第3巻。ヤクザの組長との一件を解決した名越進は、伊藤学とホムンクルスたちを再検討する。脳科学では人間の感覚は脳の表面に分布しており、それを立体化したものを「感覚ホムンクルス」という。唇と指の範囲が広いので、三次元にするとその部分が膨れ上がった姿となる
ヨーロッパの伝承における「ホムンクルス」は、錬金術で作り出された小人というだけでなく、体のなかに住むとも言われているそうだ
伊藤の仮説では、名越はトレパテーションによって鋭敏になった知覚と、これまでの経験が相まって、人の精神の歪みが分かり他人の「ホムンクルス」が見えていることになる。しかし、見える人間と見えない人間がいるのは、名越自身の歪みも絡んでいて、その知覚できる範囲内でホムンクルスが見える
怪しい能力だが、何でもわかる超能力ではないのだ
そして、後半からは二人で実地実験が始まる
まずは心療内科へ連れて行って、患者を観察。とくに「ホムンクルス」を確認できず、伊藤の先輩である医者が“国という札がついたブルドッグ”に見えたのみ(苦笑)。名越の能力が万能ではないことを裏付けられる
次は、ブルセラショップの発展版である生セラショップへ。モデルの女子高生から、ただ一人砂でできた美少女「1775」を見つける。マジックミラー越しに卑猥なポーズをする彼女は、感情を表に出すと砂が崩れるように変貌し挑発してくる
それを伊藤は砂の女子高生をマニュアル世代で、鋳型によってどんな形にも変貌すると分析。形が定まらないのは、不安定で自分自身の正体が見えていない証拠と、自ら形を定めてやると“援交”を宣言する(爆)
もっとも、名越から見れば、実は伊藤も「無色透明の水」のホムンクルス。はたして、砂と水の対決はいかに
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