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『泣き虫』 金子達仁

コールマン戦には触れてません

泣き虫泣き虫
(2003/11)
金子 達仁

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高田延彦はどのような思いで戦ってきたのか。新日本プロレス、UWF、UWFインター、そしてPRIDE、インタビューから書き起こされた半生の記録
本書は2002年、総合格闘を引退することを契機に、サッカーなど雑誌連載で知られる金子達仁インタビューなどを元に書き下ろしたもの
門外漢ともいえるライターに委ねたのは、今さらではあるものの、プロレスはやる前から結末が決まっていること、UWFインターですら一部を除いてそうであったことを大っぴらに明かしているからだ。まとめた著者も部外者なら角が立たないからだろうと、口をこぼしている
そのときの立場でPRIDEのガチさを称える内容ではあるものの、ハッスルをやったようにプロレスが嫌いなわけはない
新日本の新弟子時代、UWFでの葛藤、団体経営のしんどさ、疲労困憊のなかでの参院選立候補、敗北から目覚めたリアルファイトへの情熱、その時流した汗と涙が語られている

武藤との世紀の一戦を見れば分かるように、高田延彦はプロレスラーとして一流のセンスを持っていた。その彼が新日本プロレスを出たのはなぜか
本書では見も蓋もない光景が出てくる。新日で師匠的存在だった藤原喜明が、割り箸の倒れる方向で新日本に残留かユニバーサル(UWF)への移籍かを決めていたのだ(苦笑)
タイガーマスクの後継者として「青春のエスペランザ」と言われた高田も、大先輩の藤原を断れる立場になかった。ただし、前田日明、藤原への尊敬の念新日本プロレスが最強の格闘技を語るわりに実態はブックありきだったことへのジレンマから、裏事情を知らない高田は猪木に後ろめたさを感じつつも前向きに考えた
夜逃げ同然に新日本の道場から抜け出し、そのときにはデビュー前の橋本真也に荷物の積み込みを手伝わせている。事と次第によっては橋本がUWFにいる可能性もあった
UWFはフジテレビを媒体に猪木が来る予定で作られた団体であり、目論みが崩れた後に現れたスポンサーが悪名高き豊田商事!
社長の刺殺事件でUWFはブームを起こしつつも、新日本への出戻りを余儀なくされる

第二次UWFが崩壊し、UWFインターで高田が目指したのは「U」を背負いつつも“プロレスだった
UWFは他のプロレス団体を敵に回していたが、プロレス業界の中でプロレスの強さを発信する方向に転換した。それでも、プロレスをガチンコを信じるファンの存在が高田には辛かった
UWFインターは「一億円トーナメント」など奇抜な企画を立てつつも、地方の興行が振るわず赤字を増やしていく。起死回生のヒクソン戦を模索したが、グレイシーの道場を訪ねた安生が失神する事件が発生する
団体の人気に傷がついたところ、高田自身も社長業との兼ね合いから悩み、迷走を始める。安生と鈴木健に参院選への出馬を勧められ、トヨタのCMを降りる形で立候補し落選
新日本プロレスとの対抗戦を組まざるえなくなり、第一戦の武藤戦に敗れたことで団体の名声は地に落ちた

UWFインター解散後はヒクソン戦の実現を目指すが、途中、タイソンとの対戦ももちあがってきた。タイソンはホリーフィールドの耳を噛み千切り、ボクシングの試合ができない状態となり、収入を維持するためなりふり構わない時期があった
高田の気持ちは揺れタイソン戦へ傾くが、ヒクソン戦のための白紙委任状を興行主に渡していたため、急遽ヒクソン戦へ向かうことに。モチベーションを削がれた高田は、ヒクソンの幻想を膨らませ、克服できないまま試合に臨み敗れる
二回目のヒクソン戦を負けはしたものの、相手に幻想を抱かず等身大の敵として戦えたとして、総合格闘技へ情熱を燃やし始める。一般人からはプロレスラーと格闘王としての地位を失墜させたように観えても、本人はリアルファイトの夢を実現させていたのだ
タイトルの「泣き虫」は言い過ぎだが、高田は決して強い人間、怪物ではない。普通に生きていれば経験するべくもない、プロレスラー、あるいは団体の長として業界の修羅場を味わった辛さは、胸に迫るものがあった
著者は書き下ろしが初めてらしいけれど、高田に寄り添い続ける文章がいい。読ませる


関連記事 『最強のプロレス団体UWFインターの真実 夢と一億円』
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1998年に開かれた、PRIDE.3とPRIDE.4
最初のヒクソン戦の後、高田延彦はビバリーヒルズ柔術道場へ一ヶ月間修行に行き、PRIDE.3で総合格闘の初勝利を飾り、PRIDE.4で再びヒクソンに挑む
挿入されるPVは、高田、ヒクソンに次いで、桜庭マーク・ケアーで、中心選手が誰なのか、はっきりと分かる構成だ
レビの中継に慣れていると、特有の煽りVTR、レニー・ハートのコールがなく寂しいが、この時代は高田ヒクソン戦のための実行委員会KSRで動かしている段階だから仕方ない
それでも、ヒクソン戦の入場シーンぐらいは流してもらいたかった


PRIDE.3

一回戦 △小路晃 vs 松井大二郎△ ドロー
 初の日本人対決ながら、お互い攻め手を欠いてかドローに
 編集で飛び飛びだから、どういう膠着状態だったか分からない
 この時点で経験で勝る小路が決め切れなかったというところか
 というか、この時代はほぼ判定がないんだなあ

二回戦 ○高瀬大樹 vs エマニュエル・ヤーブロー×
 曙より高く小錦より重いという触れ込みで、体重差のある危険な対決
 高瀬がアウトファイトに徹し微妙な空気が会場に流れたが、2ラウンドに警告をもらうと捨て身で寝かしてギブアップを勝ち取った
 ヤーブローは1Rで気持ちが切れてしまったような
 でかければいいというもんじゃない

三回戦 ○桜庭和志 VS カーロス・ニュートン×
 桜庭に対し、ブラジル柔術のカーロスは巧みに戦い苦しめる。この選手、かなり上手い
 一時はタートルポジションに追い込まれる局面もあった
 しかし、一瞬の隙で膝十字固めを決めたのさすが。柔術家にはやはり脚関節か

四回戦 ×アミール VS ゲーリー・グッドリッチ○
 アームレスリングのチャンピオンで「PRIDEの門番」と言われたゲーリー
 アミールは急遽参戦が決まり、終始劣勢を余儀なくされた
 ゲーリーは馬乗りでフォーフォーと挑発する余裕すら見せ、KOを決めた

五回戦 ×ペドロ・オタービオ VS マーク・ケアー○
 解説が「嫌な相手」というオタービオに、ケアーは二分でアームロックを決めた
 試合後のインタビューの差が面白く、オダービオが「もう一回やらせろ。他とするつもりはない」と言えば、ケアーは「もっと強いヤツとしないと、いいファイトができない」とグレイシー一族を名指しした(苦笑)
 そういや、オタービオって、武藤さんともやっていなかったか



六回戦 ○高田延彦 VS カイル・ストュージョン×
 出会い頭のハイキックにヒヤッとするものの、二分早々にヒールホールドでバリトゥード初勝利
 しかし、全身刺青でこういうチャカチャカした動きをする選手は、どうも信用できないのですが(苦笑)


PRIDE.4

一回戦 ○イゴール・ボブチャンチン VS ゲーリー・グッドリッチ×
 ボブチャンチンがPRIDE初見参。門番ゲーリーと熱い撃ちあいとなる
 ボクシング技術の違いか、より的確なパンチがゲーリーを捉え、スタンディングでのKOとなった
 この時期のゲーリーはよく悪くも荒いなあ

二回戦 ○小路晃 VS ヴァリッジ・イズマイウ×
 2Rでスタミナを切れたイズマイウを小路がTKO勝ち
 戦後のマイク・アピールが「なー、みんな夢はあるかー」と始まって腹を抱えてしまった
 前回の松井大二郎戦の鬱憤を晴れたのだろうねえ

三回戦 △松井大二郎 VS 菊田早苗△
 松井大二郎はDVDの中では松井駿介と紹介されていたが、どの時点で変わったかははっきりしない
 後の菊田早苗アブダビコンバットを日本人で始めて優勝し、ノゲイラと好勝負を見せた名選手。ここから駆け上がったわけですよ

四回戦 △アラン・ゴエス VS 桜庭和志△
 手詰まりになったらしく、この大会のルールでは3Rでドロー
 松井菊田戦そうだが、なるべく試合はカットせずに入れてもらいたい
 膠着状態ならそれなりにどういう状況でそうなったか知りたいし、凡戦と分かれば次に飛ばすわけだしね

五回戦 ×佐野友飛 VS 本間聡○
 本間選手は佐山聡の修斗出身で、初のバリトゥードでの敗戦後から三年ぶりの総合参戦となった
 試合は打撃戦で佐野の顔面を流血に染め、TKO勝ちをもぎとった

六回戦 ○アレクサンダー大塚 VS マルコ・ファス×
 この試合は感動したあ~
 アレクサンダー大塚は藤原組出身で、この時は格闘探偵団バトラーツに所属のプロレスラー
 対戦相手のマルコ・ファスは37歳ながら「ヒクソンが避け続けた男」と言われる実力者である
 そんな相手に勝っちまうんだなあ

七回戦 ○マーク・ケアー VS ウゴ・デュアルチ×
 WIKIではウーゴになっているが、DVDではウゴとなっていた。解説はウゴウゴと連呼している
 ケアーはセコンドと会話する余裕を見せていたが、勝負は3Rに持ち込まれた
 カットされた中間にどういう攻防があったのか、気になるところである

八回戦 ×高田延彦 VS ヒクソン・グレイシー○
 PRIDE.4のPVはヒクソンが中心。その所作はユニークで山野を歩きながら、鼻をヒクヒクさせたり、フォーフォーと息を吐いたりして見ていて飽きない(笑)
 試合は高田が粘ってラウンドをまたぐかと思われたが、ヒクソンが執念で腕ひしぎ十字を決めてしまった。優香のラウンドガールを見られず残念である(えっ
 高田は防御はよくても、相手を負かす決め手がない。何かしらの格闘技の経験を十代から積んでいないと、この部分は後からでは身につかないのだろう
 もちろん、この敗戦がプロレスラー高田延彦の価値を貶めるものでないのは言うまでもない


DVD作品として観たとき、ドキュメント部分と試合の構成がピリっとせず、ルール面の説明も充分ではなかった。大会ルールは細かく変遷があるから、ちゃんと知っておきたいのである
PRIDE.5からはテレビ放映が絡むから、そのあたりも整備されていると期待したいが


泣き虫 (幻冬舎文庫)泣き虫 (幻冬舎文庫)
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