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『真田太平記 (十二) 雲の峰』 池波正太郎

60歳で現役のお江さん


真田太平記(十二)雲の峰(新潮文庫)
新潮社 (2012-11-02)
売り上げランキング: 10,561


大坂の陣が終わり、徳川による天下が定まった。しかし、将軍・秀忠は関ヶ原の遅参を招いた上田城の屈辱が忘れられず、真田家取り潰しの機会を窺っていた。真田信之の側近して仕えていた馬場彦四朗は、徳川の間諜として潜伏していたが、流浪の旅から舞い戻ったお江に見破られて、真田家を追い出されてしまう。夏の陣から脱走した樋口角兵衛もまた、ふらりと上田城に戻ってくるが……

一番ホットな大坂の陣が終わったものの、物語のテンションは落ちない
歴史の大舞台をメタ的に解説することがなくなって、真田家とお江たちの活動に集中しているので、かえって作者の本領が発揮されているのだ
旗本を夢見て徳川に通じる馬場彦四朗に、家中では碁の好敵手として小川治郎右衛門当主・信之が用意した必殺の作戦は、まさに仕掛人のような切れ味である
真田家最大の危機が去ると、あとは登場人物たちのその後を優しく追っていく
樋口角兵衛に関しては、最後の最後で母・久野から「父親が昌幸でない」ことを明かされる。角兵衛の将来を慮ってついた嘘だったのである
大河の角兵衛はショックで切腹してしまうが、小説ではもはや悪さをする体力も気力も失って普通に家庭を作って死んでいったのであった

最終巻を読み終わったので、シリーズの総括をしよう
何度も記事に書いたことだが、池波正太郎は時代小説の人であって、歴史小説には向いていない。本人の気持ちが市井の、末端の人々に行き届いている反面、政治の上層にいる人間にはかなりクールに見切ってしまう
政治の論理が分かっていても、それをテーマとして書きたくないのだ
だからアウトサイダーである忍の者たちが輝く反面、たとえ豊臣秀頼、淀君、石田三成などをたとえ味方であり主筋であっても、見も蓋もなく描いてしまう
長編も得手ではないのだろう。瞬発的にいい話はあっても、一巻通した筋は見えにくかった。本当は三年ぐらいで終わるつもりだったのが、好評につき9年の連載に伸びたらしく、本人もずいぶん苦しんだのではないだろうか
作者お気に入りの真田信之に関しては、晩年のお家騒動について『錯乱』『獅子』という小説があるそうなので、機会があったら読んでみるつもりだ


前巻 『真田太平記 (十一) 大坂夏の陣』

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『真田太平記 (十一) 大坂夏の陣』 池波正太郎

日本一の兵なり


真田太平記(十一)大坂夏の陣 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 9,157


関東方の大砲が大坂城の天守閣に命中するに及んで、大阪方は不利な休戦を受け入れざる得なかった。家康の意向を受けた真田信之は、弟の幸村と再会を遂げる。兄との最後の別れを終えた幸村は、来るべき最後の決戦に向けて、後藤基次、毛利勝永と連携をとるのだった

ついに大坂夏の陣
大坂城の堀が埋められ、城としての機能が損なわれても、豊臣秀頼、淀君、大野治長ら首脳陣は討って出ようとはしない。大野治長主戦派である弟の治房の刺客に襲われる始末で、大阪方の指導力はどうしようもなく弱体である
作者は家康が仕掛ける開戦へのこじつけを強引過ぎるとしつつも、家康が突きつける講和の条件は、家康が秀吉から言い渡された国替えに近いものではないか、と指摘する。大阪方への同情がなく、幸村はあくまで真田家と自らの武名を世に残すために戦うのだ

幸村の必殺の作戦は、後藤又兵衛基次が濃霧のなかを突出したことで破綻するが、後一歩まで家康を追い詰めた
やや不可解なのが、幸村の死までドラマ仕立てなのに、秀頼の下へ行った大助の最期を描かないところ。作者の執着がない部分は、本当にそっけない
忍者が暴れるフィクションなのに、急に作者のメタ視点で資料を吟味し出して「この説を採らない」「小説に書かない」とか、言い出すのも解せなかった(苦笑)
ともあれ、大坂夏の陣で全ては終わらない。幸村から草の者の後のことを頼まれたお江に、戦場から失踪した角兵衛、年甲斐もなくお通に恋をする信之、と最終巻に向けて不穏な要素が溢れている


次巻 『真田太平記 (十一) 雲の峰』
前巻 『真田太平記 (十) 大坂入城』
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『真田太平記 (十) 大坂入城』 池波正太郎

最初から負けムード


真田太平記(十)大坂入城 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 10,233


ついに、家康は大坂への出陣を決めた。九度山にいる真田幸村は、お江たちの手引きによって脱出し、大坂城へ入る。後藤又兵衛に比べ、名の知れ渡っていない幸村であったが、城外に立てた真田丸の存在感と寄せ集めの牢人たちを掌握した手腕から頭角を現していく。しかし、老練な家康に比べ、秀頼、淀君、大野治長といった大阪方の首脳陣は惰弱。覚悟なき和平交渉へ入っていく

いよいよ大坂の陣、始まる
作者もここを描くために真田太平記を書き始めたといわんばかりに、真田幸村と草の者の描写はノッている。史実パートとオリジナルキャラのパートのテンションの違いが同シリーズの難点だったが、ここでは一体化しているのである
真田信幸改め信之の下にいたはずの樋口角兵衛が、なぜか九度山の幸村と合流。徳川と通じる豊臣の侍女・お通の屋敷にも出入りしていて、隻眼の豪傑ぶりとあいまって非常に不気味な存在、まさに獅子身中の虫である
前巻では初めて昌幸の子であると本人に告げられていて、その驚きと怒りが沼田を飛び出した理由と思われる。正直、今までの我がままぶりから、昌幸の子だと知らなかったというのには拍子抜けしてしまった
さすがに不自然と思われたのか、昔の大河ドラマでは、実は昌幸の子でなかったと打ち明けられて、自害する結末だった。はたして、原作の角兵衛はいかなる運命を辿るのか

家康の、目の黒いうちに蹴りをつけるという執念に比べ、大阪方は消極的な判断を重ねて籠城という、のっけから格負けである
二条城の会見では秀頼の器量を時代の英雄のようにアゲておきながら、大坂の陣では肥満してお公家様のような容貌となり、淀君と大野治長の言いなりとケチョンケチョン
作者の関心は真田幸村にあるのであって、「ベンチがアホやから合戦ができない」といった状況を作って引き立たせる演出になっているのだ
関ヶ原同様に西軍全体に冷淡なところがあって、結果が分かっているといっても、もう少し明るい部分も見せてもらいたかった
あと、猫田与助の死に方が、あれほどお江とすれ違い続けて、あの終わりとは惨かった(苦笑)。なにも80歳のリアルを見せなくてもいいのに……


次巻 『真田太平記 (十一) 大坂夏の陣』
前巻 『真田太平記 (九) 二条城』
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『真田太平記 (九) 二条城』 池波正太郎

草の者の深刻な高齢化


真田太平記(九)二条城 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 16,077


九度山に流された真田昌幸は、十余年の月日を送るうちに静かに老いを重ねていた。徳川家康は嫡子・秀忠に征夷大将軍を譲り、自分の眼の黒いうちに徳川の天下を磐石なものにしようと動き出す。後陽成天皇から後水尾天皇への譲位にともなう御所の改築を契機に、豊臣秀頼の上洛を要請。淀君は難色を示すが、加藤清正に説得される形で、家康との対面を済ませるのだった

忍者たちの高齢化を感じざる得ない巻であった(苦笑)
ヒロインともいえるお江が50代で、その宿敵たる猫田与助は70代! 草の者のエースである佐助は30代であるものの、お江をフォローする者たちは80代から90代までのジジイという……もう少し世代交代があってもいいのではなかろうか
甲賀忍者側は頭領すら代替わりし、良くも悪くも組織的な忍者たちが台頭している。草の者に真田十勇士ぽいのが、佐助ぐらいしか出て来ていないのも淋しい
ただ年齢さえ度外視すれば、戦国最後の生き残りともいえる忍者たちの攻防は熱い!

この小説を読むと関ヶ原後の豊臣家を支えていたのが、加藤清正ら豊臣恩顧の大名だったことが分かる
加藤清正難攻不落の名城・熊本城を築いて九州に割拠しており、浅野長政・幸長父子は大坂に間近の紀伊和歌山37万石を治めている。両氏とも家康との対決は望んでいないが、いざともなれば西国に固まる豊臣系の大名を巻き込んで対抗できる勢威を誇っていた
石田三成と加藤清正が割れなければ、天下はどういう形になっただろうか
大坂の陣の数年前に、加藤清正、浅野長政・幸長父子がいなくなったのは、徳川にとって非常に都合がいいことであって、小説のような展開にもリアリティがあってしまう
真田父子が流された九度山は紀州浅野家のお膝元であり、この始末そのものが関ヶ原後も徳川家の勢威に限界があったことを示している


次巻 『真田太平記 (十) 大坂入城』
前巻 『真田太平記 (八) 紀州九度山』
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『真田太平記 (八) 紀州九度山』 池波正太郎

表の戦より、裏の戦が面白い


真田太平記 (八) 紀州九度山(新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 5,600


関ヶ原の戦いは西軍の敗北に終わった。戦場に遅参という恥をかかされた秀忠は、真田父子を恨みその切腹を訴えるが、信幸の岳父・本多忠勝の助命により紀伊の九度山送りが決まる。一方、家康暗殺に失敗し頭領・壺谷又五郎を失った“草の者”は、生き残った奥村弥五兵衛お江によって上方中心に再編され、来るべき真田父子の決起に備えるのだった

上田城攻防戦、関ヶ原の戦いが終わり、小説は休戦パートに入る
真田家としてはひとつの大きな見せ場が終わったのだが、この作者の場合だと史実の大戦よりも、忍者中心のほうがモチベーションが高いので、面白さは変わらなかったする(苦笑)
お江たちは、長曽我部盛親など元西軍の武将を偵察しつつ、上方に忍び小屋を増やしていく。沼田の真田家は徳川家の勢力圏で安泰なので、彼らは真田父子の決起に専念しているのだ
長曽我部盛親が通う女官“お通は、高い教養から朝廷や大阪方とも交際しながら、裏では徳川家にも通じる曲者。それを見張る草の者たちをさらに山中忍びが迫り、草の者の忍び小屋の隣にお互い知らずに甲賀忍びの小屋があるという、なんだかたまらないスパイ合戦が繰り広げられるのだ

前半に紹介されるのが、真田家の伏見屋敷を仕切る鈴木右近の師匠、柳生五郎右衛門宗章の最期
小早川家を経て城を東軍に明け渡した中村一忠に仕えるが、仕官を勧めてくれた筆頭家老横田村詮が一忠に討たれたことに激怒し、村詮の一派ともに城の一角に立て篭もる
柳生五郎右衛門は少ない手勢で奮戦するが、一忠の父、中村一氏の盟友である堀尾義晴が援軍に来たために、壮絶な討ち死を遂げるのだった。徳川家はキレ者・横田村詮の誅殺を怒るが、その責めは部下に留めて中村家は存続した。しかし、一忠はこの一件で家中の声望を失い20歳で急死。継子の存続が認められず、改易されている
小説では滝川一益の孫である滝川三九郎が一忠に仕えた形で、五郎右衛門が語られる。三九郎は昌幸と愛妾・お徳との間にできた娘・於菊を娶ったことで、真田家の姻戚になっている
ちなみに、大河ドラマだと柳生五郎右衛門の存在が手に余ったのか、滝川三九郎が鈴木右近の師匠扱いとなっているようだ


次巻 『真田太平記 (九) 二条城』
前巻 『真田太平記 (七) 関ヶ原』
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『真田太平記 (七) 関ヶ原』 池波正太郎

西軍に冷淡


真田太平記(七)関ケ原 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 5,320


西軍につくことを決めた真田昌幸・幸村父子は、上田城に再び徳川軍を迎え撃つ。経験の薄い徳川秀忠は、昌幸の詭計により3日間を無為に過ごし、騙されたと知って攻撃した軍は大敗を喫してしまう。昌幸の策略により、四万の大軍が遅延した東軍であったが、西軍に石田三成の不手際、大大名の戦意の無さ、そして小早川の裏切りが重なって、大勝利を収めるのだった

真田家が主役の小説ながら、関ヶ原の割合が多かった
第二次上田城攻防戦は、徳川秀忠の使者に帰順をにおわせることから始まる。まんまと3日間を稼いだ昌幸は、籠城戦の準備に専念。激怒した秀忠とその主従は、上田城の攻略を目指してしまう
東軍にとって上田城の真田家は、会津の上杉家と連動しかねない厄介な存在だった。上杉家には旧領の越後に一揆を起こす動きがあり、信州とは目と鼻の先なのだ
一方、真田昌幸の活躍により四万の大軍を遅滞させた西軍だったが、石田三成と宇喜多秀家、島津義弘の不和により統制がとれない。作者が三成を好きでないせいか、真田家の盟友であるにも関わらず、同情的な視点があまりないのでボロンチョな描かれようになってしまう。真田家以外では、むしろ徳川家びいきなのはどうだろうか(苦笑)

真田家とそれ以外の描写でテンションが違うのが、このシリーズのネックなのだが、真田家の草の者については当然バッチリである
甲賀の山中忍びに、草の者が徳川家が迫る上田城へ引き上げたと見せかけて、複数の集団が家康暗殺を目指す
単独行動にこだわるお江は単身、三河武士の未亡人からなる家康のお供衆に忍び込むが、あと一歩のところで宿敵である猫田与助に阻まれる
この一件があったことから、家康は影武者を立ててしまい、奥村弥五兵衛たちの決死の襲撃が無駄になってしまう
そして、草の者の頭領である壺谷又五郎は、関ヶ原の乱戦のなか、京極家の手の者に化けた家康に近寄るが、山中内匠長俊に看破され両者刺し違えることに。まるで最終巻のような凄まじい消耗戦である
シリーズの半ば、大阪の陣を前にして、多くの草の者が倒れるどころか、頭領まで失ってしまった。佐助は順調に成長しているけども、草の者はだれが束ねていくのやら


次巻 『真田太平記 (八) 紀州九度山』
前巻 『真田太平記 (六) 家康東下』
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『小さいおうち』 中島京子

昭和初期のことでも、時代小説という区分にあてはまる気がした


小さいおうち (文春文庫)
中島 京子
文藝春秋 (2012-12-04)
売り上げランキング: 6,749


昭和初期、山形から女中奉公に出たタキは、東京で美しい時子奥様に出会う。その機転を気に入られた彼女は、時子奥様が再婚した平井家へもついていくことに。平井家の旦那様は、お見合いの約束どおり赤い屋根の洋風の家を建てて迎え、華のある中流生活が始まった。しかし、大陸の戦争が長期化したことから、旦那様の会社にも暗雲が立ち込め、時子奥様にも男の影が見えて……

山田洋次が映画化した直木賞作品
戦後にタキが平井家の女中時代を振り返る回想と、タキの甥・健次による裏付け取材の二編からなっていて、タキの回想が大半占める。タキの口から語られる戦前の中流家庭の姿が、とりもなおさず本編である
戦後教育を受けて戦前=戦争の暗黒時代と捉える甥の健次に対して、タキの回想では日中戦争が始まってもしばらくは戦勝ムードであり、その長期化と国家総動員体制の進行ともに徐々に物資が欠乏していくリアルな様子が描かれる。タキとその周囲の人々に戦争が牙を剥いたのは、東京の空襲と疎開の本格化であり、戦前を大人として送った世代の体験を小説という形で伝えるのが、表のテーマなのである
時子の不倫を核とする女たちのドラマは、最後のクライマックスに絡むものの地味であり、表を食うほどのパワーは感じなかった。タイトルのように、小さな玉手箱のような小説なのだ

映画版との違いは、小説ではタキの時子に対する同性愛とも思える思慕が強調されているところだろうか
映画だとそこが不明瞭で、タキは板倉へ好意を持っていたのようなシーンもあった気がする(気のせいかもしれないが)
小説では吉屋信子の作品から、「男女が恋人となる第一の道、同性を好きとなる第二の道、そのどちらでもない第三の道がある」と引用されていて、時子の親友である睦子から、タキは「私と同じように第三の道を生きるようね」と言われてしまう
睦子は時子に熱を上げていた女性の話を持ち出したように、おそらく女学生時代には時子に惚れていて、タキの気持ちを見透かして言ったとも解釈できる
タキの回顧録が健次の取材でひっくり返されたことから、体験者の話から戦後の戦争イメージが戯画的なことを指摘しつつも、返す刃で体験者の話もまたその主観や事情により誤解や虚偽がありうることを示したことが高く評価されているのは分かる
ただその割りに、影のテーマが上品に影のままで終わったことに、少しモヤっとしてしまった


関連記事 【BD】『小さいおうち』
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『真田太平記 (六) 家康東下』 池波正太郎

西軍が戦前からダメ過ぎて


真田太平記(六)家康東下 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 7,154


徳川家康による天下への仕置きに対して、大老の一人上杉景勝は会津で淡々と領国の整備に努める。これを咎めた家康に対して、激烈な家康非難を行った直江状が返され、家康は上杉討伐へ乗り出すのだった。佐和山に謹慎中の石田三成はこの機を捉えて、毛利輝元、宇喜多秀家といった大大名を抱きこんで挙兵する。真田昌幸・幸村父子は、上杉討伐へ従軍するなか、三成の使者と会見するのだった

前田利家の死後、徳川家康が第一の実力者として天下を牛耳った
本多忠勝の娘を嫁とし徳川家の一門として生きる覚悟を固めた沼田の真田信幸に対して、上田の本家、真田昌幸は上杉景勝への同情、秀吉の遺子に対する愛情を隠せない
はたして石田三成が徳川家康に勝てるのか?
昌幸や“草の頭”壺谷又五郎は、上杉討伐の権威を豊臣政権に拠っている以上、簡単に天下を取れないと踏んだ。が、徳川家康の器量は想像以上で福島正則など豊臣恩顧の武将を手なづけてしまうのだった
一方の石田三成は岐阜城の救援に出陣し大垣城へ退く際に、墨俣の島津勢へ連絡を怠るミスをし島津義弘を怒らせ、夜襲で押し返そうとする宇喜多秀家の采配を退けてその信を失ってしまう
三成に対する下げ演出が目立って、西軍に賭けた昌幸たちが可哀想になる(笑)

上杉景勝はなぜ家康に楯突いたか
フィクションで語られるような石田三成と連携したとか、挙兵するのを見越していたというのは、後の経過を見て作った筋書きくさい
蘆名・蒲生時代からの居城・若松城が将来、手狭になると考えた景勝は、新たに神月城の建築に着手。それを咎めた家康が討伐のきっかけするのだが、一説には家康自身の許可を得ていたという話もある。だとすると、直江状で家康を謗るのも妥当である
上杉家以前にも利家没後の前田家が、豊臣への謀反を疑われた一件があり、その結果、利家未亡人・芳春院を江戸に人質へ送らねばならなかった
城の改築から大名の改易に結びつけるのは、江戸幕府の常套手段であり、大大名を貶めるための冤罪は充分にありうる


次巻 『真田太平記 (七) 関ヶ原』
前巻 『真田太平記 (五) 秀頼誕生』
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『真田太平記 (五) 秀頼誕生』 池波正太郎

忍者佐助の誕生


真田太平記(五)秀頼誕生 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 9,236


立て続く身内の死、朝鮮出兵の苦戦で秀吉の心身は衰退していった。豊臣家の行く末が危ぶまれるなか、待望の跡継ぎ・秀頼が誕生し安心したのも束の間、関白である甥の秀次とその一族が粛清されてしまう。秀吉の死によって外征は終わったものの、その裏では奉行衆と前線の武将との間に埋められない溝が生まれていたのだった

第5巻は一気に歴史が加速していく。もはや関ヶ原の前段である
自らの起こした「唐入り」身辺の多事多難から秀吉は急速に消耗し、秀頼を得た後も元へ戻ることはなかった。幼い秀頼のもとに石田三成を筆頭とする奉行衆加藤清正・福島正則ら武闘派が対立し、そこへ五大老の一人の徳川家康が介入して政権の主導権を握る
秀吉から後事を託された前田利家との約束で、伏見城から向島の出城へ移るも、利家の死後には手のひらを返すように再び伏見城へ戻り、有力大名との婚姻など傲然と法度を破ってしまう
家康の横暴を止められないのは、家康自身が政権の柱であり、中老や奉行も本気で指弾して天下が崩壊してしまうことを恐れているためとされる。大老のなかに、家康の除いて天下人の器量を持つ人間がいないのだ
本作では二度目の外征「慶長の役」を、大大名を消耗させるための口実と見なしているが、それなら家康が外されていることが解せないところになる
あと、作者お得意の「このことである」のフレーズが頻出するのが気になった(笑)。場所によっては数ページに一度で、どれだけ念押ししたいのであろう

真田家関係での変化は、向井佐平次の息子・佐助が忍者としてデビューしたところ
昌幸の甥である樋口角兵衛が村娘をレイプしようとしたところを投石攻撃で気絶させる戦闘力を持ち、「草の者」の頭領である壺谷又五郎を尾行し別所温泉に先回りするなど、天性ともいえる才能を持つ
又五郎は佐助を一人前の男にしようと、女忍者のおくにを送り込んで五日間、みっちりもっこりとした筆下ろしをさせるのであった(うっ、うらやましい)
佐助に凹まされた角兵衛は、昌幸に疎まれて本家では目が出ないと沼田の信幸の下へ移る。柳生五郎右衛門に弟子入りしていた鈴木右近も、信幸の窮地を救って帰参し、にわかに沼田の分家に豪傑が集まってきた
前田利家の死後に起こった石田三成謀殺の動きに、真田家の忍びともに三成の父や兄の動きも取り上げられ、その居城・佐和山の城下も美しく描かれていた
この石田家と真田家の連携は『真田丸』でもフューチャーされるのではないだろうか


次巻 『真田太平記 (六) 家康東下』
前巻 『真田太平記 (四) 甲賀問答』
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『真田太平記 (四) 甲賀問答』 池波正太郎

大河だと、お江役は遙くらら。草刈正雄があさイチに出てたときにビデオ出演してた


真田太平記(四)甲賀問答 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
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天下統一が成った後、豊臣秀吉は明朝の征服に乗り出した。真田家は秀吉の近侍として仕える幸村の運動もあり、名護屋城での滞在組に配属される。秀吉の天下統一に協力してきた甲賀の山中内匠秀俊は、この無謀な戦いに将来への不安を感じ、同じ山中一族の首長・大和守俊房とともに、徳川家の天下に貢献することを誓う。真田家の忍びを仕切る壷谷又五郎もまた、天下の先行きを案じて、甲賀の動きを探ろうとお江などの手練の忍者を派遣。甲賀と真田の熾烈な闇の戦いが始まった

第4巻は史実の進行としては、朝鮮出兵の文禄の役までしか進まない
しかし裏の世界では、真田忍び畿内に忍びの拠点を作るともに、甲賀の動きを偵察したことから壮絶な戦いが始まる
真田忍びのエースであるお江は、父・馬杉市蔵が山中家の命に背いて武田に残った因縁から、猫田与助をはじめとする甲賀忍者に付け狙われる。山中忍びの頭領・大和守から生け捕りの指令が下り、彼女は獅子奮迅の戦いを見せるが、ついには……
その後、意外な人物に救われて、なおかつチョメチョメな関係になってしまうとか、彼女には作者のエロ魂が惜しげなく投入されている
昌幸も信幸も幸村も又五郎も、みんな彼女が好きであり、真田太平記のスーパーヒロインなのである

そのほか、名胡桃城の亡き城主・鈴木主水の子息である鈴木右近が出奔の果てに、柳生石舟斎の四男・五郎右衛門に入門するなどの興味深い展開が。他の作品で徳川家の闇の部隊として活躍する柳生一族と、甲賀・真田がどう関わるのだろう
朝鮮出兵に関しては、真田家視点なのでほぼ肥前・名護屋周辺しか描かれない。大政所の死に際して秀吉が大泣きするところなど「こんな武将を見たことがない」と作者が急に顔を出すのだが(苦笑)、自分で創作した場面と史実から引き写した場面の文体、テンションの違いが少し気になった。その場面をあえて抜き出したのは、作者なのに


次巻 『真田太平記 (五) 秀頼誕生』
前巻 『真田太平記 (三) 上田攻め』
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