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【配信】『装甲騎兵ボトムズ』 第6話~第8話

毎回、次回予告のナレがかっこよすぎる


<第6話 素体>

バトリング、リアルバトルに姿を現す謎の貴婦人ファンタム・レディの秘密を探るべく、キリコイスクイ署長本人へアタックする
キリコから何も聞かされないゴウト、バニラ、ココナの三人は、独自にチヂリウムの保管庫への襲撃を図って、元軍の弾薬庫へ。そこには署長を人質にしたキリコが訪れる……というご都合が(笑)

キリコの目的は、ファンタム・レディ=「素体」と会うこと。彼女を奪取した作戦こそキリコが追われることになった原因なのだ
といっても、今回もみんなで裸を拝んだだけで、実体は掴めない。ただ、彼女はチヂリウムのシャワーを浴びていて、この惑星に「素体」がいるのはこのレアメタルを必要とするからのようだ
脱出はいくらヘリが銃弾を浴びても穴一つ開かない、と警備がポンコツ過ぎ。ヘリも4人乗りで定員オーバーとか、設定とアクションが大味な回であった


<第7話 襲撃>

こんな大騒ぎになっても、キリコは三人に「素体」のことは明かさない。警官を襲撃してチヂリウムの「運び出し」を聞き出すが、その日程はココナにも知られてしまう。ゴウトもバニラもチヂリウムの強奪に乗る気になるものの、キリコを追っていたココナが暴走族に拉致られて、「運び出し」の日程をバラしてしまう
酷い目にあったわりに(冷静に考えると、かなりぐへへな展開)、冷たい男性陣にココナは大泣き。同情はするわりに反省の色はなく(苦笑)、ほんと男の作品である

キリコは暴走族と警察がやりあってくれた方が、強奪に有利とクールな判断。暗黒街になれてしまって、ベテランのゴウトが形なしな頭のキレである
作戦的にはまんまと、キリコ様の言うとおりに。今回は本編よりも、「素体」に深く関わる神父(?)ボローイスクイ署長の、「素体」は絶対裏切らないというやり取り、メスキアのバッケンタイン将軍(珍しく、落ち着いた戸谷ボイス)にロッチナ大尉の久々の登場が見どころか


<第8話 取引>

チヂリウムを強奪したが、一夜にしてウドの街は治安警察に包囲されて、その売却が困難に。ゴウトは窮余の策として、イスクイ署長への売却をはかる。署長も上司に「素体」の投入を命じられるほど、追い込まれていた
イスクイはゴウトとの取引を反故にしようとする割りに、「黙って帰れば、命だけは」と許してしまうが(甘いよなあ)、そこへキリコがATへ乗りこんで来て大暴れを始める

署長に迫るキリコへ、色違いのATが姿を現す。それに乗っていたのは、例のファンタム・レディ!
キリコは善戦するものの、フルボッコにされてATを潰されてしまう
どうも「素体」はいわゆる超能力者ではなく(持っているかもしれないけど)、まずもってパイロットとして優れているのである。ガンダムの強化人間のように
さて、キリコはそのまま捕まってしまうのであろうか、あるいはすでにウドの街に降下したロッチナ大尉が介入するのであろうか。そろそろ派手にやらかしそうだが


キリコは何度もゴウト、バニラ、ココナと死線をくぐりながら、「仲間」とは認識しない。軍の追跡を意識して、巻き込むたくないのだろうか
ゴウト、バニラ、ココナの間にも、安易な「仲間」意識はなくて、最低限の義理人情はあるものの、いつ縁が切れても仕方がないというクールさがある。だから、ココナが酷いめにあっても、リアクションが薄い
キリコは自分の目的一直線だし、ゴウトもバニラも自分の利益と義理人情を秤にかけて揺れ動く。友情という言葉で言い表せない、独特な仲間関係なのである


前回 【配信】装甲騎兵ボトムズ 第3話~第5話

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【配信】『装甲騎兵ボトムズ』 第3話~第5話

三ヶ月ぶりの視聴とか。冒頭で、一話からのあらすじをしゃべってくれるのは助かります


<第3話 出会い>

ボトムズのなかで眠るキリコは、ゴミ捨て場に住む親父ゴウトに助けられる。キリコの腕を見込んで、仕事で組みたいゴウトだったが、ボトムズを修理して街を出るという決意は固い。ゴウトの取引している売人バニラの手も借りて、なんとか動かせるように
しかし何でも屋(?)のココナの情報から、ブーン・ファミリーの脱走者狩りが知って……という流れ

量産機とはいえ、軍用のボトムズは暴走族を蹴散らしていくが、さすがに多勢に無勢。ロケット砲まで撃たれると、中のキリコはバーベーキューになってしまう
そこへ就任したばかりの新署長が、ブーン・ファミリーとの関係を終わらせようと、介入したことで戦況は一変。一個人の根性ではなく、諸勢力の駆け引きによって助かるというところにリアリティがある
ただし、キリコのATに消火液をかけた一団は治安警察ではないようで、第2話の最後の銃弾といい、謎めいた存在が主人公につきまとう。ロアッチの差し金とも思えないが……


<第4話 バトリング>

街から出られずゴウトに引き取られたキリコは、ウドの暗黒街で催されるボトムズ乗り同士の試合「バトリングを見学へ行く。戦場の殺気のなさに物足りなさを感じるキリコだったが、「バトリング」の先輩ファイターに目をつけられたことから早くも試合が組まれることとなる
しかしそこに、かつて隠密作戦を共にしたコニー少尉がいたところから、試合相手がすり替わり、実戦さながらのリアルバトルが組まれることに

治安が悪いとはいえ、戦争のない世界で人型兵器を動かすには口実がいる。毎回、市街戦を繰り広げては街がなくなってしまうので、「バトリング」は上手いアイデアだ
前話の最後に出てきた謎の美女“ファンタム・レディ”は、『明日のジョー』の白木葉子のようであり、ブーン・ファミリーの北斗ぶりといい、他作品の要素を存分に引用している
コニー少尉が連絡した先には、新署長ともに謎の神父、軍人もいて、謎は深まるばかりだ


<第5話 罠>

戦争のトラウマから動けないキリコを、治安警察は連れて行く。新署長はキリコの背後関係を知るべく、神父のマインド・コントロールと拷問を容赦なく仕掛ける
一方、“友情”が芽生えたバニラは、キリコを救出しようと看守まで買収。ゴウトココナを加えて、処刑ぎりぎりのところで奪取に成功する
ゴウトのアジトへ戻ったところに、「バトリング」の組織からリアルバトルのお誘いが……。あえてキリコは負傷を押して、出場する

罠と看破したとはいえ、2対1の戦いに負傷の身で完勝するとか、やっぱこの人は超人である(苦笑)
リアルバトルで戦ったオリヤ大尉もまた、「素体」を奪う作戦での上官であり、そんな彼がなぜウドの街に降り立っているのか。ウドの街と「素体」に深い関わりでもあるのだろうか
ラストにキリコの述懐や次回予告では、ファンタム・レディと素体のイメージが重なってくる
意味深なのが、神父の洗脳に対しての台詞「神は死んだ」。現実でいえばニーチェの名言だが、作品でいうと「戦場で信じられるもの(大義とか)がなくなった」という意味だろうか。作品のテーマにも関わってきそうだ


次回 『装甲騎兵ボトムズ』 第6話~第8話
前回 『装甲騎兵ボトムズ』 第1話・第2話

装甲騎兵ボトムズ DVD-BOXI
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【DVD】『LAコンフィデンシャル』

今週から、週に一本ペースでDVD・BDを観ていくことにした
やっぱ、休日にゲームばっかりでは単調になりますよ。生活が


L.A.コンフィデンシャル 製作10周年記念 [DVD]
東北新社 (2008-06-13)
売り上げランキング: 42,093


50年代のロス。暗黒街を仕切っていた大悪党ミッキー・コーエンが脱税で逮捕されると、その麻薬利権を巡って熾烈な後継者争いが生じていた。殉職した刑事を父に持つエド・エクスリー(=ガイ・ピアース)は、警官殺しの容疑者を暴行した「血のクリスマス」事件の密告して、刑事部の警部補に出世。同僚を解雇されたバド・ホワイト(=ラッセル・クロウ)に酷く恨まれていた。刑事部で孤立するエドは、カフェ「ナイトアウル」で起きた虐殺事件を上司のダドリー・スミス(=ジェームス・クロムウェル)の元で担当するが……

ジェイムズ・エルロイのLA暗黒街シリーズ3作目の映画化である
濃厚過ぎた原作小説を2時間の尺に落としこむために、大胆に設定が変更されていた。原作で殉職したのはエドの兄だったし、エドの性格も小さい賄賂も拒否するなど、最初から潔癖さも持ち合わせている
小説では最初に華々しく散るバズ・ミークスが重要な役割を果たすように(といっても、本人の出番はほとんどないが)、小説二作目『ビッグ・ノーウェア』の設定が一部流用されているかのようだ
最後の華々しい活劇も、『ビッグ・ノーウェア』の終盤でバズが見せた大暴れを思い出せば、シリーズから行き過ぎたものともいえまい。原作からして生々しい史実、リアリティとノワール的フィクションが混合しており、本作は優れた映画化作品なのだ

実は20年前に、映画館でも観たことがある
正直、初見では情報量が多くて、なかなか細部の話までは理解できなかった。改めて見直してみても、まだとまどうところもあった。かといって、小説を読むほうが覚悟がいるので、映画→小説で違いを楽しむが吉なよう
ただし、リン・ブラッケン(=キム・ベイシンガー)を巻き込むエドとバドのライバル関係は、しっかりと演出されていて、映画で見たときもそこだけが記憶に残っていた。バドに殴られて、互いに顔を腫らしたエドとリンが心配しあうシーンは、なんともいえない
悪代官ダドリー・スミスは小説の無頼漢イメージ(管理人の勝手?)ではなく、知略でコーエンの利権を乗っ取るスマートなイメージであり、ラストの所作も序盤の伏線がしっかり決まっている。台詞にないから、視聴者側が忘れちゃう恐れもあるけれど…


原作小説 『LAコンフィデンシャル』

関連小説 『ビッグ・ノーウェア』
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【配信】『機甲騎兵ボトムズ』 第1話・第2話

『装甲騎兵ボトムズ』は、1983年から1984年にかけて放送され、リアルロボット物の頂点とも言われる作品である
ガンダムのようにテレビシリーズの続編はないものの、空白の年代を埋めるようにOVAが製作され続けて、今なお根強い人気を誇っている
作品の世界では、銀河を二分するギルガメスバララントが100年もの宇宙戦争を続けており、物語はちょうどその大戦が終結した日から始まる。世界大戦の熱戦から、冷戦に転じる現実世界をだぶらせているのだろうか
なにぶんシリーズを観るのは初めてなので、下手に先読みせずに感想に入ろう


<第1話 終戦>

主人公のキリコ・キュービィーはある特殊任務につこうとしていた。いわくつきの部隊からの転属だからか、作戦内容は知らされなかったが、味方と色違いの機体が撃ちあう異様な戦場に立ち尽くす
一人だけ事情を知らずに放置されていたものの、交戦しているうちに意味ありげなカプセルを発見。中には全裸で禿頭の美女が眠っていたのであった
乳首に驚いたわけではないだろうが、キリコは異常な汗をかいて震えてしまう。ここだけ切り取ると変態に見えるほど(笑)。この美女は、人間の精神へ働きかける謎の力を持っているようだ

美女のカプセルは同僚たちに回収されるも、キリコは小惑星基地の爆破に巻き込まれて漂流。本来は味方のはずのギルガメスの戦艦に拾われる
しかしそこでは、基地に隠された極秘の存在「素体の行方を吐けと、ロッチナ大尉の拷問を受ける。どうも、あの美女が「素体」で、友軍を裏切った連中がもっていってしまったらしい
キリコの母星メルキアに着いても拷問の連続だったが、一瞬の隙をついて脱獄!
特殊部隊顔負けの戦闘力で、追っ手を振り切ってしまう。この主人公は生身の身体でも戦闘力がかなり高い。最初から歴戦の戦士なのである
次回予告では、ロッチナ大尉の声優・銀河万丈の声で、「来週もキリコと地獄につきあってもらう」。単なるロボット物というより、かなりハードボイルドな雰囲気だ


<第2話 ウド>

キリコの故郷であるメルキアは、長い戦争によって変わり果てていた。戦後の闇市を思わせるウドの街は、暴走族が暴れまわる無法地帯であり、キリコも彼らにさらわれて採石場へ連れて行かれる
戦争によって破壊されたコンピュータ工場の跡地には、部品に使われたチジリウムが採れるというのだ。この時代にレアメタルの話題が盛り込まれているのは意外な発見である

戦争中は暴走族と癒着していた治安当局だったが、終戦をきっかけに署長は暴走族との関係を清算しようとする。なぜ、一人で乗り込んで行ったかは謎だが(笑)、ちょうど人夫たちの脱走と重なって大混乱に
そのどさくさにキリコと仲の良かった男が、暴走族と署長の会合を襲撃して命を失うのであった
キリコは暴走族に追われて街(?)に逃げ込むも、体内のビーコンがギルガメス軍に察知されてしまう。ともあれ、転がり込んだゴミ捨て場に懐かしい量産機「スコープドッグが廃棄されていて、そのコクピットの中で「母親の腕に抱かれる」ように眠るのであった。
しかし最後の追っ手を殺したのは、誰だろう。単なる流れ弾だろうか?
次回予告は「キリコがウドで飲むコーヒーは苦い」。さすがに毎回、「地獄につきあってもらう」ではないようだ


今のところ、主役機が人並みはずれた活躍をするというロボット物のお約束からは大きく外れている。なにせ、出てきた人型兵器「AT(アーマードトルーパー)」はまだ一種類であり、最初の話が同じ機種での同士討ちから始まるのだ
ロボット物の殻をかぶったハードボイルドSFであり、アメリカのテレビドラマ『逃亡者』とか『プリズンブレイク』とかを思わせる展開。第2話も販促の都合で最後にロボットを出したかのようで、好きなドラマを作るためにロボット物を装うことを徹底した作風なのだ
OP,EDが渋く決まっていて、早くもファンになってしまった


次回 【配信】『装甲騎兵ボトムズ』 第3話~第5話

装甲騎兵ボトムズ DVD-BOXI
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【DVD】『マスク』

なんという、ナメック星人


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スタンリー・イプキス(=ジム・キャリー)は、うだつの上がらない銀行員。どんくさい性格が祟って冴えない生活を送る毎日だったが、ある日、謎の緑のマスクを拾う。緑のマスクをつけるや、スタンリーは謎のマスクマンに変身! 超人的な力で銀行強盗を働いて念願の高級クラブへ潜入。憧れの美人歌手ティナ(=キャメロン・ディアス)のステージをジャックする。しかし、マスクの力は陽の上がらないしか続かないのだった

いわずとしれたジム・キャリーの出世作であり、キャメロン・ディアスのデビュー作
「真面目な男」というキャラ付けのスタンリーなのだが、いわゆる堅物ではない。美人が目の前を通ると、鼻の下を伸ばしてバタバタしてしまう
同僚のチャーリー(=リチャード・ジェニ)と同様の、ノリのいいだけの凡人であり、日本人の感覚からする「真面目」とは少々違うのだ
単純な喜劇に思えて、ストーリーはけっこう捻っている。お色気むんむんのティナとは対照的に、真面目そうな女記者ペギー(=エイミー・ヤスベック)が登場するものの、三四郎のようなオチにはならず、意外な展開が待ちうける。「普段のままのあなたでいい」というテーマに絡んだ決め台詞を言われたあとにまさか、ああなろうとは……
マスクマンとして暴れまわる前半と、マスクをかぶれなくなってしまう後半と違う味が楽しめる。物語が進むごとにマスクを被らないときでも、ちょっとずつスタンリーは変わっていく
ドタバタの末に美しい成長物語として成立していて、やっぱ何度観ても楽しめる名作である

マスクマンとしてのスタンリーの行動は、主人公とは思えない無軌道ぶりである(笑)
憧れの姉ちゃんと付き合いたいから、銀行強盗をしてクラブに殴りこむなど、のっけから犯罪者のゾーンなのだ!
マスクをつけなくなっても、看守から鍵のみならず、銃まで奪って脱獄するなどの傍若無人を誇る(苦笑)。アメリカ人にとってヒーローのイメージとは法の外=アウトローの存在なのだろうか。拳銃ひとつで敵の巣窟に突入するなど、ヤクザ映画でドスをさらしに巻いて決闘するのと同じノリなのだろう


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【BD】『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

70歳のジェットコースター その2。……その1はGレコ


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放浪するマックス(=トム・ハーディ)は、車を崇める“シタデル”の男たちに捕まる。豊富な水がある同地には、イモータン・ジョー(=ヒュー・キース・バーン)と呼ばれるカリスマ的独裁者が君臨し、戦闘集団ウォーボーイズを組織して専制国家を為していた。マックスはウォーボーイズのための“輸血袋”にされてしまう。そんな中、女隊長フュリオサ(=シャーリーズ・セロン)はジョーの子産み女たちを連れて逃走し、マックスも輸血先のニュークス(=ニコラス・ボルト)ともに追跡する羽目になる

いや、とんでもない映画だった
2時間ずっとジェットコースターなのである。冒頭にマックスが荒野に佇む場面からジョーの手下たちに捕まる場面までの二十数分間を、怒濤のアクションが繰り広げられ、ようやくタイトルが表示される
そこで落ち着くかと思いきや、岩山に築かれた要塞“シタデル”の豪快な光景に、水を待つ貧民たちと色白のウォーボーイズ、奇怪な老人イモータン・ジョーと世界観を手早く見せつけて、フュリオサの逃走へ転じる。止らないのだ
おかげで中盤までマックスの存在感がなく、主人公というより闖入者の役回り
しかし、女たちで逃げるにも限界がある。消耗したところで、マックスともう一人の闖入者ニュークスが浮上して、またジェットコースターが最加速する!
CGのない時代にエグい撮影をしていた同シリーズに、CGが加わるとこうなるのかという途方もない映像が観せ続けられて、映画を見る物差しが変わってしまいそうな作品だ

ここまでジェットコースターが続けば、観ていて疲れそうなものだが、それは全くなかった。忙しくならない小気味のいい切り替えに、溜めるときは溜めて魅せるアクションシーンがあって、2時間疾走感を保っているのだ
説明的な台詞がないどころか、なるたけ余計な台詞をしゃべらせないのは、『マッドマックス2』にも共通する傾向だが、本作はそれに磨きがかかっている
それでもキャラクターの動かし方がしっかりしているので、自然と話の筋は理解できる
マックスは“輸血袋”の境遇から脱出するものの、フュリオサに味方する義理はない。まして、女性を助け切れなかったトラウマが彼を苦しめている
なので、ジョーから逃げる彼女たちのタンクローリーを奪って、一人で逃げようとする。まるで主人公らしからぬ、このモヒカン同然の行動が、作品世界の苛烈さを言わずと説明している
ヒーロー物のお決まりでなしに、マックスとニュークスと女たちが三すくみの状況から、チームを為す過程が最高に好きである
そして、悪のカリスマであるイモータル・ジョーが、我が子を可愛がって攻撃をためらうなど、敵味方を同じ人間として扱う視線も健在で、シリーズを蘇らせるに相応しい作品だった


前作 『マッドマックス3/サンダードーム』

メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド
Abbie Bernstein
玄光社
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【DVD】『マグノリア』

蛙と犬が可哀想なラスト


マグノリア [DVD]
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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2014-12-17)
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自己啓発セミナーの名物講師フランク・マッキー(=トム・クルーズ)クイズ番組のベテラン司会者ジミー・ゲイター(=フィリップ・ベイカー・ホール)とその娘でヤク中のクローディア(=メローラ・ウォルターズ)、その彼女と恋に落ちる警官ジム・カーリング(=ジョン・C・ライリー)、ジミーのクイズ番組で活躍する天才少年スタンリー(=ジェレミー・ブラックマン)とその父親リック(=マイケル・ボーウェン)、元天才クイズ少年で今は冴えない営業マンのドニー(=ウィリアム・H・メイシー)瀕死の大富豪アール・パートリッジ(=ジェイソン・ロバーズ)とそれを介護する妻リンダ(=ジュリアン・ロバーツ)看護士フィル(=フィリップ・シーモア・ホフマン)。サンフェルナンド・バレーで、無関係だった彼らが「ありうべき偶然」で交錯する

三連休でないと観れない映画であった。なにせ、三時間を超える大長編なのだ
どこかでダレるのでは思えたが、上手い具合に人物の視点が切り替わるので、まったく飽きない! ちょうど人間の目の高さにカメラを回しているから、視聴者の生理になじんで情報量や場面転換の多さが負担にならないのだ
10人前後の主要人物は、全てが直接関わるわけではない。危篤に等しい状態の大富豪アール周辺、そして余命2ヶ月を告げられた名司会ジミーと出演するクイズ番組が、ストーリーは大きな二つの塊に分かれて、そこから個々の人物につながっていく
思わぬところで出会うと思えば、背景はあるのに交わらないとか、冒頭に掲げられるようにありうべき偶然が人々をぶつからせる。中盤まではそれが自然で生々しく、グッとドラマへ没入させてしまう

中盤以降にそれぞれのドラマがヤマを迎えると、一気に芝居気が増していく。元天才少年がバーテンに愛の告白をし、警官がデートで有頂天後に拳銃を無くして、マッキーが実父との面会に逡巡するなど、畳み掛けられていくので見る側は「いったいどうなっていくのか」と圧倒されざる得ない
すべての物語が上手く転がるわけではない。むしろ、上手く転がらない話ばかりである
正直、「ここまで懺悔させておいて、なんでハッピーエンドにしないのか」と呻きたくなる結末もちらほら。「ありうべき偶然」の象徴として蛙の雨を降らせるぐらいなら、みんな丸くまとめても良かったのではないか
ラストこそ違和感を残したものの、そう上手くいかないのが人生というのも、またしかりか。「好きに生きた人生に悔いが残らないなんて、嘘だ」「悔いを土台にして、その次を生きるのだ」「人生はいまいましいほど長い」、意識が定かでないアールの口からこぼれる言葉は重く、さりげなく流れるエイミー・マンの歌はそれなりに生きてしまった人間を慰撫する力がある
コンセプトからしてエイミー・マンのPVになってしまうのはぬぐえないのだが、それでかつ名作である


マグノリア <OST1000>
マグノリア
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オリジナル・サウンドトラック
ワーナーミュージック・ジャパン (2014-07-09)
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【BD】『ドラゴンボール EVOLUTION』

吹き替えが、せめてアニメ準拠なら


ドラゴンボール EVOLUTION [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2010-07-02)
売り上げランキング: 154,969


2000年の昔、ナメック星からやってきたピッコロ大魔王(=ジェームズ・マースターズ)と配下の大猿によって、地球は滅亡の危機に瀕したことがあった。祖父・悟飯(=ランダル・ダク・キム)から聞かされていた孫悟空(=ジャスティン・チャットウィン)だったが、暢気に高校生活を送っているうちにピッコロに自宅を襲われて、悟飯を殺されてしまう。そして、崩れた自宅には、ドラゴンボールを探し求めるブルマ(=エミー・ロッサム)が侵入! 利害が一致してともに亀仙人(=チョウ・ユンファ)のもとへ向かう

なんとなく目に入った勢いで借りた(笑)。勢いがないと借りれない作品である
噂には聞いていたが、確かに出来は良くなかった。最低でも作り手の原作への愛は見せて欲しかったけども、それすら怪しい
レジェンド級の駄作というわけでもなく、低く安定しきっているために、ネタとして喜べるところが少ないのだ
主役が白人は、スーパーサイヤ人=白人化と歓迎される土壌では素で受け入れられるだろうし、配役の在り方もそれほど間違っていない
むしろ許せないのは、ハリウッドらしからず、セットがちゃっちいこと。CGもそれほど使われない昔ながらの特撮風であり、予算の少なさがバレバレだ
どうせ外すなら、盛大に外してもらいたい(白目)

手抜きに思われるのが、敵の陣容である
ピッコロの配下に、なぜかピラフ一味のマイ(=田村英理子)だけがいるのだ。おっぱい要員といえばそうなのだが、なんで普通の人間そうな彼女がピッコロの配下たるのか、まったく作中で説明されない
ヤムチャの登場とブルマへの絡ませ方とか、まったくもってストーリーが雑過ぎる
取り柄はチョウ・ユンファがオモロいおっさんを演じていることと、チチ(=ジェイミー・チャン)“チチ”が凄いことになっとることぐらいだ。この映画、おっぱいへのこだわりだけは、いっちょ前である
ラストに続編を思わせる場面をねじこむならば、ちゃんと予算をとって中身も作ってもらいたいものだ
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【DVD】『野獣死すべし』(1980年版)

忘年会後に風邪をひき、さらに寝てるうちに舌を噛んで流血という、多難
年末の予定が完全に狂ったわ


野獣死すべし 角川映画 THE BEST [DVD]
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都内で岡田警部補(=青木義郎)が刺殺されて、拳銃が奪われる事案が発生。その銃は警部補が関係するカジノバーの襲撃に使用された。犯人は元通信社で、今は翻訳を手がけながら、クラシックが趣味として悠々自適の生活を送る伊達邦彦(=松田優作)。伊達は次の標的に東洋銀行を定めるが、単独行動では成功は期しがたいと、荒々しい真田敏夫(=鹿賀丈史)を抱き込む。その伊達の後を、捜査一課の柏木(=室田日出男)が追いかける

『蘇る金狼』同じ作家の原作、同じ監督ながら、また一風変わった作品だった
題名にわりに、まず主役の伊達が“野獣”らしくない東大出の高学歴でクラシックが趣味、文学的教養もあると多趣味であり、表面的には現代人的頭でっかちである
元通信社での紛争地の経験と、学生時代に射撃部に属した銃の腕という背景はあるものの、ところどころでインテリ的な知識ひけらかしがあって、あくまで人に飼い馴らされない意味での“野獣”
むしろ、所構わず人を殴る真田のほうが野獣に相応しく、伊達も彼とつるみ、洗脳する過程で自らも本性に目覚めていく
映画の出来としては、展開のスムーズよりは俳優たちの見せ場重視で構成されており、優作の一人芝居は観ているだけで面白い。前野耀子が閉店したクラブで歌うなど、ちょい役でも豪華な場面が多い
頭を動かすよりも、気持ちのままノッて観る作品だ

詳しくしゃべると、ネタバレになってしまうのだが仕方ないと開き直ろう
伊達の“野獣”は、紛争地の経験から生まれた。紛争地の虐殺現場からこの世の真理を感じ取ってしまい、平和な暮らしが嘘としか思えなくなってしまった
ゆえに日本にいても、世の真実である修羅場を求めてしまい、自ら事件を起こしてしまう。一種の精神病なのである
一般の動物は自らが生きるともに、子孫を残そうとあくせくしているのだから、管理人は女を躊躇なく殺す伊達が“野獣”だと認めがたい(笑)
真田にその彼女(=根岸季衣)を殺させようとするところ、伊達にとっての“野獣”とは、「男だけの世界」なのだ
ラストシーンは映画史に残る謎エンドらしいが、あれだけ人を殺して無事に戻れるなんてありえないという、物語の力学が働いたように思える。あそこまでやって死ななきゃ、ただの悪人に終わってしまうだろう


関連記事 【DVD】『蘇る金狼』

野獣死すべし (角川文庫 緑 362-24)
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【DVD】『ブラック・ダリア』

にんともかんとも


ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組 [DVD]
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バッキー・ブライカート(=ジョシュ・ハートネット)はボクシングをきっかけに、特務課のリー・ブランチャード(=アーロン・エッカート)とパートナーを組む。リーはかつて凶悪犯に囲われていたケイ・レイク(=スカーレット・ヨハンソン)と同棲していて、バッキーと奇妙な三角関係に陥る。しかし、「ブラックダリア事件」をきっかけにその三角形は崩れ、バッキーは謎めいた美女マデリン(=ヒラリー・スワンク)に引き込まれていく

ブライアン・デ・パルマをして、失敗作であった
600ページ以上ある大長編を2時間でまとめようとしたために、前半は駆け足となり中盤以降も原作と展開を変えざるを得ず、悪い方向にまとまってしまった
1940年代のロスを再現した映像には目を見張ったし、バッキーとリーのボクシングは凝っていたけど、下手に原作前半を忠実に映像化し過ぎたために、後半は力尽きて竜頭蛇尾になっている
もともと原作が数年がかりの物語であり、ハリウッドに向かない複雑すぎる筋書きだっただけに、企画そのものに無理があったのだろう
キャスティング的には、スカーレット・ヨハンソンがエロ過ぎで(苦笑)、誘惑するマデリンがかすんで見えてしまった。映像に残るエリザベス・ショート(=ミア・カーシュナー)がほどよく可愛かっただけに、いろいろともったいない作品である

この映画のこと詳しく語ろうとすると、どうしても小説と映画双方のネタバレになってしまう。以下は覚悟して読んでください
一番大きな改変は、舞台がロサンゼルスに限られること。原作では国境を越えたメキシコ側の都市ティファナにまで、バッキーはリーの足跡を追跡するのだが、映画ではケイと関係したマフィアとのどさくさに殺される
小説ではそのショックで、ブラックダリア事件を離れてケイと普通の結婚生活を送るが、映画だと間をおかずにリーの過去が暴露され、怒濤のごとく真相へなだれ込む
真犯人の片方がすでに死んでいて、残されたほうも事件の全貌を語って、ご都合のような自害(苦笑)。最後でリーを殺した犯人まで、バッキーが手を下してしまう
この終盤の畳み方は完全に映画オリジナルであり、小説の風味をぶちこわしてしまった。どうにもならない苦味のなかで、再生するラストが良かったのに……。プロデューサーの介入でもあったのだろうか
小説が気に入った人は見ないがいいかもしれない


関連記事 『ブラック・ダリア』(原作小説)
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