カテゴリ0の固定表示スペース

カテゴリ0の固定表示スペースの本文サンプルです。
テンプレート使用時に削除してください

カテゴリ1の固定表示スペース

カテゴリ1の固定表示スペースの本文サンプルです。
テンプレート使用時に削除してください

カテゴリ2の固定表示スペース

カテゴリ2の固定表示スペースの本文サンプルです。
テンプレート使用時に削除してください


『勇魚』 下巻 C・W・ニコル

『盟約』『捜敵海域』『特務艦隊』の三つの作品へ続く


勇魚(いさな)〈下巻〉
勇魚(いさな)〈下巻〉
posted with amazlet at 20.02.08
C.W. ニコル
文藝春秋
売り上げランキング: 670,003


琉球から上海に渡った甚助は、イギリス人船長フォガティーの信用を得て、一流の船乗り“ジム・スカイ”として活躍していく。その一方で、日本は風雲を急を告げ、大老・井伊直弼が暗殺されたことで松平定頼は再び浪人の身となり、攘夷の同志・伊藤をすすめで薩摩に身を寄せることとなる。絵師として有名になった三郎は太地村の不漁から仕事が激減し、慣れない船仕事に取り組むこととなった

上巻は片腕を失った刃刺・甚助の悪戦苦闘が中心だったが、下巻では甚助が栄光の階段を登っていくのと対照的に、時代の波に取り残されていく定頼と三郎の悲哀が目立つ
定頼は長州過激派の暴走による禁門の変を、体制を守る薩摩藩士として参加するが、戊辰戦争では官軍として幕府軍と戦う。松平定信の子孫である彼にとって、自らのアイデンティティを破壊する行為であり、外国から流入した銃器で日本人同士が殺し合った現実に打ちのめされて心に深い傷を残した
西南戦争のとき、定頼は新政府についていけない伊藤ともに、西郷のもとを目指す。その旅路を運ぶのは、ジム・スカイ”こと、かつての甚助。いつ交わるかと期待した二人がまさか、こんな邂逅を果たすとは……

太地村は海流の変化、外国の捕鯨船の活動から、鯨の獲れ高が下がり寂れていく
絵師として生計を立てていた三郎も、描く船がなくなってきたことから、自ら鯨取りとして船上の人となる
甚助への遠慮から、妻のおよしと距離を置いていた彼だったが、絵を通して愛情が高まり二人の子をもうけるように
そこに来て甚助が突然の里帰り!
甚助は三郎とおよしの関係にショックを受けるが、およしが三郎を立て、三郎が甚助の生き方を認めたことで、兄弟の溝は一瞬で埋まる。甚助はフォガティー家のスーザンと結婚すること決め、アメリカ国籍をとることを決意したのだった
しかし、その十数年後に太地村に悲劇が襲う。不漁からタブーである鯨の母子をとりに出かけたことから嵐に巻き込まれ、太地の鯨取りは壊滅する。1878年(明治11年)の大背美流れである
太地村は400年続いた古式捕鯨の担い手を失い、近代捕鯨に転換せざる得なくなった。そして、三助は……(泣

下巻における甚助は、ジム・スカイの名を得たことで日本人離れした活躍を見せる。まるでメジャーへ行ったプロ野球選手の如し
その豪快な生き様は、作中にも登場するジョン万次郎に近く、同時代に外国へ出たまま帰れなかった者もいたことだろうし、各国を渡り歩いた作者の人生とも重なって見えた
甚助の不屈の闘志は、イギリス的なのである
それとは対照的に、伝統を重んじる弟の三助や定頼は桜のようにはかなく散っていく。この二つの精神を雄大に描き切ったことが何より素晴らしい


前巻 『勇魚』 上巻

深重の海 (集英社文庫)
集英社 (2018-09-07)
売り上げランキング: 234,430

太地村と大背美流れに触れた小説
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『アベニールをさがして』 第3巻 富野由悠季

自民党の憲法改正に大規模災害時の緊急事態要項あり。まさかのサージェイ誕生あるか


アベニールをさがして〈3〉 (ソノラマ文庫)
富野 由悠季
朝日ソノラマ
売り上げランキング: 1,220,210


プロト・フロンティアに迫るショウカクに、迎撃に来るコンラッド部隊。意識不明の笛吹彗に代わり、ヒューガ・オノレはアラフマーンに乗るが、脱出したゲイズ・カレッカも同タイプのリック・メッケードに乗って立ちはだかる。なんとか退けたオノレたちは、プロト・フロンティアに到着。巨大コロニーに圧倒されるながら、新興宗教の巫女と対照的なストリップ・ダンサーのアベニールにも遭遇するのだった

早くも最終巻である
三巻構成は予定されていたのだろうけど、前巻・前々巻のペースに比べると疾風怒濤で、展開が早い!
スターバスタープロジェクトは、ネオ・フリーメーソンが宇宙に新天地を建てるべくでっち上げたものであり、世界から集めた資金と月から採取した資材で巨大コロニー「プロト・フロンティア」が作られ、そこは次世代を支えるインスパイアー・エンジンの開発と実験場となっていた
ネオ・フリーメーソンがコンラッド・ヘイヤーガンの行動を認めたのは、外敵があったほうがなにかと口実ができるからで、彼らにインティパ・タイプの機体を与えて実験台にも仕立てていたのだった
その事実に怒ったヘイヤーガンは蜂起し、ショウカクを包囲していたネフポと戦闘を起こして、三つ巴の戦いが始まる

本作は、ガンダムの宇宙世紀を一度解体して組み直したかのような世界観である。音楽でいうセルフカバー、セルフ換骨奪胎とでもいうべきだろうか
意志疎通、体験を共有する現象に対して、ニュータイプの代わりに、究極の粒子“インティパ”の作用という科学考証を施して、すべての人が体感できるものとしている
人類そのものが宇宙で進化するのではなく、インスパイアーエンジンに触発される形で、元来持っている能力が発現するイメージ
本作の最後ではガンダム・サーガのように死んだ人間との交感まで描かれ、クライマックスは仏教でいう仏とその弟子たちが迎えに来る“來迎図のよう。アベニールは人が無意識のなかにもっているイメージ(ユング心理学でいう集団的無意識)の中にあり、肉体は欲望を呼び起こす檻、鎧であり、インティパはそこから解き放つ鍵となる
この精神優位の思想には、ニューエイジの匂いがぷんぷんする。そもそも“アウトサイダー”のフール・ケアの在り様は、70年代のヒッピーそのものである。とするとインティパは一種のドラッグとも……
それはさておいて、肉体が過ちを生むのなら、なんで肉体を持って人は生まれてくるのか。“真のアベニール”はそれを修行という形で表現し、世界を豊かにするものとした
このまとめ方は「バイストンウェル」とのつながりを想像させられた

理知的なコスモ・クルスのアベニールに対置させる形で、肉体で思い向くまま表現するダンサーのアベニールが登場する
彼女はコスモ・クルスやネオ・フリーメーソンのインテリぶりをあざ笑い、フール・ケアのマインドコントロールに全身のピアスの理由を言い当てる。『閃光のハサウェイ』のギギ・アルダルシアのような、野生のニュータイプを思わせるが、彼女もまた肉体に縛られた限界があるとする
インスパイアー・エンジンのような人を滅ぼす力を持つ科学技術に対して、ヘイヤーガンのようなマッチョな野望、ネオ・フリーメーソンの欺瞞的な知性でもない、生命に宿る健全な精神を得なければ、人類の未来は危うい。そんな危機感がスピチュアルなものを待望させたのか
とはいえ、100%そんなベクトルに傾かないのが富野作品
新世代であるオノレはプロト・フロンティアやインスパイアー・エンジンの可能性を信じる一方、旧世代の笛吹は「今の人間の手に余る」と往生しながら怒り狂うのであった
結局、一体どっちなんだ……(苦笑)。自ら精神優位の路線を敷いておいて、大いなる違和感を感じたのかもしれない。この揺らぎ、試行錯誤の道程こそ、本作の醍醐味といえるだろう


前巻 『アベニールをさがして』 第2巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『アベニールをさがして』 第2巻 富野由悠季

ロボットもの文学


アベニールをさがして〈2〉 (ソノラマ文庫)
富野 由悠季
朝日ソノラマ
売り上げランキング: 287,240


アラフマーンで宇宙へ飛び立った笛吹たちは、スターバスタープロジェクトシャトル“キャロル”に救助された。テンダーギアの襲撃者には、プロジェクトの一部局である“ネフポ”の元隊員たちが参加しており、その異様さを感じたキャロルのスタッフともに策源地とされる月の裏側にあるプロト・フロンティアへ向かう。しかし、彼らを迎え撃つコンラッド・ヘイヤーガン大佐はアラフマーンの同型機を持ち出すのだった

普通のテンダーギアに対するアラフマーンの実力は絶大である
捕虜にしたゲイズ・カレッカとアラフマーンの奪還にきたテンダーギア12機を、一瞬に葬ってしまう。ただし、インティパの作用により、キャロルの各クルーに敵パイロットの感覚が飛び込んできて、それぞれの飛散する意志を感じさせる
ニュータイプは個人の資質で意志疎通ができるものだったのを、アラフマーンのインティパ効果は強制的に現象として体験させてしまう。自意識を強制的に解放してしまうのは、大麻パーティというか、ニューエイジ的なものを連想させてしまうが、各人の個性は残るし意識を統合させようというわけでもないようだ
このアラフマーンと対峙できるのは、やはり同じアラフマーン・タイプのみということで、プロト・フロンティアに迫る笛吹たちに対して、宇宙帝国建設を狙う首魁コンラッド・ヘイヤーガン大佐メッサードという先行機を駆る
アラフマーンとメッサードの関係はどこか、ターンエーとターンエックスを思わせるのは偶然だろうか

アラフマーンが普通のテンダーギアに対して一方的に狙撃してしまうので、戦闘の描写はあっさりである
本巻のだいご味は、捕虜にしたゲイズ・カレッカまでも交えたサロンのような会話ベストン・クーリガが感じたアベニールとは何なのか? スターバスタープロジェクトとインスパイアーエンジンを生み出したという秘密結社ネオ・フリーメーソンの関係とは? コンラッド・ヘイヤーガン大佐の目指すものとは?
まるで『魔の山』などの西洋文学を目指しているかのように、それぞれの立場で変わりゆく情勢のなか、想像を巡らしていく。さらには科学技術の発達、政治の民主化が人間に何をもたらせたのか、と文明論も問いかけられる
前巻の最後ではコンラッド・ヘイヤーガン大佐の思想現状の人類にインスパイア・エンジンの獲得させると、今まで以上に地球で腐敗した社会を作るから、新しい時代に見合った政治組織によって統制せねばならない……に対して、笛吹は「それはサージェイの日本と同じではないか」人間の集団である以上、組織が腐敗することを計算に入れていないと吐露した
ならば、それ以外にどんな選択肢がありうるのか、問われることになる
小型のスペース・コロニー、フロント1にはアベニールを名乗る教主の新興宗教コスモ・クルスがあって、宇宙において地上のコピーのような環境をこしらえていた。宇宙で地上と同じことをするのなら、なぜ地球に住める努力をしないのか、『ガイア・ギア』と同じ視線を感じた


次巻 『アベニールをさがして』 第3巻
前巻 『アベニールをさがして』 第1巻

関連記事 『ガイア・ギア』 第1巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『アベニールをさがして』 第1巻 富野由悠季

オノレがバルザックからだったなんて


アベニールをさがして〈1〉 (ソノラマ文庫)
富野 由悠季
朝日ソノラマ
売り上げランキング: 496,082


軍国主義に陥った近未来の日本に、謎の人型マシーン「アラフマーン」が舞い降りた。そのパイロット、ベストン・クーリガアベニールのメッセージとして“日本への懸念”を伝えたのち、アウトサイダーのフール・ケアに撃ち殺された。事態の収拾に動いた“サージェイ”の笛吹少年・日向オノレは、その死に際に妖精が羽ばたくの見た。その直後にアフラマーンを追撃してきた部隊の攻撃を受けて……

ミノフスキー粒子があるのにモビルスーツはない! 宇宙世紀とはまた別の未来を描いた富野小説である
宇宙に進出した人類は、太陽系が流星群に襲われることを感知し、地球に落下する隕石を核で粉砕するスターバスタープロジェクトを立ち上げていた。そのプロジェクトに使われる人型マシーンが「テンダーギアであり、兵器としても使用される
日本では旧来の民主主義だと天変地異などの非常事態に対応できないとして、自衛隊が改称した“サージェイ”中心の独裁政権が成立しており、他国から軍国主義の再来として批判されているという作品世界だ
初出の1995年には阪神淡路大震災が起きており、村山政権の対応が批判されていて、そこから日本の近未来を思考実験してみたのだろう
主人公はサージェイの軍人笛吹彗と、テンダーギアを動かせてしまった少年オノレの二人なのだが、第一巻ではオノレが一般的な日本人の視点を提供する役割を担っており、笛吹が主役機アラフマーンを動かすエースパイロットと、綺麗に分担されている
と、視点においては気を利かせているものの、展開がぶっ飛んでいる。驚異的なマシーンが登場するのはロボットアニメのお決まりながら、そのパイロットが自殺同然の死に方をし、そこから主要人物が一気に宇宙にまで上がってしまうとか、疾風怒濤というほかない

アラフマーンガンダム世界で考えても驚異的なマシーンである
単に大気圏突入してくるだけであれば、初代のガンダムでもできる。しかし逆に地球の重力を振り切って、宇宙に上がるモビルスーツなど聞いたことがない。シャトルやロケットに乗るか、ブースターをつけなければ無理だろう
それを可能しているのが、究極の粒子インティパを利用したインスパイアー・エンジン! なんとこれをもって、ほぼ無限の航続距離と驚異的なパワーを有しているのだ
それだけでなく、レーダーを殺すミノフスキー粒子の散布下でも敵を感知し、相手からほぼ見えないパルスレーザーで一方的に射撃できる。それどころか、笛吹が行った宇宙戦闘では相手の攻撃をパイロットが反応できる以前に回避して見せた
まるで自分の意志を持っているかのようで、笛吹は自分がマシンに操られているのではと戦慄する
また、この機体は戦闘で絶対的なだけでなく、ベストン・クーリガの死に際に妖精が見えたように、周囲の人間の精神面にも働きかける。人々に共通体験をもたらすある意味、ニュータイプにしてしまうのだ
それが「アベニール」なのか、なんなのか、オノレたちはああでもない、こうでもないと模索し、世界の問題の原点に近づいていくのである


次巻 『アベニールをさがして』 第2巻


宇宙エネルギーの超革命―地球を救う新発見 (広済堂ブックス)
深野 一幸
廣済堂出版
売り上げランキング: 566,968

巻末に掲げられた参考図書。探してみるか
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『勇魚』 上巻 C・W・ニコル

シリアスながら、アクションシーンもあって娯楽性も高い


勇魚(いさな)〈上巻〉
勇魚(いさな)〈上巻〉
posted with amazlet at 19.12.26
C.W. ニコル
文藝春秋
売り上げランキング: 661,879


幕末の紀州、太地の村鯨取りで知られていた。鯨を仕留める刃刺を継ぐと目された甚助は、アメリカの捕鯨船との遭遇に胸を躍らせるもつかの間、鮫に襲われて片腕を失ってしまう。外国船打ち払いの切り札として鯨取りに眼をつけていた、紀州藩士・松平定頼は、やさぐれる甚助に外国の鯨取りになる代わりに、個人的なスパイとなるように求められるが……

『風を見た少年』などで有名なC・W・ニコルの長編歴史小説
ジュブナイル向けの小説や自然に関するエッセイしか読んだことがなかったから、こんな本格小説を書いているとは知らなかった。昔のホーキンスのCMに出ていて、靴はホーキンスと決めているほどなのだが(苦笑)
主人公は紀州太地村に暮らす兄弟。たくましい刃刺の兄・甚助に、船を華やかに彩る絵師となる弟の三郎で、兄は松平定頼の密偵として江戸、琉球、上海と旅して、弟は村に残って度重なる災害から家族を守っていく
驚くべきはほとんどの場面が日本人の視点で描かれていて、なんら違和感がないことだ。1年間、太地村に住んで取材を重ねたといっても、これだけ当時の捕鯨の様子、日本人の価値観を捉えきる透徹した視線には恐れ入る
当然ながら、アメリカ、イギリスから見た日本人の在り様も、ややひいき気味ながらも語られていて、多面的、重層的に幕末日本を眺められる労作なのである

鎖国か通商開国か、佐幕か尊王か政局で語られる幕末維新を、捕鯨という日米の共通点から切りこんでいるのが新鮮だ
ペリーが浦賀にやってきたのは、直接的には捕鯨船の寄港地が欲しいから。当時のアメリカは工業化が始まり、機械の潤滑油や照明用のランプの需要が激増していた
アメリカの捕鯨は鯨油の採取専門であり、鯨油を抽出するために大量の薪木と水を必要となったのだ
アメリカ人が巨大な帆船とカッターで追いつめるのに比べ、太地村の鯨取りは組織力で仕留めにいく。勢子役の船が鯨を網へ誘導して動きを止めさせ、銛を投げ入れて生命力を削っていく
鯨は必死に逃げようとするので、トドメとして「鼻切り」をしなければならない。鯨の鼻とは潮を吹く噴気孔のことで、ここを傷つけると呼吸ができなくなるから一気に弱っていくのだ
この鼻切りはたいへん危険であり、銛を刺す「刃刺」の中でも最も名誉な役目である
日本人は鯨の各部位を使い切った。鯨肉はいうまでもなく、臓物も珍味で腸は「龍涎香」という高価な香料となる。髭や骨は手工芸品となった
そんな日米の捕鯨が血なまぐさくも大迫力で描かれるのが本作である。到底、映像化は不可能だろうが(苦笑)
片腕を失った甚助は定頼の密偵となることで、琉球、そして海外へ旅立っていく。欧米の文化にのめりこんだ甚助、攘夷主義者でありながら、松平定信の子息、次期将軍の紀州藩士という立場から井伊直弼に仕えるはめになる松平定頼、幼子の名誉のため兄の残した恋人と結婚した三郎がどうなっていくか。史実の流れは分かっても、物語の結末は読めない


次巻 『勇魚』 下巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『餃子の王将社長射殺事件』 一橋文哉

二週間も更新があいてしまった。時間が経つ早さに愕然とする


餃子の王将社長射殺事件
一橋 文哉
KADOKAWA/角川書店
売り上げランキング: 376,128


2013年12月19日。京都市山科区、本社前で四代目社長・大東隆行が射殺された。いったい犯人は……誰がなんの意図で……。事件の裏側と日本の闇社会の変化を探る

もろに地元で起こった事件なので、手に取ってみた。もう6年も経っていると思えない衝撃が残っている
未解決事件であり、本書は犯人像、その黒幕に鋭く迫っているものの、確定されるような真相が明かされるわけではない。作中に出てくる証言者も、取材源の秘匿がジャーナリストの義務であることを考えれば、かなりの脚色がなされているとみなすべきだろう
餃子の王将は今や、全国展開する一大チェーン、まさに中華料理の“王将”なのだが、最初は60年代の京都から始まった。当時は「珉珉」が同業の先駆者であり、その競合に勝つべく創業者の加藤朝雄と殺された大東隆行は、でかくこってりした餃子とユニークな無料キャンペーンを展開し拡大した
朝雄氏の死の一年後、三代目社長に息子の加藤潔が就任。当時はバブル冷めやらぬ時代、父親の遺訓を破り不動産業に手を出して、会社を傾かせる大規模な損失を出した
それを立て直すべく、“現場の鬼”大東隆行が四代目目社長につき、副業や不採算店舗を清算し、ハードな研修や信賞必罰の徹底で業績をV字回復!
その峻烈な経営による、長時間労働に多くの離職者、“絶叫”研修が問題視されていた矢先の射殺事件だった……というのが表の歴史である

外食チェーンが全国へ出店していく際に、問題になるのが土地の確保。チェーンの戦略にあった立地条件は必須である
そうした土地取引を為すのは不動産屋であり、その裏には暴力団関係者が関わってくる。本書ではキーマンとして、王将の全国展開には各地域の顔役に橋渡しをするU氏が登場する
U氏は創業者・加藤朝雄と同郷で、会社を傾かせたゴルフ場への異常融資に深く関わっていた。王将側が闇社会への仲介の労に応えるために、バブル崩壊で苦しむゴルフ場経営を助けた疑惑がある
こうしたトラブル対策の仲介者をもっていても、出店にともなうトラブルは起こる
2012年12月、石川県金沢市の繁華街、片町にある店舗で、ホストたちが乱痴気騒ぎを起こして、ネットに全裸の記念写真を流す事件があった
彼らはホストクラブの出店先の土地へ王将が先を越したことに激怒し、報復に及んだのだ。興味深いのは、彼らが半グレ集団『怒羅権』(ドラゴン)のメンバーであり、そのルーツはなんと中国残留孤児の2、3世だというのだ。この中国、満州への因縁が王将を取り巻く

王将の社長を射殺した凶器は、25口径の自動小銃
暴力団の殺し屋が使用するのは一発で仕留められる38口径を好むといわれ、実際に社長へは4発も発砲されている。4発を命中させる腕前はプロに違いないが、わざわざ殺しきれないリスクのある25口径を使ったのはなぜか
ヒントは銃弾にあって、それは加工され被害者が苦しんで死ぬように意識されていたというのだ。この手口は中国系マフィアが裏切り者の処刑する際の手口らしい
実際、関西国際空港には、事件当日に入国して日帰りで帰る不自然な女性がカメラに残っており、「女殺し屋説」を本書は推している
当時、王将は中国進出に挑戦しており、餃子発祥の土地、旧満州こと中国東北部へ展開をはかっていた。一説には創業者の朝雄氏が召集されて満州で憲兵をしていた時期があり、朝雄氏の悲願だったともいわれる
しかし他の外食チェーンが大規模展開する傍ら、大連を中心とした数店にとどまり、事件後の2016年に大連店も閉店していた
本書ではその理由として、出店の際にマフィアと仲介したコーディネーターとの物別れ、あるいは他のコーディネーターと頼むダブルブッキングの影響があげられいて、その報復が社長に及んだ説を紹介している
そして、終章で及ぶのは、暴対法を嫌って東南アジアへ拠点を移す暴力団の姿。上記の半グレ集団もここにつながってくる
彼らは中国系や地元マフィアと密接に組んで活動しており、朝雄氏がアジア人留学生を援助するための「加藤朝雄国際奨学財団」を利用して“犯罪者の人的交流”を進めていたともいう
真相はやぶの中だが、王将を食いものにしようと様々な集団がうごめいていたのだ
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『ガイア・ギア』 第5巻 富野由悠季

ふと買ったプレイボーイの記事に、富野インタビューが!
Gレコ劇場版も、あと一週間


ガイア・ギア〈5〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
富野 由悠季
角川書店
売り上げランキング: 221,322


ホンコン・マハの登場に状況は絶望的に思われたが、アフランシはビジャン・ダーゴルの行動を分析し、合理的に見えるマハがロマン主義に傾倒していると見抜いた。メタトロン側にも新型量産機の増援が到着し、メッサーがウルのブロン・テクスターを捕獲するなど、決戦の機は熟した。しかしその裏でメタトロンの老人たちは地球連邦政府と取引、援軍のパイロットにアフランシ抹殺を命じていたのだった

いよいよ最終巻
メタトロンの苦境を救ったのは、意外にもガイア・ギアに乗ったメッサー・メット!
仲間と改装されたウル・ウリアンのブロン・テクスターを鹵獲し、自らの搭乗機にしてしまったのだ。これに第三波の援軍にガイア・ギアをもとにした量産機ガイアスが加わることで、劣勢は変わらないものの戦場の流れは変わる
アフランシはウル・ウリアンを尋問したことで、理知的な管理社会を唱えるマハが、実は地球への感傷的なロマンチシズムを持ち込んでいると見抜く。安定したスペースコロニーの人口環境が、地球の自然に対して幻想的な憧れを生んでしまうのだ
そこに地球の厳しい自然、汚染された環境へのリアリズムはない
ビジャン・ダーゴルのガイア・エンペラーはそれを選民主義で突破しようとするものであり、いわば最悪の“レコンギスタ”だった

唐突に姿を現したのは、アフランシの本妻エヴァリー・キー!
クリシュナを救った彼女は、ゾーリン・ソールで抜け出したジョー・スレンと合流する。しかしジョーがウル・ウリアンに撃破されたことで、クリシュナは動揺しエヴァリーをウルへ売ってしまう
前回、フォローする記事を書いてしまったのでアレなのだが、彼女は女なのにクリシュナという最高位の男性神の名をつけられ、コンプレックスを抱いていた。そこに愛してくれる男性を殺された上、憧れのアフランシの妻が現れたことで、自分とのギャップに嫉妬してしまったのだ。戦場にこういう女と女の機微を持ち込むのは、富野監督ならではだろう
アフランシの敵役であるウル・ウリアンは、あくまで戦闘という狭い世界に生きる男である
ビジャンへのあてつけで、お気に入りのノイシュバンシュタイン城へ、エヴァリー・キーを置き去りにし、宿敵との対決に執念を燃やした
一見、柔弱で女性をコマしてみせるが、アフランシには妙な男の義理を果たす
荒廃したままの城の玉座にエヴァリーが座る光景は、映画のラストシーンのように神々しいのであった

どこでの発言か定かでないので恐縮だが、「吹っ切れたシャアはアムロより強い」という言葉を聞いたことがある(シャアのWIKIに似たような記述があった→シャア・アズナブル-WIKI
アフランシ・シャアは南の島で“健全”に育ち、シャア・アズナブルの不幸な出自を背負っていない。ではニュータイプとして最強かというと、まったくそういうことはない
要所でシャアのメモリーチップが鳴り、それらしく行動できるものの、指導者としてのカリスマ性は持ち合わせず、いろんな場所でドジも踏む
本人もお仕着せの指導者“シャア”ではなく、あくまでいち青年“アフランシ”にこだわり、地球の最前線を居場所に求めた
この“アフランシ”にとどまったことで、最愛の人“エヴァリー”との再会を果たし結ばれ、子供すら得られようとするわけで、その意味で本家のシャアもアムロも超えたといえよう
シャアがララァに癒しと甘えを求め、戦場にまで送り出してしまったのと対照的な在り方である(シャアにはシャアの事情があるけれど)
いわば、本当のニュータイプとは、地球を汚染せず他人に迷惑をかけず暮らしていける人々であり、エヴァリーのような女性を得て家庭を築けるるように研鑽を積まねばならぬのだよということなのである。作品世界でそういう精神性を持たずに地球に帰還するのは論外というわけだが、では今の地球に住む我々はどうなのか、地球に住むにふさわしい人間なのかが問われている

語り切れないことばかりである。文体でいえば、『閃ハサ』ほど風景の描写が薄く、接続詞「しかし」が多用される点などが気になったが、終盤にキャラクターたちが熱くなっていくと、擬音や短文での改行が増えて、読者を詩的な陶酔に引き込んでしまう
こういう畳みかける技法は、絵師にある程度イメージを委ねるラノベに、大きな影響を与えているのではないだろうか
後、最後のアフランシの台詞、「……ミランダ、勘弁してくれっ!」は、メタ台詞ぽい(苦笑)。アフランシはミランダがやつれていくのを見て、「彼女も普通の人なんだ」と自立していくのだが、彼女との惜別の場面はない。ねじ込めず申し訳ないということかな


前巻 『ガイア・ギア』 第4巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『ガイア・ギア』 第4巻 富野由悠季

チョロインといってしまえば、それまでだが


ガイア・ギア〈4〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
富野 由悠季
角川書店
売り上げランキング: 692,143


マハは地球で選民主義の帝国を築くべく、動き出した。その首魁ビジャン・ダーゴルの戦艦マハ・ゲイジズを追って、メタトロンも組織を上げての地球降下作戦をとった。マハの圧倒的な戦力に苦戦が続くなか、クリシュナは再びウル・ウリアンの手に。彼女は成り行きながら、ウルに篭絡されその戦力に使われてしまう。アフランシは味方の被害に自らの無力を嘆きながらも、峻烈な作戦に出るのだった

想像以上に濃い巻だった。アフランシ以外のキャラクターがそれぞれ存在感を出していくのだ
地球降下のどさくさにメタトロンを抜け出したメッサー一党は、捕虜の中からかつてのボス、トット・ゲーリングを見つけて帰参する。名前はゲーリングだが、ナチスリスペクトのマハには酷い目にあわされた(苦笑)
メッサーたちは主義主張で動かない。いわば不良同士の義理人情であり、アフランシには兄弟がやられたのなら親分として仇を取れと、顔をぶん殴ってくる者たちだ
宇宙で時を待っていた老人たち、正規クルーのような主義者たちに対して、自然の感情むき出しで動く彼らを混ぜることで、硬直した組織に血が通い始める
といっても戦いは過酷であり、先行したマドラス隊は壊滅の憂き目を見る。アフランシは、マハの“ガイア・エンペラー”の帝都候補であるヌーボ・パリへのミサイル爆撃を迫られる。地球の環境破壊を批判する側が、生態系を破壊する行為を行ってしまう。まさに“シャア”の因縁といえよう

さて、クリシュナ・パンデントである
インド系ということでララァ枠かと思われたが、アフランシにはエヴァリーという地球妻の影があり、頼れる年上のミランダ・ハウへ気持ちが向かっている(「おっぱいは他で吸ってくださいな」と拒否されたが)
ジョー・スレンという隠れファンはいたものの、第二巻でモーションをかけられたせいで、彼女は吸い込まれるようにウル・ウリアンのもとへ
ウルからは、「地球での帝国建設に使役された労働者はガス室送り」と言われ、マハの現実に絶望するものの、メタトロンの主義に妥協したアフランシのミサイル攻撃にも動揺。そうなれば主義者になりきれない彼女は、自分を大事に思ってくれそうな側へいたくもなる
敵方へ転向する女性は他の富野作品にも出てくるが、この娘のケースは年齢的な甘さと不慮の事故。何気にアフランシは「もっといい男でいれば」と気にしていて、シャアの名に似合わぬ性格は、たしかに指導者には向いていない
しかしそれこそが、頭に埋め込まれたシャアの“呪い”を乗り越える素養なのだろう

マハとの戦いが消耗戦になってきた中、今度はホンコンのマハが敵の援軍として登場した
そのマン・マシーン、ギッズ・ギースは今まで登場してきた機体を凌駕する性能を誇る。しかも、量産機である!!!
最終巻のなか、事態は絶望的に見えるのだが……どう巻き返すんだ、これ


次巻 『ガイア・ギア』 第5巻
前巻 『ガイア・ギア』 第2巻・第3巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『ガイア・ギア』 第2巻・第3巻 富野由悠季

メカニック面の解説がやけに熱い件


ガイア・ギア〈2〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
富野 由悠季
角川書店
売り上げランキング: 494,270

ガイア・ギア〈3〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
富野 由悠季
角川書店
売り上げランキング: 465,841



ズィー・ジオンに誘われて宇宙に上がったアフランシ・シャア。サイド2ではマハの追跡を受けて、街中で空爆を受ける。一度は囚われて自白剤まで飲まされるものの、なんとか振り切って仲間の元へ。しかし、半ば囮を買って出たクリシュナ・パンデントがウル・ウリアンの手に捕まったのであった。アフランシの決断は……!?

宇宙においても、マンハンターことマハ(MHA, Man Hunting Agency)は牙をむきだした
本来は地球上の不法移民を宇宙へ送り出す部局のはずが、コロニーの反地球連邦運動の摘発にも乗り出し、アフランシとその関係者をあぶりだすために市街地の空爆までしてみせる
そこに採用されたウル・ウリアンは、ビジャン・ダーゴル大佐ともに内部から地球連邦政府を変革するという。面白いのは、宇宙の過酷な環境に鍛えられた人類がニュータイプになるという構図が否定されているところだろう
宇宙が過酷でも、スペースコロニー自体は人工物で天候などもコントロールされていて、そこの住人はしょせん温室育ち。むしろ生き物として退化、腐敗していく
逆に地球という重力下、予想できない自然環境のなかでこそ、人は鍛えられる『Vガンダム』でフォンセ・カガチが唱えた「地球でこそ、ニュータイプが生まれる説」の始まりだろう
それはさておいて、第二巻で目を見張るのは、下剤を飲んだアフランシに対する描写である(笑)。発信機を吐き出すためなのだが、最初はおならしか出ない。二度目にだいぶ出ただろうと思いきや、捕まったクリシュナを追っているうちに第二波が(爆)。さらに敵のMSをかっぱらってから大噴射とやけに丹念である
こんなシャアは嫌だ、と思わなくもないが、上記の身体性の重視、自然回帰の一環と捉えられなくはない


第3巻において、アフランシは長く雌伏を続けていたズィー・ジオンを、メタトロンを命名。囚われたクリシュナ・パンデントを救うために、ガイア・ギアともに戦艦「三十一の二乗」(後にマザー・メタトロン)も発進させる
一人のクルーのために全精力を上げるという行動は無謀に見えて、眠って沈滞していた組織に喝を入れる。誰が危機に陥っても見捨てず、「メタトロン」は助けてくれるという前例を作れた
この戦いではほかの政治犯を釈放されて、コロニーでアフランシに因縁をつけてきたメッサー・メットの一党もメタトロンに採用される
そして、戦いは地球上にもおよび、ついにマハのビジャン・ダーゴルの構想が明らかになる
宇宙から地球への移民を掲げて、地球連邦の高官から末端までの支持を集めるとともに、いわばその居住権を振りかざすことによって、地球連邦政府全体の支配を確立する
まずはヨーロッパに白人中心の移民を認めて、そこにマハによる共和国を樹立。各コロニーでは地球への移民を匂わせて徴兵制を導入しており、大半は使い捨てるが生き残る資格があると見なした者をピックアップして、マハの一員とする
こうして選ばれた人間の帝国を作るのがダーゴルの狙いで、宇宙移民の歴史を反転させた構想なのだ。まるでナチスの再来であり、地球圏の人口調整を唱えたギレン・ザビを受け継ぐという意味ではティターンズのジャミトフに近いだろうか。身体性、自然回帰をテーマにしつつも、それに潜む危険性も視野に入れているのだから恐れいる
戦闘ではガンダムおなじみの大気圏突入を巡る熱い攻防が! 闖入者であるチンピラ出身のメッサーたちもいい味を出している


次巻 『ガイア・ギア』 第4巻
前巻 『ガイア・ギア』 第1巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『ガイア・ギア』 第1巻 富野由悠季

既読ですが、だいぶ記憶から抜け落ちています


ガイア・ギア〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
富野 由悠季
角川書店
売り上げランキング: 281,935


宇宙世紀203年。南の島で育った青年アフランシ・シャアは、嵐の夜に長老ガバ・スーの遺言を受け取った。「おまえは宇宙へに出よ…」。その瞬間に、アフランシの頭の中に音が鳴り始め、流れ着いたモビルスーツマン・マシーンは彼に新たな記憶を呼び起こし始めた。最愛の恋人エヴァリー・キーを振り切って、ホンコンを目指すが、そこにはジオンの志を受け継ぐ秘密結社が動いていたのだった

富野小説の中でも、独自の宇宙世紀の歴史を経たシリーズ
逆シャアからは100年以上、Vガンダムからも50年過ぎており、ノベルズ作品では宇宙世紀で一番先の時代のはずだ
『ベルトーチカ・チルドレン』『閃光のハサウェイ』と世界観が同じかというと、そうは言いきれない。月刊ニュータイプに連載されていた時期が1987年から1992年にかけてであり、上記ふたつの作品に先行しているのだ
読者としては、逆シャア後の「新しいシャアの物語」ぐらいに受け取っておけばいいのだろう。なにせ、諸般の事情により、モビルスーツという言葉が使えないぐらいで、バンナムの宇宙世紀と完全に別系統の未来なのである
あまりに先の未来だからなのか、上記二つの作品に比べると描写が薄く、オリジナルの宇宙世紀なのにアニメのノベライズのよう。手探りで世界を作り上げているかのようだ
その分、登場人物同士の問答に監督の考えが濃縮されていて、なんだかんだ吸い込まれてしまうのだが

アフランシ・シャアは単身、島を飛び出すのだが、いろんな人物が絡んでくる
最初に着いた島では、謎の活動家トルース・シュトロンガーから「アフランシ」の意味を教えられる。「ア・フランシ」とは、自由にされたフランク人、つまり白人の総称であり、アフランシは“白人の使命”を背負わされて、南の島へ修行に出されたのではと解釈する
トルースが白人至上主義とまではいかないまでも、一種の選民主義者には違いなくアフランシは反発する
そこからホンコンへ向かう船では、トルースの差し金とおぼしきテロリストに襲われる
そして、ホンコンで拾われたリムジンで、ジオンの秘密結社のバアム・ゼーゲンと出会う。彼はトルースと知り合いであり、アフランシはある計画に基づいて伝統的な人間の営みを保存する実験区で監視されていたらしい
ジオン・ダイクンの思想には、宇宙移民の解放・独立ともに、スペースノイドの選民主義も含まれている。産まれ直したシャアであるアフランシが、過去の呪縛からどこまで自由になれるのかがテーマとなりそうだ

さて、宇宙に登るためにはシャトルに乗らねばならないが、それは本来、特権階級でなければできない。そこでバアムはマン・マシーン“ゾーリン・ソール”を渡し、アフランシは導かれるように発進してシャトルをジャックしてしまうのであった
アフランシの頭のなかには謎のメモリーが詰まっており、それが時限爆弾のように彼を動かしてしまう
登場人物では、島では“正妻”のエヴァリー・キーに、大人のキャリア・ウーマンであるミランダ・ハウ、インド系の美少女でララァ枠(?)クリシュナ・パンデントと、いろんなタイプのヒロインが目白押し。味方では女性の存在感が際立っている
ラストにはふらりと闇落ちしたハサウェイ(!)のようなウル・ウリアンが参上。まるで威圧感がないのに、アフランシにプレッシャーを与える知性派の好敵手だ


次巻 『ガイア・ギア』 第2巻・第3巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
01 | 2020/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
カテゴリ
SF (26)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。