『メタルギア ソリッド2 サンズオブリバティ』 レイモンド・ベンソン

小説でも頼りないデン


メタルギア ソリッド2   サンズ オブ リバティ   (角川文庫)
レイモンド・ベンソン
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-02-25)
売り上げランキング: 246,248


シャドー・モセス島事件から2年後、スネークオタコンともに反メタルギア財団「フィランソロピー」を結成し、新型メタルギアを搭載したタンカーへ潜入した。ハドソン河を下るタンカーには、メタルギアを開発した海兵隊にロシア私兵部隊が襲撃し、大混乱の末に……。そして、そのさらに二年後、沈没したタンカーの後には環境悪化を食い止めるための施設『ビッグシェル』が建造されていたが、スネークを名乗る男が大統領視察中に占拠した。フォックスハウンドの新兵「雷電」は、大統領救出のために乗り込むが……

アクの強い同作品の忠実なノベライズだった
前段となるタンカー沈没事件と本編のビッグシェル占拠事件二段構えの構成で、小学生で原爆を完成させた爆弾魔ファットマン、銃弾を弾く不幸な女フォーチュン、何度でも蘇る吸血鬼ヴァンプと、ファンタジーな敵役が原作同様のパフォーマンスを見せくれる
前作にも超常的な敵役がいたものだが、一つのテロ事件として現実世界に近い形で終息した。本作では、アメリカの歴史を支配する『愛国者達』、デジタル情報を統制するGWシステム、個人の感情を数値化し意のままに誘導する3S計画と、陰謀論的世界観がぶっぱなされていく
ゲームだと全体の整合性などより、クライマックスに向かっての勢いでプレイヤーは乗っていけるものだが、小説として冷静に読んでしまうと「おっ、おう」と立ち止まってしまう。現実に投げかけるテーマがあるにも関わらず、計画とそれに対する費用対効果とかアラの部分が目についてしまうのだ
それをフォローするための設定改変、後付けもなく、本当に忠実なノベライズなのである
作者のやり込みは万全で、終盤になって狂う大佐、フナムシを嫌がるエマを気絶させようかと思う雷電など、プレイ経験があればニヤリとする場面も多い。その点は期待どおりだ

秀逸なのは、編集者による解説である。MGSシリーズを通したテーマを丁寧に触れられているのだ
ゲームに登場する専門用語、コードネームには、それぞれにアメリカの歴史に関わる由来がある
例えば、サブタイトル「サンズオブリバティ」はアメリカ独立戦争のきっかけとなったボストン茶会事件を起こした組織の名称であり、情報を統制・検閲するGWシステムは、アメリカ政界で神格化されているGW=ジョージ・ワシントンの存在から来ている
ビッグボスとそれを受け継ぐ子供と反抗する子供、父と子の葛藤という『メタルギア』から初代『MGS』のテーマに対して、本作ではさらに管理する者と管理される側の相克が加えられ、人間にとっての自由とは何かが突きつけられる。アメリカで人気を二分した『GTA』シリーズの「freedom『MGS』シリーズの「liberty、二つの“自由”を巡る分析は読み応えがあった
くしくもゲームの開発中に9・11が起こり、ニューヨークにアーセナルギアが突っ込む描写が割愛されるという事情もあった。時代と寝たゲームシリーズなのである


前作 『メタルギア ソリッド』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『メタルギア ソリッド』 レイモンド・ベンソン

リキッドが手加減し過ぎ


メタルギア ソリッド (角川文庫)
レイモンド・ベンソン
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 178,306


アラスカの孤島シャドーモセスにある核廃棄物処理施設で、次世代特殊部隊フォックスハウンドが蜂起。首謀者リキッド最強の戦士ビッグ・ボスのDNAと10億ドルを要求し、従わなければ核の使用を辞さないと米政府に通告した。アラスカに隠棲していた元フォックスハウンド隊員のソリッド・スネークは、かつての上司キャンベル大佐に単独潜入を命じられる。その島には、因縁の大量破壊兵器メタルギアが開発されていた

ステルスゲームの金字塔『メタルギア・ソリッド』のノベライズ
ゲームのシナリオを忠実に追いつつ、その硬派な世界観から本格的なミリタリー小説に仕立てられていた。要所にボスキャラがいるというゲームの構造を維持しながらも、渋くかつウィットに富んだ文章で締めているので、ゲームを知っている人間も小説が好きな人間も入りやすい作品だ
原作のゲームではスネーク視点で固定されているところを、マスター・ミラーがやられる場面、ナオミ・ハンターが拘束されながらもスネークで連絡をとる場面などが補完されていて、優性遺伝子と劣性遺伝子に対する誤解にも突っ込みが入れられている
作者のレイモンド・ベンソン007の世界的研究家で、そのノベライズを手がけている傍ら、『ウルティマ』シリーズのシナリオを手がけるなどゲーム業界にも深く関わっている人物らしい
「ゲノム兵が馬鹿で助かった!」「スネークは得意のパンチ・パンチ・キックを決めた」とか、ゲームをやり込んだからこそ分かる文章が散りばめられている。エレベーターに潜むステルス兵士に対して、フィギュアスケートの要領で両手をぐるぐる回して打開するとか、真面目な文体の中でのおふざけがたまらない(笑)
極めつけは

これまで遭遇した敵は、みな引き金を引く前に得意げに演説したものだ。問題は、いつその演説が終わり、戦いが始まるか、だ。これまでの経験と訓練のおかげで、スネークは敵の目に浮かぶ表情や声の調子を読むことができる。おしゃべりな相手に一歩先んずるのは、簡単なことだ。……(p359)

いくら何でもメタ過ぎる(苦笑)。ヒーローには必須の特技ですなあ

時代設定については、9・11を意識した比喩もあって、微妙に原作ゲームからずれているようだった
他はだいたい、ゲームに忠実だったと思う
ん? そういえば、メイ・リンの格言講座がなかったような


次作 『メタルギア ソリッド2 サンズオブリバティ』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
カテゴリ
SF (22)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。