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『満州アヘンスクワッド』 第5巻・第6巻

漫画もけっこう積んでいます




第5巻。キリルの恋人ナターシャハルピンの青幇、馮英九の手下に捕まった。馮英九は身寄りのない女性や子供を人身売買しているのだ
キリルNKVDの過去だったことから、亡命ロシア人の集まりから相手にされず、麗華の助けを借りることに。馮英九はスラム街・大観園の子供もさらっていたことから、閻馬たち孤児も奪還作戦に協力する

かなり展開は早い
ナターシャの救出に成功したと思いきや、逃走車がロシアン・マフィアの縄張りに入ったことで、ナターシャばかりか麗華たちまで彼らの手に落ちる
そして、マフィアのボスとして姿を現したのが、白露事務局局長ロジャエフスキーで、杜月笙の娘・麗華青幇との取引材料に使おうとする
クライマックスは、馮英九とロジャエフスキーの交渉からの銃撃戦。追い詰められた麗華の運命は……と一番いいところで終わる!




第6巻。麗華の危機は、大観園の孤児たちに救われた。一命を取り止めた彼女の予見どおり、青幇とロシア・マフィアの血で血を洗う抗争が始まる
一方、ロジャエフスキーの秘書ニーナは、局長の正体とその拷問部屋を知り、ナターシャを救おうとするが、見張りが多く失敗
麗華たちの元へ駆け込んで、救出作戦を図るが……

凄腕感のある馮英九は、麗華にとどめを刺そうとするが、孤児の鉄パイプに阻まれた(爆
シリアスに話を作りながら、肝心なところでコメディになるのが、良くも悪くもこのシリーズの作風なのだ。キン肉マンで悪魔将軍がパイプ椅子を使ってきたことを思い出したが、そういうことが求められているかというと(苦笑)
ナターシャの救出作戦の裏で、麗華の傷を治すべく勇とリンはハルビンの南、吉林へ向かう。そこでは闇医者の關志玲が登場し、お次の標的は吉林の満州族になる模様


第5巻でいい展開を期待させながら、第6巻の収束はやはりご都合感が(苦笑)。5人ばかりのグループで組織の頭を取るには、それなりに説得力のある作戦でないと……
作画の迫力と微妙な成り行きの落差がもったいない
しかも、孤児たちが蜂起したことで、子供の犠牲を描けるのかという、課題も浮かんできた。これがクライム・サスペンスとしてガチかの試金石になる


次巻 『満州アヘンスクワッド』 第7巻・第8巻
前巻 『満州アヘンスクワッド』 第3巻・第4巻

『満州アヘンスクワッド』 第3巻・第4巻

絵はいいのに、展開はやっつけ気味




第3巻。日方勇は、中国人を装う日本人女優・李姚莉(本名、山内洋子!)を連れて逃避行。ひと目だけと立ち寄った彼女の故郷で、いい仲になるも地元の青幇、針使いのに捕まってしまう
一方、麗華李姚莉の代役女優として潜り込んで、相手役の池山大二郎(モデルは長谷川一夫ではなかろうが)に超高濃度の阿片を投入。一撃で虜にしてしまう
その勢いで満映(満州映画協会)を篭絡し、合流した勇は李姚莉奪還作戦に乗り出すが……

順調にぶっ飛んでいた
阿片中毒者になっていく過程が圧倒的に省略されていて、誰もがいとも簡単に仕上がってしまう。アヘン戦争からの歴史的経緯を考えれば、相当な拒否反応があってしかるべしなのだが……
一種の開き直りというか、ギャグにしてしまうことで、ピカレスクロマンに必要な暗さを払拭してしまっているように思える。クライマックスの危機の脱し方もそれでいいのかという(苦笑)
早くも史実と違う展開が始まっていて、実名でない人はいくらでも曲げていく方針のようだ




第4巻。満洲国の首都・新京(現・長春)で、青幇のボスで麗華の父である杜月笙は、日本の"阿片王”里山柾と会談。既存の阿片を脅かす高純度の「真・阿片」の存在は捨て置けないと、里山は提携を持ちかける
満映では、その「真・阿片」を宣伝する李姚莉が主演の映画が公開され、大ヒット。勇たちは彼女を日本へ送ろうとするが、周一派の襲撃を受ける
それを助けたのは、意外な男だった

本巻もいろいろツッコミどころは多かった
満映の映画で「真・阿片」を宣伝って、さすがに関東軍が検閲するのではなかろうか(苦笑)
周たちの追撃を妨害するのも、自分が勇を捕まえたいという元開拓義勇軍で、憲兵に通じた熊田岩男 「生け捕りにしてやる」と銭形のとっつあんのような存在になってしまった。まさか、これほどの戦闘力を誇ろうとは
後半は舞台をロシア系の亡命者が多いハルビン(哈爾濱)に移り、ロシア人の「逃し屋」キリル・メドヴェージェフと、青幇の支配するスラム街、大観園に住む閻馬という少年が新キャラとして登場する
ハルピンでは、亡命者を束ねる白露事務局の局長アレクセイ・ロジャエフスキーが、青幇と裏社会の二分する"皇帝”として君臨しているようだが


里山柾は、阿片中毒者のために阿片を作っていると、際どい論理で自らを肯定する。戦前の日本では阿片の製造は国の専売であり、鎮静剤のモルヒネや阿片中毒の治療目的の生産・使用は認められていたのだ
ハルピンがロシアが施設した鉄道をきっかけに発展したとか、ちゃんと史実を踏まえてくれるところもあるので、お話作りにもどこかでギアがかかって欲しい


次巻 『満州アヘンスクワッド』 第5巻・第6巻
前巻 『満州アヘンスクワッド』 第1巻・第2巻



『満州アヘンスクワッド』 第1巻・第2巻

題材が面白いので、手にとって見た
満州アヘンスクワッドは、1930年代の満洲国でのアヘン売買を巡る抗争を描くクライム・サスペンス
関東軍に徴兵された日方勇は、戦場で片目の視力を失って移住した家族の元へ戻る。満蒙開拓義勇軍に転属されたものの、母親がペストにかかったのをきっかけに、アヘン密売を企てる。地元の青幇に売りこんだところ、始末されそうになるが、首領の娘である麗華に助けられて…というのが、序盤のあらすじ
満州では軍閥時代からアヘン売買が盛んで、関東軍も手を染めていた史実を踏まえつつも、青年誌らしいセックス&バイオレンスに、アクの強いキャラクターが続々に登場し、時代背景に感心のない人にも入りやすい作品に仕上がっている




第1巻から、かなり刺激的である
はペストにかかった母を、片腕を失った衛生兵・陣内茂の家に引き取ってもらうが、勇と兄弟がアヘン栽培に気づいた途端に豹変し、勇の首を締める。それを助けるために、妹のセツ陣内を石で殴殺してしまう
そのアヘンを持ち込んだ先で、青幇の首領・杜月笙(実在)の娘・麗華は、勇と結託。お色気ムンムンで、満州鉄道の関係者をアヘン地獄に落としていく
アヘン栽培をかぎつけた憲兵伍長・長谷川圭人は、長髪でメガネの優男に見えて、実はサディストという、かなりぶっ飛んだキャラクター。わざわざ関東軍がアヘン栽培に手を染めているから、他のアヘンが出回ると困ると公に語ってしまうとか、いろいろリアリティを吹き飛ばす存在だが、こういうオーバーアクションがお話のテンションを盛り上げているし、分かりやすくもしている




第2巻では、追われる身となった麗華は、驚異的な記憶力を誇る少女・リンを仲間とする。青幇の売人兼運び屋だったリンは、仕事が終われば牢屋に入れられるような境遇だったが、仕送りした両親が死んだとしらされて、勇にプロポーズされたとの勘違いから、一行に加わる
勇の妹・セツと弟・三郎は、青幇の殺し屋・ロン静英に狙われて、とうとう勇ともにアヘン栽培を手伝うことに。麗華が目をつけたのは、清朝時代からアヘンの特産地となっていた熱河地方現地のモンゴル人と接触して、青幇に対抗する提携を交渉する。そこで加わるのが、四カ国語を操るというバージルで、チームも多国籍軍になってきた
さらに、終盤では李香蘭モデルのスター女優・李姚莉が登場。なかなかのトンデモ展開なので、さすがに実名ではできなかったか(苦笑)


1話1話が中だるみなく、濃い!
際どい時代と舞台でどこまで暴れるのか。読み続けざる得ない


次巻 『満州アヘンスクワッド』 第3巻・第4巻



満州を舞台の漫画というと、まずコレが

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