以上にBonanzaを研究し、その弱点を意識していた
プロからすれば対戦相手を意識して作戦を立てるのは当然で、ソフトとの練習を重ねるうちにBonanzaの終盤に弱点があることを知っていたという
対談においてプロから見て「一手一手」の終盤を、ソフトが終盤と認識しないことが明らかにされている。プロが感覚でたどり着く終局を、ソフトは実際に勝ち手順が浮かんでこないと判断できないのだ
ハードで底上げされたBonanzaは想像より強く形勢では不利に立たされたが、終盤が怪しいことを見抜いた竜王はわずかな失着をとらえて勝ちきった
コンピュータの領域とされる終盤に弱点を見つけるとか、並の着想ではないが、そこまでやらないと勝てないレベルにまで来ていたとも言える
電王戦の数年前の時点で、プロとソフトは情報戦で優劣を決するレベルに接近していたのだ続きを読む
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか』 岡嶋裕史

名人戦でひふみんの解説を聞きながら


コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)
(2011/01)
岡嶋 裕史

商品詳細を見る


人間の頭脳に挑むコンピュータ将棋はいかに進歩してきたか。チェスプログラムの始まりから、あから2010の清水戦までの歴史に迫る
本書は情報ネットワークの専門の学者さんが、コンピュータ将棋の側からその進歩と実態を解説するものだ
コンピュータ将棋を知らない人への入門書というコンセプトなので、自虐の入った砕けた表現も多く、将棋に詳しくない人にも入りやすい
コンピュータはアラン・チューリング(HOI2の研究機関で出てくる!)の代からチェスとのつながりが深く、早くからコンピュータにチェスを指させる研究があった
情報処理の発達とともに強いコンピュータ将棋が登場するのも宿命的なものといえそうだ

本書の主役をつとめるのは、渡辺竜王相手に奮戦し、あから2010にも組み込まれたボナンザ
ボナンザはコンピュータ将棋の実力をトップアマを超えるまでに高めた画期的なソフトで、故・米長会長を倒したのもボナンザをベースにした六台のクラスタだった
この将棋ソフトの特徴は、ハードの性能の関係で将棋のセオリーなどから読みの方針を絞る「選択的探索」を止め、すべての手を射程に入れる「全幅探索を行なっていることと、「自動学習機能」を持っていることだ
かつては、すべての手を読み始めると対局にならないほど考えてしまうソフトだったが、近年はハードの進歩で「全幅探索」が可能になり、それに「アルファベータ法」という点数の低い悪手を消していく手法を織り交ぜて中盤の棋力は大幅に向上した
自動学習機能は、読んだ局面を正確に判断させるためのもので、膨大なプロの棋譜を参考にして同じ着手が取れるように各係数の配点をコンピュータにさせる。簡単に言えば文字変換ソフトの延長にあるものだ
このことにより、かつては有段者が職人芸的に行なっていた調整を初心者に毛の生えた研究者が行なえるようになり、プログラマの負担は格段に減ってより違う箇所に力を注げるようになった
皮肉なことに将棋のプロを倒したソフトは、プロの棋譜によって鍛えられていたのだ

さて、それでは将棋ソフトが完全に人間を超える日が来るのだろうか
著者によると、その日はまだまだ先のようだ
まず、現行のソフトはプロの棋譜を参考にして人間の思考に近づけるようなベクトルで発達しているので、人間の想像を超える戦法、好手は理屈の上から出ない
あから2010が清水女流王将に勝ったのも、人間側がソフトの土俵に乗っかってくれた部分があり、ラディカルに隙を突かれたらこうはいかないという評価がされている
ちなみに、チェスの世界ではいまだ人間に完勝するチェスソフトは登場しておらず、現状は人間とソフトが協力しあうと人間単独、ソフト単独に勝るらしい
囲碁、将棋はおろか、チェスですら完全定跡を見つけるには程遠く、今のコンピュータに考えさせたら宇宙が終わるのが早いとまで言われている
将棋は永遠に不滅と言って差し支えないないだろう


関連記事 【電王戦】どうなる?人間対コンピュータ(コラム)
     『ボナンザVS勝負脳』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『グーグル明解検索術』 別冊宝島編集部

アクセス対策には……ならんか


グーグル明解検索術 (宝島社新書)グーグル明解検索術 (宝島社新書)
(2006/04/27)
別冊宝島編集部

商品詳細を見る


インターネットの時代で必要なのは、目的の情報を引きだす「検索力」だ!ということで、検索エンジン最大手「グーグル」の機能を活用するハウツー本
買ったはいいが大したもんじゃないと、積読の底に置いていたけど、読んでみるとそうでもない
中に書いてあることは、それこそググれば分かることかもしれないが、そもそも何ができるかを知らないと検索しようがないのだ
グーグルのあのシンプルなHOME画面から、こんなに多様な機能があるとは想像しがたいし、アナログ人間にはこういう軽いカタログがあったほうが分かりが早い
「そんなの使っていくうちに分かるだろう」というレベルの記事もあって(枚数稼ぎだろうか)ノウハウは期待できないものの、知らなきゃ使わないコマンドなども教えてくれるのでいざという時に役に立ちそうだ
読み終わったら、即ブックオフだろ、と思っていたが、手元に置いておこう

ただし検索される側のSEOという点では、物足りない
いちおう検索上位になる指標の一つとして、他のサイトからのリンク数が強調されているので、それがヒントになるぐらいだろうか
Readerのオススメサイトをみると、たいがい、そのジャンルの有名ブロガー同士でリンクしていて、グーグルの志向がグループ化を促進しているといえる
まあ、本書はあくまで使用者側からの活用をテーマにしていて、SEO対策は自分でググれというわけだ

最後の章に、グーグル以外の検索エンジン、便利サイトが紹介されている
なかでも驚いたのは、世界最大のインターネット図書館「Wayback Machine」の存在
なんと、1996年からインターネット上にある100億以上のホームページ(正確には850億以上!)をデータを保管していて、たとえ消されたとしてもここで検索することで見ることができるのだ
キャッシュだと画像が見られないことが多いが、これなら大丈夫というわけだ
逆に考えると一回ネットに上がったものは、ユーザーが拡散保存することを含めて消えないわけで、「忘れられる権利」など机上の空論というわけですな。あな、おそろしや


関連サイト Wayback Machine(インターネット図書館)
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
カテゴリ
SF (22)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。