『橋下徹現象と部落差別』 宮崎学 小林健治

宮崎学は、きつめ目サイバー軍団によりネットの部落差別を監視しているらしい


橋下徹現象と部落差別 (モナド新書 6)
宮崎 学 小林 健治
にんげん出版
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『週刊朝日』2012年10月26日号にて、佐野眞一+『週刊朝日』取材班の名で「ハシシタ 奴の本性」という新連載が組まれた。なぜ橋下バッシングに部落差別がもちこまれたのか。キツメ目の男、宮崎学部落解放同盟の小林健治が問題の本質に切り込む
事の発端は2011年の大阪府知事・市長ダブル選挙の際に、『新潮45』『週刊文春』『週刊新潮』橋下氏の父がヤクザで部落出身者であるとして、その政治手法と結びつけたことにある
橋下氏は「公人である以上、両親や先祖を報じられるのは仕方ない」としつつも、出自や血統、出身地をもって自分の人格を否定することに対しては断固、戦うと応じ、選挙では対立候補の平松氏を圧倒して当選した
著者両氏は橋下氏の政策に反対しつつも、この問題への覚悟に対してはもろ手をあげて賛同する。その上で、なぜさらに『週刊朝日』と佐野眞一があのような記事を書いてしまったのか、部落開放同盟はこの問題にどう対応したのか、を問うていく

社会的差別に対する戦いとは、「差別か、差別でないか」を裁判官に判断してもらう問題でも、コンプライアンスに委ねるという一般的な問題ではない。言われた側、言った側の当事者性、具体的な関係で処理するべきという

宮崎 差別事象は、いったんおこなわれたら、それによって受けた損害回復することが法律にはできない。法的には、ただ物質的なかたちでの損害賠償しかできない。差別によって損なわれた人格的なもの、個人の尊厳は、社会的にしか回復できない。だから、法に訴えるだけではなく、自力救済によって解決することが求められるわけだ。それが「糾弾」ということなんだ。
小林 だから、これまでに、とりわけ戦前には文字通り命がけで糾弾闘争が行われてきて、それらを通じて、自力救済としての「糾弾権」が、権利として事実上認められるようになってきたんです。「差別糾弾は手段、方法が相当な程度を超えない限り、社会的に承認されて然るべき行動であり、……」(矢田教育差別事件・大阪地裁判決1975年6月3日)「秩序に照らし、相当と認められ、程度を超えない手段、方法による限り、かなりの厳しさを有することも是認される」(同事件・大阪高裁判決1981年3月10日)という判決が出ています。(p54-55)


とはいうものの、ほんとうの個人だけでは糾弾しきれないので、支援組織として部落開放同盟がある
ただし部落解放同盟も水平社以来の「相互扶助と差別糾弾」という具体的な目的から、「人権と民主主義」という一般的・抽象的概念に解消してしまっていると、本書では指摘される。『週刊朝日』の問題に対して、解放同盟が平松候補を応援した関係で、部落問題として強く糾弾することはなく、橋下氏が個人の力で自力救済した
部落解放運動自体が戦後は自民系、社会系、共産系と大きく三つに分派していて、部外者からすると部落解放同盟はひとつの政治勢力にしか見えない

なぜリベラルを標榜する『週刊朝日』と、一流のノンフィクション作家とされる佐野眞一が下劣な記事を作ってしまったか
宮崎学は、被差別部落に対する差別意識が封建制の残滓ではなく、近代の産物だからと指摘する。近代的な価値を疑わない知識人・文化人こそ、日本的近代と結びついた差別意識をもったままで、そうした価値から自由だった世間人が差別に怒れた
知識的・文化的に差別意識が残り、民衆的・文化的部分に反差別意識が拡がるという逆転現象が起きているというのだ
そうした反転現象は、自由と平等の概念が行き渡ったからこそ、「個人の尊厳」を守る意味が、人並みの生活をして同質性を目指すことに置き換わっていて、本来の「個人の尊厳」が守られなくなっている。自由と平等が自明の世界で抽象的・一般的に追及すると、めくりかえって不自由になるので、橋下氏がとった自力救済のように当事者による具体的行動以外は価値を持たないとも
解放同盟と筒井康隆のやり取りを見ると、自力救済はお互いしんどいと思ってしまうのだが、それが対話というものかもしれない
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